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Platinum Pride  作者: ポメ
19/22

僕たちの武器

「町田さんを助けなきゃ。」


隣室りんしつに続くと思われるドアがあったので、僕が行こうとすると、


「まあ、待て。」


とトビオは言い、マジックミラーの下にあった機械きかいをいじり始めた。何だかいろいろな、レバーやスイッチがあり、放送室ほうそうしつのような映像編集室えいぞうへんしゅうしつのような感じだ。


「何してんだよ、早く助けなきゃ。」


僕がそう言うと、


「まあ、待て。見たところ、町田さんは、お前とちがってふくは着てるようだし、とりあえず何を話しているか聞いてみよう。あ、これだな、たぶん」


トビオがレバーをあげると、声が聞こえてきた。

あの男の声だろう、深く、くぐもった低い声が聞こえる。

僕たちの見ているマジックミラーに音声おんせいが加わった。


「他人に負けたくない、それがお前のプライドか?どうなんだ?え!」


 男は低い声で話していたかと思うと、いきなり恫喝どうかつし、町田さんのすわっている椅子いすうらを下から思いきりり上げた。町田さんはヒッと声をあげ、小さくなっている。どうやら手錠てじょうをされているようだった。


 男は話しながら、町田さんをさげすむように見下ろし、ウロウロと歩き回っていた。その動きは不規則ふきそくなリズムをきざんでおり、近くにいる町田さんを不安にさせているようだ。男は、気味きみの悪い声で、さらに話を続ける。


「私の任務にんむは、人が持っているプライドをとことん、ぶちのめす事だ。それが私のオーナーの意向いこうだ。なかなか面白おもしろいだろう?・・だからお前のプライドとは、何か?私は明確めいかくにしないといけない。」


男はそう言うと町田さんの耳元みみもとに顔をせる。


その男のを見て、僕はまた心臓しんぞうが苦しくなった。

獲物えものねらうハゲタカのようなするどは、しつこいハイエナのようによどんだ光をはなっていた。

一度つかまったら骨のずいまで吸い取られそうな気がしてくる。

男の低く、何かに引っかかっているような、耳障みみざわりな声が部屋中にひびいていた。


「だが、お前の話は要領ようりょうを得ない、、ラグビーはやめた、今は仕事を一生懸命いっしょうけんめいやっているが、うまくいかない・・・。それで?容量ようりょうがいい奴、情報操作じょうほうそうさ上手うまい奴がずるいって?」


男がつくえ小刻こきざみにゆびたたいている音が、だんだん大きくなっていく。


「全く、お前はクソ野郎だな!いいか?教えてやろう・・。そいつらはずるくなんかないんだよ。自分が持っている武器ぶき最大限さいだいげん活用かつようしているだけだ。

お前の武器は何だ?仕事が早いことか?わかりやすい資料を作れることか?それを自分の武器として、とことんまでめたのか?その武器でお前はたたかったのか?プライドを持つのはそこだろ!

他人に負けたくない?お前のプライドは第3者がいて、成り立つプライドなのか?そんなものはプライドなんかじゃないんだよ、プライドは自分自身に持つべきものだ。」


「なるほど一理いちりあるな。」


とトビオが言った。


「何言ってんだよ。」


僕は気が気じゃなかった。

あそこにいるのが町田さんでなく僕のような気がしてきて、僕は思わず目をせた。


「私は、お前とちがって自分の仕事にプライドを持っている。特別とくべつにお前に、私の流儀りゅうぎを教えてやろう。まず獲物えものをゆっくりと観察かんさつするんだ。どうやってすべき出させるか、何が一番好いちばんこのみか、またはいやがるのか。気温きおんも大事だ。あつさは人をイライラさせ、さむさは人の心もこごえさせる。光の加減かげん調節ちょうせつする、薄暗うすぐらい方がいいか?または明るい方がいいのか?

下準備したじゅんびととのったら、尋問じんもんの始まりだ。最初は姿すがたを見せない。少しずつ声だけでかたける。時にはやさしく、時にはするどく、人によって料理りょうり方法がちがうのさ。アホどもは、姿が見えない相手あいて最初さいしょ戸惑とまどうが、少しずつ自分の情報じょうほうを語りだす。そして私は、その情報の糸をじわりじわりと手繰たぐっていき、やがて全ての情報を、洗いざらいかせる。ここが大事なところさ。口封くちふうじのために相手が知られたくない秘密ひみつ隅々すみずみまでかせる。中途半端ちゅうとはんぱな仕事をしてはいけない。」


そう言ってから男はにやりと笑い、


「その後は仕上しあげさ、そいつの持っているプライドをてまで追いかけ、とことんまでたたつぶす。」


興奮こうふんしたのか、男は机を力強くたたいた。

町田さんの顔が苦しくゆがむ。


「行こう!トビオ。もう限界げんかいだよ。」


僕がそう言うと、


「コージ!俺たちはどうやってたたかうんだ?」


トビオがまたわけわかんないことを言う。


「何言ってるんだよ、こんな時に。」


力ずくで戦って町田さんを助けるしかない、僕は自分をふるい立たせ、わずかな勇気をしぼっていた。

そんな僕の気も知らないで、トビオは不敵ふてきに笑いながら、こう言った。


「俺たちは、お笑い芸人げいにんだ!だから”わらい”でたたかうんだ!」

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