死とその後
暗い
苦しい
何故?
龍也は頭を抱える。
が..抱える手がない
暫らくすると目が慣れてきて周りが見えるようになっていた。
それと同時に記憶も戻り始める。
そして、その曖昧な記憶も自分の目によって事実と決定される。
駅のホームには男が倒れている。
私だ。
そうか死んだのか...
私の死体に人が集まっている。
そういえばあの男はどこだ。
私を殺した張本人
死んだ今となってはもうどうでもいいがな..
「君は有馬 龍也で間違いないか」
頭に角が生えた二体の人間が、私に声をかけた。
世に言う奪精鬼、奪魂鬼、縛魄鬼の死者を迎える鬼たちだろう。
見た目は普通の男子高校生と女子高生だった。
「そうだ、さっさと天国にでも地獄にでも連れっててくれ。」
私は返事をした。
「は..いそうですか」
女の方は動揺し始めた。
私は何か失態を犯したのではないのか
私は一瞬、自分の行動を振り返ってみたが心当たりがない
慣れてないのか?
入りたての新入社員のような達振る前に龍也は動揺したが、すぐに持ち直した。
「地獄を支配する閻魔様、イザナミどうか迷える魂のため門をお開けください。」
どこからもない空間からビルほどの大きさの門が出現して馬頭、牛頭と見られる三メートルほどの高さの巨人が門がを開けた。
「龍也、ついてこい」
男の鬼人は命令口調で言った。
龍也は言われる通り門に足を踏み込んだ。
そこからは、耳が痛くなるほどの悲鳴と怒りが秘められた声が聞こえた。
「助けてくれ!」
「しね!」
それでも声の大半が笑い声で包まれている。
笑いの絶えない
ゾっとする
地面は血のように赤く、そこら中に骨が見える。
「早くしろ、お前は特例だ閻魔様に頼んで門を開けさせてもらった。」
「それはどういう」
「つまり、お前は殆どの裁判は免除で閻魔様との面会することとなった。決して無礼はするなよ」
空気が重くなった。
この気持ち
地面が揺れる
息が荒くなり、まるで上司に失望され今までの積み重ねた努力が無に帰すかどうかの狭間にいるような空気
だが慣れた
会社にいれば当然慣れる。
成績の競争、会社の昇進競争を永遠と続けていた私にはそこまで苦しくない。
後ろを見ると女の鬼は腰を抜かして固まっている。
牛頭、馬頭も同様
そこまで苦しくない
情けない
「はぁ~」
男の鬼人は、覇気を弱めてため息をした。
「おい」
怪訝そうな顔だ。
女の鬼人がすぐに意識を取り戻す。
「はい」
女はすぐに男のもとに走り一緒に道に歩き始めた。
▼▽▼○✖◆
数時間たった
それでも疲れない
不思議な気分だ
何故か分からないが、裁判が免除らしい
まあ、当然私は、地獄はないだろう
毎日勤勉に働いてボランティア活動だって行いしっかりと社会福祉のために行動している。
まさか行いが良すぎて免除
それは嬉しい
だが、転生は望むとこではない
人を構成するのは記憶と遺伝子と体験だ。転生すればその三つすべて消え失せるそれは、実質を足しとは別人だ、今の自分にとって死何ら変わりはない。
話は変わるがこの鬼人
とても容姿が整っている。
モデルに成れるといえるぐらいの美しさだ。
そして見た感じ二人は仲がよさそう
正直に言うと羨ましい
青春時代を勉学にすべて使い果たした自分にとっては、友、しかも異性の友がいるのは羨ましい限りだ。
「ここだ、もう一度言うがお前の無礼は魂の消滅と思え。」
ようやく着いたようだ。
大阪城のような立派の作りの建物だった。
何個もの門をくぐり金箔で明らかに有力者とわかる部屋に着いた。
「入っていいよ」
「決して決して無礼はよせよ、普段ならお前ごときが会えるお方ではないのだ。彼のお方は3代目閻魔様だ。」
扉を開けた向こうには青い球体があった。
正確にはあった後言うより浮いてた。
球体は中心に行くほど暗く黒かった。
意外だ。
閻魔大王はもっと勇ましいような見た目だと思ったが..
