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アールスローン戦記5

【 国防軍レギスト駐屯地 ハイケルの職務室 】


軍曹が頭を下げて言う

「申し訳ありませんでしたぁー!少佐ぁー!」

ハイケルが言う

「問題ない …とは言い難いが」

軍曹が顔を上げ表情を落として言う

「やはり 自分には あいつらを指揮する事は 出来ないでありますっ!少佐のお言葉を あいつらへ伝達する事しか…っ」

ハイケルが言う

「そちらは構わない」

軍曹が驚き呆気に取られて言う

「はぇっ!?」

ハイケルが言う

「今回の訓練は マイク少佐に指揮を取ってもらう予定だった 従って 君が指揮を取れなかった事は それほど問題ではなかった …強いて言うならば もう少し 現場の状況を情報部へ伝えれたなら 良かったかもしれないな」

軍曹が呆気にとられて言う

「は… はぁ?」


【 国防軍レギスト駐屯地 食堂 】


隊員たちが食事を取りながら話している

「やっぱ訓練だと あんなに気が入らないもんなんだなぁ?」

「いやぁ、やっぱ少佐の指揮が無いからだろ?」

「通常訓練の時は 軍曹の号令でばっちりなんだけどなぁ?」

「いや、今回の指揮は 軍曹じゃなくて マイク少佐だって言ってなかったっけ?」

「そう言えば そう言ってたような…?」


【 国防軍レギスト駐屯地 ハイケルの職務室 】


ハイケルが言う

「とは言え マイク少佐も君も 経験が浅い すぐには無理であっても 仕方が無いだろう」

軍曹が呆気に取られた状態から言う

「は、…はいっ えっと では… これからも 訓練に励むでありますっ!」

ハイケルが立ち上がりながら言う

「そうだな …期待している」

軍曹が一瞬驚いた後 微笑し敬礼して言う

「はっ!有難う御座いますっ!少佐ぁ!」

ハイケルが軍曹の横を通り過ぎる 軍曹が言う

「して、少佐はどちらへ?」

ハイケルが言う

「情報部へ寄ってから 今日は上がる予定だ お疲れ 軍曹」

ハイケルが歩みを進める 軍曹がハッとして慌てて敬礼して言う

「は、はっ!了解しましたぁっ!お疲れ様でありましたぁっ!少佐ぁ!」

ハイケルが部屋を出て行く


【 国防軍レギスト駐屯地 食堂横休憩所 】


軍曹がやって来ると隊員たちが話をしている

「同じ少佐だけど マイク少佐とハイケル少佐は 全然違うよなぁ?」

「やっぱ 情報部と機動部隊の違いなんじゃねーか?」

「けどよー?この前の15部隊の…」

隊員たちが軍曹に気付き 話を区切って言う

「軍曹!」 「軍曹!お疲れ様です!」

軍曹が一瞬呆気に取られてから笑んで言う

「おおっ!お疲れなのだっ!皆も 今日の訓練は大変であっただろう!実にお疲れであるっ!」

軍曹が隊員たちに混ざる 軍曹が言う

「で、話の続きは何だ?少佐がどうとか 15部隊が?」

隊員たちが顔をあわせてから言う

「えっと…?」

「15部隊の?」

「ああ、15部隊の あのキビキビした作戦は レムル駐屯地の情報部の 主任が指揮を取ってただろ?」

「確か、マックス大尉」

「そうそう!大尉って事は 少佐より1つ下だけど マイク少佐より ずっと凄い指揮を執ってたぜ?」

「そう言えば そうだな?」

「まぁ 軍階は 筆記試験と上官への媚とかでも 上がったりするからなぁ?」

隊員たちが笑う 軍曹が気付き考える


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


室外


軍曹がドアをノックして言う

「アーヴァイン軍曹であります」


室内


マイクがPCを操作していた手を止め驚いて言う

「アーヴァイン軍曹…?はっ!わわっ ど、どうぞっ!お入り下さいっ!」

軍曹がドアを開け言う

「失礼致します」

マイクが慌てて立ち上がって言う

「い、いえっ!ドアも開けませんでっ こちらこそ失礼をっ!」

軍曹が一瞬疑問してから気付き苦笑して言う

「自分は軍曹であります マイク少佐」

マイクが椅子を勧めて言う

「い、いえっ!とんでもないっ!よ、宜しければっ!」

軍曹が言う

「いえ、自分はこのままで マイク少佐 1つ お願いがありまして 参りました」

マイクが慌てて敬礼して言う

「はいーっ!何なりとっ!防長閣下!」

軍曹が苦笑する


【 国防軍レギスト駐屯地 食堂横休憩所 】


薄暗い部屋の中 軍曹がノートPCの前に居る ノートPCにメモリースティックが付けられている 軍曹がモニターを見ながら考えている モニターには先日のレギストの記録が流れている

『続いて 作戦を説明する 我々レギスト機動部隊は政府第2省長一階 4箇所の出入り口から突入する 突入と同時に施設内に居る犯人グループを撃破 人質に当たらないよう 可能な限りの対処を行え 次に 施設に唯一ある 施設内中央エレベータホールの横にある階段へ集結…』

『突入後の各班への指示を私が伝える 情報部はターゲットへのナビゲーションを行え』

『『『了解!』』』

軍曹がモニターを見つめ思う

(これが少佐の指揮… 普段はそれほど 口数の多いお方では ないが…)

『バイちゃんっ!フライングしただろっ!?』

『あ、バレた?にひひっ』

『こらぁっ!お陰で 犯人たちにマークされちゃったじゃないかっ!どうするんだよっ!?』

『ごめーん だって 少佐に…』

『バイスン隊員 良くやった A班は援護を行う 待機していろ』

『東側通路を確保した A班 来い!』


軍曹が思う

(現場の状況、作戦、隊員たちや情報部への指示… どれをとっても完璧だ 少佐は素晴らしいお方だと… 俺はずっとそう思ってきたが 本当に)

軍曹が思い出す


『まぁ 軍階は 筆記試験と上官への媚とかでも 上がったりするからなぁ?』

隊員たちが笑う


軍曹が視線を落として思う

(少佐が少佐の軍階のままで居られるのは もしかしたら …筆記試験が受けられないから なのだろうか…?)


【 マスターの店 】


マスターが言う

「あぁ~ まぁ それもあるんだけどねぇ~?」

軍曹が言う

「…では やはり」

マスターが言う

「けど、多分もう1つ」

軍曹がマスターを見る マスターが微笑して言う

「あいつに少佐の軍階を与えたのが レーベット大佐だったから あいつはそれに拘ってるのかもしれない 俺はまぁ… この店の資金も欲しかったし その頃は大佐もご健在だったから さっさと筆記試験を受けて 中佐になっちまったけどな?」

軍曹が視線を落として言う

「なるほど… やはり 少佐にとってレーベット大佐は 大いに敬愛するお方であると…」

マスターが言う

「敬愛ねぇ… 俺だって大佐の事は敬愛してるぜ?けど ハイケルにとっては それ以上なのかもしれないな?それこそ… 家族… 父親位に思ってるのかもしれない」

軍曹が一度驚いてから言う

「家族 父親… あ、あの マスター?」

マスターが皿を置きながら言う

「うん?」

軍曹が言う

「失礼を承知で お伺いするのでありますが… その… 孤児院を出られたお方と言うのは 御自分の父親 …いえ、家族の事を 尋ねたりはしないもの なのでしょうか?」

マスターが言う

「まぁ… それは ケースバイケースだろうな?俺みたいに両親と死別して 孤児院に来たとなれば それも出来ない訳だし」

軍曹がハッとして慌てて言う

「た、大変失礼を致しましたっ!」

マスターが苦笑して言う

「なに、良いって 俺なんてまだマシな方さ 墓参りは出来るし 他の子供たちの中には 両親が健在なのに捨てられたとか 暴力が原因だとか 酷いのは沢山ある …で、あいつの場合は」

軍曹がマスターを見る マスターが苦笑して言う

「両親が不明 何の手掛かりも無く 孤児院の前に居たって話だ それこそ 名前も分からない状態でな?ああ、そう言えば あいつにハイケルって名前を付けたのだって レーベット大佐なんだぜ?大佐は孤児院に多額の寄付をしていたから 名付け親をしていたんだ」

軍曹が言葉を失う マスターが微笑して言う

「ここまで話せば あいつが大佐の仇討ちに 命を掛けていた事も 頷けるだろう?」

軍曹が苦笑して言う

「はいっ 少佐はやはり 恩義に厚いお方であられたとっ!自分は その様な少佐を 心より尊敬するでありますっ!それに あの指揮能力も 素晴らしいものでありますっ!」

マスターが呆気に取られて言う

「指揮能力?」

軍曹が笑んで言う

「はいっ!機動部隊の隊員たちだけでなく 情報部の部員たちまで纏め上げる あの指揮能力は!もはや 少佐であって少佐の軍階にあらず!少佐は大佐であられても 間違いはあられ無いかと!」

マスターが不思議そうに言う

「へぇ~?あいつが?俺が居た頃は そんなでも無かったけどなぁ?それこそ 独断先行 後ろの事はお前に任せるってな?」

軍曹が衝撃を受けて言う

「はぇっ!?」

店の来客鈴が鳴り マスターが顔を向けて言う

「いらっしゃいま… お?なんだ 噂をすればじゃねーの?」

軍曹が反応し顔を向ける ハイケルが店の入り口に立っていて軍曹を見る 軍曹が慌てて言う

「しょっ 少佐ぁー!?」

ハイケルがやって来て言う

「私の悪口でも?」

軍曹が衝撃を受けて言う

「い、いえっ!そんな事は決してっ!」

マスターが苦笑して言う

「無愛想だなぁ ハイケル?アーヴィン君が お前を悪く言う訳が無いって 分かってるだろう?」

ハイケルが言う

「お前が 噂をすれば と言ったからだ」

マスターが軽く笑って言う

「あぁ… まぁ普通噂って言えば 良くない事を考えるもんだが 今日もアーヴィン君は 敬愛するハイケル少佐を 大いに褒め称えていた所だぜ?」

軍曹が衝撃を受け恥ずかしがって言う

「マ、マスターっ それは 確かに 間違いありませんが…っ ご本人を前にっ」

マスターが苦笑して言う

「で、怪我の調子はどうなんだ?」

ハイケルが言う

「全治二週間と言われている 今日は2日目だが?」

マスターが苦笑して言う

「あっそ…」

軍曹が2人の様子に慌てる マスターがコーヒーを淹れながら言う

「アーヴィン君に聞いたんだが お前が 素晴らしい指揮を執ってるって?…俺が思うに そいつは もしかして~?」

ハイケルが言う

「何の話だ?」

マスターが含み笑いをする 軍曹が2人の様子に慌てて言う

「あのっ マスターっ?少佐ぁっ?お二人とも ど、どうか穏便にっ」

マスターがハイケルの前にコーヒーを出す ハイケルがカップを持って言う

「何を慌てている 軍曹」

ハイケルがコーヒーを飲む 軍曹が心配そうな表情で言う

「えっ?いえ、そのっ 自分は…っ」

マスターが軽く笑って言う

「優しいなぁ アーヴィン君は これは 俺とこいつの 挨拶みたいなもんだって ハイケルは いっつもツンツンしてっから こうやってからかってやると」

ハイケルが衝撃を受け 怒って言う

「お前が マイク少佐におかしなメッセージを 残したせいでっ!」

マスターが笑んで言う

「ああ!お陰で 仲良くなれただろう?」

ハイケルがムッとして言う

「大きなお世話…っ」

TVの映像が切り替わりキャスターが言う

『たった今入った情報です 先ほど 18時ごろ 政府長官シェイム・トルゥース・メイリス容疑者の屋敷へ 武装集団が押し入ったとの事です』

3人が反応してTVへ向く キャスターの言葉が続く

『尚 現在メイリス容疑者の身柄は 警察省長へ拘留されているため 現在この屋敷に居るのは メイリス家ご出身の ラミリツ・エーメレス・攻長閣下と思われ』

軍曹が驚いて言う

「ラミリツ攻長がっ!?」


【 メイリス家 屋敷 】


ラミリツが部屋の片隅に座り込み 怯えて言う

「何でっ!?兄上は 居ないのにっ 何で…っ!?」

屋敷内で爆発音がする ラミリツが怯え 剣を抱きしめている


【 マスターの店 】


ハイケルが目を細めて言う

「武装集団とは… 反女帝組織ガイズか?」

マスターが言う

「いや、そうとも言い切れない 攻長閣下の救出に 何処が向かうのかで 決まるかもな?」

軍曹がTV画面に食い入る ハイケルが横目に軍曹を見る TVからキャスターが言う

『続いて 今入った情報をお伝えします この事件に対し 政府は …政府警察機動隊の導入を決定 直ちに ラミリツ・エーメレス・攻長閣下の救出へ向かうとの事』

ハイケルが言う

「警機が動くか…」

マスターが苦笑して言う

「まぁ、メディアの手前 ここで国防軍が…と 公に言われる事はないだろう …けど、お前たちに連絡が来なかったって事は 国防軍は何処の部隊も 緊急出動はしていない… 警機が導入されるのは 確かみたいだな?」

ハイケルが言う

「では 犯行は 反女帝組織のガイズと見て 動機は 陛下の剣である ラミリツ・エーメレス・攻長の始末か?」

マスターが言う

「それか 女帝推進組織による メイリス長官への始末かもしれんが…」

ハイケルが言う

「どちらにしろ動機は十分だと 言う事だな」

軍曹が怒りを押し殺しながらTVモニターを見つめている マスターとハイケルが軍曹を見る TV映像が切り替わり レポーターが言う

『現地上空からの映像です!たった今 警察機動隊が到着!間もなく 攻長閣下の救出へと向かう様子です!』


【 メイリス家 屋敷 】


ラミリツが怯えうずくまっている 屋敷のあちこちで爆発や銃撃の音が聞える ラミリツが泣き出しそうな声で言う

「どうしたら 良いの…?助けてよ… 誰か… 兄上ぇ…」

近くで大きな音がする ラミリツが驚き顔を向けると 扉が爆破されており 武装集団が銃を向ける ラミリツが目を伏せる 武装集団の銃を止め リーダーが言う

「まだだ まだ殺さずに置け」

武装集団が頷きラミリツの近くへ来て 銃を向け威嚇する


【 国防軍レギスト駐屯地 食堂横休憩所 】


隊員たちが集まってTVニュースを見ている TVからレポーターが言う

『警察機動隊の導入から 既に20分が経過しておりますが 今の所目立つ変化はありません 屋敷からは 時折銃撃の音が聞えています …尚、屋敷には メイリス容疑者の逮捕後 政府警察の警備部隊が 警備に当たっていたとの事ですが そちらがどうなったのかも ここからでは伺う事が出来ません』


【 マスターの店 】


ハイケルが言う

「…あやしいな」

マスターが言う

「ああ 政府警察の警備部隊が付いていたのなら 警機が動くまでに時間が掛かり過ぎている」

軍曹が言う

「で、ではっ!?」

マスターが言う

「まだ何とも言えない これが反女帝組織の仕業なのか 女帝推進組織の仕業なのか…」

軍曹が思わず立ち上がって言う

「そうではなくっ!ラミリツ攻長の救出はっ!?」

ハイケルとマスターが一瞬呆気に取られた後 2人がTVを見て マスターが言う

「それも 何とも言えない」

軍曹が走り出す ハイケルとマスターが驚き顔を向ける 店のドアが開くと間もなく 店の前からジープがサイレンを鳴らして走り去る ハイケルが間を置いてTVモニターへ視線を戻す マスターがハイケルを見てからTVモニターへ視線を向ける TVからレポーターの声が聞える

『あ!あれはっ!ヘリですっ!何処のものかは分かりませんが!今 一台のヘリコプターが 我々取材クルーの横を過ぎ 屋敷へ向かって…っ』


【 メイリス家 屋敷 】


武装集団がラミリツの腕を引き上げて言う

「立てっ」

ラミリツが肩の痛みに顔を顰め 言う

「うっ!痛いよっ やめてっ!」

武装集団がラミリツへ銃を向ける リーダーが言う

「剣を捨てろ」

ラミリツがリーダーを見る リーダーが銃を向けて言う

「捨てろっ!」

リーダーが銃を放つ 銃弾が剣に当たり 剣が床に落ちる ラミリツが手を押さえている リーダーが言う

「連れて行け ヘリが来ている 急げっ」

武装集団がラミリツを引き連れて部屋を出て行く 屋敷からヘリが飛び立って行く


同所


軍曹が気付き膝を折り 床に落ちている血の付いた剣を手に取り 表情を落として言う

「ラミリツ攻長…」

周囲では警察が状況確認を行っている 軍曹が剣を握り締め立ち上がる


【 国防軍レギスト駐屯地 訓練所 】


隊員Fが叫ぶ

「通常訓練の1!開始ー!」

隊員たちが腕立てを開始する 隊員たちが顔を上げ視線を向ける 視線の先 ハイケルが軍曹がいつもやって来る側を見ている 視線の先に人影は無い ハイケルが隊員たちへ視線を向ける 隊員たちが慌てて視線を戻す ハイケルが軽く息を吐く


【 国防軍総司令部 総司令官室 】


ドアがノックされる アースが顔を上げ言う

「入れ」

ドアが開かれると アースが言う

「先ほど最終確認が取られた ラミリツ・エーメレス・攻長閣下は とある収容施設へ秘密裏に連れ込まれ幽閉されているらしい 彼の兄 シェイム・トルゥース・メイリスも同じく …更に、シェイム・トルゥース・メイリスは 政府の機密文書を所持しているとの情報も得られた つまり」

軍曹が視線を強めて言う

「弟であるラミリツ攻長を使い メイリス長官から その機密文書を奪おうと言うのだな?」

アースが微笑して言う

「そう言う事だ …それで?他には何が聞きたい?」

軍曹が言う

「ラミリツ攻長を助けるには どうしたら良いのだ?」

アースが苦笑して言う

「そのラミリツ攻長を連れて行ったのが 何処の組織の者だったのか?…と聞いてくれる事を 期待したのだがな?」

軍曹が言う

「俺はただ ラミリツ攻長を お助けしたいだけだ」

アースが言う

「アーヴィン メイリス家のこの騒動は 政府の問題だ 我々国防軍が これ以上深入りする訳には行かない」

軍曹が言う

「国防軍としてではなく 俺の支援として動いてくれ」

アースが軽く驚く 軍曹がラミリツの剣を見せて言う

「俺は陛下の守りの兵士として 同じく陛下の攻撃の兵士である ラミリツ攻長を守らねばならん その為に 国防軍を使いたい」

アースが呆気に取られた後苦笑して言う

「アーヴィン」

軍曹が言う

「許されないのか?陛下の剣と盾として 陛下の横に立つ事は許されているのに 陛下の為に戦う事も 互いの為に戦う事も どちらも許されない 本当の飾り物なのか?」

アースが軍曹を見る 軍曹がアースを見つめる アースが軍曹の持つ剣を見た後 軽く息を吐き言う

「いや… そんな事は無い お前が 守りの兵士として 攻撃の兵士である ラミリツ・エーメレス・攻長を助けに行くとあれば お前の部下である 我々国防軍がそれを支援するのは当然だ だが、一度でも 組織へ武器を向ければ 国防軍は後戻りは出来なくなるぞ?その上で 我々を動かすと言うのか?ヴォール・アーヴァイン・防長閣下」

軍曹が一瞬目を細めてから言う

「…国防軍に勝機は?」

アースが微笑して言う

「それを 国防軍総司令官である私に聞くのか?もしそうだと言うのなら 訊くまでもない 当然 有る と答える」

軍曹が微笑して言う

「俺もそう思うのだ!何しろ 今の国防軍にはっ」

アースが苦笑して言う

「ハイケル少佐の率いる レギストが居るから …か?アーヴィン」

軍曹が笑み頷いて言う

「そうなのだ!それに!」

軍曹がアースを見る アースが疑問する 軍曹が言う

「兄貴が総司令官を勤めているのだ!兄貴の凄さは 弟の俺が一番良く知っている!」

アースが呆気に取られた後苦笑して言う

「あまり買い被ってくれるなよ?これでも お前から頼まれた ラミリツ攻長の居場所を探るのには 苦労をさせられた」

軍曹が言う

「だが!1日と掛からず 探し出してくれたのだ!ラミリツ攻長はきっと まだ ご無事だ!今の内に 助けに向かわねばっ!」

アースが言う

「そうだな 何にしろ 行くのなら すぐに向かうしかない …だが、アーヴィン レギストは隊長が負傷していると報告を聞いたが お前が軍曹として部隊を率いるつもりか?」

