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箱舟 第4話

ルシア「ねぇあなた、何、撮っているんですかぁ???」

男「・・・!」

女「!」

ルシア「ねぇねぇ?何、撮って・・・・ちょちょちょちょちょちょちょ、待って待って待って待って、どこ行くの?待て待て待て待て」

男「・・・・」

ルシア「待て待て待て待て待て待て待て!・・・待て待て待て待て!」

男「・・・・」

ルシア「どこ行くの?ほらほらほらほらほらほら、待て待て待て待て待て!」

男「・・・・はぁはぁはぁはぁ」

ルシア「は~い、捕まえたぁ」

男「・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ」

ルシア「体力ないくせに逃げるからよ・・・ミケランジェロさん?」

男「・・・はぁ・・・・はぁ・・・僕・・・を・・・・その・・・・名前で・・・呼ぶな!」

ルシア「それで、さっきの女を撮ってたのぉ?」

ミケ「・・・はぁ・・・・はぁ・・・撮るか・・・バカ!」

ルシア「まぁ、落ち着きなさいよ?」

ミケ「はぁ・・・・はぁ、それで何の用だ?サキュバス女ぁ!」

ルシア「今は廃刊となった写真投稿雑誌のパンチラ専門投稿者。あらゆる物が止まって見える特殊な才能を持ちながら、その才能を特殊な性癖にのみに開花させたエリート変態。パンチラを『この世で一番無垢な三角形トライアングル』と表現し、喝采を浴び、己の身体能力をいかんなく使い、まるで空間と時間をくり抜いたかのような写真を撮る、パンチラ盗撮を芸術まで高めた男、投稿者ネーム、ミケランジェロ。」

ミケ「どうも。自己紹介ありがとう、サキュバス女さん?」

ルシア「その実、社会不適合者の盗撮犯罪者。さっきも、そこら辺にいた女を狙っていたの?」

ミケ「だいたいカメラ、持ってないだろ?」

ルシア「あんたみたいな盗撮犯はどこにどんなカメラ、持っているか、分かったもんじゃないからね?・・・あんたの場合、カメラに残さなくても、見た記憶で抜くでしょ?」

ミケ「僕くらい高次元の変態ならば造作もない事だが、バカか?お前は?・・・だいたい昨今の女は、恥じらいが無い。見せてるものを喜んで見るバカがいるか?隠しているから見たいんだ。特に、お前みたいな歩く破廉恥女は論外だ!」