「君が、有馬 龍也かよくぞ来てくれた。」
「勿体ないお言葉感謝します。」
私は、一礼した。
礼儀は、初対面の印象を上げる簡単な方法だ。
「そうかだが、それは相手が自分の思考を読めないことが前提だろう。」
「!!」
読まれた
いや、まさか
「そのまさかだ」
少しトーンを高くしていった。
じゃあ
「そう、お前が一瞬頭の中で思った無礼な思考も読めた。」
そうか
初印象は最悪だな
とりあえず、とっとと話を聞いて天国に行けるよう交渉しよう。
「余談はここまでとして本題に入りましょう閻魔様。」
「ああ」
閻魔の顔が少し曇ったように見えた。なんか球体だと顔の表情が分かりにくく話しづらい。
「ではこれでどうかね」
青い球体は体を変形させて若いころの自分の姿に変わった。
過去の自分と話している様で気が狂うが、それを言うまでのことではない。どちらかというと上司の姿でされた方が迷惑だ。
「龍也、君を立候補したいんだがいいかね」
閻魔が話し掛けた。
立候補、何に?
いやな予感がする、しかも閻魔大王のお願いだ実質拒否権はないだろう。
「何に立候補ですか」
「えッ聞いてない?」
閻魔は男の鬼人のほうに目を向けるが直ぐ戻した。
「じゃあ、僕が説明するね、神々には義務があるんだよ」
「義務?」
「そう、所属している団体のトップに自分の世界の人間の魂を50年に一人以上寄付すること、その量で神々の順位が決まるんだ。」
じゃあ、自分がその寄付する人間になるということか
「その寄付する神とは誰でしょう」
「天照大御神だよ」
うん、なんとなくそう思ってた。
その人間はどうなるんだろう?
候補者として知りたい
「天照大御神が作った世界に転生するんだよ、しかも君は運がいい君は自分の人格を保った上での転生だよ」
それは魅力的だ。
なら今はできるだけその世界の情報を。
どうせ拒否すれば、なんやかんやで地獄行きだろう。
「どんな世界なんですか?」
「君らの言うファンタジー物の世界だよ、亡者にアニメの話を聞いて、他の神に聞いたら天照がはまってね、作ったんだよ異世界系の世界をどう行きたくなった。」
最初から選択しないだろうと思いながらも龍也は頷いた。
「それでも、出来れば最低限の生き延びる力が欲しいんですが..」
「それならあげるよ、この子と僕の力を少し」
それはありがたい、神の力が貰えるのは
ん?
この子?
閻魔は、私の道案内をしていた女の鬼人を前に出した。
はっ?
これだけは到底受け取れない。
本人もあからさまに混乱している。
だが、龍也はニコニコしている閻魔の顔を見て断るのは気を悪くすると思い
「有難く頂戴します」
有難くいただいた。
「それなら童も力をやる」
女性の声がどこからもなく聞こえた。
「イザナミ!」
閻魔が大声で驚いたようにいう
「確か今回の奉納でイザナギの候補者もいる世界だったよな、龍也といったかお前がそいつを殺せ。」
断る理由もない
それでもっと大きな力が手に入るなら別に誰を殺そうがいい
だが、殺すのは元同居人を殺すのは気が滅入る。
「童の提案を飲めぬと!」
建物が一気に揺れた。
部屋の壁や床に固定されてない物はすべて吹き飛び部屋が大惨事になった。
「違いますイザナミ様、殺すだけでは足りないでしょうその候補者が苦しむよう痛みつけた方がいいかと。」
俺の顔は多分ニヤケているだろう。
「お主気に入った童の力たっぷりやろう」
イザナミか姿を現し満面の笑みで龍也と握手し、彼女から力が伝わるのを感じた。彼女の姿は、美しく凛々しかった、美女というにふさわしい容姿であった。
「じゃあ、力を上げるのも終わったみたいだしそろそろ転生させるね」
ファンタジー系の世界とはどんな世界か聞いてない!
「じゃあね!」
「待ってください閻魔様!」
読んでいただきありがとうございます、ぜひ、また読んでください