表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Platinum Pride  作者: ポメ
7/22

決断

僕たちは屋敷の中に入る事にした。

僕に限っては、最後まで、かなり迷っていたが、結局行く事に決めた。怖かったけど、武道ぶどう心得こころえのある情報屋のおじさんも一緒に行ってくれるということが、かなり僕を後押あとおししてくれた。仕事をボイコットして、後でマネージャーやトビオにいろいろ言われるのもいやだった。おじさんは約束やくそく通り、持っている他の情報についても、僕たちに教えてくれた。


内容はこうだ。

小さな小料理屋を経営けいえいしている男がいた。男の料理の腕は一流いちりゅうで、なかなか店も評判ひょうばんが良く繫盛はんじょうしていた。ところが、ある日突然、店舗てんぽりているビルのオーナーから、店をたたむように言われる。理由を聞いても、申し訳ないの一点張いってんばりだ。仕方なく男は別の店舗を探し、また経営を始めたが、1か月もたたないうちに店舗てんぽから追いやられる。その後、同じようなことが何度も起こり、結局けっきょく、男は廃業はいぎょうに追い込まれた。


また別の事例もある。

ある一流企業いちりゅうきぎょうつとめる男がいた。優秀ゆうしゅうな男で、周りからの信頼しんらいあつく、役職やくしょくはまだ課長かちょうだったが、さらに上へと出世しゅっせするだろうとささやかれていた。そんな男が突然の人事異動じんじいどうで地方へ飛ばされる。社内では、知る人ぞ知る、辺境へんきょうの地だ。男はわけが分からない。当然とうぜんそんなところに男がやりたい仕事もなく、不当ふとう人事じんじに男は組合や労働局に相談するが、結局、拉致らちがあかず、その後の仕事もモチベーションが上がらず、酒におぼれ、男は退職たいしょくすることになってしまった。男には、有名ゆうめい大学に通う一人息子がいたが、同時期どうじき退学たいがくとなっている。


いずれも、ある私立探偵社しりつたんていしゃに持ち込まれた相談内容の一部で他にも同じような相談が多発たはつしていた。これらの事象じしょうにはたった一つだけ共通点があり、それがどうも、この屋敷と関係があるらしかった。

なぜ警察までもが動いているのか、情報屋のおじさんは教えてくれなかったが、僕たちは良しとした。


「じゃ、僕はこれで」


サラリーマンが重いこしを立ち上げた。


「いろいろとありがとうございました。」


僕がお礼を言うと、サラリーマンはちょっと笑顔になって


「とんでもない、こちらこそ、話を聞いてくれて、ありがとう。行きたくないけど出社しゅっしゃするよ、、なんか、そちらも大変そうだけど頑張がんばってください。くれぐれも無茶むちゃだけはしないように」


僕はこのガタイのいい気弱きよわなサラリーマンが意外いがいと好きになっていた。


「はい、わかりました。」


一通ひととおり、別れの挨拶あいさつが終わった後、トビオが言った。


「待ちたまえ!君も行くのだ。」


は?何言ってんだまた、この人は・・・。


「いやいや、トビオ、それはないでしょ、本当にすみません、こいつ非常識ひじょうしきで」


僕はサラリーマンに頭を下げた。また僕があやま羽目はめになる。


絶対ぜったいに行くのだ!」


トビオはがんとしてゆずらない。


「だからなんで行かなきゃいけないんだよ!」


僕は切れ気味ぎみになって、トビオの前に立ちはだかった。


理由りゆうを言えよ!理由を。」


僕に言われて、めずらしくトビオは口ごもっている。


「理由?理由は・・」


その時だった。


ゴゴゴ、キュルキュル、、ンゴゴゴゴゴオ~


すごい音がした。

僕の記憶きおくしているかぎり、、これははらの音だった。


くとサラリーマンがずかしそうに


「いや、ハハハ、すまない、僕のおなかの音すごいんだ。お腹すいちゃったみたいで」


とモジモジしていた。それを見てトビオが勝ちほこったように


「理由は、腹がっているから、ランチを食べるのだ。」


と言った。

いやいや、、、お気楽きらくすぎるだろ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