ルシア「だから童貞クソ野郎なのよ?・・・ほら、私が気持ちよくしてあげるから、ほら、ほら」

ミケ「近づくな!このド淫乱サッキュバスぅ!目が腐るわぁ!」

ルシア「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!・・・あ、そう?」

ミケ「だから触るな!・・・僕はお前なんかに用はない!」

ルシア「あのさぁ、ミケランジェロにお願いがあって来たのよ?・・・お願い聞いてくれる?聞いてくれたら私のパンツ、あげてもいいわよ?」

ミケ「お前の汚いパンツなんかいるか!核廃棄物と一緒に最終処分場予定地に埋めてくれるわ!」

ルシア「実はさぁ、男を探して欲しいの?」

ミケ「はぁ?・・・お前、ふざけているのか!どうして、僕が男なんかを、汚らわしい!男は男専門の奴に撮らせればいいだろ?」

ルシア「!」

ミケ「なんだよ?」

ルシア「あんた、たまにはまともな事、言うのね?まぁ、確かに。・・・男専門の盗撮犯か。これは盲点。あんた、やるわね!さすがミケランジェロ先生!」

ミケ「だから抱きつくな!・・・オッパイが当たるだろ!オッパイがぁ!離れろ!」

ルシア「あんたねぇ、私のオッパイはお金を生むオッパイなのよ?もう少しありがたがりなさいよ?・・・その男専門の盗撮犯、知り合い、いる?」

ミケ「・・・こういう写真は細分化されているからなぁ。僕はそっちの分野の人間じゃないし。」

ルシア「ったく。」

ミケ「なんだよ?その顔は?はぁ!・・・教えただろ?よく分からないけど超絶ヒントを!」

ルシア「いいわ。あんたにそれほど期待してないから。そっちは私が探すから。それでさ、ミケランジェロ、あんたにも探して欲しいのよ?」

ミケ「だから、僕は男は撮らない主義だって言ってんだろ?」

ルシア「それは分かっているんだけど。あんたが正真正銘の変態だって事は。・・・ちょちょちょちょちょ、ちょっとこっち来て」

ミケ「やめろ!僕を、、、僕の貞操を、お前なんかに!」

ルシア「ちょちょちょちょいいから!」

ミケ「僕は変態だが変態ではない!耳に息を吹きかけるな!僕にそんな趣味はない!」

ルシア「はぁ?何言ってんの?・・・風俗で働く女が三人、殺されたの。」

ミケ「あぁ!・・・え?」

ルシア「風俗じゃない素人売春女も含まれているけど。・・・たぶん、同じ、犯人。」

ミケ「殺人犯?」

ルシア「まだ見つかってないの。・・・あんたは別に男は撮らなくてもいい。狙われるのは女。・・・あんたがパンチラを撮っている時、もしかしたら被写体が殺される。」

ミケ「それを撮れって?」

ルシア「ご明察。・・・撮れたら、私のパンツと交換してあげる。物々交換よ?悪い話じゃないでしょ?」

ミケ「僕に何の得もないじゃないか!お前のパンツごときで釣り合う写真じゃないだろ?それに僕はパンチラ専門なんだ。裸の女に興味はない。しかも男とまぐあっている写真なんか撮りたくない。」

ルシア「でも、ミケランジェロ先生ぇ。今、聞いちゃったじゃない?殺人事件が起きているって話。・・・あんた、変態だけど、人が殺されるかもしれない写真が撮れる欲求に抗う事が出来る?別に、犯行を止めろって言っている訳じゃない。私は情報が欲しいの。どうかしら?ねぇ?ミケランジェロ?」

ミケ「・・・お前、本当の、悪魔だな?・・・ケケケケケケケケケケケケケケケケ!」

ルシア「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・・・」

ミケ「お前の汚いパンツと交換してやる!」

ルシア「・・・この三件で狙われたのは性風俗の女。裸になるのが前提の仕事だから、そこを狙って、殺している。」

ミケ「一番無防備な所を狙うなんて、最低の奴だな。でも、サキュバス、いいか?店の中とかホテルの中じゃ、写真は撮れないぞ?」

ルシア「素人売春女も殺されている。相手は女が、プロでも素人でもお構いなし。店で働いているキャストは、悪い所になると、裏にまずい組織がからんでいるから、そんな女に手を出して、下手に見つかれば、殺される。警察に捕まる前にね。そりゃそうよ、商品に手を出したんだから。・・・善良なお店だけじゃない。でも、犯人はそういうルール、分かっていないみたい。」

ミケ「分かっていたら手を出さないか。」

ルシア「そう。・・・駅の裏通りで立っている素人売春、SNSで知り合って待ち合わせしている素人売春、素人売春の方が質が悪いのよ。そういう女が殺されても、お店に所属している訳じゃないから、殺された因果関係が繋がらない。警察もそこに頭を抱えている。」

ミケ「お前、いつから正義の味方になったんだ?」

ルシア「・・・そんなんじゃないわ。ただ興味があるの。その殺人犯に。」

ミケ「お前が警察の言う事をきくタマじゃないのは分かっている。」

ルシア「死は何よりも代えがたい原罪からの解放。それを与えてくれるその犯人に興味があるの。どうやって私を殺してくれるのか?快楽と愉悦。魂の解放。あああ考えただけで脳内麻薬が溢れてくるわ!・・・それに」

ミケ「それに?」

ルシア「・・・まぁ、いいわ。それは。ミケランジェロ、あんたは、いつも通り写真を撮ってくれればいい。」

ミケ「・・・素人売春女、多めでな。」


※本作品は全編会話劇です。ご了承下さい。

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