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アールスローン戦記8

【 国防軍総司令本部 総司令官室 】


アースが言う

「万が一にでも このデモの制圧に マシーナリーが投入されるような事があれば 我々国防軍は 政府や警察への承認なしに 部隊を起用する …と、私から カルメス長官へ伝えたとしても 彼はマシーナリーの投入を止めるような事はしないでしょう …むしろ デモへ対してではなく 我々国防軍の駐屯地にでも投下されそうだ」

アースが振り返った先 ミックワイヤーが言う

「しかしっ そうでもしなければ 今警察本部前のデモに参加している国民は…っ いえ、その他の国民にも 被害が及んでしまいますっ ハブロス総司令官っ どうかお願いします!あのサーカス会場で マシーナリーを止めた 国防軍レギスト機動部隊を すぐにデモが行われている場所へ配備して下さいっ!」

アースが苦笑して言う

「貴方の様に 政府の長官へ反旗出来る方が 政府警察の長であったった事は とても嬉しい事でした が …もっと早くに お会いしておくべきでしたね 先ほど公式発表にて 貴方の解任を知らせる通知が出されました もちろん その通知はメルフェス・ラドム・カルメス長官からのものです」

ミックワイヤーが一瞬呆気に取られた後 顔を左右に振って言う

「その通知が出される以前に 私は貴方へ協力を要請しました 貴方は警察長であった私が解任される以前に受けた依頼として 対マシーナリー用に レギスト機動部隊を配備する事が出来る筈ですっ どうか お願いしますっ 今 このアールスローンの国民を守れるのは 国防軍を動かせる 貴方だけです!」

アースが考える


【 国防軍レギスト駐屯地 】


サイレンが鳴る スピーカーからアナウンスが流れる

『緊急指令 緊急指令 国防軍17部隊 直ちに 戦闘装備を行い 車両収納所へ集合せよ 繰り返す 緊急指令 緊急指令 国防軍17部隊 直ちに 戦闘装備を行い 車両収納所へ集合せよ』

各訓練所に居る隊員たちが顔を上げ 仲間内で顔を見合わせる ハイケルが振り返り歩き出す


【 国防軍レギスト駐屯地 バックスの職務室 】


バックスが言う

「15時54分 総司令官より指令を受けた 現在尚も行われている 政府警察本部前の国民によるデモンストレーションへ対し 政府はこの沈静に 武力を用いる事を容認 これにより 政府警察機動部隊は その武力の一部として マシーナリーを起用した」

ハイケルが視線を細め身を翻し出口へ向かおうとする バッカスが言う

「待て ハイケル少佐」

ハイケルが言う

「時間が惜しい それ以上何かあるのなら 無線で知らせてくれ」

バックスが言う

「マシーナリーの起用は確認されたが 現在政府警察本部前にその姿は見られない」

ハイケルが立ち止まり顔を向ける バックスが言う

「しかし、マシーナリーが起用された事は確かだ よって ハイケル少佐 君は隊員たちと共に 即座に現場へ向かえる様待機していろ 場所が確定され次第 無線で知らせる」

ハイケルが向き直って言う

「了解」

ハイケルが敬礼をしてから立ち去る バックスが微笑する アルバートが苦笑して言う

「どちらが上官か 分からんな?」

バックスが苦笑して言う

「敬礼をしてくれる分だけ まだマシだろう エルム少佐の時など…」

アルバートが笑う バックスが苦笑する


【 通路 】


ハイケルが歩きながら無線イヤホンを付けて言う

「準備はどうなっている?」

イヤホンに隊員Bの声が届く

『第1車両の皆は 準備完了でありますー 少佐ぁー!』

隊員Fの声が届く

『第2車両の方も 準備は整っています!』

ハイケルが言う

「第1車両共に第2車両 了解だ 目的地は変更となる可能性が生じた 全隊員 現状のまま待機しろ」

ハイケルが去って行く


【 カルメス邸 】


車が到着し ドアが開けられ メルフェスが降りる 使用人たちが礼をする中 メルフェスが屋敷へ入って行く


庭に居たマリの下に メイドが走って来て 小声で焦って言う

「奥様っ 旦那様が お戻りになりましたっ」

マリがハッと立ち上がる メイドがマリの持つジョウロを取り言う

「まだ 御着きになったばかりですので 今の内にっ」

マリが頷いて言う

「はいっ ありがとうございますっ」

マリが急いで屋敷へ向かう


リビングルーム


用心棒たちが室内に居る メルフェスがソファに座っていて携帯に言う

「マシーナリーの起用は 確認されているのだろう?何故 デモの行われている政府警察本部前に 現れていない?」

メルフェスが視線を向ける TVにデモ映像が映し出されている 後方でドアが開き マリが入る メルフェスが言う

「保管場所から移動させられた程度では 起動したとは言い切れないだろうっ 愚か者が!すぐに確認をしろっ!」

メルフェスが携帯を切り 苛立たしげに息を吐く マリが表情を落とし TVモニターを見る


【 元政府収容施設 地下3階 】


レステスが入って来て言う

「隊長っ!」

コートハルドが顔に怪我を負いつつ微笑する レステスが呆気に取られる 警機隊員たちが振り返り微笑して言う

「すみません レステス隊長 御命令を待てずに」

周囲にメルフェスの用心棒たちが倒れている レステスが微笑する コートハルドの手械が外され コートハルドが言う

「マシーナリーの使用命令が出されるまでは 長官の指示に従う作戦だったというのに …作戦無視は 減給処分だぞ?」

警機隊員たちが笑う レステスが言う

「いえっ 自分は 彼らの行動を 容認しますっ」

コートハルドが言う

「そうか 既に私は お前たちへ処分を与えられる立場に無かったな 皆 肝要なレステス新隊長へ感謝しろ?」

警機隊員たちが微笑する 新たな警機隊員がやって来て言う

「隊長っ!準備が整いました!」

警機隊員たちがコートハルドへ向く レステスが警機隊長へ銃を渡して言う

「行きましょう 隊長っ」

コートハルドが銃を受け取って言う

「よし …政府警察機動部隊 作戦を続行する!」

警機隊員たちが敬礼する


【 マスターの店 】


店のドアに準備中の札が掛けられている


マスターがPCを操作しながら言う

「レギストに緊急指令が出されているのに 出動場所が定められていない… 警機にもマシーナリーの起用命令が出されているのに 今の所その騒ぎは起きていない… レギストの方はマシーナリーの出現に 備えてるって事か …なら 起用された そのマシーナリーの現在地を探ってやったら…!」

マスターがキーボードの操作を止めて言う

「…と、政府のデータベースには アクセスしないって約束だったな 仕方がない こういう時は…」

マスターがキーボードを操作する


【 国防軍総司令部 総司令官室 】


TVがデモ映像を映している アースが言う

「マシーナリーが起用されたとあれば すぐにこの場所へ現れると思っていましたが… マシーナリーの起用は 即現場投下ではないのですか?」

警察長がアースを見て言う

「ええ、今まではそうでした 長官からマシーナリーの使用命令が出されれば 政府警察機動部隊の保管場所から その場所へ移動され 現地にて起動を行います 起用したと言われるのは 少なくとも マシーナリーの移動が 終了している状態を示します」

アースがTVを見て言う

「では マシーナリーは既に この場所にある と言う事に… うん?」

アースが気付いて 警察長へ向いて言う

「ミックワイヤー殿 マシーナリーの移動作業は やはり警機の者が担当するのでしょうか?」

警察長が呆気に取られて言う

「え?…ええ、それは もちろん」

アースが言う

「では、現状 マシーナリーの運用は 警機の隊長へ委ねられていると言う事ですね?」

警察長が言う

「それは そうですが… 警察長不在の現状では 彼らは カルメス長官の直属の部下と 言っても間違いではない状態です 逆らえば 私と同じく」

アースが言う

「ええ、その長官の部下であった 貴方と同じく 現状の彼らにも 選べる道があると言う事です」

警察長が言う

「まさか…っ 私は 攻長閣下と国防軍の貴方方のお陰で 命拾いをしましたが 彼らに 助かる道はありませんっ 彼らも その事は重々分かっていると!」

アースが言う

「その貴方も まさか 攻長閣下や我々が 貴方を助けるなどとは 思って居られなかったのでしょう?」

警察長が言う

「それは 勿論ですが… 元より 私はっ 彼らをっ」

アースが微笑して言う

「当然 力を貸しますよ」

警察長が驚く アースが言う

「長く求められていた 陛下の剣と盾が 共に力を合わせられる… これは そのチャンスです」

アースが電話の受話器を取る


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


マイクが受話器に慌てて言う

「は、はいっ!勿論です!ご許可さえ頂ければっ!」

受話器からアースの声がする

『では 所在が分かり次第 起動の確認は無くとも レギストをそちらへと向かわせろ』

マイクが言う

「了解っ!」

マイクが受話器を置き キーボード操作を行う


【 マスターの店 】


PCモニターに反応が起き マスターが言う

「お?やっと調べ始めたな?」

マスターがコーヒーを置いて モニターを眺めながら言う

「うーん 違うなぁ そこからだと 遠回りなんだよ マイク君 …いやぁ そっちでも ちょっとね~?…う~ん、そのぉ…」


【 カルメス邸 】


メルフェスが携帯を見て 視線を細めて言う言う

「政府警察機動部隊との連絡が また通じなく… 奴らめ何を企んで… まさか?」

メルフェスが携帯を操作して耳に当てる


【 元政府収容施設 地下3階 】


携帯が床に転がって着信している メルフェスの用心棒が両手を手錠された状態で顔を向ける


【 カルメス邸 】


メルフェスが表情を顰め携帯を切ろうとした瞬間 携帯が着信しメルフェスが慌てて言う

「警機の元隊長は どうなっているっ!?」

メルフェスが驚いた後怒って叫ぶ

「おのれっ!この無能どもがっ!」

メルフェスが携帯を投げ付ける 窓ガラスが盛大に割れる マリが強く目を瞑り怯えている メルフェスが立ち上がって言う

「これ以上 奴ら政府警察は使えん!準備をしろ 奴らは ここへ攻め込んで来るぞ!」

メルフェスの用心棒たちが言う

「直ちに」

メルフェスと用心棒たちがリビングルームを出て行く マリが怯えてしゃがみ込んでいる メイドがマリに寄り添う


【 マスターの店 】


マスターがPCモニターを見て驚く TVの映像が切り替わり キャスターが言う

『こちらのデモに関連し たった今 政府より 新たな情報が入りました!政府の各重役を始めラミリツ・エーメレス・攻長閣下のご判断の下 メルフェス・ラドム・カルメス長官を 政府長長官並びに皇居宗主の任から 解任 共に アールスローン国への危険物の持込み 及び 独断使用 並びに 特権乱用の容疑で 逮捕状が…!』

マスターが驚いてTVを見てから 苦笑して言う

「これなら… マシーナリーは移動させられただけで もう、起動させられる心配も 無いだろう …うん、どうやら レギストは 備え損だったみたいだな?っははは…」


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


マイクが呆気に取られている 無線にハイケルの声が届く

『どうした?マイク少佐 マシーナリーの現在地が 判明したのではなかったのか?』

マイクが言う

「あ… は、はい… そう… なんですが~…」


【 レギスト車内 】


隊員Bが言う

「えー?つまりそれってー」

隊員Cが言う

「俺たち… 備え損?」

隊員たちがハイケルを見る ハイケルが軽く息を吐く 隊員Aが苦笑して言う

「まぁまぁ… 街中で マシーナリーが暴れる事が無かったんだから 良かった って 事だろ?」

隊員Cが苦笑して言う

「ま、そう言う事だな?」

隊員Bが言う

「んー… でもなんかー 詰まんないのー」

隊員Aが言う

「こら バイちゃんっ」

隊員Bが言う

「えー?だってー… ねー?少佐ぁー?」

ハイケルが視線をそらして言う

「…そうだな」

隊員B以外が衝撃を受けて言う

「しょ、少佐ぁー!?」

ハイケルが間を置いて言う

「…冗談だ」

隊員たちが衝撃を受け 隊員Aが言う

「い、いや…っ 何だか 今のは そんな風に聞えなかった 様な…?」

隊員Bが言う

「でー?これで 俺たち 解散でありますかー?少佐ぁー?」

ハイケルが言う

「先に事態を把握しようとも 総司令官からの 改めての指令があるまでは 待機だ」

隊員Bが言う

「了解でありまーす」

隊員たちが肩の力を抜く


【 カルメス邸 外 】


外周を警機が囲って居て 拡声器で言う

『メルフェス・ラドム・カルメスへ告ぐ アールスローン国への危険物の持込み 及び 独断使用 並びに 特権乱用の容疑で お前を逮捕する!大人しく投降せよ!繰り返す メルフェス・ラドム・カルメスへ告ぐ アールスローン国への危険物の持込み 及び 独断使用 並びに 特権乱用の容疑で お前を逮捕する!大人しく投降せよ!』

警機隊員がコートハルドへ向いて言う

「奴は 出て来ますかね?」

コートハルドが言う

「例え出て来ようとも 大人しくは出て来ないだろう 総員防御体勢を崩すな」

警機隊員たちが言う

「了解っ」

警機隊員たちが盾を構える


【 レギスト車内 】


隊員Aが携帯でTV映像を出している 隊員たちが覗き込んでいる ハイケルだけが覗き込まず音だけを聞いている レポーターの声が聞える

『メルフェス・ラドム・カルメス元長官への 逮捕状が出されて間もなく!私どもは こちらへ到着いたしましたが 既に カルメス元長官の屋敷の周りには 政府警察機動部隊による 完全包囲がなされています!尚 私どもが確認した範囲で 政府警察機動部隊からは2度に渡る 呼びかけが行われていますが 今の所 カルメス元長官は その姿を表す気配はありません!』

隊員Cが言う

「このまま警機の 気の長い説得が終わるまで 俺たち 待機だったりして?」

隊員たちがハイケルを見る ハイケルが視線をそらす 隊員たちが衝撃を受け 俯き言う

「…そうなんだ」

隊員たちが息を吐く


【 カルメス邸 外 】


コートハルドが立ち上がって言う

「突入するぞ」

警機隊員が驚いて言う

「えっ!?」

コートハルドが言う

「これ以上説得を行っても 恐らく意味が無い それ所か 逆に何らかの手を打たれると言う可能性もある 突入準備を」

警機隊員が言う

「了解っ」


【 カルメス邸 邸内 】


メルフェスが笑んで言う

「フッ… 説得など止めて さっさと入ってくれば良いものを… やはり 奴らは使えん …難なら こちらから襲いに行ってくれようか?…くっくっく」

メルフェスの用心棒たちが笑う マリが怯えつつ部屋の片隅に居る


【 マスターの店 】


マスターが焦ってキーボードを操作している TVに映像が映っている マスターがTV映像を垣間見て言う

「頼むぜ…?もう少し… もう少し 待っていてくれっ」


【 カルメス邸 】


コートハルドが言う

「政府警察機動部隊 突入っ!」

カルメス邸の玄関が爆破される


【 レギスト車内 】


隊員たちが反応して言う

「おおっ!」


【 マスターの店 】


TVからキャスターが言う

『たった今っ!カルメス容疑者の屋敷へ!政府警察機動部隊が突入致しましたっ!』

マスターがTVを垣間見て キーボードを操作しながら言う

「くぅ~っ こんな時に限って 警機が迅速な行動をっ!」

マスターがキーボードの操作を急ぐ


【 カルメス邸 】


メルフェスが笑んで言う

「さぁ ショータイムだ マシーナリーの力 その身を持って味わうが良い!」


玄関付近


警機隊員が言う

「あっ あれはっ!」

コートハルドが言う

「…クッ 仕方ない 全隊員 一時 退避っ!」

警機隊員たちが退避する 通路に点在するキラーマシーンが一斉に射撃を開始する


【 レギスト車内 】


隊員たちが反応して言う

「あれはっ!」

隊員Aの携帯TVからレポーターの声がする

『あっ!あれはっ!政府警察機動部隊が突入した カルメス容疑者の屋敷から 小型のマシーナリーが!』

隊員Bが振り返って言う

「少佐ぁー!俺たちの出番でありますー!」

隊員たちがハイケルを見る ハイケルが言う

「待機だ」

隊員Bが言う

「えー?」

ハイケルが言う

「出動命令は まだ出されていない」

隊員たちが顔を見合わせる ハイケルがイヤホンに意識を向ける


【 カルメス邸 】


コートハルドが言う

「キラーマシーン撃退装置を起動させろ!」

警機隊員たちがキラーマシーン撃退装置を構えスイッチを入れる キラーマシーン撃退装置から固有周波数が流れる 警機隊員たちへ向かって来ていたキラーマシーンが動きを止める コートハルドが言う

「今だっ!爆破部隊っ!」

警機爆破部隊がキラーマシーン一体一体に時限爆弾を取り付ける 警機爆破隊員たちが退避し言う

「爆破っ!」

警機爆破部隊隊員がスイッチを押すと 爆発が起き キラーマシーンが大破する コートハルドが頷いて言う

「よしっ 爆破部隊 キラーマシーン撃退装置を所持し 機動部隊に続け!機動部隊 再突入っ!」


【 レギスト車内 】


隊員たちが言う

「おおっ!なんだありゃっ!?」

隊員Aの携帯TVからレポーターの声が響く

『なんとっ!政府警察機動部隊が 小型のマシーナリーを撃破しました!そして 今再び 隊員たちが なにやら 装置を所持して 突入していきます!』

隊員が言う

「警機も割とやるじゃねーか!」

ハイケルが隊員たちから視線をそらし考える


【 カルメス邸 】


メルフェスが視線を細めて言う

「あんな機械を作っていたのか… くっ 勝手な真似をっ」

屋敷内で爆発が起きる メルフェスが視線を向ける メルフェスの用心棒たちが顔を見合わせた後 メルフェスへ言う

「メルフェス様 我々も」

メルフェスが言う

「ああ こちらも装置の起動も忘れるな?」

メルフェスの用心棒たちが微笑して言う

「はい!」

メルフェスの用心棒たちが首にネックセンサーを付ける メルフェスが言う

「私は 対人マシーナリーの起動を行う その装置をつけている間は 対人マシーナリーも お前たちへ攻撃は行わない 今度こそ 我々の 完全勝利だ」

メルフェスの用心棒たちが頷き 拳銃を持って部屋を出て行く メルフェスが部屋を出て行く マリが部屋の片隅でうずくまる


【 マスターの店 】


マスターがモニターを見て驚いて言う

「やっぱりだっ!カルメスの屋敷には 対人マシーナリーが配備されているっ!」

マスターが電話へ向かい 受話器を取る


【 レギスト車内 】


隊員たちが携帯TVを見つめている ハイケルの携帯が鳴り ハイケルが反応し携帯を取り出して言う

「何だ こちらは現在」

隊員たちがハイケルを見る ハイケルが言う

「…了解 そちらは総司令官へ伝える」

ハイケルが携帯を切り イヤホンを押さえて言う

『マイク少佐 聞えるか』


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


マイクが驚いて言う

「え!?カルメス邸に 対人マシーナリーがっ!?」

無線からハイケルの声が届く

『マーガレット中佐からの連絡だ 信用は置ける 総司令官へは 私から知らせる そちらは 我々のサポート準備を行え』

マイクがキーボードを操作して言う

「りょ、了解っ!」


【 カルメス邸 】


警機機動部隊が屋敷内で銃撃戦を行っている メルフェスの用心棒たちが目配せを行い 同時に退避する 警機隊員たちが目配せを行い 追いかけて行くと キラーマシーンが現れる 警機隊員たちがハッとして言う

「爆破部隊っ!」

爆破部隊が来て キラーマシーン撃退装置を起動させる メルフェスの用心棒たちが姿を現し銃撃を行う 爆破隊員たちが被弾して言う

「うっ!」

警機隊員たちが慌てて銃撃を行う メルフェスの用心棒たちが物陰に隠れつつ攻撃する 警機隊員が負傷した爆破部隊員を物陰へ連れ込み 代わりにキラーマシーン撃退装置へ視線を向ける メルフェスの用心棒の1人の携帯が鳴る メルフェスの用心棒の1人が携帯に出る メルフェスの声がする

