解析をする錬金術師①
「見つけたか」
「たぶん!」
白部に浄化をお願いし、敵対するアンデッドが完全に消え去り完全に浄化された旧ハイランド王城。とその周辺。
今もなお白部の魔力による影響が残っており、下位や中位のアンデッドも近寄ってこれない聖域と化していた。
これで安心して調査ができるようになった。
勇者召喚の魔法陣が隠されているはずのこの城、栞とセーナとオレが別々に分かれて一部屋ずつ確認して回っていった。
アンデッド達が集めていたのだろうか、それとも元々あったものが残されていただけなのか、宝物庫から大量のお金や宝類が発見されたりもした。200年モノが多いが、宝石や貴金属類が無造作に積み上がっていた。
それにスケルトン以外の魔物は素材が獲れるものが多い。デュラハンやリビングアーマー、タナトスの怨念の中身の骨などは鍛冶師が涎を垂らして泣いて喜ぶ最高品質のオンパレードである。こういった素材の分配も考えなければならない。
これらは協力してくれた獣族や、聖騎士達、赤角族達に分配することにした。
ミリアとセリアさん、それとアラドバル殿下がそれらを仕切ってくれている。
「こちらは必要ない。ただまた同じような戦がある場合は呼んでくれ」
そう言うのはエルフ達。家族からそういった物は受け取れないと言うお義父さんに、他のエルフ達も頷いた結果だ。バシバシ背中や肩を叩かれた。痛い。
あらかた強いアンデッドを倒したといってそれぞれの武勇伝を語る宴会を朝までしたあと帰っていった。
アラドバル殿下も帰したいが、なんだかんだで大人数の指揮をとるのに慣れているから頼ってしまっている。
この人への報酬は剣だ。全部終わったらオレが専用の魔法剣を打つと約束したから張り切ってくれている。
ちゃんと人数確認して帰らせたよ? 一人でも野放しにしたら何をするか分かったもんじゃない。野放しになった一人は国を作ったくらいだし。
あとイドも帰した。イアンナの面倒があるからね。何かあったら呼ばないと拗ねるので、慎重にお願いして帰ってもらいました。
あらかた部屋を確認したので、再び集合。
そうすると、一か所だけ開かない扉を栞が見つけていたのでそこにみんなで移動することに。
オレと栞とエイミー、それと興味を持ったアラドバル殿。護衛にイリーナとジェシカだ。
「地下か、魔法的なカギがかかっているのかな?」
「そうっぽいんだよね。開けられないことも無いけど、なんかあったら怖いから一応ね」
そう言って栞に連れてこられたのは武器庫兼倉庫となっていた地下の一室だ。
ちなみに独房は騎士団の詰め所側にある。まあ城に犯罪者は普通置かないわな。
「ふうむ、壁にしか見えないな」
「そうっすね。まあ栞様が言うんなら間違いないんでしょうっすけど」
そう言いながら、二人がペタペタ壁を触っている。不用心な。
『ゴゴゴゴゴゴゴゴ……』
「「「 あ 」」」
開いた。
「開いたな」
「開いたっす! お手柄っすか?」
「二人ともストップ、一応罠とか調べないと」
「了解した」
「うっす」
そんな二人と入れ違いに栞が扉の前に立つ。
「あー、これ魔法がかかってたね。この部分に魔核がハマってるんじゃないかな?」
「どれどれ」
石材の一部が取れるようだ。外してみると栞の言う通り魔核が中にセットされている。
軽く≪解析≫をかけてみると、案の定扉の開閉装置のようだ。
ある血族がこの壁にしか見えない隠し扉に触れると、その人間から微量の魔力を吸収して扉の開閉を行うタイプの仕組みだな。魔核自体の魔法陣が自動的に魔力を吸収するタイプだから魔核に魔力が入ってなくても作動する仕組みのようだ。
結構考えられてるな。貰っておこう。
「なるほど。血に反応するタイプか」
「血?」
「そ、王族とか旧ハイランド王国の一部の貴族にしか開けられない様になっていたんじゃないかな」
「そういう事か。シルドニア王家にはハイランドの血が入っているからそれに反応したのかもしれんな」
ハーフエルフであるアラドバル殿下は、今の世代から見ても血が結構濃いはずだ。
それかジェシカが王族の血を引いてるとか?
「ん? どうしたっすか?」
「なんでもない」
この奴隷が王族の血を引いているとか、どんな三文小説だ。無さそう。
「まあおかげで開いたのだ、一緒に来た甲斐があったというものだな!」
「そうですね。助かりました」
栞とオレなら開けられたけど、なんかご機嫌になってくれたから言うのはよそう。
栞も苦笑いしてるし。
「旦那様方なら開けられたっすよね?」
「言うなよジェシカ」
空気が読めない奴隷がいたもんだ。
「ジェシカ、カンテラ渡すから栞と一緒に前に」
「了解っす」
一応罠を警戒したいから栞の両手は空けておきたいので、ジェシカに光を灯す魔道具を渡す。
ちょっと手狭だけど、オレも魔法の杖を装備だ。
通路を進みながら壁や天井に光属性に位置する照明の魔法を撃っていく。
「もう少し均等に張れないのか?」
「ふふ」
殿下のお小言にエイミーが小さく笑う。エイミーも同じことを考えていたようだ。
「結構深いね。この階段」
「当時の王族だか貴族は健脚だったのかなぁ。掘るのも大変だっただろうに」
「掘ったのは、魔法でじゃないかな?」
エイミーが正解っぽい。入り口の直後は石積みの壁だったけど、途中から単純に壁が石と砂になってるから。
らせん状になっているのか、緩やかなカーブになっている。栞が横に隠し扉とかがないかを慎重に調べながら進んでいるからオレ達の歩みもそこまで早くないし。
空気穴とかあるのか? ちょっと怖いな。
「終点っぽいよ」
栞が階段の終わりを見つける。
その先は広間になっており、その先に簡素な朽ちた扉が見える。
「栞」
「ほいほい、あんま動き回らないでね。みっちー、灯りもっと欲しい」
栞の言葉に頷き、天井や壁に照明の魔法を適当に放ってくっつける。
今までの階段と同様に、壁は土や石、砂などが入り混じった剥き身の壁。
天井は石か岩か。何か加工されているように見受けられ、壁沿いに柱が点在している。
崩落を防ぐためのものだろうか?
「ふうむ。専用の脱出経路だろうか?」
「ああ、お城ならそういうのもありそうだね」
アラドバル殿下の疑問にオレも同意する。
「室内に問題はなさそう。扉いっとく? 罠ないよ」
「了解」
栞が扉の前に立ち、ドアノブも地面に落ちてしまっているので、手前に崩すように木の扉を倒しながら下がる。
内側に何があるかわからないから、目に見えるこちらに倒したのだ。
ジェシカからカンテラを受け取り、腰の剣に手をかけながら慎重に栞がその扉のあった位置から中を覗き込む。
灯りを左右に振って、中を確認した後にこちらを振り向いた。
「みっけたよ。地面に何か書いてあるっぽい」
栞の言葉にオレは目を見開いた。
そして栞が頷いたので、オレも栞に続いてその扉を踏みつけて室内に入った。