軍曹が言う

「いや、自分には無理なのだ 従って 別の国防軍部隊を 使いたいのだが…」

アースが言う

「お前に心当たりがあるというのなら それを使えば良い 何処の部隊だ?」

軍曹が頷いて言う

「国防軍15部隊へ レムル駐屯地情報部のバックアップで頼みたい」

アースが微笑して言う

「なるほど 我が国防軍における 現 最強部隊だな?安心しろ 作戦は必ず成功するだろう すぐに向かわせる」

軍曹が言う

「では そちらの手配は頼むのだ!俺もすぐに向かう」

軍曹が立ち去ろうとする アースが驚いて言う

「何を言う!?アーヴィンっ!?」

軍曹が立ち止まり顔を向け 微笑して言う

「俺の支援として 15部隊と情報部を動かすとあれば その俺が共に向かうのは当然なのだ!それに」

軍曹がラミリツの剣を見せて苦笑して言う

「俺が守らねば ラミリツ攻長やその部下である政府の者たちも 国防軍と共に戦っては くれないのである!」


【 マスターの店 】


店の来客鈴が鳴る マスターがカップを拭きながら顔を向けて言う

「いらっしゃ… ハイケル?」

マスターが疑問すると 店の扉を押さえているハイケルが 店内を見渡し軽く息を吐き言う

「…あいつは来ていないか?」

マスターが呆気に取られたまま言う

「あいつって アーヴィン君か?」

ハイケルがやって来てカウンター席に座って言う

「他に誰が居る」

マスターが苦笑して言う

「あのなぁ?」

マスターがカップを置きながら言う

「人名を置く前に 二人称で呼ばれたんじゃ 普通分かるもんじゃないんだぞ?ハイケル」

ハイケルが言う

「ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の 居場所を知らないか?」

マスターが苦笑しつつ皿を拭いて言う

「可愛くなーい」

ハイケルが空かさず言う

「黙れ」

マスターが言う

「あれから駐屯地に戻ってないのか?」

ハイケルが言う

「ああ」

マスターが考える ハイケルがムッとして言う

「負傷した私の代わりに しばらく部隊を預かると 喜んでいたかと思えば これだ …まったく 身勝手な神の兵士だ」

マスターが苦笑して言う

「まぁまぁ ちょっと前は お前が同じ事やってたじゃねーか?大佐の仇討ちに夢中でよ?」

ハイケルが言う

「そうであっても 俺は 部隊への指示を放棄して 何処かへ向かった事などは無い」

マスターが言う

「そりゃ、お前が隊長であって 指揮官だからだろ?」

ハイケルが言う

「ふんっ」

マスターが苦笑してから 皿を置いて言う

「けどまぁ 確かに 現行夜間体勢であるお前が こんな時間に来るくらい ちょいとヤバイ事が起きるかもしれない」

ハイケルがマスターを見て言う

「何を知っている?」

マスターが視線をPCへ向けつつ言う

「あれから少しして 国防軍総司令本部の連中が 事件を探り始めた それも かなり大掛かりな手段を使って …まるで 自分たちの総司令官や防長閣下でも さらわれたかって 力の入れようだった」

ハイケルが言う

「それで、分かったのか?」

マスターが苦笑して言う

「流石に この程度の設備で 総司令本部のデータに潜り込む程 俺も馬鹿じゃない …だが どうやら事件の犯人や その潜伏先辺りまでは 調べが付いた と言う事までは分かった …そこへ来て アーヴィン君が あれから駐屯地へ戻っていないって言うんだろ?昨日のあの様子と言い まさかとは思うが…」

ハイケルが言う

「政府の代表である 親兵攻長を 国防軍の代表である守りの兵士が 奪還しようなどと言うのか?犯人は どちらの組織であっても 政府の人間だぞ?」

マスターが苦笑して言う

「攻長が政府の代表であっても 犯人が政府の連中であっても 攻撃の兵士は 守りの兵士である アーヴィン君の相方だろう?互いに守り戦うのが 本来の勤めだ」

ハイケルが言う

「だが、あいつの話では ラミリツ・エーメレス・攻長は 偽の神の刻印を使って 陛下の剣になった可能性が 否定出来ないと」

マスターが言う

「まぁ… そうではあるらしいが …アーヴィン君は そんなラミリツ攻長を 攻長の座から下ろされないようにって 俺たちにだって口止めをしていたんだ …お前と違って 何処までも優しいんだよ」

ハイケルが不満そうに言う

「知るかっ …国防軍の 我々の仲間を殺した 犯人の弟だぞ!?奴はっ」

マスターが苦笑して言う

「だから、そんな事は アーヴィン君にとっては」

ハイケルが言う

「何がそんな事だっ」

ハイケルの携帯が鳴る ハイケルとマスターが驚く


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


マックスが言う

「こちら 国防軍レムル駐屯地情報部マックス大尉 国防軍15部隊 及び 我々情報部の準備は整いました 総司令官」

スピーカーから アースの声が届く

『ご苦労 現地へは防長閣下も向かっている 合流後は 防長閣下と共に 作戦を展開させてくれ』


【 マスターの店 】


PCスピーカーから マックスの声がする

『了解 総司令官!防長閣下の支援 現国防軍No1である レムル駐屯地情報部 及び15部隊の力を 存分に発揮させて頂きます!どうか お任せを!』

アースが苦笑して言う

『フッ… 期待しよう 何があろうとも 必ず 防長閣下をお守りしろ 以上だ』

PCスピーカーから マックスの声がする

『了解』

マスターがキーボードを操作して言う

「15部隊を レムル情報部 マックス中尉が指揮するか… これなら」

ハイケルが言う

「マックス大尉だ」

マスターが視線を向けて言う

「大尉?…へぇ」

ハイケルが言う

「先日 彼らの担当した事件を見ていたが… 情報部としても 部隊を指揮する者としても 十分な働きだった …当人の言う通り 現国防軍における No1と言って 間違いないだろう」

マスターが微笑し キーボードを操作しながら言う

「ふ~ん?その割りには あっさりと この程度の個人設備に 盗み聞きされてるけどなぁ?」

ハイケルが苦笑する


【 政府収容施設 3階 】


ラミリツが殴り付けられ床に倒れる ユラの部下1が微笑して棍棒を振り上げる ラミリツが怯えて言う

「嫌だぁっ!痛いっ もう止めてぇ!お願いっ」

ユラの部下1が振り返る 視線の先 ユラの部下2がラミリツから視線を他方へ向けてて言う

「そろそろ 教えては頂けないでしょうか?メイリス元長官 さもなくば 可愛い弟さんが 酷い目に会いますよ?」

シェイムが顔に傷を受けた状態で 後ろ手に縛られ立たされている シェイムがユラの部下2から視線をそらす ユラの部下2が苦笑して言う

「やれ」

ユラの部下1がラミリツを何度も殴り付ける ラミリツが悲鳴を上げて言う

「嫌だぁっ 痛いっ 助けてっ 兄上ぇえっ!」

シェイムがユラの部下2を睨み続ける ユラの部下2が微笑する


【 政府収容施設 近辺 】


軍曹がイヤホンを付ける イヤホンからマックスの声が届く

『防長閣下 本日は 国防軍15部隊 並びに レムル駐屯地情報部への ご任命 深く御礼申し上げます』

軍曹が言う

「急な指令をすまない」

マックスの声が届く

『とんでも御座いません 既に 施設内部の情報は得ております 共に、今回の事件経緯から推測し ラミリツ・エーメレス・攻長閣下の居場所は 施設最深部 地下3階にあります 拷問所では無いかと』

軍曹が視線を強める


【 マスターの店 】


PCスピーカーからマックスの声が届く

『よって 国防軍15部隊はA班からF班までの 6班体制にて 施設内の警備その他の撃破を行いつつ 地下3階 目標の場所へと向かいます 防長閣下は D班と共に 目標の場所へと お向かい下さい』

軍曹の声が届く

『了解した よろしく頼む』

マスターがキーボードを操作する ハイケルが言う

「レムル情報部が得ているであろう 施設内の情報は表示出来ないのか?」

マスターが言う

「あいつらもセンサーを使っての作戦を展開している だから いつもの熱源モニターを見ようと思えば見れなくは無いが …こっちの方が設備が弱いから もしかしたら覗きに感付かれる可能性もある …作戦行動中のあいつ等に 余計な作業をさせたくはないからな?この場は 音声だけで 我慢してくれ」

ハイケルが言う

「…了解」

マスターが苦笑する


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


マックスが言う

「国防軍15部隊 突入っ」

情報部員が言う

「国防軍15部隊A班からF班 突入を確認」

情報部員が言う

「A班 正面ターゲットと交戦を開始」

情報部員が言う

「B班 通路を右へ ターゲット反応複数あり 撃破せよ」

情報部員が言う

「C班 通路を右へB班を支援せよ」

情報部員が言う

「D班E班と共に A班を支援 先行せよ」

マックスが言う

「A班及びD班 E班は 通路を直進 B班とC班は東経路を取り F班は撃破したターゲットを拘束しろ」

情報部員が言う

「各班の了解を確認!」

マックスが言う

「突入からの4分が一番手薄だ 各通路を行く最前の班は 可能な限り先行 続く班は 先行隊員の支援及び援護を行え」

スピーカーから隊員の声が届く

『了解っ!A班 先行しますっ!』 『B班了解!』 『C班了解!支援する!』


【 政府収容施設 3階 】


ラミリツがシェイムの足元に放られる ラミリツが苦しそうに息をしている ユラの部下2が苦笑して言う

「ふ… 驚いた 貴方は本当に 彼の兄弟なのか?弟がこれほどいたぶられていても まだ口を割らないとは 正直 私には理解出来ない」

シェイムがユラの部下2を睨む 扉が開かれ 伝達が来てユラの部下2へ耳打ちする ユラの部下2が驚いて小声で言う

「何っ 何故… 分かった」

伝達が頷き立ち去る ユラの部下2が微笑して言う

「メイリス長官 これ以上は 赤の他人である 私であっても 見ては居られませんよ …従って」

ユラの部下2が ユラの部下1へ視線を向ける ユラの部下1が頷きナイフを取り出す シェイムが視線を強める ユラの部下1がシェイムの足元へ来て ラミリツの胸倉を掴み上げる ラミリツが薄く目を開き ナイフを見て驚いて目を見開く ユラの部下1がラミリツの目にナイフを近付ける ラミリツが怯えて言う

「い… 嫌… 嫌だ…っ 止めて 助けて… 兄上っ 兄上ぇえっ!」

シェイムが俯く ユラの部下1が苦笑して言う

「酷い兄上だなぁ?このままじゃお前 死んで楽になる事さえ 出来ないぜ?へっへっへ…」

ラミリツが涙を流して言う

「嫌だぁ… 助けて… 兄上ぇええっ!」

ユラの部下1がナイフを振り下げる シェイムが叫ぶ

「止めろっ!」

ナイフが止まる ラミリツが驚いてシェイムを見る シェイムがユラの部下2へ向いて言う

「…分かった 案内をする」


【 マスターの店 】


マスターが表情を強張らせて言う

「何…っ!?」

ハイケルが言う

「どうした?」

マスターがキーボードを操作して言う

「どうやら犯人は 女帝推進の政府らしい 今、警察機動隊に要請が入った ”政府収容施設へ入り込んだ 武装集団を始末しろ”と」

ハイケルが言う

「施設へ押し入ったのが 国防軍だと分かっていながら 武装集団と言い換えている …奴らは 本気で15部隊を潰す気か」

マスターが言う

「まずいな ここで警機が入り 挟み撃ちにされれば いくら15部隊とレムルの情報部でも 相手が悪い」

ハイケルが視線を強める


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


マックスが視線を強めて言う

「警察機動部隊が… よし、14部隊を緊急招集」

マックスがキーボードを操作する 情報部員がマックスへ向いて言う

「大尉っ 警察機動部隊が基地を出ましたっ!到着まで およそ13分!」

マックスが焦って言う

「早いなっ 奴らは 構えていたかっ」

情報部員が言う

「大尉っ 今から14部隊を招集していては 間に合いません!」

マックスが言う

「構わん!招集を掛けろ!その間 15部隊を迎撃体勢へ変更する」

スピーカーからマスターの声が届く

『国防軍レムル駐屯地 情報部 聞えるか こちらは』

マックスがハッとする


【 マスターの店 】


マスターが横目にハイケルを見る ハイケルが携帯を耳に当てた状態で頷く マスターが通信マイクへ向かって言う

「国防軍レギスト駐屯地 機動部隊隊長 ハイケル少佐だ 状況は分かっている これより 国防軍17部隊を 15部隊の援護へ向かわせる」


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


スピーカーからマスターの声が届く

『到着までは およそ14分 先に入り込んでいるであろう 警察機動部隊を 後方より撃破する それまで 15部隊を 迎撃防御体勢へ移行させ 持ち堪えろ』

マックスが微笑して通信マイクへ言う

「助かります マーガレット中佐」

マックスが情報部員へ言う

「15部隊隊員へ 迎撃防御体勢を取るよう 指示を伝えろ!」


【 マスターの店 】


マスターが呆気に取られて言う

「あらま バレちゃった」

ハイケルが言う

「当たり前だ それより こちらもここの機材だけで レギストの支援は無理だろう?マイク少佐へ連絡をする」

マスターが言う

「ああ …さて 久し振りに やりますかね?」


【 国防軍レギスト駐屯地 正門 】


警備兵たちが敬礼する レギストの移動トラックが2台出て行く


【 車内 】


隊員たちが装備を整えている 隊員Aが言う

「それにしても 起きた途端 緊急指令だもんなぁ?一瞬夢かと思ったぜ?」

隊員Cが苦笑して言う

「むしろ俺は 夢の続きかと思ったね?」

隊員Bが言う

「ねーねー アッちゃん 聞いて 聞いてー?俺凄いんだぜ?」

隊員たちが疑問する 隊員Aが言う

「んー?何が凄いんだよ?バイちゃん?」

隊員Bが言う

「俺、夢の中で 丁度 通常訓練の1から3を 終わらせた所だったんだ だからもう 準備運動はばっちりー!」

隊員たちが呆れる


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


マイクが携帯を握り締めて言う

「了解しました!すぐに支援準備を行います!えっと…!?え~っと~…!?」

携帯からハイケルの声が届く

『まずは無線の準備だ 機動部隊の隊員たちには 無線イヤホンを装備させている メインの周波数を伝えろ』

マイクがキーボードを操作して言う

「りょ、了解っ!」


【 マスターの店 】


マスターが通信マイクへ言う

「情報の共有を頼みたい 各センサーのコードと 施設の情報を送ってくれ 今そちらに」

ハイケルがイヤホンマイクへ言う

「レギスト機動部隊 聞えるか こちらは ハイケル少佐だ」


【 車内 】


隊員たちがイヤホンを押さえる 隊員Bが敬礼して言う

「お早う御座いまーす!少佐ぁー!」

隊員たちが衝撃を受け隊員Bを見る イヤホンからハイケルの声が届く

『お早う 諸君 早々に すまないな』

隊員たちが驚き 慌てて言う

「お、お早う御座いますっ!少佐ぁー!」

イヤホンからハイケルの声が聞える

『では、状況と共に作戦を 続いて 各班メンバーを伝える』

隊員たちが集中する


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


情報部員が言う

「政府収容施設に 警察機動部隊が到着!施設への侵入を確認っ!」

情報部員が言う

「レギスト機動部隊 到着まで およそ1分!」


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


情報部員が言う

「レギスト機動部隊A班・E班は 無線周波数16へセットして下さい 同じくB班とF班は17へ C班は18です」

スピーカーからハイケルの声が聞える

『C班は可能な限り先行し 15部隊F班及びD班との合流を優先 以降は15部隊D班と共に 防長閣下の支援を行え』

C班隊員たちの声が聞える

『了解!』

マイクが言う

「ハイケル少佐!駄目です!レムル駐屯地は 現在外部との通信を遮断しています!情報の共有が出来ません!これでは ターゲットへのナビゲーションがっ」

スピーカーからマスターの声が聞える

『レムル駐屯地は 国防軍の最新セキュリティシステムが組まれているんだ 後で認証コードをもらって置くと良い 今回はこちらを経由して 情報を送ろう』

マイクが呆気に取られる モニターにアクセスランプが点灯する マイクがクリックすると 情報部のモニター類が一気に切り替わる スピーカーからマスターの声が届く

『うん?ああ すまない まさか 単一アクセスコードにしてるとは思わなかったんだ 情報部のコードは 最低でも3つに分けておく事をお勧めする 16、18部隊とレギスト用にな?…そうして置いたはずなんだが?』

マイクが呆気に取られた状態から 感極まった様子で言う

「マーガレット中佐ぁっ!?」

情報部員が言う

「国防軍レギスト機動部隊 目的地に到着しました!」

マイクがハッとする ハイケルの声が届く

『マイク少佐 感激するのは後にしてくれ 作戦は聞いていたのか?』

マイクがハッとして 慌てて言う

「あ!ああぁあ~~っ!す、すみませんっ!」


【 マスターの店 】


ハイケルが溜息を付いて言う

「…こんな調子だ」

ハイケルがマスターへ視線を向ける マスターが苦笑して言う

「まぁまぁ そう言ってやりなさるなって どの道 今回のレギストへの指示は 俺とお前で出すつもりだったんだろ?」

ハイケルが言う

「まぁな… そう言う事だ マイク少佐 伝説のマーガレット中佐の指揮を しっかり聞いていろ」

PCのスピーカーから マイクの声が届く

『りょ、了解っ!宜しくお願いしますっ!』

ハイケルが軽く息を吐く PCスピーカーから隊員の声が届く

『レギスト機動部隊 施設入り口を確保!』

マスターが苦笑してから言う

「よし、では 突入だ レギスト機動部隊 A班E班は通路を直進 B班F班は通路を右へ C班はA班E班を援護 情報部 各班へ ターゲットへ向けてのナビゲーションを開始しろ …レムル駐屯地情報部 聞えるか?レギストが到着した 各班の迎撃防御体勢を 襲撃体勢へ戻し 任務を続行してくれ 警機の状況はこちらで確認する 任務へ集中を」

PCのスピーカーから マックスの声が届く

『レムル駐屯地 了解』


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


情報部員が言う

「レギスト機動部隊A班 警察機動部隊と交戦を開始」

情報部員が言う

「同じくE班 A班を支援します」

情報部員が言う

「B班 ターゲットへのナビゲーションを開始します」

スピーカーからマスターの声が届く

『A班 手榴弾は所持しているか?』


【 政府収容施設 1階 】


隊員Aが通路に身を隠し 銃を撃っている 隊員Bが反応して言う

「はーっ!A班 手榴弾は大量に持ってきましたー!」

隊員Aが振り返ると 隊員Bの腰に大量の手榴弾が付けられているのが見える 隊員Aが衝撃を受けて言う

「バイちゃん!持って来過ぎー!」

イヤホンにマスターの声が届く

『よし、では ナビゲーションに気を付けた上で ターゲットを撃破すると共に そいつを煙幕代わりに利用して先行する 少し危険だが 警機を15部隊へ近づける訳には行かない やれるか?』

隊員Bが喜んで言う

「はーっ!少佐直伝ですので 大丈夫ですー!」

イヤホンにマスターの声が届く

『へぇ そいつは頼もしい 情報部 A班担当 ナビを頼むぞ』

イヤホンに情報部の声が届く

『了解!A班 通路先のターゲット数は5 左に3右に2 その先のターゲット反応は無しです!』

隊員Bが言う

「了解!では 行っきまーす!」

隊員Aが銃を構えて言う

「よし!」


【 政府収容施設 2階 】


D班が階段を降りた先で言う

「D班!施設2階へ到着 ターゲットを撃破した!」

イヤホンにマックスの声が届く

『D班はその場にて待機 A班及びE班の合流を待て』

軍曹が言う

「情報部!3階のターゲット情報を教えてくれっ 可能であれば 2階を任せ」


【 マスターの店 】


PCスピーカーから軍曹の声が届く

『我々は3階へ向かいたいっ!』

ハイケルが言う

「…可能であるなら 良い判断だ」

マスターが微笑して言う

「通常ならな?だが D班には 最重要保護対象が居るんだぜ?マックス大尉 …どうする?」

ハイケルとマスターがPCスピーカーに注目する


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


マックスがモニターを見つめている 情報部員がマックスへ向いて言う

「大尉…」

マックスが顔を上げて言う

「…D班了解した D班へ3階のターゲット情報を伝えろ A班及びE班は追って3階へ B班とC班は2階階段の確保を続けろ」

スピーカーから隊員の声が届く

『了解!』


【 マスターの店 】


ハイケルが微笑して言う

「悪くない 目標は3階である事が有力視されている 万が一に備えると共に 退避路でも有る 2階階段の確保を続けさせ D班の目標到達を優先した …お前ならどうするつもりだった?」

ハイケルがマスターを見る マスターがキーボードを操作しつつ笑んで言う

「そうだなぁ?大体同じだが 俺にとっては まず その先行部隊D班に お前が居るかって事が重要だからな?それによって作戦は大きく変わる」

ハイケルが苦笑してから イヤホンマイクを近づけて言う

「レギスト先行部隊A班が 間もなく 15部隊F班へ合流する 情報部 A班へ連絡を送れ」

PCスピーカーから情報部員の声がする

『了解!レギストA班へ15部隊F班の情報を伝えます!』

マスターが通信マイクへ言う

「レギスト機動部隊 B班E班の先に複数ターゲット反応だ C班の応援を待て 共に C班は先行部隊から除外 以降はA班を先行させる A班 15部隊とは合流したか?」


【 政府収容施設 1階 】


隊員Aが言う

「レギストA班 15部隊F班と合流!2階のターゲットと交戦中!」

爆発が起きる 隊員Aが向くと 隊員Bが15部隊の隊員へ言う

「私に付いて来いー!」

隊員Bが向かうと 15部隊隊員たちが一瞬呆気に取られた後 慌てて言う

「りょ、了解!」

隊員Aのイヤホンにマスターの声が届く

『よし、その調子で 15部隊F班と共に 先行を続けてくれ マックス大尉 構わないな?』

イヤホンにマックスの声が届く

『了解 15部隊F班 レギストA班と共同しろ』

隊員Aが頷く イヤホンに隊員Bの声が届く

『アッちゃんー?早く来ないと 置いてっちゃうよー?』

隊員Aが衝撃を受け 慌てて追い駆けながら言う

「あぁっ!わ、分かった!すぐ行く!」


【 マスターの店 】


マスターがキーボードを操作し終えて言う

「よし、これで レムル駐屯地と国防軍レギスト駐屯地のメイン無線が同回線になった 何かあれば どちらの部隊の事であっても すぐに連絡してくれ」

PCスピーカーからマックスの声が届く

『レムル情報部 了解』


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


スピーカーからマスターの声が届く

『レギスト情報部の方も よろしく頼むぞ?』

マイクが慌てて言う

「りょ、了解っ!」

スピーカーからマスターの声が届く

『マイク少佐 すまないが 手が空いているなら 施設周囲の状況と 政府の動きを見て欲しい マックス大尉 第3センサーを 熱源から外部映像センサーへ切り替えてくれ 作戦は大詰めだ ここで外部から何か来られると 厄介な事になる』