『対人マシーナリーの起動が完了した お前たちは下がれ』

メルフェスの用心棒の1人が言う

「はい」

メルフェスの用心棒たちが顔を見合わせ頷き合って退避する 警機隊員がキラーマシーン撃退装置を起動させる 爆破部隊が作業を行う 爆発音が轟く


【 街中 】


レギスト車両がサイレンを鳴らしながら走り抜ける


【 レギスト車内 】


隊員Bが笑んで言う

「今度こそ 俺たちの出番ー!ですよね!?少佐ぁー!」

隊員たちが笑んでハイケルを見る ハイケルが言う

「待機だ」

隊員たちが衝撃を受けて言う

「「「えっ!?」」」

ハイケルが言う

「出動命令は まだ出されていない」

隊員Aが慌てて言う

「ま、まだ出されていないってっ!?」

隊員Cが慌てて言う

「俺たち 出動してますがっ!?」

ハイケルが言う

「現場へ向け 車を出せと言った覚えは無い」

隊員たちが衝撃を受ける 隊員Bが言う

「えー?それじゃ ただ駐屯地を出ただけーって事でありますかー?少佐ぁー?」

ハイケルが言う

「車両の無断使用 及び 緊急サイレンの使用に対する 厳重注意を受ける可能性はある」

隊員AがCと顔を見合わせた後 隊員Aが言う

「はぁ…?」

車両が止まる 隊員Cが外を見て言う

「…現場へ 到着しましたが …少佐?」

隊員たちがハイケルを見る ハイケルが言う

「停車しただけだ」

隊員たちが呆れの汗を掻く


【 カルメス邸 】


警機隊員がキラーマシーン撃退装置を起動させる 重い足音が響く 警機隊員が焦って言う

「駄目だっ!やはり キラーマシーン用の装置ではっ!」

コートハルドが言う

「止むを得ん…!全隊員 退避せよ!」

警機隊員たちが退避する マシーナリー1がマシンガンを放つ コートハルドが走りながら言う

「こちら政府警察機動部隊っ!カルメス邸に 対人マシーナリーが現れた!直ちに 国防軍レギスト機動部隊へ 応援要請をっ!」


【 レギスト車内 】


ハイケルが立ち上がって言う

「国防軍レギスト機動部隊 出動!」

ドライバー隊員たちが言う

「はっ!」 「了解っ!」

隊員Bが言う

「そして 到着しましたー!少佐ぁー!」

ハイケルが言う

「よし、行くぞ」

隊員たちが転ぶ ハイケルが歩く 隊員Bがハイケルに続いて歩きながら言う

「流っ石 少佐ぁー!やっぱ チョー面白れー!あっははははっ」


【 カルメス邸 】


警機隊員たちが銃撃を行っている メルフェスの用心棒たちがマシーナリー1を盾にしつつ応戦する マシーナリー1の機体に銃弾が弾かれる 警機隊員がコートハルドへ言う

「隊長っ!」

コートハルドが表情を顰めつつ言う

「奴らは キラーマシーン所か 対人マシーナリーへの対抗策をも得ていたのかっ それを我々には …やはり奴は 初めから 政府の機能を乗っ取るつもりでっ!」

マシーナリー1がミサイルを放つ コートハルドが叫ぶ

「退避ーっ!」

警機隊員たちが退避しつつ爆発に吹き飛ばされる コートハルドが床に伏せつつ言う

「全員 無事かっ!?」

警機隊員が言う

「隊長っ!我々では 無理ですっ」

コートハルドが言う

「あきらめるなっ!レギストが来るまで 何としても足止めをっ!」

警機隊員が言う

「しかしっ!」

コートハルドの無線にハイケルの声が聞える

『こちら国防軍レギスト機動部隊 政府警察機動部隊 応答を』

コートハルドがハッとして言う

「こちら政府警察機動部隊っ!」

ハイケルの声が聞える

『政府警察機動部隊 無線応答を確認した これより 国防軍レギスト機動部隊が 諸君の支援に当たる 対人マシーナリーの現在地を教えてくれ』

コートハルドが驚いて言う

「も、もう 現場に到着しているのか?」


レギスト機動部隊


ハイケルが走りながら言う

「現在 カルメス邸1階 西方出入り口から 中央階段へ向け進行中 対人マシーナリーの現在地を教えてくれ」

隊員たちが追い駆けながら 隊員Fが言う

「しょ、少佐ぁー!お待ちをーっ!」

隊員Cが言う

「そんなに 出動したかったのかっ!?少佐はっ!?」

隊員Aが言う

「確かに そんな感じはあったけどっ!」

隊員Bが言う

「て言うか 少佐 マジで足速いーっ!」

隊員たちがハイケルを追い駆ける


警機


コートハルドが言う

「分かったっ 対人マシーナリーの現在地は カルメス邸2階 間もなく 中央階段まで押し寄せ…っ」

無線と同時にハイケルの声が聞える

『対人マシーナリーを目視にて確認 レギスト機動部隊 攻撃を開始する」

コートハルドが振り返るとハイケルがM90を構えていて銃撃を開始する 重い銃声に 警機隊員とコートハルドが一瞬驚いた後 マシーナリー1を見る マシーナリー1がM90の銃撃を受けつつマシンガンを放つ ハイケルが舌打ちをして回避する 隊員たちが追い付いて言う

「少佐ぁー」

ハイケルが言う

「援護しろ」

ハイケルがM90を持ちタイミングを見計らう 隊員たちが各々武器を持ってタイミングを見る マシーナリー1の後方に居た メルフェスが言う

「レギスト…っ また邪魔をしに現れたかっ」

メルフェスの用心棒がメルフェスを見て言う

「メルフェス様 如何しましょうっ?奴らは この対人マシーナリーを 倒す事が出来ますっ」

メルフェスが言う

「こうなれば仕方が無い」

メルフェスが立ち去る メルフェスの用心棒が言う

「メルフェス様っ!?」

メルフェスが言う

「お前たちは そこで足止めを続けていろ」

メルフェスの用心棒が言う

「メルフェス様は!?どちらへっ!?」

メルフェスが去る メルフェスの用心棒たちが顔を見合わせる 隊員Bが視線を強め M80を構えて瞬時に通路から身を出して撃ちながら言う

「このぉーっ!」

隊員Bの放ったM80にマシーナリー1の動きが一瞬止まる ハイケルが瞬時にM90を放つ 隊員たちがM90やM80を放つ マシーナリー1がマシンガンを放つ レギスト隊員たちが身を隠す マシーナリー1の片腕が力を失い排出される 隊員Bが悔しがって言う

「もーっ!サーカス会場では 上手く行ったのにー!」

ハイケルが言う

「相手に強力な武器がある場合は 範囲の狭い通路の方が 対戦は困難になる」

隊員たちがハイケルを見る ハイケルが通路の先を見る 警機隊員が気付いて言う

「隊長っ カルメス容疑者がっ!」

コートハルドが通路の先を見る メルフェスが通路の奥の扉を開けて出て行く ハイケルが言う

「あの先には 外へ続く退路があるぞ」

コートハルドが言う

「屋敷は包囲している」

ハイケルが言う

「ここは我々が引き受ける お前たちは奴の逮捕へ向かえ」

コートハルドがハイケルを見てから言う

「…了解 ここは任せる 行くぞ お前たちっ」

警機が退去する ハイケルと隊員たちがマシーナリー1へ発砲する


【 カルメス邸 外 】


メルフェスが外へ逃げて来ると 警機隊員たちが武器を向けて言う

「止まれ!」

メルフェスが立ち止まり 警機隊員たちを見る 屋敷内に居た警機隊員たちとコートハルドがやって来てメルフェスへ武器を向ける コートハルドが言う

「メルフェス・ラドム・カルメス お前を逮捕する!罪状は…」

コートハルドが銃を向けたまま メルフェスへ近付く メルフェスが横目にコートハルドを見てニヤリと笑む コートハルドが疑問すると 重い足音が響く 警機隊員たちが辺りを見渡すと 一瞬の後 メルフェスの後方 屋敷内からマシンガンが放たれ ミサイルの攻撃が続き 屋敷の壁が爆破され マシーナリー1が現れる 警機隊員たちが慌てて言う

「さっきの奴ではないっ!」 「もう一体居たのかっ!」

マシーナリー1が両手を突き出し メルフェスの両脇からマシンガンを放つ コートハルドが叫ぶ

「総員退避っ!」

警機隊員たちが退避する 警機隊員が言う

「隊長っ!レギストへ連絡を!」

コートハルドが無線イヤホンのスイッチを押そうとする ラミリツが言う

「その必要は無い」

警機隊員とコートハルドが驚いて顔を向け言う

「攻長閣下っ!?」

ラミリツが言う

「こちらは私が始末する」

エルムβたちがラミリツの両脇と後ろに現れる メルフェスが驚き顔を顰めて言う

「貴様っ!」

ラミリツがプラズマセイバーを構える メルフェスが叫ぶ

「おいっ!聞けっ!警機の者たちっ!その攻長は偽…」

メルフェスの顔ギリギリをM90の銃弾が掠める エルムβがM90を構えていて言う

「『心配ない 最小限 当たらない』」

ラミリツが微笑して言う

「最小限で当てない とは言い換えられないんだ?」

エルムβがM90を構えたまま言う

「『貴重な銃弾だ』」

ラミリツが苦笑して言う

「了解 それじゃ さっさと終わらせようか?」

ラミリツがマシーナリー1を見る マシーナリー1がマシンガンを構える


【 カルメス邸 邸内 】


軍曹が現れて言う

「遅くなりましたぁーっ!少佐ぁーっ!」

ハイケルが一度軍曹を見てから言う

「よし、アラン隊員、ゼクス隊員 まずは手下の動きを封じるぞ」

隊員たちがハイケルを見る 隊員Aと隊員XがM82と盾を構えて言う

「「了解っ」」

隊員Bが不満そうに言う

「アッちゃんと ゼクちゃん 良いなぁ~?」

ハイケルが言う

「バイスン隊員 援護しろ」

隊員Bが反応し 喜んで言う

「了解でありますー!少佐ぁー!」

隊員BがM80を構える 隊員Cが苦笑して小声で言う

「やっぱり バイスン隊員に 甘いぜ」

ハイケルがM82を構えて言う

「何か言ったか?サキシュ隊員」

隊員Cが衝撃を受けて言う

「い、いいえっ!何もっ!」

隊員Bが笑う

「にひひっ」

ハイケルが言う

「軍曹」

軍曹が言う

「はっ!少佐ぁっ お任せを!」

軍曹が盾を構える ハイケルが言う

「バイスン隊員 カウント」

隊員Bが言う

「了解ー!いっせーのっ」

隊員たちが衝撃を受ける 隊員Bが続けて言う

「せーっ!」

軍曹と隊員Xが盾を構えて通路に出る 続いて ハイケルと隊員A隊員Bが出て レギストがマシーナリー1の影に隠れていたメルフェスの用心棒たちを攻撃する メルフェスの用心棒たちが被弾して悲鳴を上げて倒れる マシーナリー1の頭部が変形し砲台に変わる ハイケルが言う

「回避っ」

レギストが回避すると同時に マシーナリー1がミサイルを発射 爆発が起きる


【 カルメス邸 外 】


邸内から爆発音が響く 警機隊員たちが顔を向ける ラミリツがプラズマセイバーを抜いて言う

「苦戦してるのかな?」

エルムβが言う

「『流石は欠陥品だ』」

ラミリツが微笑する ラミリツが振り返ると後方でマシーナリー1が脱力して倒れる ラミリツの前方 コートハルドがメルフェスに手錠を掛けようとしながら言う

「今度こそ 覚悟を」

メルフェスが微笑して言う

「覚悟するのはお前たちだ アールスローンへ持ち込んだマシーナリーの残数は ここにある2体だけではない」

メルフェスが笑む コートハルドが言う

「それはどう言う意味だっ!?」

ラミリツとエルムβが向く


【 カルメス邸 邸内 】


メルフェスの用心棒たちが腕を押さえてうずくまる ハイケルが言う

「軍曹っ」

軍曹とハイケルが同時に通路に出て 軍曹の構えた盾にマシーナリー1のマシンガンが抑えられる ハイケルがM90を構える マシーナリー1が一瞬の後 無秩序にミサイルを放つ ハイケルがハッとする 隊員Bが驚くと隊員Aが叫ぶ

「回避ーっ!」

周囲で爆発が起きる


【 カルメス邸 外 】


カルメス邸内で大規模な爆発が起きる 警機隊員たちが呆気に取られて見上げる メルフェスが笑んで言う

「あれだけではないぞ?アールスローンへ持ち込まれた全てのマシーナリーが これで一斉に暴走を開始した ふっははは!どうだ?ここにあるマシーナリーだけを 始末すれば良いと 思っていたのだろう?浅はかだったな?」

警機隊員たちが驚き コートハルドへ向く ラミリツが言う

「浅はかなのは どちらだろうね?カルメス”元外交長”」

皆の視線がラミリツへ向く ラミリツがメルフェスへ向いて言う

「帝国の差し金である アンタの行動には ずっと眼を光らせて居たんだ マシーナリーの数だって ちゃんと調べてある 勿論 その場所も」

メルフェスが一瞬驚いた後笑んで言う

「数だけではなく 場所もだと?ははははっ!得意の演技か?だが 今回はその演技も役にはたたないぞ?攻長と言えども その場所を知る筈が無い マシーナリーの保管場所は 唯一警機の隊長だけが把握を許されている 例え 攻長であろうと長官であろうと 警機隊長へ指示を与える 警察長であっても 知る事は許されないのだ!」

ラミリツが言う

「そうかもね?けど 残念だけど 僕は 政府警察機動部隊の基地の事は メイリス家の庭も同然に 把握しているんだよ」

メルフェスがハッとして言う

「なんだと?…そうかっ!…おのれ 忌々しい メイリス家の残党がっ!」

メルフェスの手に手錠が掛けられる メルフェスがハッとする コートハルドが微笑して言う

「攻長閣下と我々政府警察の完全勝利だ メルフェス・ラドム・カルメス」

メルフェスが呆気に取られる


【 カルメス邸 邸内 】


ミサイルが通路の先 対側の館内まで向かって行き 爆発する 周囲が燃え広がる 対側館内通路に点在していたキラーマシーンが起動し 銃撃を行う 隊員たちが驚き言う

「向こうにも居たのかっ!」

ハイケルが言う

「私が対人マシーナリーを始末する!援護しろっ」

軍曹と隊員Xが頷き合い盾を構えて出る ハイケルがM90を構える 隊員たちが後方のキラーマシーンを攻撃する ハイケルがM90を連射し マシーナリー1を討ち取る 隊員が言う

「やったぁ!」

軍曹が言う

「少佐っ 急いで退避をっ!」

周囲で建物が燃えている ハイケルがM90を隊員へ手渡して言う

「お前たちは退避しろ」

隊員たちが驚き 隊員Bが言う

「少佐はっ!?」

ハイケルがM82を用意して言う

「私は別の用がある お前たちには関係ない 退避しろ」

ハイケルが走って行く 隊員たちが驚き 隊員Fが叫ぶ

「少佐ぁーっ!」

周囲で建物が燃え落ち始める 隊員たちが顔を見合わせ 隊員Cが言う

「どうするっ!?」

隊員Aが言う

「決まってるっ!」

隊員Bが頷く


【 カルメス邸 外 】


エルムβがカルメス邸を見上げた状態で言う

「『任務完了』」

ラミリツが微笑して言う

「なら 後は アイツらが出てくるのを 待つだけだね?」

コートハルドが近くへ来て言う

「攻長閣下 間もなく消火部隊が参りますが ここは危険です どうか」

ラミリツがコートハルドを見てから言う

「うーん …そっか アイツは仲間たちと戻るだろうし 待つ必要も無いか?」

コートハルドと共にラミリツとエルムβが歩く コートハルドが言う

「申し訳ありません 車は 我々や護送犯と同じ車両となってしまいますが」

ラミリツが言う

「別に良いよ 来る時なんて アイツやらエルムやらで 凄い窮屈な高速ヘリで来たんだ 一人分のスペースがあるなら まだマシだよ」


【 カルメス邸 邸内 】


燃え上がる部屋の中 マリが周囲を見渡し困っている 部屋の出入り口へ向かおうとして キラーマシーンの音に足を止める M82の銃声が鳴り響き マリが驚くと 後方で炎に焼かれた備品が倒れて来る マリが慌てて出口へ逃げながら叫ぶ

「キャァッ!」

マリが床に倒れ込み怯えてうずくまり 強く目を瞑りながら言う

「助けて…っ 王子様…っ」

マリのすぐ近くで銃声が鳴り響きマリが耳を塞ぐ 次の瞬間マリの横に動きがあり マリが顔を向け驚く ハイケルが立っていて言う

「マーガレットの王子から 依頼を受けた お前を救出する」

マリが驚いて言う

「ハイケル君っ」

ハイケルが言う

「時間が無い 急ぐぞ」

マリが慌てて言う

「は、はいっ」

マリが立ち上がる ハイケルがM82へ装填し部屋を出て射撃しながら言う

「中央の階段へ走れ」

マリが返事をする

「はいっ!」

マリが部屋を出て走る ハイケルが射撃を終え 弾筒を捨て装填する作業を行いながらマリを追って走る


マリが走って行くと マリの前方にキラーマシーンが現れる マリが驚いて立ち止まり叫ぶ

「キャァアッ!」

ハイケルがM82を放ち キラーマシーンを破壊する マリが耳を塞いでいると ハイケルがマリの腕を掴んで引き 走りながら言う

「時間が無いと言っている 止まるな」

マリがハイケルに引かれつつ走りながら言う

「は、はいっ ごめんなさいっ」

ハイケルがM82を放ちながら走る 前方に再びキラーマシーンが2体現れる ハイケルが舌打ちをして マリを横へ突き飛ばし M82を一発放ちながら回避する ハイケルが回避しつつ銃弾の排装填を行い キラーマシーンを撃つと マリへ言う

「行くぞ」

マリが震えながら言う

「はいっ」

ハイケルとマリが走る 後方で建物が崩れる


ハイケルが射撃しながら走って来る ハイケルが前方に現れたキラーマシーンへ狙いを定めると ハイケルが引き金を引く前に キラーマシーンが被弾して壊れる ハイケルが顔を向けると 前方から隊員たちが言う

「少佐ぁー!」

ハイケルが言う

「退避する!」

隊員たちが言う

「了解っ!」

ハイケルとマリが隊員らと合流して残りの通路を走る 中央階段で隊員たちが1階へ向け銃撃を行っている 隊員Cが言う

「撃っても撃っても 沸いてくるぞっ!?あいつら一体何体居るんだっ!?」

ハイケルが排充填をして言う

「このままでは 建物が持たない 一気に突破する」

隊員たちが言う

「了解っ!」

マリが怯えて震える 隊員Bが気付いて言う

「大丈夫?頑張って!」

隊員たちがマリを見る マリが隊員Bを見て言う

「は、はいっ!」

マリの震えが止まらない ハイケルが横目に見て言う

「正面のエントランスの先で アイツが待っている 迷わず走り抜けろ」

マリが一瞬驚いた後ハイケルを見る ハイケルが正面を向く マリが微笑して言う

「了解っ」

隊員たちが微笑して顔を見合わせる ハイケルが言う

「行くぞ …バイスン隊員 やれ!」

隊員Bが張り切って言う

「了解 少佐ぁーっ!」

隊員Bが両手に手榴弾を持つ


爆発が起きる ハイケルが言う

「突破!」

隊員たちが走る マリが走る 隊員たちが銃撃を行う 軍曹が叫ぶ

「ゼクス隊員っ!」

隊員Xが叫ぶ

「了解っ!軍曹!」

軍曹と隊員Xがマリの両側に追走しキラーマシーンの銃撃を抑える マリが銃撃音に耳を塞ぐ ハイケルが手榴弾を用意し正面玄関へ投げ付け 続けてM82を構えるが 引き金を引く前に 手榴弾に銃弾が当たり爆発する ハイケルが視線を向けると 視線の先隊員Aが驚いて言う

「当たったぁーっ!?」

ハイケルが微笑し M82を側面方向へ構え気付く 狙いを定めた先 キラーマシーンが挙動を抑制されている


マリが手榴弾の爆音に目を瞑りながらも走り 外光の光に目を開いて正面を見る 隊員やハイケルの背の先 光の中に立つ人物に驚き 目を見開くと 勢いのままに抱き付く


ハイケルが言う

「総員 屋敷から 離れろっ!」

隊員たちが逃げる 屋敷が崩れ崩壊する


軍曹が周囲を見渡して言う

「全員 無事であるかーっ!?」

隊員Bが笑んで言う

「A班 無事でありますー!」

隊員Aが苦笑して言う

「バイちゃん 今日は班割りは無かっただろ?」

隊員Bが笑んで言う

「えっへへー」

隊員たちが笑んで言う

「B班 無事でありまーす!」 「C班 同じく!」 「D班も無事でーす!」

2班 隊員たちが顔を見合わせ苦笑して言う

「万年 後衛部隊も 無事でありまーす!」

隊員たちが笑う 軍曹が笑んで言う

「後衛部隊も大切な仲間であるっ!」

軍曹が振り返って言う

「少佐ぁー!レギスト機動部隊 全員無事であります!」

ハイケルが横目に見ていた視線を戻して言う

「了解 確認ご苦労 軍曹」

軍曹が一瞬ハイケルの見ていた先を見ようとして 慌てて敬礼して言う

「はっ!…して 少佐 あちらの お方 …はっ!?」

軍曹がハイケルの見ていた先を改めて見て驚いて叫ぶ

「マ、マスタぁー!?」

隊員たちが疑問し顔を見合わせて言う

「マスターって?」

「何のマスターだ?」

隊員たちが疑問し 軍曹を見てからハイケルを見る


マリがマスターの胸から顔を上げハッとして 慌てて離れて言う

「ご、ごめんなさいっ!私…っ!」

マスターが微笑して言う

「俺の方こそ ごめんね また遅くなっちゃって」

マリがマスターを見上げる マスターが苦笑する マリが一度ハイケルを見てから微笑し 顔を左右に振ってからマスターへ言う

「ハイケル君が マーガレットの王子からの依頼だって…」

マスターが微笑して言う

「うん 俺では マリちゃんを迎えに行けないから 代わりにハイケルに頼んだんだ …お姫様を迎えに行ける 王子様じゃなくて ごめん …アイツの方が よっぽど王子様だね」

マリが呆気に取られる ハイケルがやって来て言う

「そうでもない」

マスターがハイケルを見る ハイケルが言う

「エントランスに集まっていた キラーマシーンの数は 我々の手に負える数ではなかった …お前がキラーマシーンの制御を押さえていたお陰で 対処が可能だった」

マリがマスターを見る マスターが苦笑して言う

「時間が無かったもんだから 警機が開発した キラーマシーン撃退装置のプログラムを 解析しきれなくってな… それでも 何とか 動きを鈍化させる程度までは 出来た訳なんだが …相変わらず 良く気付いたなぁ?一点突破の最中に 周りを見ている余裕なんて 普通は無いだろう?」

