2023年3月放送投稿作品 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#74〜#77
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
サイト投稿回数 第38回目の今回は………
2023年3月放送分の4作品
妄想【愛の劇場】#74 だるま
#75 前髪
#76 みちくさ
#77 逆上がり
2023年3月7日放送
#74 【 だるま 】
可愛らしい顔をして、いつもわたしを惑わせる。
可愛らしい姿をして、常にわたしを魅了する。
きみはいつでも身勝手で。
きみはいつでも自由だ。
きみはいつでもそばにいて。
きみはいつでもわたしの事を気に掛けてくれる。
あっという間に時は過ぎる。
出会った時からわたしの心を捉えて(とらえて)離さないきみは、あの頃以上に愛らしい。
昔も今も、きみと一緒にいると感情が空回りして、手も足も出なくなる。
きみの存在に癒やされて。
きみの存在に愛を捧げよう。
これからも、ずっと。ずっと。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2023年3月14日放送
#75 【 前髪 】
すやすや寝てる、ボクのパパ。
いつも不思議に思ってた。
ボクのパパには、前髪がない。
みんなのパパには、前髪があるのにね。
そうだ、ボクが魔法をかけてあげるよ。
キュルキュルキュルル、キュラキョルラ!
キュラキュラキュルラ、キュルキュリラ!
魔法の筆をふわふわ揺らしたら、ほらね、じょうずに魔法をかけられたでしょ?
すやすや寝てた、ボクのパパ。
大きな体をおこして、ぐうーっとひとつ背伸びをした。
パパはボクを見て、にっこり笑う。
ボクもパパを見て、にっこり笑う。
パパに嬉しいことが起こるよ。
パパは不思議そうな顔をした。
顔を洗いに動いたパパ。
洗面台の鏡を見たら、どんなに喜んでくれるだろ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2023年3月21日放送
#76 【 みちくさ 】
ランタンタララン、ランタララン。
何ともなしに口ずさむ、ランタンタララン。
青く広がる空を見ては、ランタンタララン、ランタララン。
空を飛ぶ鳥を見ては、ランタンタララン、ランタララン。
手をつなぐボクを見ながら、ランタンタララン、ランタララン。
お天気がいいから買い物に行こうと、ボクの手をとる。
晴れた空の下を歩かないなんて、もったいない!
キミはいつもそう言って、着の身着のままボクを連れ出す。
スーパーへ行くには右に曲がるのに、なぜか左に曲がるキミ。
コンビニへ行くには左に曲がるのに、なぜか真っ直ぐ進むキミ。
ランタンタララン、ランタララン。
ランタンタララン、ランタララン。
キミは歌を口ずさみながら、ボクの手をいつまでも離さない。
なかなか終わらないキミとの買い物。
いつまでも離れない、ボクたちの手。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2023年3月28日放送
#77 【 逆上がり 】
「うまくいかないものなのよね」
「だからやめられないのかしら」
彼女はうつむき加減に、コーヒーカップの縁を右手の親指でこすりながら、ボソリと呟いた。
突然のメールで呼び出され何事かと思えば、好きな男の気持が分からないと、延々(えんえん)とグチをこぼしている。
わたしが聞かされるのは、毎回同じ話。
彼女の男のグチ。
わたしにはノロケにしか聞こえないのだが、彼女にとっては男のグチ。
「彼にちゃんと話をすればいいだろう。本当にわたしが好きかどうか」
彼女は顔を上げ、わたしと視線を合わせる。
「一緒にいることが男の愛情だと話していたのは、あなたでしょ?」
そうだよ。だから、わたしはきみのそばにいるじゃないか。
そんな言葉を飲み込んで、わたしは彼女の次の言葉を待つ。
「好きだなんて言われたことはないけれど、会いたいと言えば会ってくれるわ」
でも、男の心が分からない。彼女は言葉を続ける。
「逆上がりって、子供の頃に学校の体育の授業でやったでしょう?あれって、成功体験を経験する意味もあるんだって」
「何の話?」
「子供って体が軽いから、練習しなくてもコツさえ掴めば、簡単に逆上がりができるんだって」
彼女は再びうつむき加減になりながら、コーヒーカップの縁を右手の人差し指で円を描くようになぞる。
「恋も勢いだけで簡単に成功体験ができたら、こんなに不安にならないのにね」
「きみは簡単に恋をしたいの?」
目線だけをわたしに向ける。
「簡単じゃないから、不安も幸せも感じるのかしら……」
きみは口元だけで微笑んだ。
そうだよ。恋は簡単じゃないから、わたしはいつでもきみの呼び出しに応えるし、その度に、きみの男に嫉妬するのだ。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。
妄想【愛の劇場】#78「花束」
#79「絆創膏」
#80「浮き輪」
#81「綿菓子」