スピーカーからマックスの声が届く

『了解 第3センサーを映像センサーへ切り替えます …国防軍レギスト駐屯地情報部』

マイクが言う

「は、はいっ!」

マックスの声が届く

『以降の 第3センサーの管理は そちらへ預ける よろしく頼む』

マイクが慌てて言う

「了解っ!」

マイクがキーボードを操作する


【 政府収容施設 3階 】


ユラの部下2が言う

「…は苦戦しているのか?よし、我々は撤退しよう メイリス長官 折角だが案内は要らない 何処にあるのかを教えて頂きたい」

シェイムが言う

「そうと言うのなら構わないが 行ってみたは良いが 手に入らなかった… などと 再び この様な事はしないと 約束をしてくれるのか?」

ユラの部下1がユラの部下2を見る ユラの部下2が表情を顰めた後言う

「では 弟を人質として 預かる …おい、メイリス長官を」

爆発音が響く 皆が驚き ユラの部下2が言う

「何事だ!?」

ユラの部下1が視線を強め 瞬時に走り出し ドアを叩き開き銃を構える


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


情報部員が慌てて叫ぶ

「ターゲットが急速移動!D班!」

マックスが驚き情報部員を見る


【 マスターの店 】


ハイケルが驚き マスターが言う

「まずいっ!15部隊D班!回避しろっ!」


【 政府収容施設 3階 】


突然通路の扉が開き ユラの部下1が銃を向け放つ D班隊員たちが驚き慌てて銃を向けようとするが間に合わない ユラの部下1が銃を放つと 銃弾が盾に防がれる D班隊員がハッとして慌てて銃を放つ ユラの部下1が驚くと共に撃たれて倒れる 軍曹が盾を構えた状態から立ち上がり 扉を見て言う

「目的地は この部屋かっ!?」

軍曹がイヤホンを押さえて言う

「どうした!情報部っ!」


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


マックスが胸を撫で下ろし ハッとして言う

「こちら情報部 D班は目的地へ到着 中には3つの熱源反応だ D班!」


【 政府収容施設 3階 】


D班隊員が言う

「D班了解!これより内部へ… あっ!お待ち下さいっ!防長閣下っ!」

D班隊員が慌てている間に 軍曹が部屋へ入り驚き言う

「ラミリツ攻長っ!」


【 マスターの店 】


PCスピーカーからD班の声が届く

『D班 目標を確認!ラミリツ・エーメレス・攻長閣下とシェイム・トルゥース・メイリス長官を 保護しました!…共に 室内に居た敵組織の者1名を拘束 こちらは放置します』

ハイケルとマスターがホッと息を吐く マスターが苦笑してキーボードを操作する ハイケルが軽く笑って言う

「フッ… 指示を送る者が焦れば 現場にいる隊員は」

マスターが言う

「分かってるって!それでも いざって時はしょうがねーだろ!?」

ハイケルが軽く笑う


【 政府収容施設 3階 】


軍曹がラミリツ抱えて立ち上がる ラミリツは気を失っている シェイムが15部隊D班隊員に拘束を解かれる シェイムが言う

「何故… 国防軍が 我々を?」

軍曹がシェイムへ向いて言う

「国防軍としてではない 自分は 守りの兵士として 攻撃の兵士 ラミリツ攻長をお助けに参ったのだ!貴君は… そのついでである!」

シェイムが呆気に取られて言う

「私が… ついで?」

D班隊員が言う

「防長閣下 脱出致します!」

軍曹が言う

「よし!分かった!援護を頼む!」

D班隊員が言う

「了解!」

隊員Bが走って来て言う

「あー!情報部!報告でありまーす!軍曹と合流しましたー!」

隊員Aが追い駆けて来て言う

「バイちゃん 今は軍曹じゃなくて 防長閣下!」

15部隊F班が走って追い付く 軍曹が呆気に取られて隊員Aと隊員Bを見て言う

「な!?アラン隊員っ!?バイスン隊員っ!?何故 レギストのお前たちがっ!?」

隊員Aと隊員Bが疑問し顔を見合わせる イヤホンにマスターの声が届く

『いやぁ きっとハイケルの声が届いちまうと アーヴィン君は動揺するかと思ってねぇ?15部隊D班だけは メインの受信回線を遮断していたんだ すまない』

軍曹が衝撃を受け驚いて言う

「その声はっ!マスターっ!?」

イヤホンにハイケルの声が聞える

『おい… それでは 先ほどのD班への指示は 聞こえていなかったと言う事だろう?伝説のマーガレット中佐?』

軍曹が衝撃を受けて言う

「しょ、少佐ぁーっ!?」

イヤホンにマスターの声が届く

『な~んだよ?俺はもうとっくに 引退したのっ そんな意地悪言うなよぉ~』

イヤホンに隊員の声が届く

『こちらレギストB班!E班及びC班と共に 2階階段へ到着!』

イヤホンにマスターの声が届く

『お?よし、任務も達成した 2階の処理は放棄して 国防軍 全隊員 撤収だ 15部隊D班 及びF班と レギストA班を除く隊員は 彼らが来るまで現状を維持しろ!アーヴィン君 撤収だ』

軍曹が慌てて言う

「りょ、了解致しましたっ!マスターぁっ!」

軍曹が走り出す 隊員たちが続く


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


情報部員が言う

「15部隊D班及びF班 2階階段の隊員らと合流 撤収を続けます」

情報部員が言う

「15部隊A班及びC班 撤収隊員と共に 撤収します」

情報部員が言う

「同じくB班 撤収隊員らと合流 撤収します」

マックスが頷き言う

「現在交戦している班はあるか?」

情報部員が言う

「15部隊E班 拘束作業を終えました 退避路を維持し 撤収隊員らを待ちます」

マックスが言う

「よし …マーガレット中佐 こちらレムル駐屯地情報部 15部隊交戦及び拘束処理を完了 現在最後尾のE班を残し 全隊員が撤収中 間もなくE班と合流します 作戦の終了へ向け 施設外部の撤退処理を開始します 宜しいでしょうか?」


【 マスターの店 】


マスターがキーボードを操作しながら言う

「レムル駐屯地情報部 状況は了解した 外の撤退処理は少し待ってくれ レギスト駐屯地情報部 マイク少佐 聞えるか?第3センサーの確認 及び その他の確認はどうなっている?」

PCスピーカーからマイクの声が届く

『はいっ!第3センサーの映像に異常はなし!政府関連の情報は 確認できる範囲には… うん?』

マスターが疑問し キーボードを操作する ハイケルがイヤホンマイクに言う

「マイク少佐 どうした?」

マスターが気付き 慌ててキーボードを操作させながら言う

「そうか!警機の援護だけじゃなく 移動手段としても使えるかっ!マイク少佐!政府警察航空部隊の… いや、確認はもう良い!全隊員 施設の出口手前で待機しろ!」

ハイケルが言う

「どうした?後はもう」

マスターがタイピングを急ぐ ハイケルがマスターに疑問する PCスピーカーから隊員の声が届く

『15部隊E班 撤収隊員と合流 施設出口手前まで撤収します』

隊員Bの声が届く

『えー?軍曹?移動トラックは目の前ですが 出口手前で待機だそうですー』

軍曹の声が届く

『うむ!だが、マスターの御命令なのだっ!出口手前で一度待機するっ!』

モニターに施設上空からの映像が映る


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


マックスがモニターを見つめている 情報部員がマックスを見る マックスがハッとして通信マイクへ叫ぶ

「全隊員っ!」


【 政府収容施設 】


軍曹が外を見ていてハッとする イヤホンに マックスの声が届く

『施設奥へ回避しろっ!』

軍曹が振り返り隊員たちへ叫ぶ

「回避っ!」

隊員たちと共に軍曹が施設内へ走る 施設出入り口にミサイルが撃ち込まれ 爆発する 


【 マスターの店 】


ハイケルが思わず立ち上がって言う

「あれはっ!」


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


マイクが言う

「あれはっ!先日ハイケル少佐が対峙した 警空のっ!」


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


マックスが表情を顰めて言う

「政府警察航空部隊まで導入されるとはっ!マーガレット中佐!ハイケル少佐!空からの敵が相手では 現状の彼らだけでは対応出来ません 国防軍19部隊へ要請をっ!」

情報部員たちが顔を見合わせマックスを見る スピーカーからマスターの声が聞える

『落ち着きたまえ マックス大尉 空からの敵とは言え 相手はたったの1機だ …それこそ~?ハイケル少佐が1人でも居れば 何とでもなったんだがなぁ?』

スピーカーからハイケルの声がする

『おい… 俺は19部隊の 対空戦車か?』


【 マスターの店 】


マスターがキーボードを操作しつつ軽く笑って言う

「そうは言って無いだろ?マイク少佐が言ってたじゃないか 先日ハイケル少佐が対峙したってよ?」

ハイケルがマスターへ向いて言う

「確かに 3日ほど前に一度対峙したが あの時はこちらも 建物の6階に居たんだ 現行の様に上空から攻撃されるとなれば 話は異なる」

マスターが立ち上がり 棚の置くからディスクを取り出し微笑して PCへセットしてキーボードを操作する ハイケルが気付いて言う

「そのディスクに 対処の術が?」

マスターが微笑して言う

「ご名答 …警空が新型空撃機の開発をしてるって話は ずっと以前から聞いていたんでね 機動部隊にとって一番の天敵である 空からの敵ってのは 見逃す訳に行かない 折角 国防軍No1や2である 15部隊及びレムル駐屯地情報部とレギストの作戦に 御呼ばれしたんだ こいつはその手土産位には なるだろうぜ?」

モニターに処理状況が表示されている


【 政府収容施設 】


15部隊隊員たちが施設の出口から銃を撃つ 空撃機がマシンガンを放ちながら 施設出入り口付近を攻撃する 軍曹が言う

「いかんっ!下がれ お前たちっ!あのマシンガンは コンクリートの壁をも貫くのだっ!施設奥へ退避せよっ!」

15部隊隊員たちが軍曹へ向いて言う

「しかしっ!防長閣下を この場所からお連れしなければっ!我々の任務は達成されませんっ!我々が囮となりますので 防長閣下!どうかその間にっ!」

空撃機が旋回して来て 施設でい入り口へ向き マシンガンを放ちつつ接近して来る ミサイルが出入り口をロックオンする 軍曹がミサイルに気付き叫ぶ

「下がれっ!命令だっ!」


【 マスターの店 】


モニターにセット完了の表示がされる マスターが笑み言う

「さ~て 情報部の諸君 じっくり見て居たまえ」

マスターがエンターを押す


【 政府収容施設 上空 】


複数のセンサーが反応して電波を発信する


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


皆が見つめるモニターに 空撃機が映っている 一瞬切り替わり大量のプログラムが流れ 再び空撃機が映る 情報部員が気付き言う

「い、今のプログラムは?」 

「うん?空撃機の 様子が…っ!?」

空撃機が施設出入り口へ向かっていた状態から急に動きがおかしくなり 真横に流れるように飛んで行く マックスが気付き苦笑する


【 政府収容施設 上空 】


空撃機のパイロットが焦って操作する マシンガンの砲撃者がたまらず設備にしがみ付き叫ぶ

「どうしたっ!?何をしているっ!?」

パイロットが必死に叫ぶ

「分からないっ!急に機体のバランスがっ!計器類が全て… 駄目だっ 脱出する!」


施設出入り口


隊員たちが呆気に採られていると 遠くへ離れて行った空撃機が地上へ墜落し 爆発が起きる その手前に2つのパラシュートが落ちる 隊員たちが呆気に取られ言う

「じ、自分で 墜落した…」

「ラッキー…?」

軍曹が呆気に取られてからハッとして言う

「情報部!」


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


情報部員たちが呆気に取られている マックスが微笑し拍手をする 情報部員たちが驚きマックスを見る マックスが通信マイクへ言う

「敵の空撃機は墜落した 国防軍15部隊 及び」


【 マスターの店 】


ハイケルが言う

「レギスト機動部隊 作戦を終了する 各部隊駐屯地へ帰還せよ」

PCスピーカーから隊員の声が聞える

『国防軍15部隊 作戦の終了を了解 レムル駐屯地へ帰還します!』

隊員の声が聞える

『同じくレギスト機動部隊 作戦の終了を了解 国防軍レギスト駐屯地へ帰還します!』

ハイケルが苦笑し マスターを見る マスターが微笑して言う

「お疲れさん マックス大尉」


【 国防軍レムル駐屯地 情報部 】


マックスが言う

「お疲れ様で御座います 中佐 …流石と言いましょうか 感服致しました」

スピーカーからマスターの声が聞える

『相変わらず大げさだなぁ そちらは 現国防軍No1の情報部だろう?』

マックスが苦笑して言う

「いえ… お恥ずかしい 穴があったら入りたいとは この事です 空から攻撃をする 警空の空撃機は 我々情報部が何より気を付けて居なければならない天敵 …とは言え あの最新空撃機が発表されたのは ついこの間です それを あれほど あっさりと破ってしまわれるとは… 流石は伝説のマーガレット中佐 どれ程背伸びをしようとも 私は貴方の足元にさえ 追い付けそうにありません」

マスターの声がする

『そんなに謙遜する事はないだろぉ?ハイケルは褒めてたぜ?君を』

マックスが言う

「以前の私に比べ 幾分良くなったと思って頂けたのかと… レギストに居りましたその節も お二方には大変お世話になりました」


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


マイクが衝撃を受け驚いて言う

「マックス大尉が レギストにっ!?」

スピーカーからマックスの声が聞える

『そう言えば あの頃から中佐には 警空の最新機からは目を離すなと 言われて居りました… 本当に 本日は助かりました 今後はしっかりと…』


【 マスターの店 】


マスターが苦笑して言う

「マックス中尉… おっと 大尉だったな 失礼 折角何年ぶりの共同作戦だったってのに それじゃぁ俺は 昔と変わらない 鬼教官みたいじゃないか?今はもう すっかり丸く優しくなった 喫茶店のマスターだよ… うん!そうだ なんなら君の大尉への昇格祝いに この空撃機の撃退データをプレゼントしよう!今度ゆっくり コーヒーでも飲みに来給え!」

PCスピーカーからマックスの声が届く

『有難う御座います マスター …美味しいコーヒーを頂きに 是非 お伺いさせていただきます』

ハイケルがコーヒーを飲んでいる マスターが微笑する


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


マイクが溜息を付いて脱力する 情報部員たちが各々帰宅の準備をしている 情報部員がマイクの様子に気付いて言う

「マイク少佐!お疲れ様です!」

マイクが情報部員の言葉に顔を上げ 苦笑して言う

「うん お疲れ様」

情報部員が言う

「マイク少佐…?どうなされたのです?あの伝説のマーガレット中佐と 共同任務に当たれたと言うのに 嬉しくはないんですか?」

マイクが苦笑して言う

「ああ それは もちろん 嬉しくて今でも手の震えが止まらないよ でも ちょっとね… はは…っ」

マイクが表情を落とす 情報部員が心配そうに言う

「少佐…」

マイクが情報部員の様子に気付き 気を取り直して言う

「いやあっ!うん!そうだね!私もハイケル少佐や マーガレット中佐を目指して 頑張らないと!」

情報部員が微笑して言う

「はいっ!我々も レギストとして 機動部隊の支援を立派に努められるよう これからも頑張って行きます!」

マイクが笑顔で言う

「うん!君たちは今 急激に成長している!この調子で どんどん頑張ってくれたまえ!」

情報部員が笑顔で言う

「はいっ!マイク少佐!」


【 国防軍レギスト駐屯地 医務室 】


医者が包帯を巻いて言う

「順調ですね この状態で 後3日もすれば 銃弾に破壊された筋肉や皮膚の組織は繋がるでしょう その間は 任務は勿論 訓練なども まだ控えて下さい」

ハイケルが言う

「では、3日後なら 任務に当たっても良いと言う事か?」

医者が苦笑して言う

「一応 テーピングなどを強化して 繋がったばかりの組織を動かし過ぎない様にする事で その後の治りも良いですが… 痛みはまだある筈ですから 任務は難しいのではないかと」

ハイケルが服を調えつつ言う

「問題ない 一度任務へ就いてしまえば 痛みなどは感じている暇が無い 傷が悪化する事が無いとさえ 分かれば良いんだ」

医者が苦笑して言う

「相変わらずですね 少佐… もう少し 御自愛なされても良いのでは?」

ハイケルが立ち上がって言う

「所で 防長閣下が連れて来た ラミリツ・エーメレス・攻長閣下の治療をしたのも」

医者が微笑して言う

「ええ、僭越ながら 私が …詳しい事は伝えられませんが 全身に酷い打撲が有るとは言え 命やその他の心配はありません しばらくすれば意識も戻るでしょう」

ハイケルが言う

「分かった 感謝する」

医者が微笑する ハイケルが立ち去る


【 国防軍レギスト駐屯地 病室1 】


シェイムが視線を細める アースが微笑して言う

「どうか そうお気を張らずに… 今すぐに 貴方方を どうにかしてしまおう等とは 考えていません」

シェイムが微笑して言う

「では 後には どうにかされてしまうと言う事ですか?」

アースが軽く笑って言う

「っはっは… そうですね?もし、貴方方をここへ連れて来たのが 私や私の指令で動いた国防軍の者であったなら 現行身動きの取られない 攻長閣下が回復されるより前に 貴方と取引でもするでしょう しかし…」

シェイムがアースを見る アースが苦笑して言う

「彼は… ヴォール・アーヴァイン・防長閣下は その様な事は考えて居られない そうである以上 私が何かを行う事は出来ません 貴方方は 防長閣下の大切な客人ですから… とは言え」

アースが出入り口へ向かいながら言う

「その貴方が 我々へ何かを仰るのであれば それを止めるものはありません それにより 今後がどうなるのかも 貴方次第だ」

シェイムが目を細める アースが出入り口のドアを開けて言う

「攻長閣下の病室は隣です そちらにも この扉にも 鍵はかけられていませんので どうぞご自由に」

アースが出て行く 


【 国防軍レギスト駐屯地 病室2 】


ラミリツが思う

(…痛い 肩の傷も… 体中… だから そんなに強く抑えないでよ 痛いってば… でも なんだろう ここは 凄く 落ち着く… 安心出来る …僕を抱えているのは …兄上?)