ハイケルが言う

「それ以前に 気付いた 屋敷の2階で 対峙していた時からな?」

マスターが呆気に取られた後苦笑する マリが言う

「…あ、だから あの時?」

マスターがマリを見る マリが苦笑して言う

「私、てっきり ハイケル君が 私を勇気付ける為の嘘で あんな風に言ってくれたのだと…」

ハイケルが言う

「嘘は嫌いだ」

マリが呆気に取られる マスターが苦笑して言う

「そう言う意味じゃねーって」

ハイケルが疑問して言う

「では どう言う意味だ?」

マスターが苦笑して言う

「相変わらず 分からない奴だなぁ?」

ハイケルが疑問する マリが2人を見てから微笑し笑う マスターがマリを見て微笑し笑う ハイケルが疑問している


【 警察機動部隊基地 マシーナリー収納庫 】


レステスが歩いてくると 警機隊員が敬礼して言う

「お帰りなさいませ!レステス隊長っ!」

レステスが微笑し敬礼を返して言う

「ああ ただいま」

警機隊員が微笑する レステスが言う

「一時の代理の隊長のつもりが… まさか本当に 隊長の位を与えられるとは」

警機隊員が言う

「コートハルド隊長がお選びになられたのですから 我々は今後も変わりなく 新たな隊長と共に戦います!」

レステスが苦笑して言う

「ありがとう」

警機隊員が微笑して敬礼する レステスが頷いて 振り返って言う

「攻長閣下が これを?」

警機隊員が言う

「はい …とは申しましても 作業を行ったのは 他の… 何処かの兵士の様な者で …試し撃ちに最適であったと 礼を言って帰られました しかし、試し撃ちと言われましても もちろん 起動はしていませんでしたし 一体 どう言う意味であったのか…?」

レステスが気付き 目を細めて言う

「いや… これは …大したものだ」

レステスがマシーナリー1の近くへ行って銃痕を覗き込む 警機隊員が疑問して近くに来る レステスがマシーナリー1の後ろの床に落ちている銃弾を拾って言う

「見たまえ」

警機隊員がレステスの手の平に乗せられている銃弾を見て言う

「これは… なんとも不思議な」

レステスが言う

「これは ジャストショットと呼ばれる 銃撃テクニックの1つだ 全く同じ位置に寸分狂わず着弾させる 固定式の銃であっても並大抵の事では出来ない それを…」

レステスが視線を向ける 警機隊員が驚いて言う

「7体もっ!?」

レステスが言う

「以前 聞いた事があった 国防軍に この技術に卓越した兵士が居たと その者こそ 国防軍レギスト機動部隊の隊長」

警機隊員が言う

「レギスト…」

レステスが苦笑して言う

「…なるほどな 通りで 今も強い訳だ」


【 ハブロス家 ラゼルの屋敷 】


ラミリツが驚いて言う

「えぇえ!?それじゃっ 新しい銃の開発の為に デコイを3体も死なせちゃったのっ!?」

エルムが言う

「死なせたのではない 壊しただけだ」

ラミリツが怒って言う

「同じだろっ!?どうするのさっ!?エルムのデコイは 残り少ないんじゃなかったのっ!?また 忘れちゃった!?」

銃声が響く ラミリツが一瞬目を細め最小限の動きで回避する エルムがM82を構えた状態で言う

「上出来だ」

ラミリツが不満そうに言う

「最小限 当たらないように してくれてるんでしょ?…それは もう 分かったからっ」

エルムが言う

「そんな事は していない」

エルムがM82をしまう ラミリツが呆気に取られて言う

「え?」

エルムが言う

「今のは お前が お前の意志で回避をした 私は 当てるつもりで撃った」

ラミリツが衝撃を受けて言う

「あ、当てるつもりでなんてっ!撃たないでよっ!?」

エルムが言う

「当たらなければ 問題ない」

ラミリツが怒って言う

「当たらなくても 怖いから止めてよっ!」

エルムが言う

「当たらなければ 問題ない」

ラミリツが怒って言う

「僕はエルムじゃないんだからっ!当たらなくても 怖いから止めてって言ってるの!」

エルムが言う

「私であっても 当たらなくても 怖いと思う」

ラミリツが驚いて言う

「え…?」

エルムが言う

「私に当たらなくとも 私の仲間に当たる事はある 従って それらを回避する為の デコイの数は重要だ」

ラミリツが呆気に取られて言う

「エルム…」

ラミリツが視線をそらして言う

「それって…」

ラミリツが改めて言う

「…ってさ?やっぱ 新しい銃の開発の為に デコイを3体も死なせちゃったのは いけなかったんじゃないのっ!?」

エルムが言う

「死なせたのではない 壊しただけだ」

ラミリツが怒って言う

「だから同じだったらっ!どうするのさっ!?エルムのデコイは 残り少ないんでしょっ!?」

エルムが言う

「そうだな 忘れていた」

ラミリツが怒って言う

「エルムっ!」


【 マスターの店 】


ハイケルがコーヒーを飲む マスターがコップを拭きながら言う

「どうだー?特性スペシャルブレンドのお味は?」

ハイケルが苦笑して言う

「”上出来だ”」

マスターが苦笑して言う

「相変わらず レーベット大佐の真似か?」

ハイケルがマスターを見てから言う

「…悪くない」

マスターが軽く笑って言う

「っはは そうだな?お前ならそう言うと思った 可愛くねーから」

ハイケルが言う

「”悪かったな”」

マスターが笑んで言う

「それの お前言葉は 何なんだ?ハイケル」

ハイケルがマスターを見てから コーヒーを持って言う

「余計なお世話だ」

ハイケルがコーヒーを飲む マスターが笑って言う

「っはははっ そうそう!そう言えば そうだった!」

マスターが微笑して言う

「就業中の大佐は ホント 別人の様に厳しいお方だったよなぁ… 普段はとても お優しい方なのに」

ハイケルが言う

「ああ… だが それで良いんだ 任務中に情のある余計な言葉は 任務遂行の妨げになる …と 思っていたのだが」

マスターが言う

「思っていたのだが?」

ハイケルが言う

「何でも無い… それはそうと」

マスターがコップを置き 皿を拭きながら言う

「うん?」

ハイケルが一度マスターを見てから 視線をそらし気を切り替えて言う

「…いや、政府警察本部前のデモへ 投入させられる予定であった 対人マシーナリー …あれは結局 何処へ移動させられていたんだ?」

マスターが一瞬気付いてから苦笑し 笑んで言う

「なんだ?マイク少佐から 聞いてなかったのか?」

ハイケルが言う

「聞いていない それを聞く直前に メルフェス・ラドム・カルメスへの逮捕状が出されたと」

マスターが皿を置きながら言う

「あぁ そう言えば 丁度そのタイミングだったな?…んなもんだから 俺もてっきり 政府警察からの逮捕状じゃなくて 国防軍からの宣戦受託通知かと思ったぜ?…プククッ」

ハイケルが疑問する


【 ハブロス家 屋敷門前 】


軍曹が驚いて言う

「こ、これは…?一体!?何事であるのかぁーっ!?」

軍曹が慌てて車から降りて見る 軍曹の視線の先 マシーナリー1がハブロス家の門にもたれ掛かっている マシーナリー1を見ていた軍曹が ふと気付き マシーナリー1の前へ視線を向けると 地面に白い粉が残っている 軍曹が言う

「むっ!?こ、これは… 確か エルム少佐の…?では この対人マシーナリーを破壊されたのは やはり エルム少佐…」

エルムが言う

「MT90を試すのに 丁度良い的が 警機から届けられた」

軍曹が衝撃を受けて言う

「なぁあっ!?ま、まさに その エルム少佐がぁー!」

エルムが言う

「私が 何だ?」

軍曹が衝撃を受け怯えつつ言う

「い、いえっ!自分は何もっ!」

エルムが言う

「そうか なら良いんだ」

軍曹が一度視線をそらし 車へ戻ろうとして 振り返って言う

「…あ、あの ちなみに…?」

エルムが一瞬間を置いて振り返る 軍曹が衝撃を受け慌てつつ言う

「あ、あああっ い、いえっ!?…さ、ささ 流石の エルム少佐と言えども お、お1人で 対人マシーナリーを相手になさると… エルム少佐の小隊隊員が お、お1人 犠牲に…?」

エルムが言う

「そうではない」

軍曹が衝撃を受けて言う

「お!?のぉおおっ!さ、流石はっ!エルム少佐っ!で、では~?この小隊隊員の犠牲は?た、たまたま…?」

エルムが言う

「そうではない そもそも 警機から運ばれてきた RTD210マシーナリーは 起動されてはいなかった …つまりは ただの 動かぬ的だった」

軍曹が呆気にとられて言う

「は… はぇ?…で、では 何故犠牲が?」

エルムがマシーナリー1を掴んで言う

「MT90が それほどの兵器であったからだ」

軍曹が疑問して言う

「MT90とは… 確か あのM90ライフルの強化版であると?」

エルムが言う

「私は 破壊力だけを 限界まで上げた銃を作れと命じた MT90は その結果仕上がった物だ …流石は アールスローン一の銃職人ロンドス 彼は 私の命令通りの物を作った」

軍曹が呆気に取られる エルムがマシーナリー1の銃痕を見上げて言う

「MT90の破壊力は 把握しきれない M90でさえ3発のジャストショットが必要な 対人マシーナリーの装甲を 火薬を詰めただけの銃弾一発で いとも容易く貫通させた」

軍曹が衝撃を受け驚いて言う

「こ、これがっ!一発でっ!?」

軍曹がマシーナリー1の銃痕を見る エルムが言う

「だが、代償が大き過ぎる 必要以上の破壊力を持ち その1発の反動だけで 私のデコイを1体 破壊する物など 銃とは呼べない」

軍曹が呆気に取られて言う

「は… はぁ?そ、それで…?」

エルムが言う

「以上だ」

軍曹が衝撃を受けて言う

「はぇっ!?あ… は、はっ!了解…っ」

軍曹がエルムを見てから 視線を落とし車に戻ろうとして 振り返って言う

「っと… ちなみに?その エルム少佐は この様な夜更けに 一体何用にて こちらへ?」

エルムが言う

「騒ぎが片付けば 警機の者が回収に来ると予測し 放置していたが ハブロス家の概観として 思わしくないと言われた …よって 恐らく 明日には来ると予測される 回収の時まで 場所を移動させる」

軍曹が呆気にとられて言う

「は… はぁ それはまた この様な時間に お疲れ様であります エルム少佐」

エルムが言う

「問題ない」

軍曹が車に乗り周囲を見て言う

「…む?とは言え 周囲に機材などは見えぬし… 一体どうやって移動を?…そもそも如何に隣家と離れているとは言え この様な時間に騒音を立てる訳には… やはり 今はそのままにして 明日片付けた方が?」

軍曹が車を出ようとして言う

「エルム少… なぁあーっ!?」

エルムがマシーナリー1を持ち上げる 軍曹が驚き 驚きの顔のままエルムの移動作業を顔で追う エルムがマシーナリー1を持って 門の中へ入り 横へ置く 地面が揺れる エルムが手を払って言う

「この場であるなら 問題無いだろう」

エルムが軍曹へ向く 軍曹が衝撃を受ける エルムが言う

「この場では 問題か?」

軍曹が言う

「い、いえっ!宜しいかとっ!」

エルムが言う

「了解 任務完了 帰還する」

エルムが立ち去る 軍曹が呆気に取られた後 マシーナリー1の下へ走って行き 持ち上げようとするがビクともしない


【 マスターの店 】


ハイケルがコーヒーから口を離して言う

「やはり化け物だったか」

マスターが苦笑して言う

「いやぁ… いくら何でも それは… 夢でも見たんじゃないのか?アーヴィン君」

軍曹が言う

「い、いえ… 自分も マスターの仰る通り 最初は 夢でも見たのかと …しかし、翌朝には やはり エルム少佐が移動させた場所に 対人マシーナリーは置かれており 地面には薄っすらとではありましたが エルム少佐のデコイの燃えカスが… あの位置からあの移動されたマシーナリーの場所への射撃は 出来ないと言う事も考えますと やはり」

マスターが皿を拭きながら言う

「とは言ってもなぁ?あの対人マシーナリーの重量は とても人が持ち上げられるような物じゃない… もし、本当に持ち上げて移動させるとなると 必要な機重力は 2トン以上って事になる 大型クレーンが必要な重さだ」

軍曹が言う

「は、はぁ…」

ハイケルが言う

「いや、あの対人マシーナリーには 起用時に使用する 運搬用の車輪が脚部後部に備え付けられている 従って マシーナリーの前部脚部を持ち上げ 後部の車輪を用いての 移動であるなら」

軍曹が気付いて言う

「おお!そう言えば!昨夜は辺りが暗かった事もあり その辺りの部分は見えては居らなかったのですが 確か あの対人マシーナリーが 動く時にには大きな振動が!しかし エルム少佐が マシーナリーを移動させていた際には その振動は無く 振動は マシーナリーを移動先へ置いた その瞬間のみでありました!」

マスターが微笑して言う

「なら 決まりだな?…って 言ってもなぁ?やっぱり 人の限界を超えてるだろう?」

ハイケルが言う

「そうでもない」

マスターがハイケルを見る ハイケルが言う

「マイルズ地区のイベントで たまに 人力で 自動車を押して見せるパフォーマンスなどが行われている あれと似たような物だろう?」

マスターが言う

「4輪でブレーキの掛けられていない車ってのは 案外軽く動く物だ それこそ 工業用の重機なんかであるなら別だが …ざっと計算しても あの対人マシーナリーを後部車輪を用いて移動させるとしたら まず前面を持ち上げるのだけで600キロ以上の機重力が必要になる そこからあの重量を移動させる為の力となると…」

ハイケルが言う

「軍曹が3、4人居れば良いだけの話だろう?」

軍曹が衝撃を受ける マスターが苦笑して言う

「居ないだろぉ?それこそ エルム少佐のデコイじゃないんだから」

ハイケルが言う

「あの偽物のエルム少佐の事は デコイと言うのだな」

軍曹が気付いて言う

「あ、はい… エルム少佐は その様に呼ばれています 祖父上は エルム少佐の小隊隊員と」

ハイケルが考えながらコーヒーを飲む マスターが言う

「姿はエルム少佐のそっくりなんだし そいつらは エルム少佐によく似た ドッペルゲンガーって奴か?」

軍曹が言う

「は… はぁ… 恐らく そのような物かと」

ハイケルが言う

「エルム少佐は MT90を使用する際 そのデコイに使わせた… 結局 エルム少佐の命令通りに動き 自身が壊れる事も厭わない人形が 何度でも蘇る 悪魔の兵士である …と言う事なのか?」

マスターが言う

「うーん 俺が聞いた話の感じだと そんなんじゃなかったと 思うんだがなぁ」

ハイケルが言う

「お前の聞いた話では どの様なものであると?」

マスターが言う

「ああ、エルム少佐は とても隊員を大切にする隊長で」

ハイケルが言う

「隊長であるなら 隊員を大切にするのは 当然だ」

マスターが苦笑して言う

「お前だってそうだもんな?だから 戦力の低い隊員は後衛部隊 そこそこの力がある奴だって 先行隊員であるお前の支援程度に」

ハイケルが言う

「そうだ …しかし、そのエルム少佐からの指導で 多少は変更をした 隊員たちの能力を確認したうえで 戦闘に耐えうる隊員たちを 俺と共に戦わせている」

マスターが微笑して言う

「良いと思うぜ?レギスト機動部隊は60名の隊員だ 戦力は高い者も居れば低い者も居る」

ハイケルが言う

「ああ 隊員たちは一人一人異なる 能力も異なれば それによる戦力も異なる …エルム少佐のデコイとは違う」

マスターが言う

「そのエルム少佐は お前とは違って それら全ての隊員を引き連れて戦っていた …もっとも 当時のレギストは60名も居なかったそうだがな?」

ハイケルが言う

「俺には 理解出来ない エルム少佐は 隊員たちの個性など 考えなかったと言う事か?」

マスターが言う

「いや、そうじゃない 言っただろう?エルム少佐は 隊員を大切にしていたって それはもう 言葉通りに 自分の身を盾にして 隊員たちを守ったそうだ だから エルム少佐は 任務のたびに怪我を負うし 酷い時は命の危険さえあるほどだった …しかし、それでも エルム少佐は 現在も 健在で居られる」

ハイケルが目を細める マスターが苦笑して言う

「そうそう ずっと以前に お前から訊かれた事があっただろう?何で レギスト機動部隊だけの必須装備に モルヒネの携帯キットが含まれているのかって」

ハイケルが言う

「当時情報部の主任であった お前であっても その理由を探り出せなかった」

マスターが苦笑して言う

「あれから5年 まさか こんな事を調べていて 見つけるとはな?」

ハイケルが言う

「まさか 当時レギスト機動部隊の 隊長であったエルム少佐からの 打診であったと?自分の命令で 力の無い部下を危険な場所まで連れ込み 怪我を負わせ その痛みを緩和させる為に モルヒネを投与し 恩でも着せていたのか?最低だな」

マスターが苦笑して言う

「おいおい いくらエルム少佐に嫉妬してるからって そんな」

ハイケルが言う

「嫉妬などしていない」

マスターが苦笑する ハイケルが言う

「それで?違うのなら 何処が違うんだ?」

マスターが微笑して言う

「まず、根本的に違っている そもそも モルヒネの必須装備を打診したのは エルム少佐ではなく その隊員たちだ そして 理由も 自分たちの痛みを緩和させるのではなく その自分たちを庇って怪我を負う エルム少佐の為に 所持していた …エルム少佐は ご自身が隊員たちを大切にしていた分だけ 隊員たちにも敬愛されていたんだよ」

ハイケルが不満そうに言う

「悪魔の兵士も 痛みを感じるのか」

マスターが苦笑して言う

「こーら?ハイケルー?そんな 可愛く無い事言わないの」

ハイケルがそっぽを向いて言う

「ふんっ …そもそも 隊員たちにその様な気を使わせる位なら 初めから 力の無い隊員を 危険な場所へ連れて行かなければ良いだろう」

マスターが表情を困らせて言う

「まぁ… それはそうかもしれないが」

ハイケルが立ち上がって言う

「時間だ 行くぞ 軍曹」

軍曹がハッとして言う

「は はっ!了解でありますっ!少佐っ」

ハイケルと軍曹が出口へ向かう マスターが言う

「それで、ハイケル?」

ハイケルが立ち止まって振り向く マスターが苦笑して言う

「モルヒネの所持は まだ続いてるのか?」

ハイケルが間を置いて言う

「…レギスト機動部隊のみの 必須装備だ 外したくとも外せない …奴のせいで 余計な重量を背負わされた」

ハイケルが立ち去る 軍曹が苦笑しハイケルに続く マスターが苦笑して言う

「モルヒネの携帯キットなんて 何グラムの重量だろうに… はは…っ まったく?」

マスターが微笑して見詰める先 ハイケルと軍曹が店を出て行く


【 警察本部 警察留置所 】


メルフェスが檻を掴んで言う

「おいっ!聞けっ!政府の攻長は!あのラミリツ・エーメレス・攻長は 偽物の攻長だぞ!本物の攻長!アールスローンの悪魔より与えられた 攻撃の兵士は 別の者なのだっ!」

メルフェスの檻の前に居る警官1が軽く息を吐く 別の警官2がメルフェスを見て言う

「なんだ?あれ?」

警官1が苦笑して言う

「アールスローン戦記の 熱狂的ファンか何かじゃないのか?あんなのが 政府の長官だったなんて 恥ずかしいよなぁ?」

メルフェスが一瞬驚いた後怒って言う

「何を言うっ!陛下の剣と盾は 政府と国防軍を表し!どちらも 陛下の任命を受け ペジテの姫である陛下の親兵として 持て囃される存在だろう!?奴はそれにっ!偽りの刻印を持って なりすましているのだぞ!?」

警官2が言う

「偽りの刻印なんかじゃない!失礼な奴だな …さて、交代だぜ?」

警官2が警官1を見る 警官1が笑んで言う

「おう よろしく頼む あいつが同じ事を 言い続けるだけで 他に問題はなしだ」

警官1と2が引き継ぎを行う メルフェスが言う

「どう言う事だっ!?何故 奴の肩を持つ!?奴は アールスローン国民へ偽りをっ!お前たちを裏切っているのだぞっ!それだけではない!人命を尊重するアールスローンの法律の下 左胸に故意に模様を入れる事は 厳重に禁じられている!政府の法の下にある政府の攻長の座において 奴はアールスローンの法に触れているのだっ!貴様ら政府警察は 直ちに奴を逮捕しろっ!」

警官1が苦笑して立ち去る 警官2が言う

「分かった分かった カルメス囚人 政府の法の下にある政府警察として お前の自己主張の発言は認めてやるが 我々政府警察を含む 政府の象徴である ラミリツ・エーメレス・攻長閣下を蔑む事は 我々政府の信仰する法律の下 処罰の対象として扱われるから 気を付けなさい」

メルフェスが言う

「これほど教えてやっているのに 何故 動かないっ!?貴様ら政府警察は やはり無能かっ!?」

警官2がムッとして言う

「ならば 言うが!お前は 正式に政府の法律を学んでいるのか!?人命を尊重する法律の下 心臓に近い場所へ 刺青処置を行う事は 生命の危険を意味する 現代の医療技術においては そんな危険は無くなった訳だが 人命尊重の精神から 法律は変えられていない そして、法律が変えられていないのと同じく 国民の意識も同じ その左胸に アールスローン国の国印を記する事は その命をもって アールスローン国に仕えるという 意志の現れ!」

メルフェスが驚き呆気に取られる 警官2が言う

「ラミリツ・エーメレス・攻長閣下は その高貴たる御意志の下で 陛下の任命を受け 我々政府の象徴となられているのだ!その政府の攻長閣下を 侮辱する事は 何人たりとも許されないっ!」

