勝利!! ?
「嘘だろ…」
ソコツは、血を口から吐いて死んでいるであろう魔族を見た。
ニンゲンのような見た目に頭に角、背丈は大人ぐらいだった。
「どうやってあの小さな山神に化けていたんだ?」
ふと横切る疑問、だが今重要なのはそれではない。
『トリカブト』の毒素アコニチン
それは、症状から見れば麻痺毒。
だが、本質は違う
アコニチンは神経毒
本来は脳の神経を狂わせ、なりふり構わず脳が体に命令するものだ。当然、体はその作用に追い付かず麻痺のような状態になる。どちらかというと混乱状態?
それでも、この魔族は動いた。そして、動きに切れが増した。
つまり、脳が狂った状態でどうにかして体を動かした?
どうやって?
てか、なんで死んだ。
毒は致死量出なかったはず。
疑問が増える。
仮説...仮説を立てよう。
ソコツは仮説を立てる。
本で読んだ知識を基にした仮説。元の世界じゃありえない仮説。
其の一、魔族の脳の作りで体の動きは半分反射、半分意思で動く。
其の二、体の動きはすべて魔族が自分の意志で動かしている。
其の三、そもそも毒は効いてなかった。
この中で一番有力なのは其の一だな。
自分の体の動き筋肉の繊維ひとつまで意識して生きている生き物なんてありえないからだ。
そして、意思で体が動かしているのなら、電気信号の強さのリミッターが外れたことで思い通りに体を動かせるが、体がその分力の下限、肉体の限界を忘れる。
その限界を忘れたまま体の身体能力を向上しようとしたらその分の酸素を運ぼうとする心臓が破裂し、結果的に死因は自滅になるわけだ。
ちなみに、其の三は論外…
「ッ!」
巨大
神社にある巨木から強大な魔力を感じる。
ソコツはある欲望にかられた。
ヒトとして当然の欲望。
純粋な欲望
―――好奇心
「気になる」
魔石かな、魔道具かな
何かなあの魔力と力の塊。
この山神もとより魔族が死んでから急激に力を帯びたけど
何かな
ソコツの知的好奇心のリッミッターが外れた。
そもそも、元オタクである有馬 龍也にとって異世界に行くことが夢物語
それがかなうだけで喜びで頭がいっぱいだあり
この法も曖昧な世界では、前の世界で行えなかった知識の探求にいそしめる。
彼はどこまでも知識を求めて進むだろう。
△△▽●▲
暗い
眠い
体から魔力が吸われる。
我が神木から
魔力が
気が
霊力が
私が神になりあがった研鑽が
力が
取られる
吸われる
辛うじて外から声が聞こえる。l
「それでも、子爵からの願いだしなハァ~」
私をここに封印した張本人
魔族
あの者どもに殺されるのか
私を封印した張本人の顔を思い浮かべる。
魔力が高く
人望が厚く
魔王の血を引くもの
「 」
だが、その魔族より多いい魔力量
神の加護?
でも、私の加護とは次元が違う。
太古の神と同等レベルの力。
見えないが直ぐ近くにいるのを感じる。
見えない重圧が押し寄せる。
「あ」
魔族の魔力が消えた。
力が戻った。
元の力の八割程度だが逃げることぐらいできるだろう。
逃げるチャンスは一度のみ
強大な魔力の塊が近づくのを感じる。
彼の者がこの神木内に侵入したとき。
逃げれる。
「神木の中か、罰が当たらないかな?」
強大の魔力の主が神木に穴をあけることで暗い風景に段々と燈が照らされる。
出口だ。
出来るだけ早く気づかれずに!
「あ?」
「今!」
がシッ
あ...封印解けてないの忘れてた。
「「 」」
山神とソコツ両者顔を合わせた。
神木の中で縄で縛られ札を張られている山神をソコツは、気まづさにただ黙っていた。
どうすりゃいいんだ?