ラミリツが薄っすらと目を開く 白い天上を眺めながらラミリツが言う

「ここは…?」

ラミリツが顔を横へ向ける 軍曹が椅子に座ったまま居眠りをしている ラミリツが軍曹を見てぼうっとしている 軍曹がふと目を覚まし 顔を左右に振ってから言う

「うむっ い、いかん 流石に 昨日から眠っていないと… おっ?」

軍曹がラミリツに気付き表情を明るめて言う

「おおっ!ラミリツ攻長!意識を取り戻したのだなっ!今 医者をっ!」

軍曹が立ち上がり ドアへ向かう ラミリツが言う

「…なんで アンタが… 兄上 は…?」

軍曹が立ち止まり振り返ると 笑んで言う

「メイリス長官も無事であるっ!安心してくれっ!ああっ!では ここへ会いに来てもらえるよう 自分から伝えて来るのだっ!」

ラミリツがハッとして慌てて言う

「ばっ 馬鹿!そんな事 兄上にっ!…うぅっ!」

ラミリツが思わず動かした体に激痛が走り ラミリツが苦しそうにベッドへ倒れる 軍曹が慌てて駆け寄り言う

「ラミリツ攻長っ!ラミリツ攻長は まだ動いては駄目であるっ!従って メイリス長官に来てもらえるよう」

ラミリツが軍曹へ顔を向けて焦って言う

「だからっ!兄上に来てもらうなんてっ!駄目だって言ってるんだよっ!…うっ!」

ラミリツが再び苦しむ 軍曹が慌てて言う

「わ、分かったっ!…いや、分からんが とりあえず!メイリス長官へ 来るようには 言わぬっ!従って 大人しくしているのだっ!」

ラミリツがホッと息を吐く 軍曹がラミリツを押さえていた手を外す ラミリツが気付き軍曹を見る 軍曹が思い出して言う

「うむ… あ、では 医者を呼んで来るのだ」

軍曹が立ち去ろうとする ラミリツが言う

「…ねぇ」

軍曹が立ち止まり振り返って言う

「む?やはり メイリス長官に」

ラミリツが言う

「アンタ …なの?」

軍曹が疑問する ラミリツが言う

「僕を… 運んだの …僕を 抱えて…」

軍曹が気付き笑顔で言う

「うむ!そうであるっ!少佐の時とは違い 今回は ラミリツ攻長に暴れられる事も無かった為 階段も落ちる事も無くっ!自分も無傷で 連れて来る事が 出来たのである!」

軍曹が頷き立ち去る ラミリツが首をかしげた後 息を吐き言う

「なんだ… それじゃ あれは 兄上じゃ なかったんだ…」

ラミリツが脱力する


【 国防軍レギスト駐屯地 廊下 】


軍曹が医者と共に歩いて来る 医者がラミリツの病室のドアをノックしてから病室へ入る 軍曹が続こうとしてふと気付き 隣の病室を見る 医者が軍曹を振り返ると軍曹が言う

「では ラミリツ攻長を頼む」

軍曹が言い終えると 医者が頷きドアが閉められる 軍曹が隣の病室を見て言う

「会いに来るように …とは言わずとも ラミリツ攻長が目を覚ました事は やはり お伝えしておくべきであろう… うむっ」

軍曹がシェイムの病室のドアをノックする


【 国防軍レギスト駐屯地 病室1 】


ドアがノックされ 軍曹の声がする

「アーヴァイン軍曹でありますっ!」

シェイムが顔を上げ言う

「…どうぞ」

軍曹が言いながらドアを開ける

「はっ!失礼致しますっ」

軍曹が部屋に入り シェイムを見る シェイムが軍曹へ顔を向け言う

「…私に何か?」

軍曹が一瞬呆気に取られた後 微笑し敬礼して言う

「はっ!ラミリツ攻長が意識を取り戻されたので お知らせに参りました …でありますっ!」

シェイムが言う

「それは… わざわざ 有難う御座います」

軍曹が呆気に取られた後慌てて言う

「ああっ それではっ!自分はこれにてっ!失礼致しま…!」

シェイムが言う

「何故 我々を?」

軍曹が止まり振り向く シェイムが軍曹を見る 軍曹が一瞬の後苦笑して言う

「でありますからっ …自分は 守りの兵士として 攻撃の兵士である ラミリツ攻長を」

シェイムが言う

「その様な子供騙しではなく 本当の理由をお聞かせ願いたい」

軍曹がシェイムを見てから苦笑して言う

「メイリス長官も やはり 自分の兄と同じ事を言われる… だが、自分は 本当にその理由で 助けに行っただけなのだ」

シェイムが視線を強める 軍曹が気付き言う

「あ、いや… もしかしたら そうでは無いのかもしれん 自分はただ… ラミリツ攻長を助けたかったのだ!それだけであるっ!」

シェイムが呆気に取られる 軍曹が苦笑して言う

「自分は 国防軍と政府が何だと言う話は 好きではないのである!だから、ラミリツ攻長が政府の代表であっても 自分が国防軍の代表であっても その様な事は関係なく!ラミリツ攻長が困っていれば 自分は助けたいし 守りたいのである!」

シェイムが言う

「攻撃の兵士である 彼を助け守り… 共に戦うとでも?…ふふっ 貴方が言うと 本当に アールスローン戦記 その物の様だ… ですが、そうであるなら 神の兵士や悪魔の兵士である 貴方方は不死身の存在 助けや守りなどしなくとも ごく限られた者にしか その命は奪えないのでは?」

軍曹が言う

「そんな事はっ」

シェイムが言う

「だから 貴方の兄上様も 貴方への被害を講じる事はせず 貴方の身に危険が及ぶ作戦を 行われるのでしょう?あの皇居襲撃の作戦… 陛下のパレードの時も」

軍曹が驚いて言う

「陛下のパレードの…っ?」

シェイムが苦笑して言う

「まさか ご存じないとでも?」

軍曹が困って言う

「それは… 自分は知らんっ!しかしっ …兄貴もメイリス長官も アールスローン戦記の事は 子供騙しと言っているのに 何故 攻撃の兵士と守りの兵士が不死身だと言う それこそ 信じられぬ話をするのかっ!?自分には そちらの方が!」

シェイムが言う

「もし本当であるなら 都合が良い …と思っているだけですよ 私も …きっと 貴方の兄上様も」

軍曹が驚く シェイムが言う

「そして、子供騙しであったなら… それまで です」

軍曹が言う

「それまで …とは!?そんな事ではっ 命がいくつあっても足りないのであるっ!」

シェイムが苦笑して言う

「そうですね しかし、今の所は アールスローン戦記さながら 攻撃の兵士も守りの兵士も どちらも 不死身ですよ?」

軍曹がムッとして言う

「ではっ 言って置くが!アールスローン戦記の原本で 蘇ると書かれているのは ”悪魔の兵士”だけであるっ!」

シェイムが軽く驚く 軍曹が続けて言う

「しかしっ!それは決して死なないと言う訳ではないのだっ!それこそ 世間一般の者が知る アールスローン戦記に書かれているのと同じく 何度でも蘇る!それは 死んだ者が生き返るのではなくっ!死んだ者と同じだけの力を持った兵士が 再び用意されると言う意味なのだっ!一度でも死んだ兵士は やはり死んでしまう!それは 不死身などとは 決して言えないのであるっ!」

シェイムが驚いて言う

「…それが アールスローン戦記の 原本…っ」

軍曹がムッとして言う

「そうなのであるっ!だから 兄貴やメイリス長官の考えではっ!いつか 自分やラミリツ攻長は 本当に殺されてしまうのだっ!従って 我々が不死身である等と言う考えは 捨てて欲しいのであるっ!」

軍曹が怒って部屋を出て行く


【 国防軍レギスト駐屯地 ハイケルの職務室 】


ハイケルがノートPCを見ている 扉がノックされる ハイケル顔を上げると 軍曹の姿を連想し苦笑して返事の口を開きかけると 扉の向こうからミストンの声が届く

「じょ、情報部の ミストンと申しますっ!」

「同じくっ!アリムと申しますっ!ハイケル少佐っ!」

ハイケルが呆気に取られて疑問してから 気を取り直して言う

「…入れ」

ミストンが言う

「失礼致しますっ!」

ドアが開かれ 2人が入って来て 緊張しながらドアの内側に立って敬礼する ハイケルが言う

「情報部の者が 機動部隊の私に 何の様だ?」

2人が慌て怯え 互いに押し付け合いながらも アリムが何とか言う

「あっ あのっ …ハ、ハイケル少佐にっ お、お願いがありましてっ!」

ハイケルが疑問して言う

「お願い?」

ミストンが慌てながら言う

「はっ はいっ!それでっ!情報部員を 代表して我々2人がっ 参りましたぁっ!」

ハイケルが言う

「情報部から 我々機動部隊へ何らかの依頼と言うのなら まずは お前たちの上官である マイク少佐へ言うんだな …そして マイク少佐から 私へ話が来るのが筋だ」

ミストンが言う

「い、いえっ!機動部隊への お願いではなくっ ハイケル少佐へっ!そ、そのっ マイク少佐へは 言えないので…っ」

ハイケルが疑問する アリムが表情を困らせて言う

「話の内容が… マイク少佐の事でして」

2人がハイケルを見る ハイケルが間を置いて言う

「…分かった では 話は聞こう」

2人が笑みを合わせる


【 マスターの店 】


ハイケルが店のドアを開ける ドアの来客鈴が鳴り マスターが顔を向けて言う

「お!ハイケルー!丁度良かったぁ!」

ハイケルが言う

「分かっている 来ているのだろう?」

ハイケルが店のドアを開けきると カウンター席にマックスが座っていて顔を向けて言う

「お久しぶりで御座います ハイケル少佐」

ハイケルがカウンター席へ向かう マスターが微笑して言う

「何だぁ?俺に内緒で 2人で しめしでも合わせてたのか?」

ハイケルが言う

「そんな事はしていない」

マスターがコーヒーを淹れながら言う

「なら 何でお前…」

ハイケルの前にコーヒーが置かれる ハイケルが言う

「昨日の最後の無線で ”美味しいコーヒーを頂きに 是非 お伺いさせていただきます” …と言っていただろう」

マスターが言う

「そうは言ってたが ”明日行きます”とは 言ってなかっただろ?それなのに」

ハイケルが言う

「レギストに居た マックス中尉は 自分の上官からの命令には 絶対忠誠だ お前が来いと言えば 常識の範囲内で可能な限り早く お前の下へ来るだろう」

マックスが微笑して言う

「流石は ハイケル少佐 私の性格を良くご存知で」

ハイケルが言う

「当然だ 元とは言え 私の部下だった者だ お前の情報は保存してある 現在でも可能であるのなら レギスト機動部隊へ召集したい」

マックスが寂しそうに微笑して言う

「有難う御座います… 少佐…」

マックスが僅かに足を動かす 片足が義足である事が分かる マスターが言う

「おーっと そいつは駄目だ マックス大尉は もう レギストのマックス中尉じゃないんだぜ?レムル情報部の大切な主任様なんだ 俺の愛弟子でな?」

ハイケルが言う

「それを言うのなら まずお前が 情報部へ戻れ」

マスターが苦笑して言う

「おいおい~」

マックスが軽く笑って言う

「…ははっ お二方とも お変わりの無いご様子で 昨日の作戦の時もそうでしたが とても懐かしく… とても 心強かったです」

マスターが言う

「相変わらず無敵な ハイケル少佐の武勇を見せられなかったのは 残念だったけどなぁ?」

ハイケルがコーヒーを口にする マックスが微笑して言う

「お話は伺っていますよ あの警空の最新空撃機を 撃破した… と その話を聞いた時 私は遂にハイケル少佐が メタルロボットにでも御変身なされたのかと…」

ハイケルがコーヒーを吹きそうになる マスターが爆笑する ハイケルが物言いたげにマックスを横目に見る マックスが苦笑して言う

「失礼致しました 軽い冗談です 少佐…」

ハイケルが言う

「分かっている」

マスターが思い出して言う

「ああ そうそう そのメタルロボット… じゃなかった 警空の最新空撃機の撃退データだったな?用意しておいたぜ?ほれ」

マックスがマスターからディスクを受け取り微笑して言う

「有難う御座います マスター …これからは 自分自身でも手に出来る様 精進致します」

マスターが苦笑して言う

「硬い硬い~ ウィルスプログラムなんて それこそPCマニアみたいな奴でも無いと 難しいんだから 君みたいな 機動部隊上がりのお堅い子は 先に引退した コーヒー好きな先輩でも頼りなさい」

マックスが微笑する ハイケルが言う

「そうだ そう言う事は いつでも コーヒー好きなPCマニアにでも頼れば良い お前はもっと別の事を 情報部員としての 部隊指揮能力でも 磨けば良いんだ」

マスターが言う

「こら ハイケル?お前今 わざわざ言葉を 入れ替えただろう?」

ハイケルがコーヒーを飲んで言う

「何の話だ?俺のレコーダー機能は 健在だ」

マスターが言う

「どこがだよっ そもそも レコーダー機能じゃなくて 編集機能の方が駄目なんだから ハイケル君は そっちを磨きなさい!」

ハイケルが顔をそらして言う

「ふんっ」

マックスが笑う マスターが苦笑し マックスへ向いて言う

「それはそうと 俺はイレギュラーだったとは言え 今後もレムル駐屯地と国防軍レギスト駐屯地の機動部隊 及び双方の情報部が 共同作戦を行う事はあるだろう マックス大尉 これからも ハイケルをよろしくな?」

ハイケルが衝撃を受け怒って言う

「俺を ”よろしく”かっ!?」

マックスがキリッと敬礼して言う

「お任せ下さい 中佐っ」

ハイケルがマックスへ怒って言う

「おいっ!」

マスターとマックスが笑う ハイケルが2人を見てから溜息を付いて言う

「まったく… 情報部の主任になる奴は どいつもこいつも…っ」

マスターがハイケルへ向いて言う

「ああ、そう言えば そっちの主任 マイク少佐はどうだ?」

ハイケルが思い出す マスターがマックスへ向いて言う

「マックス大尉 マイク少佐へ レムルの認証コードを送ってくれたか?話は来てるだろう?」

マックスが一瞬呆気に取られた後言う

「…認証コード?…ああ、そうですね レムル駐屯地の情報部と情報を共有するのには 必要ですね 分かりました 駐屯地へ戻りましたら 早速お伝えしておきます」

マスターが呆気に取られて言う

「うん?マイク少佐から 連絡は来てなかったのか?…俺からそうする様に 伝えておいたんだが?」

ハイケルが息を吐く マスターがハイケルを見る ハイケルが言う

「…そのマイク少佐の 情報部の部員2名が 先ほど俺を尋ねて来た」

マスターとマックスが呆気に取られ 顔を見合わせてから マスターが苦笑してハイケルへ言う

「へぇ?情報部員が 機動部隊の隊長であるお前を?随分と… ははっ 度胸の有る奴らだなぁ?」

マックスが表情を困らせて言う

「それも有りますが 情報部の部員が 上官を通さずに 少佐へお話を?」

ハイケルが言う

「自分たちの上官である マイク少佐の件である為 彼を通さずに 俺へ話を持ち掛けて来たそうだ」

マスターとマックスがハイケルを見る


【 回想 】


ハイケルが言う

『お前は情報部の主任として ふさわしく とても頼りになる 機動部隊の指示役としても 何一つ問題なく 安心出来る これからも 是非 現状のままで頼みたい …と、その様に 私からマイク少佐へ 伝えろと言うのか?』

情報部員たちが困り焦って言う

『そ、そのっ そこまで あからさまには…』

ハイケルが言う

『同じ事だろう 悪いが 嘘や裏切りは嫌いなんだ お前たちの依頼は 私には許容出来ない …以上だ』

ハイケルが視線をノートPCへ向ける 情報部員が慌てて言う

『あ、あのっ!ハイケル少佐っ』

ハイケルが言う

『”以上だ”と伝えた筈だ それ以上話す事は無いと言っている』

情報部員が言う

『我々情報部の主任は もうマイク少佐しか居ないんですっ!マーガレット中佐やマックス中尉がレギストを後にしてから 後任で就いた方々は 皆 彼らの凄さを改めて知ると 自分たちではレギストをっ ハイケル少佐の支援は出来ないと 別の駐屯地へ逃げて行ってしまったんですっ!』

ハイケルが情報部員を睨んで言う

『私のせいだと言いたいのか そいつらの実力が足りて 無かっただけだろう?』

情報部員が言葉を失う もう1人の情報部員が言う

『それはっ そうかもしれません…っ でも 情報部は主任が居ない状態では 動けない事も事実なんです ここで 2人を知らない 別の駐屯地から来ていた マイク少佐が お辞めになってしまったりしたら…っ もう他の駐屯地から主任を呼ぶ事は出来なくなります』

ハイケルが言う

『だったら 過去の2人を知る お前たちでやれ』

情報部員が言う

『部員の数はただでさえギリギリなんですっ それに、今から新しい部員を増やすにしても 1つの作業を任せられるまでに掛かる時間が とてもっ …ですから 一言だけでも ハイケル少佐から マイク少佐へ』

ハイケルが言う

『くだらんっ その場しのぎで煽てろ等と その様なもので繋ぎ止めて何になる?お前たちが 私へ言った事を そのまま本人へ伝える方がよっぽどマシだ』

情報部員が言う

『我々が何を言ったって 大した力にはなりません!同じ少佐である ハイケル少佐からならっ!』

ハイケルが言う

『好い加減にしろっ 話は終わりだ 出て行け』

情報部員2人が顔を見合わせる ハイケルが息を吐きノートPCへ視線を向ける 情報部員2人が視線を強めてアリムが言う

『嫌ですっ!ハイケル少佐が マイク少佐を応援してくれると仰るまでっ 出ては行きませんっ!』

ミストンが肯定するように頷きハイケルを見る ハイケルが一瞬呆気に取られた後 視線を細めて言う

『…余り怒らせるな 例え所属が異なろうと 上官としてお前たちへ 処罰を与える事は出来るぞ』

ミストンが言う

『覚悟の上ですっ!例え 我々2人が除名されたとしてもっ マイク少佐がお辞めになるより マシなんですっ!』

ハイケルが言う

『なら そのマイク少佐へ処罰を与えるまでだ お前たちはマイク少佐の部下だ そのお前たちが行った事は マイク少佐の責任となる …どの道 辞める奴にとっては 大した問題にはならないだろうがな?』

アリムが怒って言う

『それなら私はっ ハイケル少佐を撃ちますっ!』

ハイケルが疑問する アリムが銃を向ける ミストンが驚いて言う

『アリムっ!?』

ハイケルが見つめる アリムが言う

『命を懸けているのは 機動部隊だけじゃないんですっ その機動部隊をナビゲートする 私たちだってっ!』

アリムの銃を持つ手が震える ミストンが意を決し アリムの手を支えハイケルを見る アリムがミストンを見てから ハイケルを見る ハイケルが立ち上がる アリムとミストンが一瞬驚き 震えながら必死に耐える ハイケルが2人の近くまで来て言う

『それで私を脅しているつもりか』

2人の持つ銃が震える 2人がハイケルを見る ハイケルが言う

『なら 撃ってみろ』

2人が驚く ハイケルが悪微笑して言う

『情報部員であっても 銃を所持し 命を懸けているというのなら 撃て』

2人が震える ハイケルが視線を細めて言う

『どうした 本気ではないのか…?撃てっ!』

アリムが叫び 強く目をつぶり引き金を引く

『あぁああーっ!』

一発の銃声が響く アリムとミストンが脱力して座り込む ハイケルが言う

『ふんっ 射撃訓練でもしてから来るんだな?』

ハイケルが立ち去る アリムとミストンの目の前の床に弾痕が煙を上げている


【 回想終了 】


マックスが呆気に取られている マスターが怒って言う

「馬鹿野郎っ!ハイケルっ!」

ハイケルがマスターを見る マックスがマスターを見て頷く マスターがチャラけて言う

「また 足に当たったら ど~するつもりだったんだぁ?そう言う時は 左右のどちらかへ回避だろうっ!?」

マックスが衝撃を受ける ハイケルが不満そうに言う

「回避して 後ろのノートPCに当たったら 会話の間に録画していた 映画のデータが飛ぶだろう?だからあえて動かずに 逸らさせてやったんだ」

マックスが衝撃を受け 一瞬困惑してから2人を改めて言う

「いえ そうではなく 御二方共…?」

ハイケルがコーヒーを飲む マスターが苦笑して言う

「それで?そこまでの覚悟を持って 来てくれた情報部員2人の為に お前が用意した作戦は 何なんだ?ハイケル」

マックスが驚く ハイケルがコーヒーから口を離して言う

「”来てくれた” は言い過ぎだろう …だが 悪くない 機動部隊と共に ”命を懸けている” と言われるのはな」

マックスが驚く ハイケルがマックスを見て言う

「お前の様に 機動部隊から情報部へ行った者ならともかく 初めから情報部に居る奴らにも その様な考えがあるとは 知らなかった」

マスターが苦笑して言う

「あらぁ?俺はいつも言ってたと思うけどなぁ?お前の無謀な行動に ヒヤヒヤしてるってよぉ?」

ハイケルが言う

「俺の命を心配をするのと お前自身が 命を懸けるのとは違うだろう」

マスターが気付く ハイケルが言う

「…それで マックス大尉」

マックスが疑問して言う

「はっ 少佐」

ハイケルがマックスへ向いて言う

「お前に頼みがある 引き受けてくれるか?」

マックスが一瞬呆気に取られた後 頷いて言う

「私に出来る事でしたら 何なりと」


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


マイクがモニターを前に表情を落として居る キーボードを前にした手が止まっている 情報部員たちがマイクを見てから 振り返り ミストンとアリムを見る アリムが言う

「ごめんね… 皆…」

情報部員が言う

「何言ってるのよ アリム」

ミストンが言う

「そうだよ アリム すっごく頑張ってたよっ」

アリムがミストンを見て苦笑して言う

「ううん ミストンのお陰… 私1人だったら ハイケル少佐の気迫に 失神しちゃってたと思う ミストンが支えてくれたから」

ミストンが苦笑する 情報部員が頷いて言う

「うん、話を聞いてて分かったよ 2人とも 凄く頑張ってくれた 私たち情報部の皆と マイク少佐の為にっ」

情報部員たちが頷く アリムが苦笑して言う

「有難う皆…」

情報部員が言う

「だから しょうがないよ 私たちだけで なんとかマイク少佐を励まして」

情報部員が言う

「うんっ …でも ずっとやってるけど もう 厳しいかもね?」

情報部員たちがマイクを見て言う

「…うん、今までの主任たちと 同じ感じ …今日明日にも って…」

情報部員たちが一致団結して言う

「皆っ 今日明日は マイク少佐から目を離さないでっ それでっ 何とか…っ」

情報部のドアがノックされる 情報部員たちが顔を向ける 情報部のドアが再びノックされる 情報部員たちがマイクを見る マイクが顔を上げ言う

「…はい どうぞ?」

マックスが言う

「失礼致します」

ドアが開き マックスが入って来る マイクが疑問して言う

「…えっと どちら様で?」

情報部員たちが驚いて言う

「マックス大尉っ!」

マイクが呆気に取られる 一部の情報部員が立ち上がり敬礼する マックスが情報部員たちへ顔を向け軽く敬礼した後 微笑して言う

「久しぶりだな お前たち 少し見ない内に 随分と顔ぶれが変わったようだが …ミストン、アリム、ラッカス 昨日はご苦労だった 3人とも とても上達していた あれなら 各班のナビゲートを任せている ハイケル少佐もご安心なさるだろう」

名を呼ばれた情報部員たちが言う

「はっ!お褒めの言葉を頂戴し 光栄で御座いますっ!マックス大尉っ!」

マックスが微笑して頷いてから言う

「マイク少佐とお話をしたくて来たんだ 部員の皆は 作業を続けてくれ」

情報部員たちが返事をする

「はっ!了解っ」

情報部員たちが席に座り 作業を再開させる マックスがマイクへ向く マイクがハッとして立ち上がり言う

「さ、昨日はお疲れ様で御座いましたっ マックス大尉 私は 国防軍レギスト駐屯地情報部主任 マイク少佐でありますっ」

マックスが一瞬呆気に取られてから 苦笑し キリッと敬礼して言う

「はっ!お疲れ様で御座いました マイク少佐っ!レムル駐屯地情報部主任 マックス大尉 本日はマイク少佐とお話の時間を頂戴したく 参りましたっ どうかご了承を頂きたいと存じます!」

マイクが呆気に取られて言う

「へ?」

マックスが苦笑して言う

「自分は大尉であります マイク少佐」

マイクが慌てて言う

「ああっ!そ、そうでしたっ!失礼しました!」

マックスが呆気に取られた後苦笑して言う

「本当に ハイケル少佐の仰った通りだ」

マイクが疑問して言う

「ハイケル少佐が 私の事を?」

マックスが言う

「はい 失礼ながらお伝え致しますと 軍階があって無いような感覚でお話出来るお方であると 堅苦しい私では難しいだろうが 友人感覚で仲良く話すと良い… と その様にご指導を頂いたのですが 何分 私自身が ハイケル少佐の仰る通り 堅苦しい者で 大尉である私が マイク少佐と気軽に話しをする事は難しいのですが …ご許可を頂けるのであれば?」