メルフェスが驚いて言う

「そ… そんな…」

警官2が溜息を吐いて言う

「お前 本当に 元政府長長官なのか?そんな事も知らなかったなんて 政府の長官が 聞いて呆れるなぁ?」

メルフェスが視線を落として言う

「アールスローン戦記の原本に 惑わされていたのは 私自身で あったというのか…っ」

メルフェスが膝を着く


【 ハブロス家 食堂 】


軍曹が食事を取りながら言う

「…と!自分は政府の信仰する アールスローン真書を基にした法律に その様な事柄があるとは 全く持って知らなかったのだっ!それと同時に ラミリツ攻長がそれほどの御意志を持って 攻長になられていたとは思いもしなかった訳で…!真にすまん!自分はすっかり ラミリツ攻長の変貌だと思ってしまった!あっははははっ!」

軍曹の向かいでラミリツが食事を取りながら言う

「別に良いよ 僕だって 本当はそんな意志なんて 無かった訳だし」

軍曹が衝撃を受けて言う

「なぁっ!?」

ラミリツが言う

「当たり前だろ?何で僕が 国の為に命を差し出すだなんて… 僕はエルムじゃないんだし 誰かの盾になって殺されるだなんて 御免だね」

ラミリツが食事を食べる エルムが隣の席で食事をしていて言う

「問題ない お前の身は 防長である ヴォール・アーヴァイン・防長閣下が守る」

軍曹が衝撃を受ける ラミリツが笑んで言う

「へぇ?それじゃ アンタが何度も生き返るんだ?」

軍曹が言う

「なっ!?」

エルムが言う

「そうではない 守りの兵士は 悪魔の兵士ではない 一度死ねば それで終わりだ」

ラミリツが言う

「なんだ 終わりなんだ?」

エルムとラミリツが食事を続ける 軍曹が衝撃を受け慌てて言う

「そっ その様な物騒な話をしながら 食事をして欲しくはないのであるっ」

ラミリツが言う

「それじゃ やっぱりアンタは 僕を守ってはくれないんだね?そうだよな?アールスローン戦記の攻撃の兵士 悪魔の兵士は アイツな訳だし?」

軍曹が一瞬驚いた後否定して言う

「それは 関係無いのだっ!自分はっ 先ほど エルム少佐が仰った通り!ラミリツ攻長を お守りするっ!…た、ただっ そのっ 自分は やはり 蘇る事は出来ない故に」

エルムが言う

「問題ない ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の身は 悪魔の兵士である 奴が守る」

軍曹が呆気に取られる ラミリツが笑んで言う

「へぇ?それじゃ アイツが何度も生き返るんだ?」

軍曹が言う

「なっ!?少佐がっ!?」

エルムが言う

「そうだな」

ラミリツが言う

「ふーん」

ラミリツがデザートを食べ始める 軍曹が視線を落としてからエルムへ向いて言う

「…そ、そのっ エルム少佐!」

エルムが軍曹へ向いて言う

「何だ ヴォール・アーヴァイン・防長閣下」

軍曹が衝撃を受け表情を困らせつつ言う

「あ、いえ 自分を呼ぶのに 敬称を付けて頂かなくても 良いのでありますが」

エルムが食事を食べながら言う

「お前がその様にしたければ そうすれば良い お前の方が私より身分が高い 選択の権限はお前にある」

ラミリツがデザートを食べながら言う

「そう言う古風な所って やっぱエルムも 祖父上やラゼル様と同じだよね」

エルムが言う

「当然だ 私は 彼らと同世代に生きる 悪魔の兵士 言動は必然的に その世代に沿う形となる」

ラミリツが食事を終えて言う

「通りで 外見は若いけど 中身はお爺さんなんだ?」

エルムが言う

「悪かったな」

ラミリツが苦笑して言う

「まぁ 僕は良いけどね 祖父上と話すのは 好きだったし ラゼル様とお話しするのも楽しいし エルムと話すのは… やっぱ 変な感じだけど?」

エルムが言う

「悪かったな」

ラミリツが楽しそうに笑う 軍曹が呆気に取られて言う

「ラミリツ攻長は エルム少佐とお話しをするのに 抵抗はないのであるか?」

ラミリツが疑問して言う

「何で?」

軍曹が衝撃を受けて言う

「え!?い、いやっ …何でかと聞かれると 返答に困るのであるが…っ」

ラミリツが苦笑して言う

「そう言えば、初めて会った時は びっくりしたけど… 慣れちゃえば普通だし?ただの変な奴 …今思い返せば 最初っから変な奴だったかも?」

エルムが言う

「悪かったな」

ラミリツが笑う 軍曹が呆気に取られて見つめる ラミリツが気付いて不満そうに言う

「なに?」

軍曹が慌てて言う

「ああっ い、いや、すまん…っ 何でも無いのであるっ!」

軍曹が食事を食べる ラミリツが首を傾げて言う

「…て言うかさぁ?やっぱ アンタじゃなくて エルムが僕の守りの兵士になるって 駄目なの?」

軍曹が衝撃を受ける ラミリツが不満そうに言う

「アンタが 頑丈なのは知ってるけど それだけだもん 馬鹿だし…」

軍曹が表情を困らせて言う

「す、すまん…」

エルムが言う

「私は守りの兵士には なれない」

ラミリツが言う

「どうして?」

エルムが言う

「守りの兵士とは 悪魔の兵士を守る者 悪魔の兵士である私が 守りの兵士になる事は出来ない」

ラミリツが言う

「僕を守る事は?」

エルムが言う

「お前が アールスローン戦記の 原本を所持する者 守りの兵士と なるのなら可能だ」

軍曹とラミリツが驚き ラミリツが言う

「それじゃっ もし 僕が この馬鹿から 原本を奪ったらっ!?」

軍曹が衝撃を受ける エルムが言う

「理論的に言うのであれば お前に 悪魔の兵士が付く事になる」

ラミリツが言う

「それじゃ エルムが僕に付く事も出来るの?」

エルムが言う

「それはない」

ラミリツが呆気に取られて言う

「え…?」

エルムが言う

「私は ヴォール・ラゼル・ハブロスと共に生きる 例え 奴の持つ原本が 他の者に移ろうとも 私は 私の意志で その様にする」

ラミリツと軍曹が呆気に取られる エルムが立ち上がって言う

「時間だ ラミリツ」

ラミリツがハッとして言う

「あ、うん そうだった… 政府の重役会議に行かないと」

ラミリツが立ち上がる エルムが歩き始める ラミリツが言う

「ねぇ エルム 今日の公務への同伴 デコイじゃなくて エルム本人が来てよ?ねぇ 良いでしょ?あいつらじゃ まともに話せないし」

エルムが言う

「それは出来ない」

ラミリツが表情を落として言う

「…やっぱ ラゼル様の傍に居たいんだ?」

エルムが言う

「そうではない 血が 疲れるからだ」

ラミリツが疑問して言う

「血が疲れる?」

ラミリツが苦笑して言う

「…ふふっ やっぱ 変な奴だね?エルムって」

エルムが言う

「悪かったな」

エルムとラミリツが食堂を出て行く 軍曹が困惑して言う

「悪魔の兵士は 原本の所有者である 守りの兵士を守る… しかし エルム少佐は ご自身の意志で 原本の所有者以外であっても…?うぅうーっ 分からぁーん!」

軍曹が自棄食いをする


【 マスターの店 】


軍曹が言う

「…と、言った感じであります 正直 自分には さっぱり…」

マスターが言う

「ふむふむ… なるほど 良く分かった」

軍曹が衝撃を受け 表情を困らせて言う

「あ…っ そ、その… お分かりになられたのは やはり 自分が… 馬鹿であると言う事でありましょうか?」

マスターが呆気に取られてから苦笑して言う

「はぁ?…いや、そんな…」

軍曹が表情を落として言う

「今ここに 少佐や エルム少佐が いらしたら ”今更だ”と 言われそうで…」

マスターが笑って言う

「っははははっ まあ、確かに アイツはそう言う事 ハッキリ言うからなぁ」

軍曹が苦笑する マスターがコーヒーを淹れながら言う

「そもそも 話の内容自体が 現実離れし過ぎてるんだ アーヴィン君が困惑するのも当然だろ?その点 ハイケルなんかは 現実離れどうこう の前に 話の筋道を理解するって 考え方だから 多少現実離れしてても 理解はするだろうけどな?…ほれ 特性ブレンドだ」

軍曹がコーヒーを受け取って言う

「あ、有難う御座います マスターとお話していると 自分は 心が癒されるであります」

軍曹がコーヒーを飲んでホッとする マスターが軽く笑って言う

「俺の方こそ 貴重なアールスローン戦記の 原本に関する情報を 聞かせてもらえて 感謝しているよ」

軍曹が微笑して言う

「マスターの理解の仕方は 国防軍レギスト駐屯地情報部主任としての 理解の仕方 …でありますか?」

マスターが笑んで言う

「ああ、そうだな?何しろ 国防軍レギスト駐屯地情報部は あのレギスト機動部隊を支援するんだ 多少の現実離れに動じていては 対処がままならないからな!」

軍曹が言う

「そちらは やはり 悪魔の兵士を支援する と言う事で?」

マスターが微笑して言う

「過去にはエルム少佐を… 現代では ハイケルを支援しなきゃならないもんでね?」

軍曹が苦笑する マスターが軽く笑って皿を拭きながら言う

「だから エルム少佐のデータを消去なんて してくれなければ良かったってのに… 過去の情報部主任を恨みたいねぇ」

軍曹が呆気に取られて言う

「ちなみにその 過去の情報部主任のお名前は?」

マスターが言う

「それが 残されて無いんだ」

軍曹が呆気にとられて言う

「え?」

マスターが皿を置いて言う

「もしかしたら エルム少佐のデータと一緒に 消去されちまったのかもな?いくら国防軍のデータベースから消去した所で その主任の頭の中までは 消せないだろ?だから 秘守義務って奴で」

軍曹が言う

「なるほど…」

マスターが言う

「…にしても、面白いもんだな?」

軍曹が疑問して言う

「はぇ?」

マスターが言う

「エルム少佐だよ」

軍曹が衝撃を受けて言う

「はあっ!?エ、エルム少佐が お、面白い… とは?」

マスターがコップを拭きながら言う

「元は アーヴィン君のお爺様に付く悪魔の兵士なんだろ?それが今は 現代の剣 …しかも 政府の剣である ラミリツ攻長閣下に付いている… 一体どう言う事なんだ?」

軍曹が気付いて言う

「あ、ああっ その件に関しましては 祖父上が エルム少佐へ ラミリツ攻長の補佐をするようにと ご命令を」

マスターが気付いて言う

「ああ、そう言う事?」

軍曹が言う

「はい、どう言った経緯かは 詳しく伺っていないのでありますが 何らかの切欠で ラミリツ攻長が 祖父上やエルム少佐とお会いし そして、ラミリツ攻長の兄君を救出し… その後は ラミリツ攻長が 政府の攻長として 立派になるまでを エルム少佐が補佐する と言う事になったらしく…」

マスターが言う

「へぇ… それで エルム少佐は ラミリツ攻長に 悪魔の兵士や アールスローン戦記の原本に関する情報まで教えてるのか…?それも アーヴィン君のお爺様からの御命令か?」

軍曹が困って言う

「は…?あ… いえ、自分には そこまでは分かりかね…」

マスターが苦笑して言う

「あぁ 悪い そうだよな?…まぁ エルム少佐が 自分の仕える ヴォール・ラゼル・ハブロス様に ご迷惑が掛かる様な事を 勝手に話してしまう事は無いだろうから きっと 大丈夫なんだろう?」

軍曹が言う

「あ、はいっ そちらは 間違いないかと!」

マスターが微笑して言う

「うん …所で?アーヴィン君は 今日は午後の訓練は?」

軍曹が衝撃を受ける 軍曹の携帯が鳴る 軍曹が慌てて携帯を着信させて言う

「おっ!お待たせしまし…!」

携帯からハイケルの怒りを抑えた声が聞える

『軍曹っ 今 何処に居るんだ 君はっ!?まさかとは思うが 何処かの喫茶店で コーヒーなど飲んでいるのでは ないだろうなっ?』

軍曹が衝撃を受けて言う

「なぁあっ!?さ、流石 少佐ぁーっ!?」

携帯からハイケルの怒りを抑えた声が聞えている 軍曹が慌てている マスターが軽く笑う 軍曹の携帯からハイケルの声が聞える

『現地集合で良い… さっさと来いっ!』

携帯が切れる 軍曹が慌てて言う

「りょ、了解っ!…と、言います事でっ!マスタぁー お邪魔致しましたぁっ!自分はこれにて 失礼致しますっ!」

マスターが言う

「ああ、お疲れさん」

軍曹が走って出て行く マスターが言う

「あれじゃ アーヴィン君にハイケルが仕えてるんじゃなくて その逆だなぁ?これも 世代の違いって奴なのかねぇ?」

マスターがコーヒーを飲む


【 政府重役会議 】


政府の重役たちが一堂に会する中 ラミリツが席に座っていて 後ろに2人のエルムβが立っている 重役1が言う

「カルメス元長官が 解任となった今 我々政府の 新たな長官を 誰にするか…」

重役たちが顔を見合わせる 重役2が言う

「長官は 政府の各機関を代表する者だ 言うまでも無い それら幅広い知識を 身に付けた者である必要がある」

重役3が言う

「果たして 本当に そうだろうか?今までの様に その様なやり方をとっていては また 同じ事を繰り返す事になるのでは?」

重役4が言う

「今までの者が それらに広い知識を持っていたとは言い切れん むしろ 知識ではなく それら各機関の長たちと 個人的な繋がりがあるだけであった とも言える カルメス長官の以前までの者がそうであった様に」

重役の1人が咳払いをして重役4へ目配せで ラミリツを示す 重役4がはっとしてバツの悪そうに言う

「い、いや… もちろん 繋がりはあるに越した事は無いが」

ラミリツが言う

「良いよ 私の兄であった メイリス元長官が 皇居宗主であったカルメス殿を頼っていた事は確かだ」

重役4が視線を落とす ラミリツが言う

「それで?誰にするか決まったの?さっきから 同じ話を繰り返しているだけに聞えるけど?」

重役たちが顔を見合わせる ラミリツが息を吐く 重役5が言う

「で、では 我々政府の長官は やはり 我々政府の象徴である 攻長閣下へ 兼任をお願いするというのは?」

重役たちが顔を見合わせる 重役1がラミリツへ言う

「攻長閣下 如何でありましょうか?」

重役たちがラミリツを見る ラミリツが顔を上げて言う

「君たちがどう認識しているのかは知らないけど 今アールスローンは 帝国との戦争を目前にしているんだよ?分かってんの?」

重役たちが驚き顔を見合わせる ラミリツが表情を顰めそっぽを向いて言う

「話になんない…」

エルムβが言う

「『攻長は 政府の剣』」

ラミリツが苦笑して言う

「分かってるよ エルム」

ラミリツが重役たちへ向き直って言う

「…従って 政府の長官には 相応の者を 私とは別に用意してもらいたい …帝国との戦いに 目を背けず 私共々国防軍と力を合わせ アールスローンの為に戦える者を」

重役たちが顔を見合わせざわつく ラミリツが言う

「これだけ言っても分からない?なら 任命しようか?今度は 人質を取られての任命じゃない 僕からのお願いって事になるから 断ってくれても良いけど」

重役たちがラミリツを見る ミックワイヤーだけ視線を落として居る ラミリツが視線を向けて言う

「アロル・メイシュ・ミックワイヤー警察長」

重役たちが驚いて顔を向ける ミックワイヤーが落としていた視線を上げ驚く ラミリツが言う

「私は 貴方なら 信頼出来る」

ミックワイヤーが顔を左右に振って言う

「いえっ 私にはお引き受け出来ませんっ 私は あのサーカス会場で起きた事件に 関連する者ですっ 政府機関の1つである政府警察の長である私が 外国の方をも巻き込む事件を 未然に防ぐ事が出来なかったっ 本来であるなら この地位に居座っている事さえ 許されない者ですっ その私がっ 長官になど…っ」

ラミリツが言う

「それを悔いる思いがあるのなら 十分だよ 貴方はあの時でさえ 最終的にカルメス長官に逆らい 事件を解決させた …貴方が私に 連絡をしてくれなかったら 事件はもっと酷い事になっていた筈だ」

重役たちが顔を見合わせる ラミリツが言う

「と、言っても 最終的に決めるのは君たちだよ 私は 政府の象徴であって 長官ではないからね?」

ラミリツが身を静める エルムβが言う

「『上出来だ』」

ラミリツが微笑する


【 マイルズ地区 イベント会場 】


周囲でイベントが行われている ハイケルが周囲を見渡しイヤホンを押さえて言う

「イベント会場 メインステージ前 異常なし」

イヤホンに無線が入る

『こちら A地点 異常なし』 『B地点 異常なし』 『C地点 異常なし』 『D地点 異常なし』 『サブゲート前 異常なし』 『メインストリート 異常なし』

ハイケルが言う

「了解 各班 警戒態勢を維持しろ」

ハイケルがステージを見上げる 軍曹が走って来て言う

「お、遅くなりまして 申し訳ありませんーっ!少佐ぁっー!」

ハイケルが言う

「君に処罰を与えられる者が居ないからと 気が緩んでいるのではないか?軍曹」

軍曹が表情を困らせて言う

「う…っ そ、そうかもしれませんっ 改善致しますっ!」

ハイケルが言う

「当然だ」

軍曹が敬礼して言う

「はっ!」

ハイケルが周囲を警戒している 軍曹がハイケルを見てから視線を落とし考える メインステージ上にガイズ1が現れ叫ぶ

「聞けー!アールスローン国民よ!我々は今こそっ!この国の 腐った政府に 立ち向かう時なのだー!」

ハイケルと軍曹がメインステージを見る ガイズ1が続けて叫ぶ

「我々は 反政府組織ガイズ!」

ハイケルと軍曹が驚く ガイズ1が続ける

「我々は!以前からこの国の政府のやり方に 疑問を持ち!独自に調べて来た!この国の政府は!恐れ多くも 我らアールスローンの女帝陛下を すり替えたのだ!」

軍曹がハイケルを見て言う

「少佐っ 取り押さえますかっ!?」

ハイケルが言う

「いや、奴は 出場ナンバーを胸に付けている 正式手続きの上 ステージに上がっている証拠だ 我々に取り押さえる権限は無い」

軍曹が言う

「しかしっ」

ガイズ1が言う

「そうでなければ!我々アールスローン国民へ危害が及ぶ 政府のやり方を ご了承などされる筈が無い!皆!目を覚ませ!今こそ 我々ガイズと共に!腐った政府の連中と!あの偽物攻長を 叩き潰せー!」

軍曹が表情を怒らせ一歩踏み出す 軍曹の腕が掴まれる 軍曹が驚き振り向く ハイケルが言う

「心配ない」

軍曹が怒って言う

「しかしっ!少佐っ!」

観客からステージ上へ空き缶が投げ付けられる 軍曹が驚いて見る 観客たちが次々にステージ上へ物を投げ付けて言う

「お前こそ 叩き潰されろー!」

「攻長閣下は 私たちを助けてくれたのよ!」

「何も知らねーで 吼えてんじゃねー!」

ガイズ1が驚き 投げ付けられる物にから身を守りつつ慌ててステージから逃げる 軍曹が呆気に取られる ハイケルが言う

「サーカス会場や カルメス邸 いや、以前にあった 政府収容施設の事件 それらにおいて ラミリツ・エーメレス・攻長閣下が 対人マシーナリーと戦っていた姿は メディアを通じ 国民の目に見えていた 一度は落ちた 彼への評価だが 現在は元の位置より 高まっていると言える」

軍曹が驚いて言う

「なんと…っ」

ハイケルが言う

「それに 君自身への影響も 変わっている様だな?」

軍曹が驚いて言う

「え?」

ハイケルが言う

「以前の君であったなら 私の命令に反し 彼への罵倒を押さえに行こうなどは しなかっただろう」

軍曹が呆気に取られる ハイケルが言う

「気を抜いていれば 政府の代表 攻長閣下の方が 国民に支持を受ける事にもなり兼ねない …国防軍の代表 防長閣下にも 死力を尽くして頂きたいものだな?」

軍曹が衝撃を受け慌てて言う

「は、はっ!?そ、その…っ ぜ、善処致しますっ!」

軍曹が困る ハイケルが微笑する


【 国防軍レギスト駐屯地 食堂横休憩室 】


TVでニュースがやっている キャスターが言う

『本日の政府重役会議により 先日逮捕された カルメス元長官に代わり 政府警察の警察長である アロル・メイシュ・ミックワイヤー警察長が 政府長長官へ就任 そして、新たな警察長には 政府警察機動部隊隊長であった…』

