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邪神に仕える大司教、善行を繰り返す  作者: 逸れの二時
山脈での躍進
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討伐依頼

 一階に戻ると受付の人が頭を下げてくれるが、俺たちは軽く会釈をしつつも掲示板の前を陣取った。他にもう一人掲示板を眺めている人もいたが、俺に気付くと去って行った。俺が邪神の神官だと知ってるヤツかもしれない。でもいいもん。掲示板を二人占めできるもん。


 ノエラと相談しながら仕事の張り紙を探っていると、気になる張り紙を見つけた。内容はこうだ。俺たちがダロイに来たときに草原で襲われた狼らしき生物、キリンロボの討伐だ。依頼人は北の村の村長のようで、畑が被害に遭っているから困っているという至ってシンプルなものだ。


 北と言えば、ブルブドゥキン山脈があったところ。その山の一部からキリンロボたちが流れてきて作物を奪っていっているのだろう。


 ノエラもきちんと自衛できるのは先の戦いでわかっているので、俺たちはその仕事を受けることにした。受付に張り紙を持っていくと、メダルの確認と署名の手続きをして、無事受理される。仕事の期間は五日間と長めで、移動を込みにしても問題はなさそうだ。


 近くの高台から見て山脈もそう遠くないところにあったので、恐らく半日もあれば村に辿り着くだろう。ただ、念のため貴族街の雑貨屋に行ってキャンプセットを買っておくことにした。


 雑貨屋と言えば、あの青いブローチと緑のドレスを身にまとった人を思い出すが、今日店に入るとその店員さんはいなかった。代わりに別の男性店員さんがカウンターで控えている。俺とノエラは早めに村についておきたかったので、割と値段は張るが使い勝手がよさそうなセットを購入した。


 男性店員さんもかなり丁寧な対応だったが、それ故に荷物を荷車まで運ぶとか言われてちょっと焦った。この世界のキャンプセットは簡略化されていなくて骨組み等が結構重く、大きさもそれなりにあるので気を遣ってくれたのだろうが、【闇の領域(ブラックホール)】があるから心配もないし、そもそも荷車なんてないのである。


 何とか適当に理由をつけて、ノエラとさらにアンヘルにも協力してもらって騒ぎは回避した。アンヘルが持つと他の人には荷物が浮いているように見えるだろうが、それで大きな荷物を持てる何らかの四力の力があると思ってくれたようだ。


 そんなことがありながらも買い物を済ませて街を出ると、涼しい空気の草原が広がる。昨日の雨の余波で、周りの草がいくらか湿っていたりもするが、なんてことはない。


 ブルブドゥキン山脈の右端の山、マタンカード山のふもとを目指して俺たちは歩き出した。マタンカード山は山脈の中でも一番高い山で、その山の裾に今回の仕事をよこしてくれたサパナンの村がある。


 そこまで目算で半日だと思ったが、意外と道中に小さな丘が連なっていて、少し進み辛い。視界もあまりよくなく、岡下もしくは岡上から魔物に襲われてもおかしくないので、俺は【闇の感知(ダークセンス)】を使いながら危険を避けていった。


 バボイラモやイボンなど食用肉の魔物もいたし、他にも小さい人型の魔物もいた。ただ、どっちかというとサルに近い見た目で、知能はあまり高くなさそうな感じ。最初に見た個体は何が楽しいのか、木の棒を振り回して遊んでいるように見えた。


 俺はあまりお近づきになりたくなかったので、視界に入らないように迂回して進んだ。山の上には来なさそうな魔物たちは完全にスルーすることにノエラと相談して決めていたので、かなり順調なペースで村に向かっている。


 そしてそんなに時間もかからずにマタンカード山に着いたのだが、ここから少し登山をする必要がある。サパナンの村は農村らしいのだが、木の実が主食のこの地域の関係上、ある程度高い位置の方が作物が取りやすいのだとか。


 ノエラのいたウナンベセスの村にも木の実を栽培している場所があったが、あれは魔術で融通を効かせているとのこと。紋章に主食のマガマニのことを聞けば、その情報が頭の中に浮かんできた。


 魔術は主に生活に役立っている印象だが、いつか魔術師にも会ってみたい気もする。ノエラの家が有名な魔力家だから、ほとぼりが冷めるまでは魔力家の人たちとはあまり関わらない方がいいんだろうけどな。

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