マイクが慌てて言う

「は、はいっ その 私は確かに少佐の軍階ですが マックス大尉より ずっと能力は劣っていますので ご許可も何も無く… その… 何なりと…」

マイクが落ち込む マックスが苦笑してから言う

「では お話を?」

マイクが呆気に取られてから言う

「は?はい!はい 勿論っ!」

マックスが言う

「有難う御座います それと 失礼して 着席しても宜しいでしょうか?足が悪いもので」

マックスが軽く足を動かす 義足が小さく金属音を鳴らす マイクが驚く


マックスがマイクの横のPCで作業をする マイクが眺めている マックスが作業を終わらせて言う

「これで この情報部と レムル駐屯地の情報部とは 情報を共有する様になりました 以降はコード認証をスキップして 直接アクセスが可能です …それと、中佐から頼まれていた 3コードの分離も行っておきました ご覧になればすぐ分かるようになっていますので 後ほどご確認を」

マイクが慌てて言う

「あっ は、はいっ どうも有難う御座いましたっ」

マックスがマイクを見て苦笑してから 思い出した様に言う

「あ、そうでした マイク少佐 代わりにと言っては失礼ですが 1つお願いを宜しいでしょうか?」

マイクが呆気に取られて言う

「え?…は、はいっ その… 私に出来ると良いんですが…?」

マックスがディスクを見せて言う

「こちらなのですが」

マイクがディスクを受け取って言う

「これは…?」

マックスが言う

「昨日 マーガレット中佐が使用していた 警空の新型空撃機を撃退する ウィルスプログラムです」

マイクが衝撃を受け 感激して言う

「なあっ!?あっ!あのっ 素晴らしいプログラムがっ!い、今っ ここにっ!?」

マイクがハッとしてマックスを見る マックスが苦笑して言う

「もちろん 同じ国防軍の情報部なのですから 情報の共有を」

マイクが喜んで言う

「あぁああっ!有難う御座いますっ!マックス大尉っ!特A級のプログラムをこの目に…っ!…じゃ なかったっ!駐屯地の全部隊の今後の為にっ このプログラムは大いに役立つ筈です!」

マックスが微笑して言う

「ええ そのプログラムがあれば 先日の15部隊やレギスト機動部隊が遭遇した 警空の最新空撃機を いくらでも撃退する事が出来るでしょう」

マイクが言う

「ええ!それは勿論ですが それだけじゃないですよっ!このプログラムを応用すればっ 今でもまだ使用されている 1つ前の空撃機や 警陸の戦車へのウィルスプログラムだって作れますっ!警察のそれらの戦闘機は どれも同じ政府警察情報局で作られてますからっ!基礎となるプログラムはどれも 似通ってて その上…!あ、」

マイクがマックスを見て苦笑して言う

「す、すみませんっ つい プログラムやデータの話になると… 夢中になってしまって」

マックスが言う

「いえ、羨ましい」

マイクが疑問して言う

「え?」

マックスが苦笑して言う

「実は 私は元々情報部ではなく 機動部隊の隊員だったのです それが 自分のミスで足を失ったため 機動部隊の任務に就けなくなり それで、足が無くとも任務を行える 情報部へ移籍しました」

マイクが驚いて言う

「そ、そうだったんですか… で、でもっ 途中からだったというのに あれほど素晴らしい 15部隊の指揮と支援を!やっぱり凄いです!」

マックスが言う

「いえ、とんでもない 部隊の指揮を執る事は 移籍前に居た機動部隊で習った事です ですから それが出来るのは当然として 本来情報部の主任であるなら出来なくてはならない 敵組織の情報を調べ上げるハッキング作業や 映像データを直接プログラム上で解析する作業など そう言った事は 全く出来ないのです ですから 昨日も 映像センサーへ切り替えた第3センサーの管理と 政府の情報監視を マイク少佐へ割り振って頂きました」

マイクが呆気に取られて言う

「へ?あ、あれは レギストの指示をマーガレット中佐へ預けていて 私の手が空いていたから たまたま割り振られたものだと…?」

マックスが苦笑して言う

「そんな筈がありません マーガレット中佐はどんな些細な作業においても 常に適材適所の配備を行われる方です そして、そのマーガレット中佐は 私の恩師でもあります この情報部で それまでキーボードにも触れた事の無かった私へ 私でも出来る 情報部の仕事を1から教えて下さいました しかし 如何に中佐の教えを受けたとあっても 数字の羅列が苦手であるという事は 変わらずでして …そんな私に センサーの管理や政府情報の監視は勤まらないと 私とは逆に プログラムやデータの処理が得意なマイク少佐へ お願いしたのですよ」

マイクが呆気に取られる マックスが微笑して言う

「それから、そのウィルスプログラム」

マイクが気付き手に持ったままのディスクを見る マイクが言う

「私がレムル駐屯地へそのまま持ち帰っても 私が使って行えるのは あの最新空撃機の撃退だけです …しかし、それをここで マイク少佐へお預けしたとしたら?今でもまだ使用されている 1つ前の空撃機や警陸の戦車 更には その他へのウィルスプログラムをも作り上げ このレギスト情報部と直結になった レムル駐屯地情報部へも 送って頂ける… のですよね?マイク少佐?…フフフッ」

マイクがはっとしてから喜んで言う

「は、はいっ!もちろんっ!」

マックスが言う

「実は そちらをお願いしに伺ったのです …ですので 引き受けて頂けると仰るのでしたら とても助かります …お願いしても宜しいでしょうか?マイク少佐?」

マイクが思わず立ち上がって叫ぶ

「お任せ下さいっ!マックス大尉っ!」

マックスが笑んで言う

「良かった」

マイクがマックスの手を握り握手をして言う

「有難う御座いますっ!マックス大尉っ!私に… 私に やるべき事を 与えて下さってっ!」

マックスが苦笑して言う

「こちらこそ マーガレット中佐がご退職されてしまって以降 そういったPCマニア的な方がいらっしゃらなくて困っていました」

マイクが呆気に取られて言う

「PCマニア…」

マックスが苦笑して言う

「おっと 失礼致しました 先ほど中佐が 御自身の事をそう称して居られたので つい… 決して悪気が有って言った訳ではないので どうか お許しを」

マイクが苦笑してから笑って言う

「あっははっ いえいえ!そんなモンです!マックス大尉と違って プログラムやデータなんかの 数字の羅列が大好きですので!」

マックスが立ち上がりつつ言う

「それは心強い… 是非 これからも レムル情報部と共に」

マイクが瞬時に立ち上がり笑顔で敬礼して言う

「はいっ!こちらこそ!是非っ 宜しくお願いしますっ」

マックスが敬礼して言う

「頼りにしております マイク少佐」

マイクが微笑して敬礼を解除する マックスが立ち去ろうとして言う

「では これにて… と、伝え忘れる所でした 『もう1つの伝言』が」

マイクが疑問して言う

「伝言?」

マックスが言う

「ええ… ”あまり情報部の部員たちを 心配させるな” との事です」

マイクが言う

「え?えっと… それは どちら様からの?」

マックスが微笑して言う

「”お前はお前に出来る事をやれば それで良いんだ” だそうです …私のもう1人の恩師 ハイケル少佐からマイク少佐へ 確かにお伝え致しました …それでは」

マックスが軽く敬礼してから立ち去る マイクが呆気に取られてから言う

「ハイケル少佐が…私に…」

マイクが手に持っているディスクを見て言う

「伝説のマーガレット中佐からの… プログラム…」

マイクが顔を出入り口へ向ける マックスが部屋を出て扉を閉める マイクが言う

「その2人を恩師に持つ マックス大尉から 頼られ…」

マイクが燃えて言う

「おおおーっ!やりますよーっ!私は 今っ 猛烈に熱血しているーっ!」

ディスクがPCに入れられ マイクがキーボード操作をフルスピードで行っている 情報部員たちが顔を見合わせた後微笑み合いマイクを見る マイクが燃えている 扉の外マックスが微笑して言う

「…任務完了です ハイケル少佐」

マックスのイヤホンにハイケルの声が届く

『ご苦労 手間を掛けたな 感謝する』

マックスが言う

「これ位で先日のお返しになるのでしたら いくらでも… 元より ハイケル少佐には 私の命を助けて頂いたのです その私に出来る事でしたら いつでも」

ハイケルが言う

『…そうか では これからも 期待している マックス大尉 …以上だ』

イヤホンの無線が切れる マックスが微笑して言う

「”期待している” 少佐からの そのお言葉を頂きたくて どれ程無理を押したか… しかし」

マックスが歩き始める 義足が小さく金鳴る マックスが言う

「少々 無理を… いえ 無茶をしました それでも 再び そのお言葉を頂け 更には ”これからも” …とは …フフフッ 今度は 無茶をしないように 気を付けなければ いけませんね?」

マックスが去って行く


【 マスターの店 】


ハイケルがイヤホンマイクを外して言う

「流石は元国防軍レギスト機動部隊隊員 マックス大尉だ 確実に任務を遂行してくれた」

マスターが笑んで言う

「俺の愛弟子だからな~?」

ハイケルが言う

「俺の元部下でもある 更には 別の駐屯地であっても 同じ国防軍の隊員 …やはり 俺の部下だ」

マスターが笑んで言う

「チィ~ 折角 お前とは違って お堅くても可愛い後輩が これからも色んなウィルスプログラムを求めて ここへ遊びに来るって作戦だったのに… マイク少佐がそれを代行しちまうんじゃ 作戦失敗じゃねーか?どうしてくれるんだよ?ハイケル?」

ハイケルが言う

「問題ない あいつは 自分の上官からの命令には 絶対忠誠だ お前が来いと言えば…」

マスターが不満そうに言う

「渡してやれる手土産も無しに 来いだなんて 言えるかよ?」

ハイケルが立ち上がって言う

「なら簡単だ」

マスターが疑問する ハイケルがマスターを見て言う

「美味いコーヒーを淹れたから 飲みに来いと言えば良い ここは喫茶店で お前はその店のマスターだろう?…それとも やはり 情報部へ戻るのか?」

マスターが呆気に取られた後苦笑して言う

「いんやぁ?俺は この喫茶店のマスターだ」

ハイケルが顔を背けて言う

「ふんっ くだらん…」

ハイケルが店の出入り口へ向かう マスターが苦笑して皿を拭き始める ハイケルが店の扉を開け 顔を向けずに言う

「言って置くが」

マスターが疑問する ハイケルが言う

「”…いつでも 戻って来い …以上だ”」

ハイケルが立ち去る マスターが苦笑して言う

「大佐の最後の御言葉か… 重いねぇ~」

マスターが皿を置く


【 国防軍レギスト駐屯地 訓練所 】


軍曹が叫ぶ

「通常訓練の1!開始ぃーっ!」

隊員たちが叫ぶ

「はっ!了解!」

隊員たちが腕立てを開始する 軍曹がハイケルへ向いて言う

「少佐っ!遅ればせながらっ 先日は 自分の執り行った作戦へ ご協力を頂きまして!真に 有難う御座いましたぁっ!」

軍曹が頭を下げる ハイケルが隊員たちへ視線を向けたまま言う

「問題ない …他の部隊との共同作戦を行う 良い機会ともなった …それと」

ハイケルが軍曹を見る 軍曹が疑問する ハイケルが視線をそらして言う

「…悪かったな」

軍曹が衝撃を受け慌てて言う

「なぁっ!?な、何をっ!?しょ、少佐がっ 少佐が自分に 謝罪なさる理由などっ ど、何処にもっ!」

ハイケルが言う

「私の部下であり 防長閣下でもある君を 私自身が守ってやる …等と たかを括っていたのに 必要な時に負傷し 君の援護に行けなかった …すまない」

軍曹が呆気にとられて言う

「しょ 少佐…」

ハイケルが立ち去ろうとして言う

「…以上だ 後は頼んだぞ 軍曹」

ハイケルが歩き出す 軍曹が慌てて敬礼して言う

「はっ はっ!了解致しましたぁ!少佐ぁーっ!」


【 国防軍レギスト駐屯地 病室1 】


シェイムが視線を細め立ち上がり 出入り口へ向かう


【 国防軍レギスト駐屯地 通路 】


ドアが開かれ シェイムが出て来て 一度隣の病室へ視線を向ける 間を置いて シェイムが立ち去る


【 国防軍レギスト駐屯地 通路出口 】


外との出入り口に警備の兵士が立っている シェイムがやって来ると警備の兵士たちが敬礼する シェイムが立ち止まり顔を向けて言う

「…私を取り押さえないのか?」

警備の兵士が言う

「はっ!シェイム・トルゥース・メイリス様は 我ら国防軍 防長閣下のお客様であらされます どうぞ ご自由に」

シェイムが視線を細めてから言う

「…それはどうも」

シェイムが立ち去る 警備の兵士が敬礼する


【 国防軍レギスト駐屯地 訓練所 横 】


シェイムが通り掛ると 軍曹の声が聞える

「どうしたぁーっ!そんな事でお前たちは 少佐の率いるレギストであるのかぁーっ!例え 後衛部隊であろうともっ 少佐の足を引っ張る事は許されーん!罰として 訓練所周回30週を課するのだっ!自分に続けーっ!」

シェイムが視線を向けている シェイムが苦笑し歩みを続ける


【 国防軍レギスト駐屯地 正門前 】


軍曹が言う

「そうか… では メイリス長官は お1人で出て行かれたのだな?」

警備兵が言う

「はっ シェイム・トルゥース・メイリス様は お1人で出て行かれました!」

軍曹が心配そうに言う

「ふむ… 何処へ行ったのかは分からんが 政府警察は今もメイリス長官を追っているのだ 従って お1人では危険なのだが…」

警備兵が言う

「はっ 我々からも シェイム・トルゥース・メイリス様へ 政府警察の捜索がなされていると言う情報を お伝え致しました!」

軍曹が言う

「それでも お1人で向われると?」

警備兵が言う

「はっ 自分らからの進言へ対し お礼の御言葉を頂きました!」

軍曹が言う

「そうか… うむっ!分かったのだ!情報の伝達を感謝するっ!」

警備兵たちが敬礼して言う

「はっ!」


【 カルメス邸 】


シェイムが苦笑して言う

「更には 政府警察が私の捜索をしているから 十分に気を付ける様に 等と 心配までしてもらいました」

メルフェスが軽く笑って言う

「っははははっ いや、失礼 あまりに可笑しくて」

シェイムが苦笑して言う

「いえ、私も その場で 声に出して笑い出しそうになるのを 必死に堪えたものです」

メルフェスが笑んで言う

「有ろう事か政府警察が捜索している 政府の人間を 国防軍が守り 心配までするとは… ックク 奴らは 一体何を考えているのか」

シェイムが言う

「ええ… これでは 有事の際に 国防軍へ任務を委託する 政府警察の心配を 私がしたくなるほどですよ」

メルフェスが笑ってから言う

「ああ、まったくだ …と、それで」

シェイムが言う

「はい」

メルフェスが言う

「例の物は 無事で?」

シェイムが言う

「ええ…」

メルフェスが苦笑して言う

「それは良かった しかし、まさか国防軍が動くとは思いもせず こちらもその対応に追われてしまったのです …貴方や攻長閣下へは どうお詫びしたら良いのか」

シェイムが苦笑して言う

「どうぞお気になさらずに それと、正に怪我の功名と言いますか 現状は作戦通り… むしろ 良い方向へ向かっています」

メルフェスが疑問して言う

「ほう…?それは?」

シェイムが微笑して言う

「政府の長官となったのを機に それこそ 政府関連のあらゆるデータを調べ 過去 政府の攻長となった者を調べ上げました 時に 警察から… 時には 役所の管理職から… 実に色々な者が 攻長となっていた… しかし、国防軍の防長の方は」

メルフェスが言う

「私の知る限りでは 過去多くの防長が 現防長と同じく ハブロス家の者であると」

シェイムが頷いて言う

「ええ」

メルフェスが疑問する シェイムが言う

「それが… 何故であるかは ご存知ですか?」

メルフェスが少し考えてから言う

「いや… あえて言うのなら ハブロス家が 高位富裕層における 上位の者であったから ではなかろうかと」

シェイムが言う

「では 逆に 何故攻長の方は これほどに多くの者が 入れ替わるのでしょう?」

メルフェスが苦笑して言う

「それは 政府内の権力争いの恥かと」

シェイムが言う

「そうですね ならば 国防軍においても その様な事態が起こっても 可笑しく無いではありませんか?現に、今の防長の前は ハブロス家の者ではない 防長が立っていました そこで私は 攻長の方ではなく 防長の… 国防軍の事を調べてみたのです」

メルフェスが言う

「それで?」

シェイムが言う

「はい、その結果 驚いた事に 今よりずっと昔 それこそ彼ら国防軍の信仰する アールスローン戦記が発行される その直前まで 陛下の剣と盾は どちらも 国防軍の者であったと しかも…」

メルフェスがシェイムを見る シェイムが言う

「その2人は どちらも ハブロス家の者だったのです」

メルフェスが呆気に取られる シェイムが言う

「それが 何時の頃からか 防長のみが ハブロス家の者として残り 攻長が別の者に… 更には 国防軍のライバルとも言える アールスローン戦記を邪道と考える 政府の代表へと変わったそうです」

メルフェスが神妙に言う

「それは本当ですか?」

シェイムが言う

「はい それに、メルフェス殿もご存知のように アールスローン戦記には 原本とされる物が2つある その1つを陛下がお持ちで もう1つを ハブロス家の者が持っている …これで頷けるというものです 元々陛下の剣と盾 2人の兵士はどちらも ハブロス家の者だったのですから」

メルフェスが軽く息を吐いて言う

「それは 随分と残念なお話を伺いました 政府の… 例え信仰を軽んじる者たちであろうとも 元の攻長が政府の代表ではなかった等と聞けば そう思うでしょう それで、シェイム殿は そちらを知って どうされようと?それに 大体なぜ その様な事を…?もしや 攻長となられた 弟殿の為だろうか?」

シェイムが言う

「まさか… メルフェス殿も 気に掛けておられるのでしょう 国防軍の持つ力… アールスローン戦記に記された ”ペジテの姫に仕える2人の兵士”に付いてです 国防軍が信仰する物語でありながら ペジテの姫は 最終的には 自分の兵士を眠りに付かせる」

メルフェスが軽く笑って言う

「シェイム殿 弟殿を アールスローン戦記に置かれる 悪魔の兵士としたお陰で 少々 物語に心酔してしまわれているのではないのか?あれは ただの おとぎ話ですよ?」

シェイムが言う

「本当に そうでしょうか?」

メルフェスが言う

「…違うと?」

シェイムが言う

「物語と同じ ペジテと言う国があった事は事実です 更に、物語と同じく アールスローンの地は 過去 帝国により その殆どの土地を奪われていた …ペジテを除いて そうとなれば ペジテの姫が 神にもすがる思いで 国を守る兵士を願うのは当然の事 …その結果 ペジテは守られ 城は アールスローンの女帝陛下が住まわれる 現在の皇居となった …物語に多少の尾ひれが付こうとも これらは現代の我々が自分たちの目で見て 確かめられる史実です」

メルフェスが表情を顰めて言う

「それはそうだが… では 本当に ペジテの姫には 神と悪魔から与えられた 不死身の兵士などが居た と 言われるのか?」

シェイムが言う

「神と悪魔からなのか 不死身であったのかはさておき あの帝国から ペジテを守られるほどの兵士が… ”相応の力”が あったと言う事なのでしょう?そうとしたら その力を 今 再び手に入れなければ と… アールスローンの地に住まう者として 私は考えるのですが?」

メルフェスが考えて言う

「その様な力が… では その力は 実際にはどのような物で 今 何処にあるのか?」

シェイムが言う

「ペジテの姫が得ていた力です ですから 私は 陛下がご存知であられるのかと そう思っていたのですが 残念ながら 陛下とお話をする機会は得られないまま この様な事態に見舞われてしまいまして」

メルフェスが沈黙する シェイムが言う

「しかし 昨日 興味深い情報を得られました アールスローン戦記の原本 防長閣下がお持ちのその書物には 我々一般の者が知り得ていない内容が 書かれている様です それも 悪魔の兵士に付いての事で…」

メルフェスがシェイムを見詰める シェイムが微笑して言う

「来るべき 帝国との戦いの為にも 力は 必要ですよね?メルフェス殿」

メルフェスが微笑して言う

「もちろんだ シェイム殿」


【 国防軍レギスト駐屯地 病室2 】


ラミリツが僅かに聞える音に疑問し不思議そうに目を開く 視線の先 軍曹が音楽イヤホンを付け本を読んでいる 音楽イヤホンから音漏れしている事が分かる ラミリツが何か言おうと口を開きかけるが止め 体勢を変える 軍曹が 気付き 音楽イヤホンを外して言う

「おおっ!ラミリツ攻長!」

ラミリツが不満そうに視線を向ける 軍曹が気付き音楽プレイヤーを停止させて言う

「あ、すまん!目を覚ますのを 気長に待とうと思っていたのだが 起こしてしまったであるか?」

ラミリツが言う

「ハブロス家の人間の癖に デスメタとか聞くなよ …こっちは 禁止されてるのに あてつけのつもり?」

軍曹が疑問し音楽プレイヤーを見てから喜んで言う

「おお!?もしや ラミリツ攻長も こういった音楽が好きであるのか?」

ラミリツが衝撃を受けムッとして視線をそらす 軍曹が疑問した後苦笑して言う

「自分も兄には ハブロス家の者らしくないからと 禁止されているのだが 好きなものは好きなのだ!そうとあれば 場所さえ選べば 良いだけなのである!」

ラミリツが一瞬呆気に取られた後不満そうに言う

「…その場所が ここだって言いたいの?」

軍曹がハッとして慌てて言う

「いやぁっ すまんっ そう言う訳ではないのだが… この本を読むには 音楽が無いと駄目なのだ …して 今手持ちの音楽がこれしかなく …更にデスメタは大音量で聞くのが礼儀であるっ!はははははっ!」