隊員Bが驚いて言う

「あー!この人!」

隊員Aが言う

「この前 俺たちと合同になった 警機の隊長…っ」

隊員Bが言う

「だよね!?だよねー!?スッゲー!警機の隊長だった奴が 警察長だってー!」

隊員Cが言う

「ああ、そう言えば 警機の隊長だって あの人 俺の兄貴が知ってて 国防軍から見ても 良い隊長だって 評価されてたらしいぜ?」

隊員Bが言う

「えー?サッちゃんのお兄さんって 物知りだねー?」

隊員Cが表情をゆがめて言う

「だから… サッちゃんは止めろって」

隊員Aが言う

「サキの兄さんは 国防軍の情報部だったんだってさ?詳しい訳だよな?」

隊員Bが言う

「あー なるほどー」

隊員Fが言う

「サキシュ隊員のお兄さんって事は そんな歳じゃないだろ?何で 国防軍の情報部を辞めてしまったんだ?」

隊員Bが言う

「えー?辞めちゃったのぉ?」

隊員Fが言う

「あ、違うのか?アラン隊員が ”だった”って過去形で言ったから てっきり」

隊員Cが言う

「ああ、その通り 兄貴は俺がレギストに入る直前に 脱退したんだ」

隊員Bが言う

「なんでー?」

隊員Aが苦笑して言う

「バイちゃん…」

隊員Bが疑問して言う

「えー?それって 聞いちゃいけない事?」

隊員Cが言う

「いや、大丈夫だ 別に悪い事があった訳じゃ… いや、多少は悪い事かな?けど 別に気を使うような事じゃないんだ」

隊員Aが言う

「そうだったのか?なら俺も聞きたいな サキの兄さんは この国防軍レギスト駐屯地の情報部だったんだろ?」

隊員Bが言う

「えー!そうなんだ!?それじゃ そのまま居たら サッちゃんのナビも してたかも知れなかったのにー!」

隊員Cが衝撃を受けて言う

「だからっ サッちゃんはっ …って、そうなんだよ 俺も 実はそれを楽しみにして レギストに入ろうと頑張ってたのに 兄貴からそれを聞いた時には 残念だったよ」

隊員Fが言う

「弟が戦場に居るのに そのナビをやるって言うのは ちょっと酷じゃないか?俺がサキシュ隊員の兄さんだったら やっぱり ちょっと」

隊員Cが言う

「いや、何でも この国防軍レギスト駐屯地情報部には 凄い優秀な主任が居たらしくてさ?兄貴はその人を真似して 俺に色々アドバイスしてくれてたんだ 今思い返すと 丁度 任務の時 情報部の連中が 俺たちにナビしてくれる まさに あんな感じで それに もっと詳しくて」

隊員Aと隊員Bが顔を見合わせ 隊員Aが言う

「へぇー 凄いな?」

隊員Cが笑んで言う

「それに 俺たちレギスト機動部隊には 少佐が居るんだ 怖い事なんて無いだろ?」

隊員たちが微笑し 隊員Fが言う

「それもそうだな?」

隊員Bが言う

「じゃー やっぱり 残念だったね?今からでも 戻って来てーって 言ってみたら?少佐の話したら きっと 喜んで戻って来てくれるよ!だって 少佐チョースゲーもん!にひひっ!」

隊員Aが苦笑する 隊員Cが言う

「いや、兄貴は 少佐の事は良く知ってるんだ それに 任務を一緒にした事もあるって」

隊員たちが驚く

「えっ!?」

隊員Cが言う

「だから 尚更なんだってさ 俺から少佐の話聞くたびに レギストは宝の持ち腐れだって いつも言ってる それに、俺はマーガレット中佐が戻るなら いつでも国防軍レギスト情報部に 飛んで帰る ってさ」

隊員たちが呆気に取られ 隊員Fが言う

「マーガレット中佐って 確か以前」

隊員Bが言う

「国防軍15部隊と合同した時だよね?防長閣下の軍曹を お迎えに行けーって作戦だったやつ」

隊員Aが苦笑して言う

「それだけじゃなくて 攻長閣下や 当時政府の長官だった メイリス元長官を保護しろって 作戦でもあったじゃないか?」

隊員Bが苦笑して言う

「にひひっ そうだっけ?…あ、でも 俺覚えてるよ?その時の作戦で 俺が手榴弾どっかーんして アッちゃんが殴った警機の人 この前の作戦の時にも居たよねー!」

隊員Aが衝撃を受け慌てて言う

「お、思い出させないでくれよっ バイちゃんっ これから国防軍は その警機とも 合同で任務をするかもしれないんだからっ!」

隊員Bが笑顔で言う

「喜びの再会だねー!アッちゃん!」

隊員Aが慌てて言う

「喜びじゃなくて 気まずい再会っ!…とにかく バイちゃん その時は頼む!」

隊員Bが疑問して言う

「えー?」

隊員Aが言う

「バイちゃんの その まったーりペースで 何とか場を凌いでくれっ!」

隊員Bが疑問して言う

「俺の まったーりペース ってー?」

隊員Fが笑う 隊員Cが苦笑して言う

「ま、言えてるな?俺たちにとって警機は 宿敵 ライバルみたいなモンだったのに これからは 手を組むのか…」

隊員たちがTVを見る


【 皇居 女帝の間 】


女帝の御簾がある その両脇に 軍曹とラミリツが立っている 御簾の前に ミックワイヤーが跪いて言う

「アロル・メイシュ・ミックワイヤー 政府長長官の任 天上天下我らがアールスローン国女帝陛下の下 謹んで取り計らう事を 誓います」

ラミリツが僅かに微笑する ミックワイヤーが御簾へ一礼をした後 ラミリツへ向き一礼し 軍曹へ向き一礼する 軍曹が一瞬驚く ミックワイヤーが一歩下がり 御簾へもう一度礼をする


【 マスターの店 】


TVに皇居の映像が映り キャスターが言う

『政府就任発表から間もなく 本日中に行われた 政府長長官就任の挨拶の際 政府の新長官となられた アロル・メイシュ・ミックワイヤー長官の 3礼を受け 国防軍長アース・メイヴン・ハブロス総司令官は 長く続いて来た 国防軍と政府の冷戦の終了と認識し アロル・メイシュ・ミックワイヤー長官と 近々 対話の機会を持ちたいとの心境を 発表致しました』

マスターがコーヒーを淹れている 老紳士がTVを見ていて言う

「遂に 戦いが始まったか」

マスターが疑問して言う

「え…?」

マスターが老紳士にコーヒーを出しながら言う

「陛下の御簾の前で行われる 勢力長の3礼は 政府、国防軍の 冷戦終了を意味するのでは?」

老紳士が言う

「確かに これで政府と国防軍… アールスローン国内の戦いは 一時の休戦となった …しかし」

老紳士がコーヒーを飲む マスターが視線を細めて言う

「…帝国との戦いが 始まると?」

マスターが沈黙する 老紳士が息を吐いて言う

「ブレンドを変えられましたな?マスター」

マスターが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う

「ええ、少し変えてみたのですが …お口に合いません様でしたら すぐに淹れ直します」

老紳士が一口コーヒーを飲んで言う

「いや… これはこれで 結構結構」

マスターが苦笑して言う

「有難う御座います …しかし、本当に ご無理はなさって頂かなくとも?」

老紳士が言う

「いーや?私は マスターがこの店を出された時からの常連だと 自負しているのですが」

マスターが微笑して言う

「はい、ですので 私としましても ご満足の頂けない物は お出しする事は出来ませんと」

老紳士が頷いて言う

「この味は マスターがこの店を出されて 間もない頃のものだ」

マスターが驚いて言う

「え?…いや、そんな筈は」

老紳士が微笑して言う

「マスターの今のお気持ちが その時と同じなのではありませんか?」

マスターが呆気に取られる 老紳士が微笑して言う

「これから どのように変わられるのか… フォッフォッフォ… また私の日々の楽しみが 始まりそうです 結構結構…」

老紳士がコーヒーを飲む マスターが呆気に取られた状態から苦笑して言う

「敵いませんね?」

老紳士が笑う

「フォッフォッフォ…」


【 ハブロス家 食堂 】


軍曹が息を吐きながら扉を入ると執事が言う

「お帰りなさいませ アーヴァイン様 …お疲れのご様子ですね?何か疲れの和らげるお飲み物を 食前酒の代わりにお出し致しますか?」

軍曹が苦笑して言う

「うむ その様に頼む …流石 レミックなのだ 心遣いを感謝する」

執事が微笑して言う

「お褒めに預かり 光栄に御座います …しかしながら 只今は少々 お飲み物だけでは お疲れが取られきられない 食堂となっておりますが どうかご了承を」

軍曹が疑問し視線を先へ向け衝撃を受けて言う

「うむ?それはどう言う…?ぬ!?ぬあぁーっ!?」

ラミリツが食事の手を止め顔を向けて言う

「うるさいなぁ 食事の時くらい 静かに出来ない訳?」

軍曹が表情を困らせて言う

「す、すまん 自分は つい… エ、エルム少佐の お姿に反応を…」

エルムが食事の手を止め顔を向けて言う

「悪かったな」

軍曹が衝撃を受ける ラミリツが言う

「気にしなくて良いよ エルム 僕が一緒に食べようって誘ったんだから ゲストの意見が尊重されるのは 当然」

エルムが言う

「そうだな」

軍曹が衝撃を受け表情を困らせつつ言う

「は、はぁ…」

執事が飲み物の乗ったトレーを持って来て苦笑して言う

「アーヴァイン様 お席の方へ」

軍曹が苦笑して言う

「う、うむ…」

軍曹が席に向かう ラミリツが料理に手を付けながら言う

「長官の決定に時間が掛かったから 予定通り進まないかと思って ヒヤヒヤしちゃったよ」

エルムが言う

「政府の決定事項に 時間が掛かる事は予定通りだ」

ラミリツが言う

「じゃ 僕が急かしたのって 良くなかった?」

エルムが言う

「それも予定通りだ」

ラミリツが苦笑して言う

「流石」

ラミリツが食事を食べる 軍曹が言う

「その作戦と言うのは やはり エルム少佐が作られた 作戦であろうか?」

ラミリツが言う

「アンタ 相変わらず 馬鹿なんだから… そんな訳ないだろ?エルムは機動部隊の隊長なんだ 政府の重役会議の作戦なんて 立てられる訳無いじゃない?」

軍曹が言う

「う、うむ… そうであった…」

エルムが言う

「元機動部隊の隊長だ」

ラミリツが苦笑して言う

「ああ、そうだったね 今はラゼル様の 私設自衛小隊隊長だっけ?」

エルムが言う

「それで正しい」

軍曹が言う

「では、その作戦を立てたのは?」

ラミリツが言う

「ラゼル様に決まってるだろ?分かれよ?」

軍曹が驚いて言う

「祖父上がっ!?」

エルムが言う

「正確に言うのであれば 作戦は立てたのではなく 過去の情報から算出した と言うのが正しい」

ラミリツが言う

「60年位前の情報だっけ?凄いよね そんな前の事を あんなに詳しく思い出せるなんて」

エルムが言う

「確かに 奴自身の記憶から蘇らせている情報もあったが 殆どがアールスローン戦記に記された情報だ 思い出しているのではなく 読み解いているというのが正しい」

軍曹が言う

「アールスローン戦記から…?それは一体どう言う意味なのであろうか?エルム少佐?」

エルムが一度軍曹を見てから 食事に戻る 軍曹が衝撃を受ける ラミリツが言う

「とりあえず これで 明日にでも ハブロス総司令官とミックワイヤー長官の対話で 両勢力の協力協定が実現すれば それで アールスローンの法律は 双方信仰になって 政府と国防軍は手を組む事になる… そうしたら 僕もアールスローン戦記の攻撃の兵士じゃなくなるし 後は… 何かあったっけ?」

エルムが言う

「それからは お前が手を出す必要は無くなる 後は 国防軍総司令官と 政府長官が決める事だ」

軍曹が言う

「あ、あの~ そ、それは…?」

ラミリツが微笑して言う

「そ …じゃ また アールスローン戦記の 原本の話でも聞かせてよ エルム?」

軍曹が衝撃を受けて言う

「なあっ!?」

エルムが言う

「私が知っているのは アールスローン戦記の原本に記されている ごく一部 主に 悪魔の兵士に付いての事だけだ それ以外の事を知りたいのなら 直接奴へ聞け」

ラミリツが言う

「それじゃ 悪魔の兵士の話だけで良いよ アールスローン戦記で面白いのなんて その辺りだけでしょ?」

軍曹がエルムを見る エルムが言う

「私は 面白いとは思わない」

ラミリツが苦笑して言う

「ふふっ でも僕は気になるんだ 何で不死身って言われるの?何度でも蘇るって どう言う意味?」

軍曹がハッとして ラミリツを見てからエルムを見る エルムが言う

「不死身ではない 致命傷を受ければ死ぬ」

ラミリツが言う

「でも 蘇るんでしょ?」

エルムが言う

「そうだな」

ラミリツが言う

「ひょっとして あのデコイの事?エルム本人じゃなくて デコイが身代わりになるから死なないって事?」

エルムが言う

「そうではない」

ラミリツが言う

「じゃ、やっぱり このエルムが死んじゃったら 別のエルムに 変わっちゃうって事?」

エルムが言う

「物理的に言えば そうと言う事になる」

ラミリツが言う

「なんだぁ それじゃ 蘇らないじゃない?」

エルムが言う

「そうであっても 私は 私となる」

ラミリツが疑問する

「エルムじゃないけどエルムになる?…意味分からないや ねぇ もっと詳しく教えてよ?」

軍曹が真剣な表情になる エルムが立ち上がって言う

「そうだな しかし今は 奴の下へ戻る」

ラミリツが顔を上げて言う

「あ、なら 僕も行くよ 今日の事 ご報告しないと」

ラミリツが立ち上がる エルムが言う

「報告は不要だ 作戦は完了したと伝えてある」

ラミリツが苦笑して言う

「そ …けど 僕はラゼル様に会いたいんだ だから一緒に行く」

エルムが言う

「了解」

エルムが歩き出す ラミリツが苦笑してから続く 軍曹が2人を見上げてから視線を落として言う

「じ、自分も… 聞きたかったのだが …なんと言うか 実に入り込めない空気が…」

軍曹が困り 自棄食いをする


【 国防軍、政府 対話会場 室外 】


左サイドに警機 右サイドに国防軍が並んでいる


【 国防軍、政府 対話会場 建屋外 】


左サイドに警機 右サイドにレギストが並んでいる 隊員Aが表情を顰め唾を飲む 隣で隊員Bが笑って言う

「にひひっ アッちゃんっ アッちゃんっ!」

隊員Aが隊員Bへ向いて焦って言う

「言わないでくれっ バイちゃんっ!…何でいつも 寄りによってっ あの隊員と一緒なんだよっ!?」

隊員Aの正面に 警機隊員1が立っていて隊員Aをじっと見ている 隊員Aが汗を掻く 隊員Bが笑っている


【 国防軍、政府 対話会場 室内 】


左サイドにラミリツとミックワイヤー 右サイドに軍曹とアースが居る アースが微笑して言う

「政府長長官へのご就任 おめでとう御座います ミックワイヤー長官」

ミックワイヤーが苦笑して言う

「有難う御座います ハブロス総司令官 政府の就任パーティーも開かなかったもので お祝いを言って頂けたたのは ハブロス総司令官が初めてです」

アースが苦笑して言う

「随分とお急ぎだったのですね 正直 この対話は その就任パーティーの後になると 思っていたもので 少々焦りました」

ミックワイヤーが言う

「それは 失礼致しました」

アースが言う

「いえ 迅速な政府警察機動部隊と言うのも 心強いものです」

ミックワイヤーが苦笑して言う

「っはは 応援要請を出す以前に 要請現場へ到着している 国防軍レギスト機動部隊には敵いません」

軍曹が一瞬呆気に取られ微笑する アースが軽く笑って言う

「っはは 待機命令違反を 考慮しておきます」

軍曹が衝撃を受ける ラミリツが呆れる アースが言う

「…さて それはそうと 折角この場を 急いで提供して頂けたのです …以前のお話の続きを?」

ミックワイヤーが頷いて言う

「はい、政府と国防軍の共同協力協定など とっくに締結されていると言う物です」

アースが頷く ラミリツと軍曹が横目に視線を合わせ微笑する


【 国防軍レギスト駐屯地 食堂 】


隊員Aが食事を前に溜息を吐いて言う

「あー… しんどかった…」

警備部隊員が言う

「TVで見たぜ?国防軍と政府の対話は成立したって!お前らレギストも 会場の警備に配置されてたんだろ?」

隊員Aが言う

「あぁ… それが 何でか知らないんだけど 国防軍と警機で共同任務になる時 俺、いつも 曰くある警機隊員と会う事が多くてさ… 今日なんてそいつの目の前で 対話中ずっと整列してなくちゃいけなくて…」

隊員Aがガクッとうな垂れる 警備部隊員が笑って言う

「っはははっ なんだよそりゃ?まぁ これからはそんな警機と国防軍は手を組むんだし もし次に会ったりしたら 挨拶でもしてみたらどうだ?」

警備部隊員が食事を食べる 隊員Aが言う

「リッちゃんまで バイちゃんと同じ事言わないでくれよ?俺は 以前にそいつの顔面を 全力で右ストレートしたんだぜ?挨拶なんかしたら まず一発殴られるって!」

警備部隊員が衝撃を受ける 隊員Aが溜息を吐いてから食事に手を付ける 隊員Bが食堂に入って来て言う

「アッちゃん!アッちゃん!大ニュースー!」

隊員Aと警備部隊員が隊員Bを見て 隊員Aが言う

「んー?どうしたんだよ バイちゃん?」

隊員Bが笑んで言う

「今、シャワールームで少佐に聞いたんだけど!今日の午後は 警機と合同訓練だってー!」

隊員Aが衝撃を受ける 隊員Bが喜んで言う

「別部隊との合同訓練!しかも 相手は警機だよ!俺チョー楽しみー!」

隊員Aが表情を落とす 警備部隊員が苦笑して言う

「あー… 例の警機隊員と 合同にならない事を祈っててやるよ…?」

隊員Aが言う

「言わないでくれよ!リッちゃん!嫌な予感がビンビンしてるんだから!」

隊員Bが笑んで言う

「にひひっ たっのしみ~!」


【 国防軍レギスト駐屯地 訓練所 】


ハイケルが言う

「これより 国防軍レギスト機動部隊 及び 政府警察機動部隊マイルズ部隊の 合同訓練を行う」

隊員Aが衝撃を受けて言う

「そう言う事だったのか…っ」

隊員Aの横に警機隊員1が立っている 隊員Bが言う

「警機も 担当区域で部隊が別れてたんだねー?これじゃ 会うのは当ー然ー!」

ハイケルが言う

「尚、本日の訓練は この国防軍レギスト駐屯地にて行う為 訓練内容は 我々国防軍レギスト機動部隊の訓練に沿ってもらう事となる 今後とも 両部隊は合同で任務に当たると言う可能性も考慮し 手加減等は一切行わない事を前提に 基礎訓練、実戦訓練を行う …それで良いな?」

ハイケルが警機を見る 警機隊員たちが敬礼して言う

「はっ!」

ハイケルが言う

「良し では まずは基礎訓練を開始しろ 軍曹」

軍曹が敬礼して言う

「はっ!少佐っ!」

軍曹がレギスト隊員たちへ向いて叫ぶ

「通常訓練の1!開始ぃー!」

隊員たちが言う

「はっ!了解!」

隊員たちが腕立てを開始する ハイケルが警機へ言う

「通常訓練の1は 腕立て600回だ 終了した者は報告を 尚 国防軍レギスト機動部隊副長である アーヴァイン軍曹より遅れを取ったものは 更に100回が加算される 700回にしたくない者は 急げ」

警機隊員たちが慌てて言う

「はっ!了解っ!」

警機隊員たちが腕立てを開始する


軍曹が立ち上がって叫ぶ

「どうしたぁー!お前たち!お前たちはそれでも レギスト機動部隊 及び 警機マイルズ部隊の隊員であるのかー!気合を入れよーっ!」

レギスト隊員の2班と警機隊員の半数(2班)が残っている レギスト隊員1班が言う

「軍曹!自分たちは終了しました!ご指示を!」

軍曹が笑んで言う

「よぉおし!お前たち!通常訓練の2に先んじて 駐屯地周回 30週を与える!自分に続けー!」

1班が敬礼して叫ぶ

「はっ!有難う御座います!軍曹っ!」「軍曹に続けーっ!」

警機隊員1班たちが呆気に取られる ハイケルが言う

「どうした 通常訓練の1が終了しているのなら お前たちも同じだ」

警機隊員1班たちが慌てて言う

「は、はっ!了解っ!」 


軍曹が叫ぶ

「通常訓練1から3 終了致しましたぁーっ!少佐ぁーっ!」

ハイケルが言う

「ご苦労 では 実戦訓練へ移行する レギスト機動部隊は 各自 訓練所へ向かい 訓練を開始しろ」

隊員たちが言う

「はっ!」 「了解っ!」

レギスト隊員たちが散って行く ハイケルが警機へ向いて言う

「警機マイルズ部隊に関しては これより 諸君の メインアームを確認する」

警機隊員たちが顔を見合わせて言う

「メインアーム?」

ハイケルが先行して言う

「付いて来い」

警機隊員たちが言う

「はっ!了解!」

警機隊員たちがハイケルに付いて行く


【 警機マイルズ基地 】


ホームルが言う

「ほう… メインアームか …それは面白い それで、午後の訓練は一通り終わりか?」

警機隊員が言う

「はっ!それぞれのメインアームの確認、決定 後に訓練を行い 終了致しましたっ!」

ホームルが言う

「そうか …半日ではあったが 国防軍レギスト機動部隊の訓練を行った 感想はどうだ?」

警機隊員が言う

「はっ!基礎訓練とされたそれらの訓練は 苦しい部分もありましたが 実戦訓練とされた 射撃訓練等は これと言った指導は無く 個人での自習訓練であったものと思われます」

ホームルが言う

「分かった 報告ご苦労 明日は我々政府警察機動部隊マイルズ部隊の訓練を 彼らへ教える番だ 諸君もいつも以上に気合を入れ 訓練に臨んでくれたまえ」

警機隊員が敬礼して言う

「はっ!」

警機隊員が敬礼して出て行く ホームルが微笑して言う

「噂に聞いていた 国防軍レギスト機動部隊だったが 訓練内容は特別厳しいものでもない 隠しているのか?又は…?どちらにせよ 彼らへ我々の訓練を 行わせてみれば分かる事だ」