ラミリツが表情を歪めてから溜息を付いて言う

「音楽より アンタの声の方が 迷惑だよ …で、なんか用?」

軍曹が本を閉じ気を取り直して言う

「うむ、実は昨日 メイリス長官がこの駐屯地を出て行かれたのだが どちらへ向かわれたか 心当たりが無いかと そちらを伺おうかと!」

ラミリツが一瞬驚いた 後表情を落とし 顔を背けて言う

「…知らない」

軍曹が一瞬呆気に取られた後苦笑し 笑顔で言う

「そうであるか!了解したっ!」

軍曹が立ち上がる ラミリツが視線を向ける 軍曹が言う

「用はそれだけなのだ!…ああっ それと 怪我の具合はどうか?何か欲しいものが有れば 遠慮なく 自分や看護士にでも言い付けてくれ!」

ラミリツがムッとして言う

「…何で」

軍曹が疑問する ラミリツが軍曹を睨んで言う

「何で僕を客人扱いするんだよっ 僕は政府のっ 攻長だぞ!」

軍曹が呆気に取られた後笑んで言う

「もちろん 知っているのだ!だからこそ 自分は守りの兵士として 国防軍を率いて ラミリツ攻長を お助けに参ったのであるっ!」

ラミリツが怒って言う

「訳わかんないよっ!何で国防軍のアンタが 政府の僕を助けるんだよっ!」

軍曹が呆気に取られた後苦笑して言う

「う、うむ… つまり、その… 自分は 防長であり 防長とは ペジテの姫に神より与えられた 守りの兵士であるからして その自分は 同じく姫に与えられた 悪魔の兵士である ラミリツ攻長を守りし 共に戦うのが」

ラミリツが叫ぶ

「僕は 悪魔の兵士なんかじゃないんだっ!」

ラミリツがハッとする 軍曹が呆気に取られる ラミリツが悔しさを押し殺し包帯の巻かれた手を握り締める 軍曹がそれを見てから苦笑して言う

「知っているのだ」

ラミリツが驚き目を見開く 軍曹が微笑して言う

「それに 例え 本物の神の刻印を持った悪魔の兵士であったとしても 不死身などではないのだ …だから もう ラミリツ攻長にお怪我をさせないでくれと メイリス長官へ頼んでおいたのだ」

ラミリツが軍曹を見る 軍曹が苦笑して言う

「と、自分がお頼みしても メイリス長官が聞いてくれるのかは 分からんのだが…」

ラミリツが言う

「…知ってたって?」

軍曹が本を見せて言う

「ここにあるアールスローン戦記の原本に載せられている 悪魔の兵士に与えられた 神の刻印は 複製のアールスローン戦記に描かれている物や… ラミリツ攻長に施されている印とは違うのだ 恐らく それを知るのは 自分と もう1つの原本をお持ちの… …しかし 自分は!そんな事は どうでも良かったのである!」

軍曹が微笑を向ける ラミリツが驚いて言う

「そんな事はって …何言ってるんだよアンタ?それが 誰かに知られたら…っ!」

軍曹が頷いて言う

「うむ!従って ラミリツ攻長のそちらが 間違った 神の刻印だと言う事は 自分と 自分の信頼の置ける御二方にしか話していない …自分の兄である 国防軍総司令官も 恐らく知らないのだ だから ラミリツ攻長は これからも 神の刻印を持った 悪魔の兵士として …陛下の命による親兵の入れ替えが無い限り 今のまま 攻長を続けるしかないのだ」

ラミリツが軍曹を見据えて言う

「…どう言う意味だよ?アンタに弱みを握られたまま 悪魔の兵士として 攻長を続けろって?」

軍曹が困って言う

「そうは言われても… それしかないのだ 陛下の親兵は 国家家臣 それになるための 虚偽偽りは 最も重い刑に掛けられてしまう …自分は 例え どの様な理由があろうとも ラミリツ攻長を その様な目に会わせたくは無いのである」

ラミリツがニヤリと笑んで言う

「…ははっ 良く言うよ こっちの弱みを掴んで …政府の弱みを掴めて 嬉しいんでしょ?そうなら そうってハッキリ言えよ!」

軍曹が困って言う

「そんな事は無いっ 誤解なのだ 自分は…っ」

ラミリツが怒って言う

「何処まで良い人振れば 気が済むんだよっ!僕はっ …アンタみたいな人はっ 大っ嫌いなんだよっ!」

軍曹が驚く ラミリツが軍曹を睨みつけている 軍曹が表情を落として言う

「…分かった 気分を害してしまったのなら 自分が悪かった」

ラミリツが驚く 軍曹が苦笑して言う

「自分は 馬鹿である為 どうしたら ラミリツ攻長と仲良く出来るのか 分からなかったのだ その 自分がして来た事で ラミリツ攻長を傷付けていたのなら 自分が悪い すまんっ」

軍曹が頭を下げる ラミリツが呆気に取られている 軍曹が顔を上げると表情を落としたまま部屋を出て行こうとする ラミリツが呆気に取られたまま見つめ 軍曹がドアに手を掛けると ラミリツが何かを言おうと息を吸う 軍曹が言う

「…しかし ラミリツ攻長っ!」

ラミリツが驚く 軍曹が振り返り笑顔で言う

「自分はっ!何があろうとも ラミリツ攻長の味方なのだっ!従って もし ラミリツ攻長の身に危険が迫れば!自分はまたっ!国防軍の仲間を引き連れてでも 助けに向かうのであるっ!」

ラミリツが呆気に取られる 軍曹が微笑を向けてから立ち去って行く


【 ハブロス家 屋敷 】


屋敷に車が到着し 軍曹が降りる 軍曹が屋敷へ入って来る 使用人たちが礼をする 正面の扉が開かれ アースが出て来て言う

「アーヴィン」

軍曹が立ち止まりアースを見て言う

「おお 兄貴 帰っていたのか」

アースが微笑して言う

「それは私のセリフだと思うが?レギストの夜間訓練に参加するからと 駐屯地に泊まり込んでいたのではなかったのか?」

軍曹が言う

「うむ、しかし 夜間訓練は昨日で終わり 今日は休みだったのだが 自分はラミリツ攻長の様子を伺いに 駐屯地へ行っていたのである」

アースが言う

「そうか… メイリス長官の行き先に 心当たりなどは?」

軍曹が言う

「うむ、聞いてみたが 知らないと言われてしまった」

アースが苦笑して言う

「…お前の事だ そのままの言葉で 問い掛けたのだろう?」

軍曹が疑問して言う

「うむ?もちろん そうなのだが?何か?」

アースが軽く笑う 軍曹が困って言う

「俺は… 何か間違っていたのか?」

アースが苦笑して言う

「うん… まぁ お前らしいと言ってしまえば それまでだが …例え 攻長閣下に 心当たりがあったとしても 我々の下から去って行ったメイリス長官の その居場所を 我々へ教えると思うのか?」

軍曹が衝撃を受ける アースが軽く笑って言う

「お前としては 率直にメイリス長官の身を案じて 行き先の確認を取っておきたい と言った所だったのだろうが しかし、彼らは…」

軍曹が言う

「分かった 俺が… やはり俺は馬鹿なのだな?ラミリツ攻長が俺と話して 気分を害した理由も 未だに分からんし」

アースが呆気に取られた後心配して言う

「アーヴィン 気に病む事は無い お前はただ…」

軍曹が手に持っていた本を眺めながら言う

「父上から託された アールスローン戦記さえ 未だに 読み終える事が出来ん 内容が難しいと言う事もあるが 読んでいても理解が出来ず 中々先へと進めんのだ… 俺が兄貴ほど利口であれば きっと とっくの昔に読み終えていると思うのだが…」

アースが軍曹の手にある本を見て驚いて言う

「まさかっ!?アールスローン戦記の原本を 外へ持ち出していたのかっ!?」

軍曹が疑問する アースが軍曹に詰め寄り 怒って言う

「どうなんだっ アーヴィンっ!?まさか 本当にっ!?」

軍曹が呆気に取られた後 困って言う

「も、持ち出したも… 何も…」

アースが怒って言う

「アールスローン戦記の原本はっ 世界に2つしかない とても貴重な物であり ハブロス家の家宝だっ!父上に そうと言われたのを 忘れたのかっ!?」

軍曹が困って言う

「ま、待ってくれ 兄貴 例え そうと言われても 俺は…」

アースがはっと冷静になり 深く息を吐いて言う

「…少し感情的になり過ぎた しかし、アーヴィン それはとても大切な物だ 従って 屋敷からは持ち出してはいけない …分かったな?」

軍曹が困って言う

「う… うむぅ…」

アースが軍曹を見て言う

「これほど言っても分からないのか?」

軍曹が言う

「いや、世界に2つしかない アールスローン戦記の… いや!ハブロス家の家宝とされて来た それが大切だと言う事は 俺でも分かっているっ だが…」

アースが背を向けて言う

「分かっているのなら 相応の扱いを考えてくれ それは お前に託された大切なもの 外へ持ち出し 誰かに奪われでもしたら どうする?…それさえも分からないとは 言わないでくれよ?」

アースが立ち去る 軍曹が困って言う

「う、うーむ… どうやら 俺は 兄貴さえも怒らせてしまった様だ… 何故 俺のやる事は こうも人を不快にさせてしまうのか…?」

軍曹が表情を落とし立ち去る


【 メイリス家 隠し別荘 】


一台の車がやって来る ドアが開かれるとラミリツが身を支えられ車を降りる ラミリツが言う

「兄上は 来てる?」

使用人が畏まって言う

「はい、旦那様は お部屋の方に」

ラミリツの身を支える使用人が言う

「そちらへ向かわれますか?」

ラミリツが少し考えてから言う

「…自分の部屋で良い 少し休みたい」

使用人が言う

「畏まりました」

ラミリツが使用人たちに支えられ別荘に入る


【 国防軍レギスト駐屯地 医務室 】


医者が言う

「ええ、昨夜遅くに お迎えの方がいらしたようで」

軍曹が表情を落として言う

「そうか… しかし、ラミリツ攻長の 怪我の方は大丈夫なのか?」

医者が言う

「まだ ご無理はなさらない方が 良いかとは思われますが 攻長閣下は メイリス家の方ですから 相応の医者が呼ばれる事でしょう」

軍曹が言う

「うむ… 確かにそうではあるな?分かった 伝達を… いや、色々と感謝する!」

医者が苦笑して言う

「ええ 軍医をしていますと ああ言った 子供の様な駄々をこねる患者は 余り見ないですからね 久しぶりに少々 手を焼かされました」

軍曹が苦笑する 医者が言う

「まぁ 攻長閣下とは逆の意味で 手を焼かされる事は 今でもありますがね?」

軍曹が疑問して言う

「逆の意味で…?」

医者が笑んで言う

「ええ、何処を触れても 痛い痛いと騒ぐ攻長閣下とは逆に …言ってしまえば ハイケル少佐ですよ」

軍曹が衝撃を受け慌てて言う

「しょっ 少佐がぁ!?」

医者が笑って言う

「ここは痛いか?と聞いても ”問題ない”ですからね 例え 動かすのに問題が無くとも 痛いのか痛くないのかが分からなければ 困るのですよ …まぁ 彼との付き合いは長いですから 対処法は得られてますがね?あっはっはっ!」

軍曹が呆気に取られる


【 国防軍レギスト駐屯地 訓練所 】


軍曹が叫ぶ

「通常訓練の1!開始ぃーっ!」

隊員たちが言う

「はっ!了解!」

隊員たちが腕立てを開始する ハイケルが隊員たちを見ている 軍曹がハイケルへ向く ハイケルが言う

「しばらく君に任せていたからな 今日は隊員たちの状態を 直接 私が確認をし 後の指示は追って伝える」

軍曹が敬礼して言う

「はっ!了解っ!」

軍曹が隊員たちの下へ向かおうとしてふと思い止まり ハイケルの足を見てから言う

「あの… 少佐 お怪我の方は…?」

ハイケルが隊員たちの方へ向いたまま言う

「問題ない」

軍曹が呆気に取られる ハイケルが軍曹へ視線を向けて言う

「何だ」

軍曹がハッとして慌てて言う

「あっ!い、いえっ!ではっ 自分も訓練に加わるでありますっ!」

軍曹が隊員たちの下へ行き腕立てを開始する


【 国防軍総司令部 総司令官室 】


アースが溜息を吐く 執事が言う

「何か ご気分の安らぐ お飲み物でも ご用意を致しますか?」

アースが執事を見てから 視線をそらして言う

「いや、今は良い」

執事が言う

「失礼致しました」

アースが苦笑して言う

「…ふっ これが他の悩みであったなら お前の用意するハーブティーでも飲めば 落ち着くのだろうが」

執事が言う

「と、申されますと お悩みの方は…」

アースが言う

「ああ アーヴァインの事だ お前も昨夜 聞いていただろう?」

執事が苦笑して言う

「アース様がご心配をなされるのは 当然の事であられましたかと」

アースが息を吐き 片手で頭を抱えて言う

「まったくだ …ただ歴史的価値があるだけの本 と、言ってしまえば簡単だが 代々次の当主となる者が引き継ぐとされてきた… あれは家宝であり その証とされる物… まさかとは思うが 父上は本気でアーヴァインを ハブロス家の次の当主に等と 考えていたのだろうか?」

執事が苦笑して言う

「差し出がましい様ですが ハブロス家の次期のご当主様は 誰の目に置かれましても アース様を置いて他には居られませんかと… そして ヴォール・アーヴァイン・防長閣下を次のご当主にと お考えにあられましたら 危険がはらまれる 防長閣下のお役目や 更にその下である機動部隊へ身を置かれる事を お許しにはなられませんでしたかと」

アースが微笑して言う

「…それもそうかもな?」

執事が言う

「更に 付け加えさせて頂けましたら あちらの本は ハブロス家の現ご当主様であらされる 旦那様も 実際には お目にされた事が無い様に 仰せに御座いました」

アースが呆気に取られて言う

「うん?そうなのか?」

執事が言う

「はい …詳しい事は存じませんが 旦那様ご自身は お手にされる事の無いまま ヴォール・アーヴァイン・防長閣下へ与えられる事を ご了承なされたのだと」

アースが言う

「では 祖父上から 直接アーヴィンへ渡されたと言う事なのだろうか…?」

アースが考える 間を置いて言う

「と、そんな事を話している場合ではなかったな 今は 国防軍の総司令官として 責務をまっとうしなければ …気分を変えたい やはり 飲み物を頼む」

執事が微笑し畏まって言う

「はい すぐにお持ち致します」

執事が出て行く アースが書類を手にする


【 国防軍レギスト駐屯地 食堂 】


食堂内に音楽が流れている 軍曹が本を読んでいる ハイケルが食堂に現れ軍曹に気付く 軍曹がページをめくると ハイケルが言う

「…アールスローン戦記か?」

軍曹が驚き慌てて振り返って言う

「しょっ 少佐ぁっ!?」

ハイケルがコーヒーを飲んでから言う

「何を驚いている」

軍曹がハッとして立ち上がり敬礼して言う

「あ、い、いえっ!失礼致しましたっ!」

ハイケルが言う

「私の知らない文章が書かれていた …まさかとは思うが それが アールスローン戦記の原本か?」

ハイケルがテーブルに置かれた本を見る 軍曹がハイケルの視線を追いつつ言う

「あ、は、はいっ そう… と言いますか…?」

ハイケルが僅かに表情を顰め 軍曹へ向いて言う

「そんな大切な物を 持ち出して大丈夫なのか?訓練中は何処に置いている?鍵が掛かるとは言え 一般の兵士ロッカー等に置いて良い物では…」

ハイケルが言いながらテーブルに開かれて置かれた本を見て 驚く 軍曹がハイケルの様子に気付かないまま 表情を困らせて言う

「え~ そのぉ… 訓練中は 一般の兵士ロッカーに 置いておりますが… この本自体は」

ハイケルが本のページを慌ててめくり 呆気に取られて言う

「一体どうなっているっ?」

軍曹が言う

「は、はい… その… 実は こうなっておりまして…」

軍曹が言いながら本を手にとって間を置くと 白い本のページに 文字が浮き上がってくる ハイケルが呆気に取られ ページをめくると 本になっている ハイケルが軍曹を見る 軍曹が苦笑する


ハイケルが軍曹の向かいの席に座っていて言う

「…なるほど それならば 例え一般兵士のロッカーへ置いても …いや むしろ その本自体を 奪われたとしても まったく問題ないと言う事だ アールスローン戦記の原本は 常に 君自身と共にあるのだからな?」

軍曹が苦笑して言う

「はい そう言う事になるのであります …しかし、正直 こういった 真っ白い本と言う物は中々無い物でして 本当に奪われますと 少々面倒でありますが」

ハイケルが息を吐いて言う

「別に 本の形を模していなくても 構わないのだろう?必要と有れば ただの白い紙であったとしても?」

軍曹が言う

「あ、はぁ?言われて見れば そうではありますが」

ハイケルが言う

「実に 不可解な力だ… 他にも何か出来るのか?」

軍曹が疑問して言う

「はぇ?他にも…とは?」

ハイケルが言う

「白い紙に アールスローン戦記の原本を 映し出せる能力の他に… やはり 不死身であったりもするのか?」

ハイケルが立ち上がり銃を取り出そうとする 軍曹が衝撃を受け慌てて言う

「なぁあっ!?しょっ 少佐ぁーっ!?」

ハイケルが思い出して言う

「…と?守りの兵士の方は 不死身ではなかったな?すまない」

ハイケルが抜きかけの銃を仕舞い 腰を下ろす 軍曹が焦って言う

「しょ、少佐っ!?今 一瞬 本気で…?」

ハイケルが軍曹を見て言う

「だが 悪魔の兵士である 攻撃の兵士の方が不死身だと言うのは 原本も同じだったな?では ラミリツ・エーメレス・攻長が…」

ハイケルが目付きを鋭くする 軍曹が衝撃を受け慌てて言う

「いっ いえっ!少佐ぁーっ!じ、実はでありますがっ!攻撃の兵士… いえ、悪魔の兵士の方も 厳密には不死身ではありませんでしてっ!い、一度でも殺してしまった悪魔の兵士はっ!やはり 死んでしまいましてっ!その代わり同じ力を持った兵士が 何度でも現れると言う意味でありましてっ!」

ハイケルが軍曹を見て言う

「そうなのか」

軍曹が言う

「は、はいっ!ですから どうか… た、試し撃ち 等はなさいませんように… ま、ましてっ!」

軍曹が周囲を伺い小声で言う

「ラミリツ攻長は 本物の悪魔の兵士では 有りませんのでっ!」

ハイケルが言う

「…そうだったな」

ハイケルが舌打ちをして残念そうに表情を落とす 軍曹が呆れの汗を流して思う

(…本気だったっ!?)

ハイケルが気を取り直して言う

「では 本物は何処に居るんだ?」

軍曹が呆気にとられて言う

「はぇ?」

ハイケルが言う

「本物の悪魔の兵士は何処に居る?」

軍曹が呆気に取られてから 白い本を手にとって言う

「は、はぁ… それが 実は… この原本によりますと」

サイレンが鳴る ハイケルと軍曹が驚く スピーカーからアナウンスが流れる

『緊急指令 緊急指令 国防軍17部隊及び18部隊は 直ちに 戦闘装備を行い 車両収納所へ集合せよ 繰り返す 緊急指令 緊急指令 国防軍17部隊及び18部隊は 直ちに 戦闘装備を行い 車両収納所へ集合せよ』

ハイケルと軍曹が顔を見合わせ 食堂出口へ走って行く


【 国防軍レギスト駐屯地 ミーティングルーム 】


バックスが言う

「13時02分 先ほど 政府関係者による 懇談会の会場へ 反政府組織ガイズのメンバーが 押し入ったとの連絡を入手した」

アルバート、ハイケル、マイクが居る ハイケルが言う

「入手…とは?」

バックスが頷いて言う

「今の所 政府警察や政府関係から 我々国防軍への応援要請などは成されていない しかし、この懇談会には」

ミーティングルームのドアがノックされ 軍曹が言う

「アーヴァイン軍曹でありますっ!」

ハイケルが呆気に取られて言う

「軍曹?」

バックスが言う

「入れ」

軍曹がドアを開け 室内へ入って敬礼する ハイケルが軍曹を見てからバックスを見る バックスが言う

「現在 反政府組織ガイズのメンバーが押し入った 政府関係者による懇談会場には 我々国防軍の元総司令官にして ヴォール・アーヴァイン・防長閣下や アース・メイヴン・ハブロス総司令官の御祖父様であらされる ヴォール・ラゼル・ハブロス様が ご出席されているとの確認が取られた」

皆が驚き軍曹を見る バックスが言う

「よって我々国防軍は 懇談会の主催者である 政府各所からの応援要請を待たずして ヴォール・ラゼル・ハブロス様をお守りするべく 出動する!」

アルバート、ハイケル、マイクが敬礼して言う

「はっ!了解っ!」

軍曹が言う

「あ、あの~…?」

皆が軍曹を見る ハイケルが言う

「どうした 軍曹」

軍曹が言う

「はっ!その出動命令は 総司令官や… ヴォール・ラゼル・ハブロスからの 指令でありましょうか?」

バックスが言う

「いや、これは我々国防軍レギスト駐屯地が入手した情報を元に 決定がなされた出動命令だ 国防軍の各駐屯地には 一定の基準の下 必要と判断された事件へは 独自の判断を持って 出動する事が許可されている」

軍曹が言う

「では バックス中佐や 管理官方のご判断であると…?」

バックスが言う

「そうだ」

ハイケルが言う

「軍曹 保護対象は君の祖父君だろう そして、国防軍の元総司令官でもある 我々が出動する理由には十分に値する 何を躊躇する?」

軍曹が言う

「はっ 実は 祖父は私設の自衛小隊を構えておりまして 普段から 自分個人の屋敷にも 国防軍やその他の警備部隊などを 置かない方でして… 恐らく 政府の懇談会へ向かうとあれば 相応の人員を連れていると思われます 従って…」

ハイケルが言う

「助けは不要である と?」

軍曹が言う

「恐らく…」

ハイケルがバックスを見る 皆がバックスを見る バックスが少し考えて言う

「…しかし 『援護に向かってはならない』 との ご命令を 受けていない事も確かだ アーヴァイン軍曹 …いや、防長閣下」

軍曹がバックスを見る バックスが言う

「貴方様が 我々へ 『向かうな』 と 仰せになるのでしたら 話は別となりますが 我々は国防軍として ご恩ある元国防軍総司令官であり 貴方様方の御祖父様であらされる ヴォール・ラゼル・ハブロス様を お守りしたい… 出動の ご了承を頂けますでしょうか?」

ハイケルが軍曹を見る 軍曹が間を置いて言う

「…分かりました 自分が 了承をしますっ」

バックスが微笑し頭を下げて言う

「有難う御座います ヴォール・アーヴァイン・防長閣下」

軍曹が慌てて言う

「い、いえっ!自分はっ レギストに居ります時はっ アーヴァイン軍曹でありますっ!」

軍曹が敬礼する ハイケルが苦笑する


【 車内 】


ハイケルがイヤホンマイクへ言う

『…作戦は以上だ 場所が政府の管轄である以上 恐らく 政府警察は 政府警察機動部隊を導入するものと思われる』

隊員Aが衝撃を受けて言う

「げぇっ!?」

隊員Bが呆気に取られた後言う

「昨日の敵が今日の友ー!って奴ですね!」

ハイケルが言う

『昨日ではないが つい先日は銃を向けた相手だ だが、今回撃ては それは 国防軍と政府との戦いの合図ともなり兼ねない 従って 狙撃相手には十分に注意をする様に』

隊員Fが表情を困らせて言う

「う~… 何か 変な緊張するなぁ」

隊員Bが言う

「狙撃は駄目でも 手榴弾どっかーん は良いですかぁ?少佐ぁ?」

隊員Cが怒って言う

「良い訳ないだろーっ!」

隊員Bが言う

「サッちゃんに聞いてなーい」

隊員Cが怒って言う

「大体聞かなくったって そんな事!」

ハイケルが言う

『銃撃よりは マシだな』

隊員Cが衝撃を受ける 隊員Bが喜んで言う

「ほらー!」

ハイケルが言う

『襲撃犯へ放った物が たまたま 警機を巻き込んだ… と、言い訳が出来る程度にはしておけ』

隊員たちが顔を見合わせる 隊員Bが言う

「キャッチアンドリリースはー?」

ハイケルが言う

『許可する』

隊員たちが衝撃を受ける 隊員Bが喜んで言う

「いえーい!」

隊員Aが慌てて言う

「しょっ 少佐ぁーっ!?」

ハイケルが言う

『それは こちらへ投げた警機のミスだろう』

隊員Aが焦りの汗をかいて言う

「えーっと…?」

ハイケルが言う

『間もなく到着する 全隊員 最終確認を行え』

隊員Bが言う

「了解ー!」

隊員たちが慌てて言う

「りょ、了解っ!」


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


マイクが言う

「ハイケル少佐!3分後に情報部の車両が到着します!到着と同時にセンサーを打ち上げますので 施設内部の情報が得られ次第 ナビゲーションを開始します!」

スピーカーからハイケルの声が届く

『了解 18部隊とはどうなっている?』

マイクが言う

「18部隊のアルバート中佐からは 無線周波数の連絡以外は 不要だと 断られてしまいました… やっぱり 元々18部隊の管轄である ハーメッド地区だから 我々の応援は邪魔って事なんでしょうかね…」

マイクがしょんぼりする ハイケルが言う

『アルバート中佐は独自の作戦を展開する指揮官だ ハーメッド地区であろうが無かろうが変わらない 気にするな』

マイクが驚く ハイケルが言う

『18部隊へ無線周波数を伝えたら 情報部は全力を持ってレギストを支援しろ 必要と有れば その我々が18部隊を支援する』

マイクが微笑して言う

「了解っ!」


【 政府懇談会場 】


ラゼルの横に執事2が来て小声で言う

「ラゼル様… どうやら この懇談会は政府の罠であった様です 先ほど この施設に武装グループが入り込んだと… 恐らく奴らの狙いは」

ラゼルが微笑して言う

「ほっほっほ …うむ 構わない たまには ひと暴れして頂くのも良い …盾は朽ち様と 剣は 今も 戦いを好まれるのだよ」

ラゼルが視線を向ける 扉の横に立っているエルムが顔を上げる


【 車内 】


軍曹が携帯へ驚いて言う

「なぁっ!?そ、それは 本当なのかっ!?兄貴っ!?」

隊員たちが軍曹を見る 軍曹が言って電話を切る

「う、うむ… 分かった うむ、それは気を付ける では…」

軍曹が電話を終えると 隊員たちが言う

「軍曹 …何か 問題でも?」

軍曹が表情を困らせて言う

「う、うむ~ それが…」

車両が止まり 軍曹と隊員たちが車を降りる 2台のトラックから隊員達が集まると ハイケルが言う

「軍曹 祖父君の情報は何か得られたか?」

軍曹が言う

「はっ!懇談会場は 施設の8階にある 大広間であると」

ハイケルが無線イヤホンに言う

「マイク少佐 聞えたか」

無線にマイクの声が聞える

『はいっ!それでは 8階フロアを目的地へ設定致します!』

ハイケルが言う

「犯人らによって保護対象が移動させられていたり その他の理由から 別の場所になると言う事もありえる センサーからは目を離すな」

無線にマイクの声が聞える

『了解っ!』

軍曹が言う

「あっ 少佐 これは情報となるか分かりませんが 祖父が連れて行った付き人は 執事が1名と… 私設自衛小隊の者が1名である… と」

ハイケルが呆気に取られて言う

「それだけかっ!?」

軍曹が表情を困らせて言う

「どうやら… その様でして」

ハイケルが表情を困らせて言う

「作戦を急がせる必要があるな… マイク少佐 18部隊のアルバート中佐と通信したい 無線周波数を教えてくれ」


【 メイリス家 隠し別荘 】


シェイムが電話に言う

「なるほど… この騒ぎはそう言った事でしたか」

シェイムが視線を向けた先TVに政府懇談会場の映像が映っている


【 カルメス邸 】


メルフェスが電話をしていて言う

「ああ、シェイム殿のお陰で 考え付いた案です 現総司令官や防長である あの2人を捕らえる事は難しいですが 元防長にして 元国防軍総司令官であった 祖父を狙うとは… 彼らでさえ思いもしないでしょう?」

受話器からシェイムの声がする

『確かに 盲点かもしれません …しかし 折角行うのでしたら 彼らの祖父よりも 父親辺りの方が 人質としては最適であったのでは?それこそ 全ての役目を終えた祖父であっては アールスローン戦記の原本を引き換えには 出さないと言う事も…』

メルフェスが笑って言う

「あっはっはっはっ… いや、やはり恐ろしいですな?メイリス家は 目的の為なら手段は選ばず ですか?弟へ偽りの刻印を焼付けるだけでなく 実の父親さえ 政府長官になるための生贄にした… と」

受話器からシェイムの声がする

『…何のお話で?』

メルフェスが苦笑して言う

「いや、失礼 今のは聞かなかった事に …ともあれ これで ハブロス家から 原本を奪えます …その後のお話でも 致しましょうか?シェイム殿?」


【 メイリス家 隠し別荘 】


シェイムが言う

「そうですね… それも良いですが まずはこの事件がどうなるのか そちらを観察させて頂きます」

受話器からメルフェスの声がする

『心配性ですね?間もなく 政府警察機動部隊の応援まで入る予定です 国防軍の介入を許したとは言え 攻撃してはならない相手が まさか 襲撃犯の仲間だとは 思わないでしょう?ヴォール・ラゼル・ハブロス …いえ、ヴォール・ラゼル・元防長に 逃れる術はありませんよ クックック…』

受話器から電話の切れた音がする シェイムが受話器を置きながら言う

「さぁ どうだろうな…」

シェイムの視線の先 TV映像に ハイケルと軍曹が映っている


【 政府懇談会場 】


扉が破壊される 襲撃犯たちが爆煙の中へサブマシンガンを放つ 爆煙の中でサブマシンガンの銃弾が全て弾かれる 襲撃犯たちが疑問すると その襲撃犯たちの下に手榴弾が放られる 襲撃犯たちが落ちた手榴弾を見て慌てて逃げる 手榴弾が爆発する 軍曹が盾を構えていて手榴弾の爆風を抑える ハイケルが言う

「国防軍レギスト機動部隊 突入っ」

ハイケルが言うと共に駆け出す 1班隊員たちが慌てて言う

「りょ、了解っ!」

隊員Bと隊員Aがハイケルに続き 1班隊員たちが慌てて追いかける 軍曹が慌てて言う

「のわっ!しょ、少佐ぁっ!?」

軍曹が振り返って言う

「よ、よしっ!お前たちっ 自分に続けーっ!」

軍曹が走り出すと 2班が慌てて言う

「りょ、了解っ!軍曹に続けーっ!」

2班が追いかける


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


情報部員が言う

「レギスト機動部隊 ハイケル少佐 1階ロビーへ突入!」

情報部員が言う

「同じくA班 ハイケル少佐を追走」

情報部員が言う

「同じくB班 及びC班 A班を追走」

情報部員が言う

「レギスト支援班 アーヴァイン軍曹と共に 1階ロビー前にて交戦中!」

スピーカーからハイケルの声が聞える

『B班C班は 支援班の援護へ向かえ 先行隊員は 警機が介入する前に 行ける所まで突入するっ』

マイクが慌てて言う

「ハイケル少佐!それでは 前方の襲撃犯と 後方からの警機に挟み撃ちにされますっ!」

スピーカーからハイケルの声が聞える

『問題ない 警機が介入する前に 18部隊が守りを固める マイク少佐 センサーのナビはまだか?』

マイクがキーボードを操作して言う

「到着まで 後1分です!」


【 政府懇談会場 8階 】


エルムが顔を上げ言う

「ターゲットが動き出した… 君はここに居ろ 軍曹」

ラゼルが立ち上がり言う

「いえ 折角です 自分は 少佐の勇士を 久しぶりに この目にしたいのであります」

エルムが言う

「了解」

ラゼルが微笑する エルムがドアを開けると ドアの前に襲撃犯たちが銃を構えている エルムが無表情な顔を向ける


【 政府懇談会場 1階階段 】


隊員Aと隊員Bが走って来る 隊員Aと隊員Bが驚き周囲を見渡し顔を見合わせ 隊員Aが言う

「え… えっと …少佐は?」

イヤホンに情報部員の声が届く

『先行隊員 ハイケル少佐 3階階段へ到着』

隊員Aと隊員Bが驚いて 隊員Bが言う

「アッちゃん 少佐 もう3階だってー!」

隊員Aが呆気にとられて言う

「マジかよっ!?それじゃ この人数を 少佐が1人で…っ!?」

隊員Aの視線の先 周囲に沢山の襲撃犯たちが倒れている イヤホンにハイケルの声が聞える

『B班C班 及び支援班 今何処に居る?』

隊員Aがビクッと驚く イヤホンに軍曹の声が届く

『たった今 通路を突破!階段へ向かいます!』

イヤホンにハイケルの声が届く

『了解 A班!』

隊員Aが衝撃を受け慌てて言う

「はっ!少佐!」

イヤホンにハイケルの声が届く

『私は4階へ向かう 支援班は18部隊到着まで 2階階段付近を保持 B班C班は3階階段を保持 A班は私に追い付け 各フロアの残留襲撃犯が来る前に 早く来い!』

隊員AとBが慌てて言う

「「了解!」」

2人が顔を見合わせ 頷き合って走り出す 軍曹たちが追いついて来る


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


マイクが焦って言う

「ハイケル少佐!情報部の車両 到着しました!共に センサーの打ち上げ完了!ナビゲーション出来ます!」

スピーカーからハイケルの声がする

『了解 たった今 18部隊の突入を確認した 1階2階フロアは18部隊へ移行 3階を支援班 4階をB班C班が担当しろ 情報部 各班へフロアナビゲーションを A班は引き続き私に付いて来い』

スピーカーから隊員Bの声がする

『了解ー!』

隊員Aが慌てて言う

『りょ、了解っ!…って!?少佐っ!危ないっ!』

マイクと情報部員たちが驚いてモニターを見る


【 政府懇談会場 4階 】


隊員Aの視線の先 ハイケルより先に襲撃犯たちが居る 襲撃犯たちが手榴弾を投げ付けて来る ハイケルが視線を細め 拳銃を放つ 銃弾が手榴弾に当たり 即爆発する 襲撃犯たちが驚きつつ 手榴弾に自爆して吹っ飛ばされる 隊員AとBが呆気に取られて 隊員Bが言う

「しょ… 少佐ーっ!今のって もしかして 昨日の!」

ハイケルが言う

「ビフォアーバーストショット これならお前でも安全だ 今後はこちらを練習しろ」

隊員Bが敬礼して喜んで言う

「はーっ!了解!少佐ーっ!すげー やっぱ 本当に出来るんだー!アッちゃんも 昨日一緒に見てただろ?あの映画でやってた 新作だよー!」

隊員Aが呆れて言う

「有り得ねぇ…」

ハイケルがイヤホンを押さえて言う

「情報部 5階階段付近のターゲットを教えろ」


【 カルメス邸 】


メルフェスが電話をしていて 不満げに言う

「施設にはとっくに 国防軍の部隊が突入したぞっ 警機は何をしているっ!?」

受話器から声が届く

『それがっ 到着までの間に 国防軍の連中に阻まれ 到着が遅れたとっ …つい先ほど到着致しました!』

メルフェスが表情を顰めて言う

「なにっ?どう言う事だ!?」

受話器から声が届く

『なんでも 近くで国防軍が関わる事件があったのだと… お陰で 一時的に足止めされてしまったのです しかし なんとか…』

メルフェスが言う

「運が悪かったと言うのか クッ… まぁ良い 先に潜入している 反政府組織ガイズは 端から懇談会場へ忍ばせて置いた ヴォール・ラゼル・ハブロスは捕らえたのだろうな?」

受話器から声が届く

『反政府組織ガイズに扮した その者たちからは まだ連絡が無いのですが… ヴォール・ラゼル・ハブロスは 執事と護衛の計2名しか 連れていなかったとの確認が取られておりますので そちらは心配無いものかと…』

メルフェスが怪しんで言う

「…引退したとは言え 元国防軍の それもハブロス家の者が 政府主催の懇談会に呼ばれ その程度の警備だったと?もっと詳しく調べろっ!そして 何よりも早く ガイズに扮した連中へ連絡を取れ」

受話器から焦りの声が聞える

『は、はいっ!畏まりましたっ!』

メルフェスが受話器を強く置く


【 政府懇談会場 2階 】


アルバートがイヤホンマイクへ言う

「18部隊 施設2階へ到着した ハイケル少佐 そろそろ8階へ到着したか?」

イヤホンにハイケルの声が届く

『18部隊 了解だ こちらは 現在7階階段にて交戦中』

アルバートが苦笑して言う

「随分と足が遅くなったんじゃないのか ハイケル少佐?以前の君ならば もうとっくに8階懇談会場へ乱入している頃だろう?」

イヤホンにハイケルの声が届く

『生憎 その足の怪我が完治していないんだ 更には 相手が弱すぎて 痛みを忘れる事さえ出来ない』

アルバートが軽く笑って言う

「なるほど… では 警機の足止めは しない方が良かったかな?」

イヤホンにハイケルの声が届く

『そうかもな …だが、アルバート中佐も 同じではないのか?たまには管轄を外れてでも 実戦に参加しなければ そちらの足こそ 遅くなるぞ …以上だ』

イヤホンから無線遮断の音が聞える アルバートが苦笑して言う

「フッ… 相変わらず 可愛くない後輩だ」


【 政府懇談会場 7階 】


ハイケルが舌打ちをして回避する 上階から絶え間なくマシンガンが放たれる 隊員Bが言う

「少佐ぁー!あいつら ずっと撃ってるんで 手榴弾どっかーん作戦 出来ないでありまーす!」

ハイケルがマシンガンの弾倉を変えながら言う

「そうだな」

隊員Aが言う

「少佐っ こんな時はどうしたらっ!?」

ハイケルが隊員Aを見て言う

「アラン隊員 …お前が行け」

隊員Aが呆気にとられて言う

「え?」

隊員Bが気付き言う

「あー!少佐ぁー!俺分かりましたー!」

隊員Aが驚いて隊員Bを見る 隊員Bが言う

「こんな時こそ!アッちゃんの盾 出番ですよねー!?少佐ぁー?」

隊員Aが衝撃を受け怒って言う

「おいーっ!バイちゃん!こんな時に その冗談は酷い」

ハイケルが言う

「そうだ」

隊員Aが驚いて言う

「はぁっ!?」

隊員Aがハイケルを見る ハイケルが隊員Aを見て言う

「お前が逝け アラン隊員」

隊員Aが衝撃を受け叫ぶ

「少佐ぁあーーっ!?」

軍曹の声が届く

「少佐ぁあーーっ!」

軍曹と隊員たちがやって来て 軍曹が言う

「遅くなりましたぁー!少佐ぁー!」

ハイケルが言う

「よし 本物の盾が来た アラン隊員は下がって良い」

隊員Aが衝撃を受ける 隊員Bが爆笑している ハイケルが言う

「行くぞ 軍曹 君の出番だ」

軍曹が張り切って言う

「お任せ下さいーっ!少佐ぁーっ!」

軍曹が盾を構える


ハイケルと軍曹 その周囲で隊員たちが構える ハイケルが気付き 絶え間ないマシンガンの乱射の隙を突いて飛び出す 軍曹が続く ハイケルが一気に階段の踊り場まで向かうと 襲撃犯たちがハッとしてサブマシンガンを放つ 軍曹がハイケルの前に盾を構える 襲撃犯たちの銃弾が盾に弾かれる 襲撃犯たちが驚いて言う

「なっ!?」

襲撃犯たちが驚いているとその頭上に手榴弾が2つ飛んで来る ハイケルが防御体制を取る 続いて軍曹が防御すると手榴弾が爆発する 爆風が止むとハイケルがサブマシンガンを放ち隊員たちへ言う

「レギスト機動部隊!突入っ!」

軍曹と隊員たちが言う

「了解っ!」

ハイケルが先行する 軍曹と隊員たちが追いかける


【 国防軍レギスト駐屯地 情報部 】


情報部員が言う

「先行隊員 ハイケル少佐 8階へ到着!」

情報部員が言う

「各班も 8階へ到着しました!」

情報部員が言う

「目的地まで ターゲット反応ありません!」

スピーカーからハイケルの声が届く

『懇談会場へ突入する 内部のターゲット数及び配置を伝えろ』

情報部員が困惑する スピーカーからハイケルの声が届く

『どうした 情報部!ターゲット反応をっ』

アリムがハッとすると 焦って言う

「ハイケル少佐っ!避けてぇーっ!」


【 政府懇談会場 8階 】


ハイケルが会場前のドアへ構えた状態から 無線の声にハッとして回避する 回避する前の場所へサブマシンガンが放たれ ほぼ同時に扉が破壊され 爆煙の中ハイケルへ打撃攻撃が繰り出される ハイケルが慌てて敵の攻撃を回避しながら叫ぶ

「総員 撤退しろっ!」

ハイケルが叫ぶと同時に エルムがハイケル目掛けて襲い掛かって来る ハイケルが驚きつつもエルムの攻撃をサブマシンガンの側面で受け止め 続いて繰り出される格闘に応戦する 軍曹がハッとして叫ぶ

「少佐ぁっ その方はっ!」

ハイケルが一瞬軍曹へ視線を向けると エルムが一度後方へ回避しサブマシンガンを放つ ハイケルが慌ててサブマシンガンの側面を使っての防御と回避で応戦するが防戦のみを強いられる ハイケルが悔しがりながら言う

「クソッ!」

ハイケルが一瞬の隙を突いて攻撃に転ずる エルムがハイケルの攻撃を全て払い除ける ハイケルが驚き焦る エルムがハイケルの様子に気付き足を払う ハイケルが一瞬走った痛みに表情を顰め言う