ホームルが笑む


【 政府警察機動部隊マイルズ部隊基地 訓練所1 】


ホームルが言う

「国防軍レギスト機動部隊 隊員諸君 政府警察マイルズ基地へ 良く来てくれた 昨日は私の隊員たちが世話になった 本日は その我々の訓練を 政府警察機動部隊マイルズ部隊の隊員たちと共に 励んでくれたまえ」

ハイケルがレギスト隊員たちへ視線を向ける レギスト隊員たちがホームルへ向かって敬礼して言う

「はっ!了解っ!」

ホームルが頷いて言う

「よし、では 訓練内容の方は その訓練の前に説明 もしくは 我々警機隊員たちの訓練を参考に行ってもらう 訓練施設を使う訓練では 慣れない諸君に苦労を掛けるかも知れないが…」

ホームルがハイケルを見る ハイケルが言う

「問題ない」

ホームルが微笑し レギスト隊員たちを見て言う

「諸君の隊長から許可を得た よって そちらも 我々のやり方に従ってもらう」

レギスト隊員たちが身構える 隊員Bが笑んで言う

「にひひっ どんな訓練か たっのしみ~!ねー?アッちゃん?…ん?アッちゃん?」

隊員Aが表情を固めて正面を見据えて言う

「いやっ 何もっ!」

隊員Aが冷や汗を掻いている 隊員Bが疑問して視線を横に向けると 警機隊員1が隊員Aの隣に整列していてじっと見ている 隊員Bが笑いを抑える ホームルが言う

「それでは早速開始する まずは準備運動だが 折角の機会だ 2人一組で行うその準備運動を 警機マイルズ部隊と国防軍レギスト機動部隊の 双方隣り合う隊員と行え」

隊員Aが衝撃を受けて言う

「なぁあーっ!?」

隊員Bが爆笑している 隊員Aの横に警機隊員1が来て笑んで言う

「よろしくな?”アッちゃん”?」

隊員Aが衝撃を受けぎこちなく振り返って言う

「よ、よろしく…」

警機隊員1が言う

「あんたの右ストレートは利いたぜ ボクシングでもやっているのか?」

隊員Aが言う

「い、いやっ あ、あれは…っ その 少佐直伝で…っ」

警機隊員1が言う

「少佐?…ああ、噂は知ってる 国防軍レギスト機動部隊の隊長 ハイケル少佐… 警空の空撃機を1人で落としたとか… 国防軍の本部を1人で襲撃したとか… っははっ どんなゴツイ大男かと思ってたら ただのスカしたガキで驚いたぜ?」

隊員Aがムッとする 警機隊員1が笑んで言う

「本当にあいつが噂の ハイケル少佐なのか?」

隊員Aが目を細めて言う

「それ以上言うのなら その少佐直伝の右ストレートを もう一度お見舞いする」

隊員Aが手を握り締める 警機隊員1が笑んで言う

「今度は負けはしない …と、言いたい所だが 今は政府警察と国防軍の合同訓練中だ 仲良くしようぜ?」

隊員Aが言う

「あんた次第だ」

隊員Bが呆気に取られてその様子を見ている 警機隊員2が隊員Bの前に来て言う

「ごめんな、あいつ 本当はそんなに悪い奴じゃないんだけど 以前の任務の時 お前たちにやられたのが メチャクチャ悔しかったみたいで」

隊員Bが気付いて振り返ると笑んで言う

「なーんだ!じゃ、今はちょっと 虫の居所が悪いってやつー?」

警機隊員2が一瞬呆気に取られた後苦笑して言う

「ああ、そんな感じだ あいつはうちの部隊で ナンバーワンとかツーとかって頑張ってる奴だから 変に力入っちゃっててさ」

隊員Bが微笑して言う

「気にしない 気にしなーい!アッちゃんも うちのレギストでは 軍曹に次いでナンバーツーみたいな感じだから!あいつとは良いライバルってやつだねー!」

警機隊員2が微笑して言う

「レギストのナンバーツーか なるほど、通りで強い訳だな?あんたの手榴弾も 怖かったけど」

隊員Bが言う

「にっひひっ!俺の手榴弾どっかーんは 少佐直伝だもんねー!」

警機隊員2が言う

「ハイケル少佐だろ?俺も 正直 想像していたより若くて 昨日は驚いたけど」

隊員Bが言う

「少佐は 俺やアッちゃんとタメで 若いけど スッゲーんだよー!メチャクチャ強えーし メチャクチャ面白れーし!にひひっ!」

警機隊員2が言う

「あんたも面白いし 強えーと思うよ 何しろ あのレギストだもんな?」

隊員Bが呆気に取られてから笑んで言う

「俺たちは まだまだーっだよ!いっつも軍曹にそう言われてるし!少佐には全然届かないし!だから もっと訓練するんだー!」

警機隊員2が頷いて言う

「そっか …よし、それじゃ まずは準備運動だ」

隊員Bが言う

「了解ー!」


ホームルが言う

「次は通常装備の訓練を行う!政府警察機動部隊!総員 ハンドガン構え!」

警機隊員たちが横一線にハンドガンを構える レギスト隊員たちがその後方に居る ホームルが言う

「撃てー!」

警機隊員たちが一斉にハンドガンを放ち 的に命中する ホームルが言う

「では次!国防軍レギスト機動部隊 総員 ハンドガン構え!」

隊員Aがハンドガンを構える 警機隊員1が目を細める レギスト小銃班 機関銃班の一部が 慌ててハンドガンを取り出し構える 隊員Bと一部の隊員が気付き 隊員Bが言う

「隊長ぉー!」

ホームルが隊員Bを見て言う

「どうしたっ!?ハンドガン構え!」

隊員Bが言う

「ハンドガン 無いでありまーす!」

ホームルが衝撃を受け言う

「なっ?」

ホームルがハイケルへ向く ハイケルが言う

「国防軍レギスト機動部隊では 主武装、副武装に ハンドガンを用いない隊員が存在する」

ホームルが呆気に取られて言う

「だからと言って 最も標準的装備である ハンドガンを携帯しないとは…」

ハイケルが言う

「悪かったな」

ホームルが言う

「い、いや…」

ホームルが隊員たちへ向き直り ホームルが言う

「では、お前の所持している銃火器は何だ!」

隊員Bが言う

「はーっ!自分は サブマシンガンと 手榴弾でありまーす!」

ホームルが表情を顰め 横目にハイケルを見てから 改めて言う

「サブマシンガンは別の訓練にて使用する よって」

隊員Bが言う

「了解ー!では 手榴弾で!」

ホームルが言う

「警機隊員より 借り受けよっ!」

隊員Bが言う

「えー?」

ホームルが言う

「他にも ハンドガンを携帯していない 国防軍レギスト機動隊員は…」

警機隊員2が苦笑してハンドガンを渡して言う

「俺の使ってくれ」

隊員Bが笑顔で受け取って言う

「うんっ ちょっと借りるね!ありがと!」

他の隊員たちが警機隊員たちからハンドガンを受け取る ホームルが言う

「では 改め!国防軍レギスト機動部隊 総員 ハンドガン構え!」

レギスト隊員たちがハンドガンを構える ホームルが言う

「撃てー!」

レギスト隊員たちが一斉に撃つ 的に当たる他に 的を外れ的を固定している金属に当たり 金属音が周囲に鳴り響く 警機隊員たちが呆気に取られ笑いを堪える ホームルが表情を顰めて言う

「もう一度!国防軍レギスト機動部隊 総員 ハンドガン構え!」

レギスト隊員たちがハンドガンを構える ホームルが言う

「狙え!撃てー!」

レギスト隊員たちが一斉に撃つ 的に当たる他に 的を外れ的を固定している金属に当たり 金属音が周囲に鳴り響く 警機隊員たちがぷっと吹き出し笑いを堪える 隊員Bが苦笑して言う

「やっぱ 俺 ハンドガンの命中率 低っけー!にひひっ!」

他のレギスト隊員が言う

「俺も駄目だ」

「そう言えば ハンドガンなんて 久しぶりに撃ったなー?」

隊員たちが笑う ホームルが表情を顰めハイケルを見る ハイケルが言う

「問題ない」

ホームルが気を取り直して言う

「では次!必須時利用銃火器の訓練を行う!二人一組となり 互いの射撃状況を確認!射撃姿勢 共に 命中状況に問題が無いか 確認を行え!」

隊員Bが笑んで言う

「必須時利用銃火器って事は 俺は サブマシンガンでも良いよね?」

警機隊員2が言う

「ああ、俺たち警機の必須時利用銃火器は 小銃の事を意味するんだけど サブマシンガンでも良いと思う どちらも 銃火器だからな?」

ホームルが言う

「では、今度は 国防軍レギスト機動部隊から行う 必須時利用銃火器 構えー!」

軍曹が言う

「隊長ーっ!申し訳ありませんっ!」

ホームルが言う

「どうしたっ!?銃火器であるなら何でも良い!必須時利用銃火器 構え!」

軍曹が言う

「自分はっ 銃火器の類が一切使えない為!必須も何も!銃火器は1つも持ち合わせて いないでありますっ!」

ホームルが衝撃を受け表情を顰めて言う

「なぁっ!?」

ホームルがハイケルへ顔を向ける ハイケルが言う

「残念ながら 説明の通りだ」

ホームルが言う

「軍隊の兵士でありながら 銃火器が一切使えない…?」

ハイケルが言う

「彼は守りの兵士だ 盾を持って守る事が出来れば それで良いんだ」

ホームルが呆れて視線を落としてから軍曹へ向いて言う

「ふむぅ… よし、では お前はそこで 腕立てでもしていろ!」

軍曹が言う

「はっ!了解っ!」

軍曹が腕立てをしている ホームルが一息吐いてから気を入れ直して言う

「ではっ!気を取り直し!その他 国防軍レギスト機動部隊!必須時利用銃器 構えー!」

軍曹以外のレギスト隊員たちが メインアームを構える ホームルが言う

「撃てー!」

レギスト隊員たちが一斉に射撃する 警機隊員たちが驚く ホームルが呆気に取られハイケルへ視線を向ける ハイケルが言う

「悪くない」

ホームルが的を見て言う

「…確かに」

ホームルが呆気に取られている ハイケルが疑問して言う

「どうした 次は警機の番だ」

ホームルがハッとして慌てて言う

「あ、ああ …では次!政府警察機動部隊!必須時利用銃火器 構えー!」

警機隊員たちが慌てて小銃を構える ホームルが一呼吸置いて言う

「撃てー!」

警機隊員たちが一斉に射撃する ホームルが表情を渋る ハイケルが言う

「月並みだな」

ホームルが密かに悔しがってから言う

「準備運動 並びに 基本銃火器の訓練は終了だ!次の訓練へ向かう!総員!基本訓練所へ移動!」

総員が敬礼して言う

「「はっ!」了解!」


【 政府警察機動部隊マイルズ部隊基地 訓練所2 】


レギスト隊員たちが呆気に取られて言う

「なんだぁ?こりゃ?」

隊員たちの視線の先 下面が全て水のアスレチック系訓練設備がある ホームルが言う

「次は この施設を利用した訓練を行う 先行は 警機マイルズ部隊 訓練用銃火器を所持し 開始地点へ向かえ」

警機隊員たちが敬礼して言う

「はっ!」

警機隊員たちが訓練所にある小銃を手に取って開始地点へ向かう ホームルが言う

「レギスト機動部隊は 警機隊員たちの後にスタートする 訓練用の銃火器を持て そして、この訓練を初めて行う諸君は 失敗時に構え 現在所持している 銃火器等は預け置いておく事を推奨する」

隊員Cが設備を見て言う

「確かに これじゃ 設備から足を滑らせた瞬間 水に落ちて 銃火器の火薬類が全滅だ~」

隊員Aが言う

「なんったって 下が全部水なんだ?まるで水泳でもやれって感じだよなぁー?…なぁ?バイちゃん?…ん?バイちゃん?」

隊員Aと隊員Cが隊員Bを見る 隊員Bが表情を困らせて言う

「ね、ねぇ~ アッちゃんー… あの水… 普通の水 かなぁ… 飲み水とか… シャワーに使われるのと同じー?」

隊員Aが疑問して言う

「え?それは… うーん ちょっと 分からないが いくら海が近いと言っても 海水って事は無いと思うけど?何で?それに 多分 そう深くも無いと思うけど?」

隊員Bが表情を落とす 隊員Cが言う

「ん?何だ?もしかして バイスン隊員 泳げないのか?」

隊員Bが衝撃を受ける 隊員Aが苦笑して言う

「ああ なんだ?そう言う事か?バイちゃん?」

隊員Bが困って言う

「う… うんー… 多分 …それに 俺 あー言う 溜まってる水って 怖いー… もし… 落ちたら…」

隊員Bが俯く 隊員Aと隊員Cが顔を見合わせる ホームルが隊員Aたちを見て言う

「どうした!レギスト隊員 すぐに開始出来る様 警機隊員らの後方へ集合しろ!」

隊員Aと隊員Cがホームルを見て敬礼して言う

「「はっ!了解っ!」」

隊員Aが隊員Bへ向いて言う

「まぁ、これは 水泳訓練じゃなくて その上の設備を使った訓練なんだから 水深はそんなに無いよ?きっと… だから 泳げなくっても大丈夫な筈さ」

隊員Bが隊員Aを見て苦笑して言う

「そ、そうだよね… それに… そうだっ!落っこちなければ 良いんだよね!?」

隊員Aが笑って言う

「ん?ああ、そうそう!」

隊員Cが微笑し頷くと3人が集合場所へ向かう ハイケルが遠目に見ている ホームルが言う

「では 先行!政府警察機動部隊!訓練開始っ!」

警機隊員たちが言う

「はっ!政府警察機動部隊!訓練開始しますっ!」

警機隊員たちが次々に 水の上にある足場を使って越えて行く ホームルが言う

「次!国防軍レギスト機動部隊!」

レギスト隊員たちが訓練用の小銃を持って スタート位置に着く 隊員Aが横目に隊員Bを見る 隊員Bが視線を落とす 隊員Aが心配して言う

「バイちゃ…」

ホームルが言う

「訓練開始っ!」

レギスト隊員たちが言う

「はっ!国防軍レギスト機動部隊!訓練開始しまーすっ!」

隊員たちが一斉に走り出す 隊員Bが遅れて出発する 隊員たちが次々に悲鳴を上げ 足場から足を滑らせて落ちる

「のわーっ!」

隊員Bが呆気に取られている前で 最後まで残っていたレギスト隊員が落ちる レギスト隊員たちが落ちた浅い水に腰を濡らしつつ 顔を見合わせて笑う 隊員Aが振り返り隊員Bへ言う

「バイちゃーん 悪い 落ちた!っはははっ」

隊員Cが苦笑して言う

「けど 全然浅いぜ?これじゃ 溺れたくても 溺れられねーよな?っはははっ!」

隊員Bが苦笑する ホームルが怒って言う

「馬鹿者っ!これは訓練であるから良いもののっ!実際には 下に何があるかは分からんっ!溺れる事への心配などではなく 足場から落ちぬ事を学べ!訓練続行!」

レギスト隊員たちが返事をする

「はっ!了解っ!」

隊員たちが立ち上がり水の中を移動して岸へ向かう 隊員Bが隊員たちの移動で揺れる水面を見て 目を見開き怯え小銃を落として頭を抱える ホームルが隊員Bに気付き怒って言う

「そこの隊員っ!何をしているっ!まだ開始位置に居たのなら お前もすぐに訓練を開始しろっ!訓練開始っ!」

隊員たちが水から上がり水音がする 隊員Bが強く目を瞑り頭を左右に振ってから叫ぶ

「少佐ぁーっ!」

ハイケルが言う

「バイスン隊員は この訓練を棄権する」

ホームルが驚きハイケルを見て言う

「何っ!?」

ハイケルが言う

「バイスン隊員 下がれ」

隊員Bがハイケルを見て喜んで言う

「了解っ!少佐ぁーっ!」

隊員Bが開始位置から離れる ホームルがハイケルへ向き直って言う

「実動時には 何があるかは不透明!隊員の希望で 訓練を棄権するなど そのような事を 許して良いとっ!?」

ハイケルが言う

「彼は私の隊員だ 例え 政府警察機動部隊と合同訓練を行おうとも その事に変わりは無い 最終決定権は私にある」

ホームルが言う

「両部隊の訓練を通し 互いの能力を高めようというのが この合同訓練の主旨たるものっ 従って 相手の訓練に参加している場合は 相手の隊長へ指揮権を預けるとっ!」

ハイケルが言う

「指揮権は預けようとも レギストは彼らの個性を尊重する その為に 私が同行している」

ホームルが呆気に取られてから苦笑して言う

「ふっ …随分と甘い部隊だな?国防軍レギスト機動部隊とは」

ハイケルが言う

「余計なお世話だ」

ホームルが鼻で笑い訓練所へ視線を戻す 訓練所でレギスト隊員たちが苦戦している ホームルが微笑して横目にハイケルを見る 隊員Bが2人を見て表情を落とし ハイケルの近くへ行って言う

「少佐ぁ… 俺のせいで…」

ハイケルが言う

「問題ない 他の隊員が訓練を終了するまで お前は通常訓練をやっていろ」

隊員Bが笑み言う

「はっ!了解っ!少佐ぁーっ!」

隊員Bが腕立てを開始する ホームルが横目に見る


ホームルが言う

「午前の訓練は これで終了だ 1時間の休憩の後 再びこの場所へ集合せよ では、解散!」

警機隊員たちが敬礼して言う

「はっ!」

レギスト隊員たちが慌てて敬礼して言う

「はっ!了解っ」

ホームルがレギスト隊員たちを見て苦笑して立ち去る レギスト隊員たちがずぶ濡れで顔を見合わせて苦笑し ハイケルを見る ハイケルが言う

「昼食は彼らと同じく 会館の食堂を利用して良いとの事だ 午後の訓練開始まで 各自自由に休憩しろ」

軍曹が言う

「申し訳ありませんでしたぁーっ!少佐ぁーっ!」

ハイケルが言う

「何だ 軍曹」

軍曹が表情を困らせて言う

「はっ!その… 自分の不甲斐なさは今更でありますがっ 特に 後半の訓練施設を用いての訓練では 警機の隊員たちに追い付く所か レギスト隊員一同 この有様で」

軍曹が隊員たちを見る 隊員たちが顔を見合わせ視線を落とす ハイケルが言う

「問題ない 普段からこの施設訓練を行っている 彼ら警機隊員に遅れを取る事は当然だ そして… そもそも この施設自体 出来が悪い」

隊員たちが驚く ハイケルが言う

「更に言うのなら 今の所 彼らの訓練内容に 国防軍レギスト駐屯地で行っている 我々の訓練より 秀でている部分は見受けられない これが後も続くのであれば 合同訓練自体を 考える必要がある …以上だ」

ハイケルが立ち去る 隊員たちが顔を見合わせた後 隊員Fが微笑して言う

「なんだ てっきり 怒られるかと思ってたけど」

隊員たちが顔を見合わせて言う

「少佐は俺たちの味方だな?」

隊員Bが言う

「そんなの とーぜーん!だって 本当は 合同訓練の相手側へ行く時には 相手の隊長に全部委任して 隊長は来ちゃいけないのに 少佐は俺たちと一緒に来たんだよー!?俺たちが あの隊長に 苛められないようにってねー!」

軍曹と隊員たちが驚く 隊員Aが苦笑して言う

「バイちゃんー それは 少佐が皆には言わないようにって バイちゃんにだけ教えてくれた 秘密だったんだろ?…て 俺は皆より一足先に バイちゃんから 今朝 聞いてた訳だけど」

隊員Bが気付いて言う

「あー!そうだったぁー」

隊員Aが苦笑して言う

「駄目だなぁ バイちゃん 国防軍秘守違反で 3ヶ月間の給与3割減給と 駐屯地周回1000週だぞ?」

隊員Bが衝撃を受けて言う

「えぇーっ!?皆ぁー 少佐には 俺が言ったの 内緒にしてーっ!?ねーっ!?」

隊員たちが顔を見合わせ苦笑して言う

「しょーがない それじゃ」

「今回だけ見逃してやるか?」

隊員たちが笑う 軍曹が笑む


【 政府警察機動部隊マイルズ部隊基地 館内 】


ホームルが歩いている 後方からハイケルが来て言う

「ホームル隊長」

ホームルが立ち止まり振り返り言う

「何かな?ハイケル隊長」

ハイケルが来て言う

「午後の訓練内容を教えてもらいたい」

ホームルが微笑して言う

「先に確認をして 隊員たちへ備えを行わせようと?ご自分の隊員たちへ 少々過保護なのでは?」

ハイケルが言う

「そうではない 不要な訓練であるなら 午後の合同訓練は辞退し 国防軍レギスト駐屯地へ戻り 普段の訓練を行いたいと考えている」

ホームルが一瞬表情を顰めて言う

「ハイケル隊長 政府警察機動部隊と国防軍部隊の合同訓練は 昨日始まったばかりだが?」

ハイケルが言う

「そもそも 扱う任務が異なる 国防軍と警察が 同じ訓練を行う事は 効率的であるとは言えない 今回の事は 国防軍と政府が手を組んだ その証のようなものであり 合同訓練を行ったと言う 記録さえ残れば良いんだ」

ホームルが苦笑して言う

「っはは… 随分ハッキリと言われる 嘘でももう少し 穏やかに言ってみては?」

ハイケルが言う

「嘘は嫌いだ 真意を曖昧にする 中途半端な言い方も 好きではない」

ホームルが言う

「そうか… では こちらもハッキリ言ってしまえば 午後の訓練も 恐らく 貴方の部隊にとっては 面白くは無いものとなるだろう 一人一人のメインアームではなく 全員が同じ武器を扱っての訓練となる」

ハイケルが言う

「了解 では 辞退させてもらう」

ハイケルが立ち去ろうとする ホームルが言う

「しかし、こう言うのはどうかな?ハイケル”少佐”」

ハイケルが立ち止まって視線を向ける ホームルが言う

「警察であっても 国防軍であっても 同じ任務を担当すると言う事はあるものだ その任務を再現させた上で 我々警機マイルズ部隊と国防軍レギスト機動部隊の …対戦 と言うのは?」

ハイケルが向き直って言う

「悪くない」

ホームルが微笑する


【 政府警察機動部隊マイルズ部隊基地 訓練所3 】


ホームルが言う

「午後の訓練は この施設を使い 2部隊による 実戦訓練を行う」

警機とレギストの隊員たちが驚き顔を見合わせ レギスト隊員たちがハイケルを見る ハイケルがホームルを見る ホームルが言う

「2部隊の振り分けは 言うまでも無い 政府警察機動部隊マイルズ部隊と 国防軍レギスト機動部隊の 2部隊だ」

レギスト部隊員たちが笑んで言う

「よしっ」 「今度こそっ」 「勝ったも同然っ」

ホームルが言う

「正し、使用武器に関しては 警機マイルズ部隊 国防軍レギスト機動部隊共に 全隊員が警機訓練用サブマシンガンを使用する」

レギスト部隊員たちが衝撃を受け ハイケルを見る ホームルが微笑してハイケルを見て言う

「宜しいかな?ハイケル少佐」

ハイケルが言う

「固定武器の訓練に 許可など不要だ」

ホームルが苦笑して言う

「それは レギストの敗北を観念されたと?」

ハイケルが言う

「不利な条件が多いからな」

ホームルが言う

「武器を固定されるだけで 勝敗が分かれる様では」

ハイケルが言う

「時間が惜しい 今更辞退するとは言わない 早く終わらせてくれ」

ホームルが苦笑し レギスト隊員たちへ向いて言う

「武器は固定となるが 噂に聞く 国防軍レギスト機動部隊の実力を 見せてくれたまえ」

隊員たちが顔を見合わせ 隊員Bが言う

「えー サブマシンガンではあっても 自分のじゃないのかぁ~」

隊員Aが苦笑して言う

「自分のじゃなくても バイちゃんは 得意銃器じゃないか?俺なんて一番不得意な 銃火器だぜ?」

隊員Bが言う

「それはそうだけどー?午前中に警機のハンドガン借りて思ったんだ やっぱ 国防軍のとは 違うなーって」

隊員Aが言う

「そうなのか?」

隊員が言う

「ああ、それ 俺も思った いくら久しぶりに撃ったにしたって 的を外すほど 俺は下手じゃなかった筈なんだよ」

「あのハンドガン 撃った瞬間 やたら銃口が上がるんだ 国防軍のとは 反動がかなり違うみたいだな」

隊員Bが言う

「そうそうー サブマシンガンなんて その反動をどう調整するかが 命中率の決定だろー?あのハンドガンみたいに変わるんじゃ チョーやり辛いと思うんだよねー?」

隊員Aが考える 軍曹が言う

「隊長ー 自分は 自分の所持する訓練用の盾を使用しても 宜しいのでしょうか?」

ホームルが考えてから言う

「うん?…うーむ いや、今回は 全隊員が同条件だ 訓練用のサブマシンガンですら 使用出来ないと言うのであれば 君は棄権したまえ」

軍曹が衝撃を受け表情を落として言う

「りょ… 了解であります」

軍曹がレギスト隊員たちから離れて言う

「皆… すまん…っ」

隊員たちが顔を見合わせた後 隊員Fが言う

「少佐ーっ!」

隊員たちがハイケルを見る ホームルが反応しハイケルを横目に見てから隊員Fを見る 隊員Fが言う

「少佐も軍曹も居られない状態で 自分たちへの指示は どうなるのでありましょうか?」

ハイケルが言う

「気にするな 折角得られた 警機のサブマシンガンを使用訓練出来る機会だ ホームル隊長の指示に従え」

隊員たちがホームルを見る ホームルが苦笑して言う

「良いのかな?何か指示を送るのなら 今の内にお願いしたいのだが?」

ハイケルが言う

「指揮権はそちらにある 訓練指導は 指揮権を持つ隊長の役目だ」

ホームルが苦笑して言う

「あー言えば こー言う… 歳相応に子供か…」

ハイケルが言う

「悪かったな」

ホームルが顔を背けて小声で言う

「おまけに 可愛くも無い…」

ハイケルが言う

「よく言われる」

ホームルが表情を顰める


ホームルが言う

「政府警察機動部隊は 建物の南から 国防軍レギスト機動部隊は 建物の北から進入 敵対する部隊の蛍光弾を受けたものは戦闘不能とし 目的地 建物三階奥の部屋へ 最初に辿り着いた部隊の勝利とする 尚、建物内各フロアには 標的が設置されている それらの標的を全て射撃してから 次の階へ向かうように」

警機隊員たちが敬礼して言う

「はっ!」

レギスト隊員たちが顔を見合わせて言う

「それだけ…?」

「作戦とか無いのか?」

「班割りもなし?一箇所から突入って事か?」

レギスト隊員たちがホームルを見る ホームルが言う

「以上が作戦だ 何か分からなければ 自分たちで考えろ」

レギスト隊員たちが顔を見合わせる


隊員たちが北側の出入り口前にマシンガンを持って集まっている 隊員Bが言う

「とりあえず やってみるしかないー って感じー?」

隊員Aがマシンガンを持って言う

「そんな感じだな?」

隊員Cが言う

「俺たちは 警機のマシンガンを体験訓練する機会だけど 警機の連中にとっては これは実戦訓練だろ?こっちも気合入れていかないと また無様な姿を 少佐に見せる事になるぜ?良いのか?」

隊員Dが言う

「けど、その少佐も なんだかやる気無いみたいじゃなかったか?」

隊員Nが言う

「俺、通路で聞いちゃったんだけど 少佐は午後の訓練辞退して 国防軍レギスト駐屯地で 普段の訓練やりたかったんだってさ?だから 適当に終わらせちゃって良いんじゃないか?」

隊員Bが言う

「なるほどー じゃー 皆で突入して 一気に警機にやられちゃう?」

隊員Aが苦笑して言う

「いくらなんでもそれじゃ… 多少は撃たないと駄目だろ?」

隊員Xが言う

「軍曹は居ないし 少佐の無線も無いし メインアームも無し 自分はやる気ゼロであります…」

隊員たちが顔を見合わせ苦笑する ホームルの声が施設内のスピーカーから聞える

『これより 政府警察機動部隊及び レギスト機動部隊の 実戦訓練を行う 両部隊 訓練開始!』

警機隊員たちが建物南側のドアを開け 次々に突入して行く


レギスト隊員たちが頷き合い 1人がドアを開けると全員がドアの左右に身を隠し 通路の先を見る


警機隊員たちが第1通路を突破 左右の通路に2手に分かれて進み 身を隠して標的を探し 発砲する


レギスト隊員たちが反応し 隊員Aが言う

「銃声だっ」

隊員Cが言う

「遠くないっ もう近くまで警機が来てるのかっ!?」

隊員Xが言う

「俺が先行する!皆 俺を盾にしてくれっ」

隊員Fが苦笑して言う

「ゼクス隊員は 本番ではちゃんと盾を持ってるんだ 今回は… 訓練だもんな?」

隊員Xが頷く 隊員Aが言う

「よし、それじゃ 最初の盾役は任せた!次は …きっと俺だから な?バイちゃん?」

隊員Aが隊員Bを見る 隊員Bが不満そうに言う

「えー?俺 そんな酷い事 考えないしー」

隊員Aが衝撃を受けて言う

「バイちゃんっ!この期に及んで 酷いぞ!?」

隊員Bが笑んで言う

「にひひっ」

隊員たちが隊員Xを見る 隊員Xが頷いて突入する 隊員たちが続く


警機隊員たちが次々に標的を撃破し 先へ進もうと合図を送り合い頷きどんどん進む 外部でハイケルとホームルが モニターで内部の様子を見ている ホームルが苦笑して言う

「噂に聞いていたレギストは 警機よりずっと足が速いとの事だったが… 訓練ではそうは行かないのかな?ハイケル少佐」

ハイケルが言う

「言った筈だ 不利な条件が多いと」

ホームルが言う

「武器の固定以外に レギストへ不利を与えたつもりは無いが?」

ハイケルが言う

「警機隊員たちの動きを見る限り 彼らはこの施設を利用しての訓練を 以前に行っている」

ホームルが言う

「あ… ああ…」

ハイケルが言う

「共に 実戦訓練と銘打っていても 行動は実戦を模してはいない 彼らの動きは 訓練用のもの …対する レギスト隊員たちは 初見の設備で 実戦時と同じ行動を取らざるを得ない」

ホームルが言う

「そうとしても 警機が諸君の訓練施設を使う場合であったら 逆の状態になる 貴方の言う事は 言い訳にしかならないだろう?」

ハイケルが言う

「私が警機の隊員を 国防軍レギスト駐屯地へ招待し その訓練施設を用いての実践訓練を行うのなら 当然 普段施設を使い慣れている自分の隊員たちへ ハンデを背負わせる …武器の固定などは良い例だ」

ホームルが表情を顰める ハイケルが言う

「更に 施設を知らない相手の部隊へ 事前の確認をさせる事は勿論 標的の位置も 自分の隊員たちの知る位置とは変更する それらの事は 別部隊との合同実戦訓練を行うのであれば 当然の処置だ」

ホームルが視線をそらし 不満げに言う

「そうか ではそれらは 私の不手際だな 謝罪しよう」

ハイケルが言う

「だが…」

ホームルがハイケルを見る ハイケルが言う

「設備への慣れなどを度外視しても レギストが普段の状態であるなら 私のレギスト機動部隊は 貴殿の警機マイルズ部隊に勝利出来る」

ホームルが視線を細めて言う

「それは聞き捨てならないな ハイケル少佐」

ハイケルがホームルへ向いて言う

「聞き捨ててくれなくて 結構だ 私は 事実を言っている」

ホームルが言う

「そこまで言うのなら 試してみるか?」

ハイケルが言う

「好きにしろ 指揮官は お前だ」

ホームルがスイッチを押す


設備内にブザーが鳴る 対戦していた警機とレギストの隊員たちが疑問し顔を上げる 設備内のスピーカーから ホームルの声が聞える

『政府警察機動部隊 及び 国防軍レギスト機動部隊は 訓練を一時中断する 各部隊 作戦開始位置へ戻れ』


ハイケルがホームルの傍から立ち去ろうとする ホームルが言う

「先ほど貴方が言った 別部隊との合同訓練を行う際の その処置を 行っても良いが?」

ハイケルが一度立ち止まって言う

「必要ない」

ハイケルが立ち去る ホームルが目を細める


レギスト隊員たちがメインアームを装備する 隊員たちが微笑し顔を見合わせ頷き合うと 軍曹が笑んで言う

「準備完了致しましたぁーっ!少佐ぁーっ!」

隊員たちの視線の先 近くに居るハイケルが言う

「了解」

ハイケルが歩き出す


ホームルがハイケルが自分の居る司令塔へ向かって来るのを確認すると スイッチを押し言う

「間もなく 政府警察機動部隊 及び 国防軍レギスト機動部隊の訓練を再開する 各部隊 作戦開始位置へ」

ハイケルが司令塔の扉を開け入って来る ホームルが言う

「貴方も彼らと共に 設備へ向かうものだと思っていたが?」

ハイケルが司令塔のモニターを一瞥してから言う

「必要ない」

ホームルが視線を細める ハイケルがホームルへ向いて言う

「だが、彼らへ指示を送る 無線の使用を許可してもらいたい」

ホームルが表情を顰めて言う

「警機隊員たちの動きを 逐一知らせようと言う事か」

ハイケルが言う

「それでは訓練にならないだろう 無線は各隊員たちへの行動指示に使用するが 私自身は 訓練開始前に 施設内の様子が伺える この司令塔を出る …それで良いか?」

ホームルが言う

「…ならば良いだろう」

ハイケルが言う

「感謝する」

ハイケルが司令塔を出て行く ホームルが不満げに言う

「隊員たちと同行もせず 司令塔にも入らずに 隊員たちからの無線だけで 施設内部の様子が分かるとでも言うのか?一体どの様に指示を送るつもりなんだ?」

司令塔を離れたハイケルがホームルへ視線を向ける ホームルが頷きスイッチを押す ハイケルがイヤホンを押さえて言う

「無線の使用許可を得た レギスト機動部隊 応答を」

ハイケルのイヤホンから軍曹の声がする

『こちらレギスト機動部隊!了解であります!少佐ぁー!』

訓練施設のスピーカーからホームルの声が聞える

『これより政府警察機動部隊及び国防軍レギスト機動部隊の 実戦訓練を行う 両部隊 訓練開始!』

ハイケルが言う

「国防軍レギスト機動部隊 突入!」

隊員たちが言う

「「「了解っ!少佐ぁーっ!」」」

警機隊員たちが建物南側のドアを開け 次々に突入して行く レギスト隊員の1人がドアを開けると 軍曹と隊員Xが盾を持って突入し隊員たちが続く ハイケルが歩きながら言う

「突入と同時に通路を直進 東西に繋がる通路を2手に別れ進行する ゼクス隊員とAC班は東へ 軍曹とBD班は西へ 後衛部隊は直進 そのまま2階階段付近へ先行 その場にて 後に来るであろう 警機隊員たちを待ち伏せろ」

ハイケルの無線に隊員たちの声が届く

『了解!少佐ぁー!』

ハイケルがレギスト隊員たちの開始位置へ到着し 通路の先を見る 隊員たちが東西の通路へ向かって行く 警機隊員たちが第1通路を突破 左右の通路に2手に分かれて進み 身を隠して標的を探し発砲する ハイケルが言う

「C班D班は標的の撃破を A班B班は援護を行なえ 敵部隊は発見と同時に 射殺しろ」

隊員Aがハンドガンで狙いを付け 警機隊員たちを次々に撃つ 警機隊員たちが驚き 慌ててレギスト隊員たちへ銃を向ける 隊員Bが叫ぶ

「どっかーんっ!」

警機隊員たちが一瞬驚く 隊員Bが笑んでサブマシンガンを放つ 警機隊員たちが次々やられ 後方の警機隊員たちが慌てて銃撃すると 隊員Xが隊員Bの前に盾を構える 警機隊員たちの蛍光弾が盾に当たる 隊員Aが壁に 隊員Bが隊員Xに身を隠しながら銃を放つ 対戦していた警機隊員たちが呆気に取られ 自身の受けた蛍光弾の痕を見て顔を見合わせ倒れる 隊員Bが喜んで言う

「いえーい!手榴弾作戦成功ー!」

隊員Aが苦笑して言う

「手榴弾作戦が成功って言うより ゼクス隊員のお陰だろ?」

隊員Bが笑んで言う

「にひひっ やっぱり?」

隊員Xがが言う

「いや、バイスン隊員の手榴弾もどきで 確かに 警機隊員たちは一瞬怯んでいたよ 本物の手榴弾を使えていたら もっと効果的だった筈さ」

隊員Bが言う

「ゼクちゃん さっすがー!良く見てるー!」

隊員Xが苦笑する 隊員Aが言う

「あんまり煽てないでくれよ?ゼクス隊員 バイちゃんすぐ 調子に乗るんだから」

隊員Xが笑う

「っはは」

隊員Bが言う

「えー?」

隊員Fがイヤホンを押さえて言う

「こちらC班!標的を全て撃破しました!少佐っ!」

隊員Aが言う

「A班も 通路へ進行して来た 警機隊員を全て撃破しました!少佐っ!」

イヤホンにハイケルの声が届く

『C班及びA班 了解だ 同2班は 後衛部隊の援護へ向かえ』

隊員Aと隊員Fが言う

「「了解っ!」」

A班C班メンバーが顔を見合わせ頷き通路を戻る 


警機隊員たちが銃を放ち壁へ隠れる 通路の先から銃撃が向かって来る 警機隊員2が言う

「向こうには 盾を持った隊員が居る こちらの攻撃は全て防がれてしまうぞ どうするっ!?」

通路の先で軍曹が盾を構えている 警機隊員3が言う

「どうするって言われてもっ 使用出来るのは サブマシンガンだけだ 盾を持つ者を相手にするには 強力な攻撃で押し倒すしかないが サブマシンガンじゃ無理だ」

警機隊員1が言う

「こんな時の為に 必須時利用銃火器があるんだろ?」

警機隊員1がライフルを用意する 警機隊員2が慌てて言う

「待てっ そちらには訓練用蛍光弾は装填されていないっ これは訓練なんだぞ!?」

警機隊員3が言う

「そうだっ それに この訓練では サブマシンガンを固定武器にする様にと!ホームル隊長の命令だっ」

警機隊員1が不満げに言う

「そもそも 部隊ナンバーツーのアイツを 隊長にしたのが間違えなんだ 俺が隊長になっていれば 武器の固定なんて詰まらん事はしないっ 黙って見てろ!」

警機隊員1がライフルを構える 警機隊員2が慌てて言う

「おいっ!やめろっ!」


隊員Cがイヤホンを押さえて言う

「こちらD班っ!目標を全て撃破しました!」

隊員Iがイヤホンを押さえて言う

「こちらB班っ 敵対部隊に苦戦中っ!奴ら影に隠れてばかりで 射撃出来ませんっ」

イヤホンにハイケルの声が届く

『D班及びB班 了解だ 軍曹 敵対部隊の戦力はどうだ?』

軍曹が言う

「敵対部隊の攻撃は サブマシンガンのみを確認 押さえに問題は無いでありますっ!少佐っ」

イヤホンにハイケルの声が届く

『軍曹 了解だ 今回は訓練とは言え 実戦を想定して作戦を続ける 敵対部隊の次なる攻撃へ備えた上で B班及びD班は 敵対部隊の制圧へ向かえ 軍曹 突入だ』

軍曹が言う

「了解でありますっ!少佐ぁーっ!」

軍曹が隊員たちを振り返って言う

「皆っ!行くぞっ!自分に続けーっ!」

隊員たちが笑み 隊員Cが言う

「了解!軍曹!」

隊員Iが言う

「B班D班!軍曹に続けーっ!」

軍曹を先頭にB班D班が通路を戻る 警機隊員1が通路から現れ ライフルを放つ 軍曹がハッとして盾を構える 盾にライフルの連射が当たる 軍曹が表情を顰めて言う

「うっ…!?…なんのっ!まだまだぁーっ!」

警機隊員1が表情を顰めライフルの連射を放ち続ける 軍曹が表情を顰め盾を押さえる 盾の内側に銃撃によるくぼみが出来始める 軍曹の影に隠れていた隊員たちが気付いて 隊員Cが言う

「お、おいっ!?訓練用の蛍光弾が こんな威力を持ってるもんなのかっ!?」

隊員Iが銃を構えて言う

「距離が近過ぎるっ 盾が持たなくなる前にっ!とめるぞ!」

隊員たちが銃を放つ 警機隊員1に沢山の蛍光弾が当たる 警機隊員1が銃撃を続ける 隊員たちが驚いて 隊員Jが立ち上がって言う

「おいっ!被弾したんだから 攻撃を止めて 倒れろよ!」

警機隊員1が隊員Jを見てライフルの銃口を向ける 隊員Jが驚く 警機隊員2が言う

「おいっ!やめろ!」

警機隊員1がライフルを放つ 隊員Jが呆気に取られる 隊員Gが慌てて隊員Jの腕を引っ張る 隊員Jがバランスを崩して倒れると 銃弾が頬を掠める 隊員たちが隊員Jの切れた頬に伝う血に驚く