「うっ!」

ハイケルが膝を着く 軍曹が叫びつつ向かう

「少佐ぁーっ!」

軍曹がハイケルとエルムの間に入り盾を構える エルムが軍曹の盾を攻撃する 軍曹が抑えつつハイケルへ言う

「少佐っ!ご無事でありますかっ!?」

ハイケルが言う

「私は良い!それよりもっ!」

隊員たちが顔を見合わせ頷き合い ハイケルの後方へ集まりエルムへ銃を向ける エルムが一瞬間を置いた後 戦闘態勢に気を入れる ハイケルが気付き慌てて立ち上がって叫ぶ

「総員撤退だっ 急げっ!」

ハイケルがサブマシンガンを放つ エルムが一瞬疑問し回避する ハイケルがサブマシンガンを撃ち尽くすと叫びエルムへ向かう

「あぁああーーっ!」

ハイケルがトランス状態で攻撃を開始する エルムが防戦する ハイケルの攻撃が勝り エルムが押され始める 隊員たちが呆気に取られ 隊員Aが言う

「す… すげぇ…」

隊員Bが呆気にとられて言う

「映画より… 凄いや… 少佐…」

隊員Cが言う

「まるで あの時みたいだ… 皇居へ突っ込んでいった時の」

隊員AとBが隊員Cを見る 軍曹が呆気に取られている 懇談会場内に居るラゼルが椅子から立ち上がって言う

「ほっほっほ… アーヴィン そろそろ止めて差し上げなさい」

軍曹がハッとして会場内を見て驚いて言う

「祖父上っ!?」

隊員たちが驚いて言う

「えっ!?」 「お、祖父上って…っ!?」

隊員たちの視線の先 会場内に沢山の襲撃犯たちが倒れている ラゼルが杖を突きながら歩いて来て言う

「お前の少佐は 私の少佐には敵わない それは… 先程の攻防からも 見て取られただろう?」

軍曹が言う

「祖父上の少佐… 祖父上の護衛は 私設自衛小隊の1名… ではっ やはり あの方はっ!」

ラゼルが笑んで言う

「うむ 元国防軍レギスト機動部隊隊長 エルム・ヴォール・ラゼル少佐だ やはり 襲撃犯たちの相手だけでは 物足りなかったらしい 前々から お前たちの少佐だと言う 彼を試してみたいと仰っておられたのだが… ほっほっほ… 相変わらず 悪魔の兵士は 気性が激しくていらっしゃる …いや、それでも だいぶ 柔らかくなったがな?」

エルムが無表情に言う

「そろそろ稼働限界だ …それとも トドメを刺して欲しいのか?」

軍曹が衝撃を受け慌てて ラゼルとエルムを交互に見る 隊員たちが驚いて叫ぶ

「少佐ーっ!?」

ハイケルが倒れる 軍曹が衝撃を受け慌てて叫ぶ

「しょ 少佐ぁあーーっ!」

軍曹がハイケルの下に駆け寄る エルムが言う

「問題ない 保守機能が起動しただけだ 水を掛ければ起きる」

エルムが立ち去る 軍曹が衝撃を受けエルムを見てから 慌てて言う

「み、水をっ!?い、いえっ!そんな事より 救護班をっ!情報部!?情報部 応答をっ!?少佐がっ 少佐が…っ!?」

ハイケルに水が掛けられる 軍曹が驚き慌てて顔を向けて叫ぶ

「なぁあーーっ!エルム少佐ぁーーっ!」

エルムがバケツを持っていて言う

「…足りなかったか」

エルムが立ち去る ラゼルが笑う 軍曹が衝撃を受け慌てて叫ぶ

「祖父上ーっ!お願い致します!エルム少佐を止めて下さいーっ!エルム少佐は 祖父上のご命令でないと… のぁああーっ!」

エルムが再びハイケルへ水を掛ける 軍曹が驚き慌てて顔を向けると エルムが無表情に言う

「…足りなかったか」

エルムが立ち去ろうとする 軍曹が衝撃を受けエルムの足を掴んで言う

「エルム少佐ぁーっ!どうか お止め下さいぃっ!失神した者に水を掛けるなどーっ その様な荒事をしては 少佐がぁーっ!」

エルムが言う

「離せ」

軍曹がエルムの足を掴んだまま叫ぶ

「離しませんーっ!例え 踏み潰されようとも 自分はっ!」

エルムが間を置いてから 軍曹を踏み潰す 軍曹が衝撃を受け 叫ぶ

「た、例え 本当に踏まれようとも…っ!じ、自分はっ 少佐をーっ!」

エルムが軍曹の頭に銃を突き付けて言う

「離せ」

軍曹が困る エルムが見つめ 引き金に掛かる指を 僅かに動かす ハイケルがはっと目を開き疑問して言う

「っ!…ここは?」

軍曹が衝撃を受け 慌ててハイケルへ駆け寄って言う

「少佐ぁーっ!」

ハイケルが軍曹を見て言う

「軍曹… 任務はどうなった?」

軍曹が衝撃を受け言う

「に… 任務?」

ハイケルが上体を起こして言う

「任務だ…」

ハイケルが間を置いて呆然として言う

「任務…?」

18部隊が後方に到着して アルバートが叫ぶ

「ハイケル少佐!」

ハイケルが反応して顔を向ける 隊員たちがアルバートへ向く アルバートがハイケルの状態に呆気に取られて言う

「ハ… ハイケル少佐?任務は…?」

ハイケルが視線をそらして言う

「任務…?」

ハイケルの頭上から水がかぶせられる ハイケルが呆気に取られる 軍曹が呆気に取られてから慌てて言う

「すわーっ!?で、でありますからっ!エルム少佐っ!もう少佐は 目を覚まされましたのでっ!水は掛けずともっ!」

エルムが言う

「問題ない」

ハイケルが立ち上がり ハッとして言う

「軍曹っ!」

軍曹が敬礼して言う

「はっ!少佐ぁっ!」

ハイケルが軍曹へ向いて言う

「ヴォール・ラゼル・ハブロス元総司令官の保護はどうなった?」

軍曹が敬礼して言う

「はっ!やはりっ 祖父上に 我々の援護は 必要無かった模様でありますっ!」

エルムが言う

「当然だ」

ラゼルが笑う アルバートがやって来て ラゼルを見て驚き敬礼して言う

「ヴォール・ラゼル・ハブロス元総司令官!お疲れ様で御座いますっ!」

ラゼルが微笑して言う

「うむ アルバート少尉か 久しぶりだな… いや、もう少尉ではないだろう 今はどの軍階かね?」

アルバートが言う

「はっ!自分は…」

隊員たちが顔を見合わせ言う

「…なぁ 俺たち」

「何しに来たんだっけ?」

「えっと… 確か?」

「任務…?」

隊員たちがラゼルを見る ラゼルが言う

「そうか 中佐か… すっかりたくましくなったな?」

アルバートが言う

「いえっ 自分は ”まだまだっ” であると 心得ておりますっ!」

ラゼルが喜ばしそうに微笑み言う

「うむ 結構結構」

ハイケルがエルムへ顔を向ける エルムが視線だけでハイケルを見下ろす ハイケルがムッとする 軍曹が困りエルムとハイケルを交互に見る


【 カルメス邸 】


TVで映像が流れ レポーターが言う

『あ!たった今っ!政府懇談会の出席者の1人 元国防軍総司令官にして 元防長閣下であらされる ヴォール・ラゼル・ハブロス様が 国防軍の隊員たちと共にゆっくりと…』

メルフェスが驚き 慌てて電話を掛ける


【 メイリス家 隠し別荘 】


シェイムが苦笑して言う

「祖父ですら 得る事が出来なかったか… やはり 防長閣下には 不死身の… いや、何度でも蘇る 本物の悪魔の兵士が 付いて居るのかもしれないな?」

シェイムが立ち去る TVの映像に ラゼルが映っていて後方にエルムが居る


【 国防軍レギスト駐屯地 ハイケルの職務室 】


ハイケルが言う

「エルム・ヴォール・ラゼル… 少佐?」

軍曹が言う

「はい エルム少佐は 元国防軍レギスト機動部隊の隊長であり その時の軍階が少佐であったと言う事で 今でも祖父上は”少佐”と」

ハイケルが言う

「では 国防軍の元少佐と言う事か だが…」

ハイケルがノートPCを操作して言う

「国防軍のデータファイルには その様な名前の者は存在しない エルム・ヴォール・ラゼル… ”ヴォール・ラゼル” と言う事は」

軍曹が言う

「はい、エルム少佐は 元は最下層の方でありました為 祖父上が養子として迎え 姓を持たない中層階級の3構想のお名前へ 変わられたと」

ハイケルがノートPCを操作しながら言う

「そうか… だが エルムの1構想の名においても データファイルには存在しない」

ハイケルが軍曹を見る 軍曹が言う

「はぁ… その… 自分も詳しい事は聞いていないのでありますが エルム少佐がレギストを後にして 祖父上の私設自衛小隊の隊長へ転任した折に エルム少佐に関する全てのデータを 国防軍から消去したのだとか…?」

ハイケルが言う

「…惜しいな あれほどの力を持った者を ハブロス家の隠居の警備になど …何故レギストを辞めてしまったんだ?…と、君が知るはずも」

軍曹が言う

「いえ、それは 祖父上を通し自分は聞いております エルム少佐は 当時 防長を勤めておりました祖父上の警護を担当されていたので 祖父上が陛下の命の下 防長の命名を返納された折 同行して レギストをお辞めになったのだと」

ハイケルが言う

「…そうか …うん?」

ハイケルがノートPCを操作する 軍曹が疑問して言う

「少佐?」

ハイケルが言う

「ヴォール・ラゼル・ハブロスが 陛下の盾 防長へ任命されていたのは 今から30年以上昔の事だ その時点で エルム少佐は少佐の軍階にあったと言う事は 最低でも20歳であった筈… 私の様な特例であったとしても それほどの差は無い 基本年齢の20歳だったとして 今はそれから30数年は経っている …ならば エルム少佐の年齢は50歳以上と言う事だが …あれが 50歳以上の者の動きだったと言うのか?」

軍曹が呆気に取られる ハイケルが視線を落として言う

「…私は今まで 本気で 自分より強い奴は居ないと 思っていたのだが」

軍曹が衝撃を受ける ハイケルが軍曹を見て言う

「エルム少佐は 私の能力を遥かに超えていた とても50歳以上の年齢を得た 人間だとは思えない 軍曹 奴は何者だ?」

軍曹が困って言う

「それが… 自分も もしやとは思っていたのでありますが エルム少佐こそ ペジテの姫に 悪魔より与えられた 本物の 攻撃の兵士 ではないのかと…」

ハイケルが言う

「同感だ」

軍曹が言う

「それに 祖父上は良く エルム少佐の事を 悪魔の兵士と… ですから エルム少佐こそ… と言うのは 自分も考えていました …しかし、少佐」

ハイケルが疑問する 軍曹が言う

「エルム少佐がもし本当に 悪魔の兵士 であったとしても エルム少佐の攻長としての任期は 終了しているのであります」

ハイケルが軽く驚き言う

「どう言う意味だ?あれほどの戦いが出来るとありながら あの剣が朽ちているとでも言うのか?」

軍曹が言う

「確かにエルム少佐は 今もお強くていらっしゃいますが しかし、アールスローン戦記には 原本に置いても 複製に置かれましても ペジテの姫の剣と盾は 一対にして他に違わずと 言う文章があります それは 剣と盾が 他の剣や 他の盾とは対にならないと言う意味でありますので エルム少佐は 祖父上以外の防長… 現代の防長である 自分と対になると言う事は 無いと考えられ…」

ハイケルが少し考えてから言う

「軍曹」

軍曹が言う

「はっ少佐!」

ハイケルが言う

「エルム少佐に家族は?子息は居ないのか?」

軍曹が言う

「エルム少佐は ご結婚もされていませんし 自分の知る限り そう言った方はいらっしゃらないのでは …と?」

ハイケルが言う

「…そうか 残念だな」

軍曹が驚いて言う

「少佐?それは…?」

ハイケルが言う

「そいつを見付け出す事が出来れば レギスト機動部隊に 引き込みたかった!」

軍曹が衝撃を受ける ハイケルが言う

「今の所 先行隊員である私に付いて来られるのは バイスン隊員や アラン隊員辺りしか居ないんだ エルム少佐の血を引く 優秀な機動隊員を 是非とも 欲しいと思ったのだが… 残念だ」

軍曹が呆気に取られた後叫ぶ

「しょ… 少佐ぁーーっ!?」


【 国防軍レギスト駐屯地 食堂横休憩所 】


隊員Aが溜息を付く 隊員Bが食堂に現れ 隊員Aに気付いて言う

「あれー?アッちゃーん?」

隊員Aが声に顔を向ける 隊員Bがやって来て言う

「なんだー 見掛けないから 駐屯地に戻ってから さっさと帰ったのかと思ったー」

隊員Aが落ち込んで言う

「ああ… 何か ショックでさぁ…」

隊員Bが疑問して言う

「ショック?何がー?今日も任務は 大成功だったじゃん!それに チョー楽しかったし!」

隊員Aが言う

「大成功って言うか… チョー楽しかった?…何か 良い事あったっけ?」

隊員Bが言う

「えー?俺はあったよー?少佐に新しい技教えてもらったし!にひひっ」

隊員Aが言う

「バイちゃんは良いよな 少佐と仲良いし …少佐に期待してるって言って貰ったの 俺の方が早かったのに 今じゃ俺 いつ本当に死体になって バイちゃんの盾やるか 分かんないよ」

隊員Bが呆気に取られて言う

「えー?どうしちゃったの?アッちゃん?」

隊員Aが溜息を付いて言う

「今日さ… 少佐に言われただろ?アラン隊員 行けって」

隊員Bが笑って言う

「ああ!あれ!ちょー面白かったよねー!少佐って 真顔でギャグ言えるから チョー面白いのー あははははっ!」

隊員Aが言う

「あれ… ギャグじゃないんじゃないかな 俺 少佐が あんなギャグ言うと思えないし… バイちゃんじゃないんだから…」

隊員Bが言う

「そうそう!あれ 俺が考えたギャグだもんね!にひひっ」

隊員Aが間を置いて言う

「…は?」

隊員Bが笑いながら言う

「少佐って ちょー面白いからさ!今度 アッちゃんに そう 言ってみてって 俺お願いしたのー!けどー マジで言ってくれると思わなくて!しかも ほんと チョー真面目な言い方するんだもん 俺 任務中に大爆笑っ!」

隊員Bが笑う 隊員Aが驚いて言う

「ちょ、ちょっと待てよ!?バイちゃんが 考えて 少佐に言ってくれって 頼んだのかっ!?」

隊員Bが笑い涙を吹きながら言う

「そうそうー お陰で チョー楽しかったよ 今日の任務!」

隊員Aが呆気に取られた後 慌てて言う

「そ、そんなっ あの少佐に バイちゃんの考えたギャグを 言ってもらえるだなんてっ!?バイちゃん 一体いつから そんなに仲良くなったんだよっ!?俺なんて今でも 少佐と話すの スッゲー緊張してるのにっ!?」

隊員Bが言う

「俺も最初の頃はスッゲー緊張してたけどー?今はもう全然ー?一応 上官だから敬語は使うけどー 話してるとたまに忘れちゃうほど!普通に話せるようになったよー」

隊員Aが慌てて言う

「そう言えばっ!何んだか やけに挨拶とか気軽にしてるっなって思ってたけど 何でっ!?いつの間にっ!?バイちゃんズルイぞ!何やったんだよ!?」

隊員Bが言う

「えー?別にー?何もやって無いよー?あー でも 俺 皆より少佐と会ってる回数 多いからかもー?」

隊員Aが驚いて言う

「え?少佐と会うのなんて… 通常訓練の時 監視されてるのとか… 訓練の最初と最後に少し指示を受けるのとか…?」

隊員Bが言う

「その時じゃ駄目なのー 少佐は就業中は必要な事以外 あんまり話してくれないからー」

隊員Aが慌てて言う

「そっ それ以外の時なんてっ!?」

隊員Bが笑顔で言う

「そうそう!さっきも俺少佐と会って 話して来たよー アッちゃんへのギャグ 最高だったってー でも 少佐は心配してたよ アッちゃん 本気で受け取ったんじゃないかってー?」

隊員Aが慌てて言う

「メチャクチャ本気で受け取ったってのっ!って 待て待てっ!バイちゃんっ!さっき少佐と会って話したって 一体 何処でっ!?」

隊員Bが言う

「シャワールームだよ!」

隊員Aが衝撃を受けて言う

「シャ… シャワールームって あの… 一般隊員用の?」

隊員Bが言う

「そうそう!俺シャワー好きだから 任務終わったら必ず行くし 訓練終わってからも行くし 夜間訓練の時なんて 自主朝練の後も行ってたから 一日2回少佐に会ったりしてたよ!」

隊員Aが衝撃を受けて言う

「えぇえっ!?ってかっ!?あのシャワールームって お湯は熱湯だし 水出すとすぐ冷たくなるしで メチャクチャ使い辛くて 誰も使わねーよ!?それに 少佐はそんな使い辛い 一般隊員用のじゃなくて 上級軍階の方使うと思ってたし…」

隊員Bが言う

「上級軍階の方は 使い勝手は良いんだけど 1つしかないから 他の上級軍階の人と当たる事が多いんだって それに、あの一般の方の お湯の出し方も技があってさ?俺 教わっちゃったもんねー!にひひ」

隊員Aが呆気に取られて言う

「お、お湯の出し方に技って?」

隊員Bが言う

「うん!アッちゃんにも今度教えてあげるよ!…てか それ教わった時にも そう言えば 俺 爆笑したんだ!やっぱ 少佐って ちょー面白い人だよー!」

隊員Aが言う

「えぇえっ!?すげー気になる!バイちゃん 今度じゃなくて 今教えてくれよ!」

隊員Bが苦笑して言う

「にひひっ アッちゃん せっかちだなぁー」


【 回想 】


隊員Bがシャワーのコックをひねる 弱いお湯が出て来る 隊員Bが言う

『え~ 全然熱くない~?少し待てば出るのかなぁ… 熱っ 水 水!』

隊員Bが苦戦している

『冷たっ!…熱っ!冷たっ …熱っ 熱っ 冷たっ …冷たっ!』

隣のシャワーが快適に機能している 隊員Bが自分のシャワーを見上げながら困って言う

『も~っ!なんだよこれー あ、そっか ここの壊れてるのかも…?隣に移動しよ』

ハイケルの声が聞える

『言って置くが 移動しても無駄だぞ』

隊員Bが驚いて言う

『しょっ 少佐っ!?』

隊員Bが困りながら間を置いて言う

『え、えっと お、お疲れ様でっ!』

ハイケルの声が聞える

『就業時間以外まで 畏まらなくて良い …面倒だ』

隊員Bが呆気に取られてから 喜んで言う

『はー!自分もそう思うでありますー!』

ハイケルが言う

『…面白い奴だな』

隊員Bが言う

『えへへー 良く言われるでありますー!』

隊員Bが隣のブースのシャワーを見上げて言う

『ところで少佐ぁー?もしかしなくても お隣ですよね?』

ハイケルが言う

『現行 このシャワールームには 私とお前の2名しか居ないものと思われる そうとなれば もしかしなくても 隣だろう』

隊員Bが言う

『それじゃ 何で少佐の所のシャワーは そんなに快適に使えてるんですかー?俺の所すっごい変なんですけどー?もし 少佐 そろそろ上がるなら 俺そこに移動しようかなー』

シャワーのコックが閉じられる 隊員Bが衝撃を受け慌てて言う

『あーっ!少佐ーっ!俺 上手く調整出来ないかもしれいから シャワー 止めないで欲しかったのにー』

ハイケルの声がする

『ここのシャワールームを使うには 技があるんだ』

隊員Bが言う

『技?』

ハイケルが言いながらコックを回す

『まずは水を全開まで開ける』

隊員Bが一瞬呆気に取られつつ 同じ様にする ハイケルが言う

『次に湯を全開まで開ける』

隊員Bが言われるままにやる ハイケルが言う

『それから 水を閉めて加減をするんだ』

隊員Bが水を加減すると 程よくなる 隊員Bが感激して言う

『おおー!スゲー!少佐ぁー!出来ましたー!有難う御座いますー!』

ハイケルが微笑しシャワーを止める 隊員Bが言う

『少佐もこの技 誰かから教わったんですかー?』

ハイケルが個室から出つつ言う

『…いや?』

隊員Bが疑問して言う

『えー?それじゃー 少佐が発見したんですかー?』

ハイケルが頭を拭きつつ言う

『そうだな』

隊員Bが言う

『スッゲー 少佐って もしかして 研究熱心だったりするんですか?』

ハイケルが言う

『そうでもない …短気だと 言われるからな』

隊員Bが言う

『えー?…そうなんだぁ?全然そんな感じしないですけどー?いつも冷静な感じだしー?』

ハイケルが服を着ながら言う

『感情が分かり辛いとも 言われる』

隊員Bが呆気に取られた後 ぷっと笑い出す 隊員Bが笑いながら言う

『あっはははっ 面白れーっ 少佐 スゲー面白い人だったんですね!俺 なんか 安心しちゃいましたぁー!』

ハイケルが服を着ていた手を止め苦笑して言う

『…そうか なら良いんだ』

隊員Bがシャワーを止め タオルを被りながら歩きつつ言う

『あ、それで それでー?どうやって見つけたんですかー?さっきの シャワーの技!短気な人じゃ あーいうのって 見つけ出せないと思うんですけどー?』

ハイケルが制服を着終えて言う

『ああ… 余りにも使い勝手が悪い為 両方全開にする事で 破壊してやろうと思ってやったんだ』

隊員Bが衝撃をを受ける ハイケルが微笑して言う

『そうしたら 上手く行った… まぁ14の子供の頭では 両方全開にすれば壊れるだろうと思ったんだ 今では考えられないな』

隊員Bが呆気に取られた後笑って言う

『あっはははっ 少佐って けっこーやんちゃだったんですね!やっぱ 面白れーっ!』

ハイケルが微笑する


【 回想終了 】


隊員Bが言う

「って感じー!だから 少佐って 普段固い感じだけど 本当は結構やんちゃで面白いんだよ!アッちゃんも今度話してみなよー!」

隊員Aが言う

「へぇ~ そっかぁ …そう言われて見れば 少佐は任務中にも バイちゃんに色んな技教えてるよなぁ… あんな感じなのか」


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