レギスト後衛隊員たちとA班C班が 階段の前で 警機隊員たちと銃撃戦を行っている 隊員Bがイヤホンを押さえて言う

「少佐ぁー?後衛部隊用の盾に ゼクス隊員を置いて 俺たちA班とC班だけで 2階へ先行しても良いでありますかー?」

イヤホンにハイケルの声が届く

『今回は先行部隊は無しだ お前たちはそのまま B班D班の合流を待て』

隊員Bが言う

「了解でありまーす」

隊員Bが警機隊員たちへ向く 隊員Aが言う

「先行は無しなら 俺とバイちゃんで B班D班の応援に行くか?このままだと 後衛部隊と連携を取る訓練だって言ってた 少佐の作戦 出来なくなっちまうぜ?」

後衛隊員が言う

「ああ、このままだと 2階へ向かうまでも無く 警機隊員たちを殲滅させちまいそうだぁ」

隊員Aが言う

「それじゃ 俺から少佐に現状を説明して B班D班の応援に行っても良いか 聞いてみるよ」

後衛隊員が言う

「ああ、そうしてくれ」

隊員Aがイヤホンを押さえて言う

「少佐ーっ」

イヤホンにハイケルの声が届く

『B班D班への応援は不要だ お前たちは現状を維持しろ』

隊員Aが衝撃を受けて言う

「なっ!?何んでまた 先行して俺のセリフを…?」

ハイケルが言う

『バイスン隊員の無線マイクが オンのままだからだ』

隊員Aが隊員Bを振り返って言う

「バイちゃんっ!」

隊員Bが苦笑して言う

「えー?だってぇ~」

イヤホンからハイケルの声が届く

『問題ない B班D班 制圧はどうなった?』

イヤホンから隊員Fの緊迫した声が届く

『少佐っ!緊急事態でありますっ!』

隊員たちが驚き疑問する イヤホンからハイケルの声が届く

『どうした?』


ホームルが呆気に取られている ホームルの視線の先 モニターの一つに 警機隊員1がライフルを乱射している姿が映っている


ハイケルが走りながら言う

「レギストと警機の合同訓練は現時刻を持って中止する レギスト隊員は警機隊員へ伝達 及び 別命あるまで現状待機 …ゼクス隊員!」


隊員たちが警機隊員へ言う

「合同訓練は中止だー!」 「警機とレギストの合同訓練は中止ー!」

警機隊員たちが呆気に取られて周囲と顔を見合わせる 隊員Xがイヤホンを押さえて言う

「はっ!こちらゼクス隊員っ!」

イヤホンから ハイケルの声が聞える

『お前は私と共に 現場へ急行する』

隊員Xが一瞬呆気に取られてから言う

「は?自分が!?」

隊員たちの前をハイケルが横切り ハイケルが隊員Xを見て言う

「来いっ!」

隊員Xが慌ててハイケルを追いながら言う

「りょ、了解っ!」

レギスト隊員たちがハイケルと隊員Xの過ぎて行った先を見る 警機隊員たちが顔を見合わせる


警機隊員1がライフルを放つ 隊員たちが軍曹の影に隠れる 軍曹の持つ盾に弾丸がめり込んでくる 軍曹が気付き言う

「全員 物陰へ退避せよ!これ以上は盾が持たんっ!」

隊員たちが顔を見合わせる 警機隊員2が言う

「おいっ!好い加減にしろ!自分が何をやっているのか 分かってるのかっ!?」

警機隊員1がライフルを警機隊員2へ向ける 警機隊員2が驚くと 警機隊員1が警機隊員2へライフルを放つ 警機隊員2が慌ててマシンガンの側面を盾にしつつ悲鳴を上げる

「ぐあっ!」

警機隊員2が後方へ弾き飛ばされる 警機隊員3が驚き警機隊員1を見る 警機隊員1が警機隊員3へライフルを向ける ハイケルが走って来て言う

「ゼクス隊員!」

隊員Xが言う

「了解っ!少佐ぁー!」

警機隊員1が振り返りハイケルへライフルを向け放つ ハイケルが回避する 軍曹が叫ぶ

「少佐ぁーっ!」

警機隊員1が軍曹へ向く ハイケルが警機隊員1の間近へやって来て ライフルを蹴り上げる 警機隊員1が一瞬悲鳴を上げる

「ぐっ!?」

警機隊員1が体勢を崩しつつ再びライフルを構えようとすると ハイケルが警機隊員1を殴り飛ばす 警機隊員1が悲鳴を上げる

「ぐあっ!?」

警機隊員1が床に倒れ起き上がろうと視線を上げると ハイケルが見下ろして言う

「目は覚めたか?」

警機隊員1がライフルを適当に構えて撃つと 銃弾が他方へ放たれる 隊員Xが警機隊員たちの前に盾を構えて居て その盾に当たる 警機隊員2と3が驚く ハイケルが視線を強めると警機隊員1のライフルを蹴り ライフルが警機隊員1の手を離れる 警機隊員1が言う

「くそっ!」

警機隊員1がライフルへ手を伸ばす ハイケルがライフルを取り 警機隊員1を見て言う

「まだ 続けるというのなら 相応に相手をするが?」

警機隊員1がハンドガンを取り出しハイケルへ向けて言う

「望む所っ!」

ハイケルが目を細める 警機隊員2が言う

「もう止めろ!お前に勝ち目は無いっ!分かっているだろうっ!?」

物陰に隠れている隊員たち 隊員Fが言う

「少佐ーっ!」

ハイケルが言う

「下がっていろ」

警機隊員1が叫びながらハンドガンを放つ

「食らえっ!」

ハイケルがハンドガンの弾丸を回避し警機隊員1のハンドガンを側面から弾くと その腕を掴んで後ろ手に締め上げる 警機隊員1が悲鳴を上げる

「ぐあぁあっ!」

警機隊員1がハンドガンを落とす ハイケルが警機隊員1の膝裏を蹴ると 警機隊員1が倒れる ハイケルが警機隊員1の両腕を拘束して言う

「訓練完了」

隊員たちが呆気に取られる ハイケルが顔を上げ監視カメラへ言う

「政府警察機動部隊 及び 国防軍レギスト機動部隊 合同訓練を終了する」


ホームルが呆気に取られた状態から スイッチを押して言う

『政府警察機動部隊 及び 国防軍レギスト機動部隊 合同訓練を 終了する…』


ハイケルが立ち上がり言う

「レギスト機動部隊 国防軍レギスト駐屯地へ 帰還せよ」

隊員たちが顔を見合わせ苦笑して言う

「了解!少佐ーっ!」


【 ハブロス家 食堂 】


軍曹が言う

「…と 言った感じで 終了したのだが…」

ラミリツが言う

「なんだよそれ 結局 アイツがやっぱ強かった ってだけの話じゃん?」

ラミリツが食事を食べる 軍曹が言う

「う、うむ… 実弾の武器を前に 格闘術だけで相手を抑えるとは 流石 少佐なのであるっ!」

エルムが言う

「当然だ」

軍曹が衝撃を受ける エルムが食事を食べる ラミリツが言う

「そうだよね?アイツは悪魔の兵士だもん それこそ もし実弾に当たって 死んじゃっても 良いんだし?」

軍曹が慌てて言う

「よ、良くは無いのだっ!それに 少佐はっ!…まだ ご自分が 悪魔の兵士である事も ご存知ではあらぬ訳で も、もし その様な状態で し、死んでしまわれたりしたらっ!?それこそっ 蘇る方法も ご存じないかも知れぬ訳でっ」

ラミリツが言う

「何それ?だったら さっさと本人に教えて 蘇る為の用意でも して置いた方が良いんじゃない?帝国との戦いは目前だろ?」

軍曹が言う

「蘇る為の用意?…と言うのは やはり 少佐がご存知なのであろうか?」

ラミリツが言う

「はぁ?アンタ やっぱ馬鹿?自分が悪魔の兵士である事も知らないアイツが 知っている訳無いだろ?取り合えず アンタがやっといてやれよ 防長なんだから」

軍曹が衝撃を受けて言う

「じ、自分がっ!?」

ラミリツが疑問する エルムが言う

「ラミリツ」

ラミリツが気付いて言う

「あぁ… ごめん 余計な事は言わないって 約束だったね」

ラミリツが食事を再開する 軍曹が言う

「ま、待ってくれ それは 全く持って 余計な事ではないのであるっ!実に 重要な事なのだっ!」

ラミリツが言う

「なら、尚更 僕はちゃんと エルムやラゼル様と 約束して聞いたんだし?」

ラミリツがデザートを食べる 軍曹が困って言う

「ま、ますます分からんのだっ!エルム少佐も祖父上も ラミリツ攻長も 皆 自分の仲間である!それなのに 何故 その自分には 教えてくれないのであるかっ!?」

エルムが立ち上がって言う

「ラミリツ 訓練開始は20時10分だ 遅れた場合は 通常訓練を全て100回 追加する」

ラミリツが衝撃を受ける エルムが歩き始める ラミリツが慌てて立ち上がって言う

「100回も追加されるくらいなら デザート我慢した方がマシだよっ ホント意地悪だね エルムって!」

エルムが言う

「悪かったな」

軍曹が立ち上がって言う

「エルム少佐っ!」

エルムが立ち止まる 軍曹が言う

「何故 ラミリツ攻長には教え 自分には教えてくれないのであるかっ!?答えてくれっ!」

エルムが沈黙する ラミリツが表情を困らせ軍曹へ向いて言う

「それは アンタも アールスローン戦記の原本を…」

エルムが軍曹へ顔を向けて言う

「私が お前たちの 敵であるからだ」

軍曹が驚き言う

「なっ!?」

エルムが立ち去る ラミリツが軍曹とエルムを交互に見てから慌ててエルムを追って言う

「ま、待ってよっ そんな言い方って…っ ちょっとっ!?エルムっ!?」

軍曹が呆気にとられて言う

「エルム少佐が 自分たちの 敵…?」


【 マスターの店 】


マスターが考えて言う

「うーん…」

軍曹が言う

「やはり 如何に ご聡明であられる マスターであっても お分かりには…?」

マスターが言う

「思い付く事は 幾つかあるが…」

軍曹が驚いて言う

「さ、流石 マスターっ!自分には 何一つ思い付くようなものなどは…」

マスターが言う

「だが、いくら俺が考えたとしても それは全て想像上のものだ どれが真実か 間違ってるのかの判断も付きはしない やっぱり…」

軍曹が表情を落として言う

「自分が一番会話を出来るのは祖父ですので 祖父上にお話を伺おうと その後向かってみたのでありますが… 自分が向かった先 祖父上の屋敷の警備と ラミリツ攻長の訓練を見て居られたのは エルム少佐の小隊隊員で いざ 祖父上にお伺いしようと伺いました所… い、いつもに増して 恐ろしいオーラを纏った エルム少佐ご本人が 祖父上の傍に居られ…っ」

軍曹が思い出し怯える マスターが苦笑して言う

「いや、それは… エルム少佐も怒りのオーラを出すのは 当然なんじゃないか?」

軍曹が衝撃を受けて言う

「や、やはり あのエルム少佐は お怒りでっ!?実はっ 珍しく祖父上にも 何を怒らせたのかと 問われまして…」

軍曹が怯える マスターがコーヒーを出して言う

「そのエルム少佐はともかくとして 代わりに ラミリツ攻長閣下が 教えてくれたじゃないか?」

軍曹が言う

「え?…ラミリツ攻長が?」

マスターが微笑して言う

「”アールスローン戦記の原本を…” つまり、アーヴィン君の持つ アールスローン戦記の原本を読めば 分かるって事だろ?」

軍曹が衝撃を受ける マスターが苦笑して言う

「俺が言うのも無礼かもしれないが 折角 国宝と言われる程の本を… 物を持っているんだから 素直に読んでみたらどうだ?」

軍曹が言う

「それが… 自分も試みてはいるのでありますが 最近は 今までにも増して ご機嫌が宜しくない様子で…」

マスターが疑問して言う

「え?」

軍曹が言う

「開けど開けど 自分にはさっぱり 理解の出来ない 工学本となっているのであります」

軍曹が言うと共に 白い本を出して開く 白いページに文字が浮かび上がり 機械設計の設計図が現れる マスターが見て驚く 軍曹が視線を落としたまま言う

「もはや 自分には アールスローン戦記の原本は 理解の及ばない物となっており… 真に…」

マスターが言う

「こいつは 凄いっ!凄い資料だっ!」

軍曹が呆気に取られて顔を上げて言う

「はぇ?ま、まさか マスター ご理解を…っ?」

マスターが慌ててPCを起動させて言う

「待てっ そのままっ 動かさないでくれよっ!?」

軍曹が呆気にとられて言う

「は… はぁ?」

店の来客鈴が鳴る マスターはPCに入力作業を行っている 軍曹がマスターを見てから 店の出入り口へ向いて言う

「しょ、少佐ぁっ!?」

ハイケルが言う

「軍曹 来ていたのか 何を話していた?先日の警機との合同訓練の話か?」

軍曹が言う

「あ、はい そちらの話もしていたのでありますが 今は エルム少佐の…」

ハイケルが言う

「エルム少佐の?」

マスターが原本を見る 原本のページに記されていた内容が変化する マスターが慌てて言う

「ああーっ!資料がっ!」

ハイケルが一瞬驚き疑問してマスターを見る 軍曹がマスターを見てから本を見て言う

「あっ しまった…っ」

マスターがデジカメを取って言う

「間に合うかっ!?」

マスターがデジカメのモニターを見る 軍曹が原本を見て言う

「も、申し訳ありませんっ マスター 原本のページは ちょっとした事で この様に変わってしまう事もありまして… ますます 読み辛いのであります」

マスターが言う

「更に こいつは また…」

ハイケルが言う

「どうした?」

マスターが苦笑し デジカメのモニターを見せて言う

「切り替わる前だけじゃない 切り替わった後の表示でさえ 外部記録には写せないみたいだ」

デジカメのモニターには真っ白な本のページが写っている マスターがページをめくりながら言う

「惜しかったなぁ… 帝国の対人マシーナリーの資料だったんだ しかも 今までものとは違う もっと 強力な奴のもので…」

ハイケルが言う

「今までの対人マシーナリーより もっと強力なもので?そのような物も存在するのか …M90では いずれ歯が立たなくなるのかもしれん そうとなれば あのエルム少佐のMT90ですら 必要となる可能性も…」

軍曹が言う

「あ、そう言いませば 少佐、エルム少佐は MT90の製作を取り止めると 仰っていました」

ハイケルが言う

「そうなのか?」

軍曹が言う

「はい、威力を抑えてでも 実用性のあるものを用意させると」

マスターが苦笑して言う

「確かに 1発撃つだけで 人一人がお亡くなりになっちまう銃なんて とても実用的とは言えないね」

ハイケルが言う

「何度でも蘇るのなら 問題ない」

マスターが苦笑して言う

「そうは言ってもな?それこそ マシーナリーはいくらでも作れるんだ その度に死んでたんじゃ 身が持たないんじゃないか?」

ハイケルが言う

「身が持たないから 死ぬのだろう?」

マスターが言う

「そうは言っても 悪魔の兵士だって 痛みは感じるんだし 死ぬほどの痛みだぜ?耐えられないだろ?」

ハイケルが言う

「耐えられないから 死ぬのだろう?」

マスターが苦笑して言う

「いや… そうじゃなくてだな?」

ハイケルが言う

「心配しなくとも エルム少佐のレギスト隊員たちは 痛み止めのモルヒネを打ってくれる」

マスターが苦笑して言う

「なら?今のレギスト隊員たちは… どうなのかねぇ?」

ハイケルが言う

「今のレギスト隊員たちは 俺の隊員だ 奴への対処はしない …かもしれん」

マスターが軽く笑って言う

「それじゃ エルム少佐も 威力を抑えた銃を作る訳だな?」

ハイケルが言う

「奴の小隊隊員にも モルヒネが携帯させられているのだろう」

マスターが苦笑して言う

「さぁて?そいつはどうかね?」

ハイケルが言う

「ふんっ… それで その エルム少佐と小隊が警護する ヴォール・ラゼル・ハブロス邸 襲撃作戦の話なのだが」

マスターが衝撃を受けて言う

「まだ やるつもりだったか!?ハイケル?」

ハイケルが言う

「当然だっ 既に 先行小隊隊員の決定が成された お前へ依頼していた作戦と 屋敷の見取り図はどうなった?」

マスターが言う

「あのなぁ?ハイケル?」

軍曹が苦笑する


【 国防軍レギスト駐屯地 ハイケルの職務室 】


ハイケルがノートPCを操作しながら言う

「作戦製作を依頼して置いたのに 全くその作業を行っていなかったとはっ 伝説のマーガレット中佐が …伝説と成り下がったかっ?」

ハイケルがノートPCを操作し終えてエンターを押す モニターにエラー表示が出る ハイケルが表情を顰めて言う

「やはり 不死身の敵が相手では その敵を倒す作戦に成功は有り得ない そもそも 不死身の者を 撃破する事自体が困難だ そこへ あのエルム少佐の戦力が加われば 必然的に」

モニターに エラー表示が出る ハイケルが溜息を吐き コーヒーを取る ドアがノックされ 隊員Fの声が届く

「フレッド隊員と その他でありますっ!」

ハイケルが疑問する 隊員Bの声がする

「フッちゃん その他とか言ってるー チョー酷いー!」

隊員Aの声がする

「せめて その他の隊員とかって 言わねー?普通?」

隊員Fの声がする

「だったら お前らが声掛ければ良いじゃないか!?」

隊員Cの声がする

「じゃんけん負けといて 負け惜しみ言うなってー」

ハイケルが言う

「フレッド隊員と その他 レギスト隊員であるのなら 入れ」

扉の外で隊員たちが衝撃を受けて 隊員Dが言う

「なるほど レギスト隊員である事が 重要なのか…」

隊員Bが言う

「フレッド隊員と その他レギスト隊員8名 入りまーす 少佐ぁー!」

隊員Aが言う

「なんだ そう言うのが正しかったのか」

隊員Bが言う

「うん!前に少佐から 教わったんだー!」

隊員Fが言う

「知ってたんなら 尚更 言って欲しかったよっ」

隊員Bが笑う

「にひひっ」

隊員たちがハイケルの執務室に入る 隊員たちが敬礼する ハイケルが隊員Fを見て言う

「何だ?」

隊員Fが衝撃を受け周囲のメンバーへ顔を向ける 隊員Bが言う

「フレッド隊員と その他レギスト隊員8名 お願いが有って参りましたー 少佐ぁー」

隊員Fが衝撃を受けて言う

「ここまで来たら もう俺の名前使わなくて 良いだろっ!?」

ハイケルが言う

「お願い?」

ハイケルが隊員Fを見る 隊員Fが衝撃を受けて言う

「はっ はっ!そうでありますっ!」

ハイケルが言う

「何だ?」

ハイケルが隊員Fを見る 隊員Fが衝撃を受けて言う

「うっ… え、えっと…」

隊員Aが言う

「フレッド隊員と その他レギスト隊員8名 先日の警機隊員への少佐の対応術を見て その技を習いたいと 参りました!少佐ぁー!」

ハイケルが隊員Fを見て言う

「特に 何らかの技を 行った覚えは無いが?」

隊員Fが冷や汗を掻いて言う

「な、何で俺に視線が…っ」

隊員Cが言う

「いえっ!少佐のあの華麗なる技の数々は 素晴らしい技でありました!…と、フレッド隊員が言っております!」

隊員Fが衝撃を受け 隊員Cを見て言う

「サキシュ隊員が見てたんだろっ!でもって それは サキシュ隊員の感想だろっ!俺は見てなかったんだからっ!」

ハイケルが言う

「では、”見てなかった” フレッド隊員とその他2名は 何故来た?」

隊員Fが衝撃を受けて言う

「何で俺の名前だけ…」

隊員Bが笑んで言う

「俺とアッちゃんは もっちろん!」

ハイケルが言う

「そうだな バイスン隊員とアラン隊員は 理由を述べなくて良い …フレッド隊員 答えろ」

隊員Fが呆気に取られてから 気を取り直して言う

「自分は… もっと強くなりたいからでありますっ」

隊員Aと隊員Bが顔を見合わせ微笑する ハイケルが言う

「そうか ならば 先日私が行った 犯人拘束処理などを覚える必要は無い あれは本来 警機隊員が学べば良い技だ」

隊員たちが呆気に取られる ハイケルが言う

「現場に居合わせた他の警機隊員が 技術を会得していなかった事は問題だったが 国防軍及びレギスト隊員である お前たちにその必要性は無い よって お前たちが 現状より強くなる事を目的とし その為の訓練を必要とするのならば 私はお前たちへ そちらを与える事が可能だ」

隊員たちが顔を見合わせ 隊員Bが言う

「そっちの方が 強くなれそうかもー!ねー?アッちゃん!」

隊員Aが言う

「ああ!俺らは警機じゃないんだ 警機のための技より 国防軍やレギストとしての技を教えてもらった方が 良いに決まってる!」

隊員AとBがハイケルを見る ハイケルが言う

「アラン隊員とバイスン隊員の意志は確認した その他6名のレギスト隊員はどうなんだ?」

隊員Cが笑んで言う

「アラン隊員とバイスン隊員にばかり 良い格好はさせないぜ!自分も!お願いしますっ!少佐!」

隊員たちが次々に言う

「お願いしますっ!」 「自分もっ!」

最後に隊員Fが言う

「もちろん!自分もっ!お願いします!」

ハイケルが微笑して言う

「よし、では お前たちを ヴォール・ラゼル・ハブロス邸 襲撃メンバーとして 徹底的に鍛え上げるっ」

隊員たちが衝撃を受け 顔を見合わせて言う

「「「えっ!?」」」

「今、少佐 何て言った?」

「ヴォール・ラゼル・ハブロスって 軍曹の御爺様で… 確かあの私設自衛小隊を構えていた…」

「その私設自衛小隊って… あのエルム少佐のっ!?」

「でもって その私設自衛小隊… エルム少佐が警護する 屋敷を しゅ…」

隊員Bが呆気に取られて言う

「襲撃ーっ!?…あ、はは… あはは… しょ、少佐 チョー 面白れ…」

隊員Aが言う

「あ… あぁ… 少佐の冗談が 上達しすぎて もう 付いていけない… んだが?」

ハイケルが言う

「そちらに付いて来る必要は無い そもそも 私は 冗談などは 言っていない」

隊員たちが衝撃を受ける 隊員たちが集まって言う

「どうする!?冗談で言ったんじゃないってっ 少佐本気だってっ!?」

「お、おいっ いくら何でも それは…っ」

「大体 それは 現 国防軍総司令官の御爺様を襲撃するって事だぞ!?」

「それだけじゃないっ ヴォール・ラゼル・ハブロス様は 元 総司令官だっ」

「下手すれば 国防軍除名処分…?」

隊員Fが言う

「け、けどっ 今更引き下がる訳には…っ」

隊員たちがゆっくりハイケルへ向こうとする ハイケルが見つめている 隊員たちが困る 途端 ハイケルを含む全員の携帯が鳴る 隊員たちが衝撃を受けた後 皆が携帯を確認し 隊員Aが言う

「え…?国防軍マルック駐屯地に…」

隊員Bが言う

「て…!?」

隊員Cが言う

「敵襲っ!?」

隊員Dが言う

「まじかよっ!?敵襲って…っ?」

隊員Bが言う

「少佐ぁーっ!?」

ハイケルが立ち上がり 歩きながら言う

「お前たちは 他の隊員らと共に 武装待機していろ」

隊員たちが敬礼して言う

「了解っ!」

ハイケルが立ち去る 隊員たちが顔を見合わせ 隊員Bが言う

「武装待機!」

隊員たちが頷き 全員が走って部屋を出て行く


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