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軌跡

作者: 破魔 七歌 
掲載日:2020/12/28

土星の輪を形成する美しい連なり


本当の時間…


生きていたい…


そこから外れることなく


ぶつかり合うことなく


永遠に隔てられた等間隔を保ちながら


軌道にのって回り続ける


自転周期0.444日の間に見る夢は


美しい1000本の輪


肉眼では見えない


天体望遠鏡をこらして


ようやくたどり着ける







ただ誰かに照らされている自覚などなく


切り立った陰影に魅入られている様が


月のように錯覚させた


無数の内のひとつなんだと







胸がしめつけられたのは


いつからだろう







生まれた記憶なんて無いのに


気づけば回っていた


ここから外れることなく


美しい連なりのひとつとして


価値も概念も善悪の分別もなく


1000本の輪を形成する衛星ともよべないひとつ







渦巻くのは


遥か彼方からやってきたという


途方も無い真実に


目が覚めた


記憶には無い


緻密な計算の上になりたつ


人工回路の演算の集積による


ウワズミによってのみ


ほんのわずかだけ


知ることの出来る


本当の時間…







いつからだろうか


軌道から外れはじめたのは


ほんの少しだけ


ゆらめいて


わずかに


傾いて







そこから地球に


向かいはじめる







暗闇を飛び出して


真空の摩擦抵抗に燃えつづける


命を


いつか


燃え尽きて


無くなってしまうことを省みず


遙かな大気圏をまとう惑星を目指す


それが


地球







憧れに吸い寄せられ


飛び交う


真っ赤な炎


青い尾を引いて


どこまでも


美しく


まぶしく


光る


燃える







せつないほど


未来へと進む


今日の小ささの中


黄昏れ時の間もない瞬間


はじめて暗闇におおわれた時







上空を仰ぎ見ながら


みつめるその姿を


いつも想う


あなたに重ねながら


闇に色付く


想い


願い


祈り







赤い炎あげて


突き進む


青色の煌めき残して


どこまでも続く


生まれたばかりの


-240℃


心の先端


太陽の引力に引っ張られ


割れはじめる


幾つもの流星







いつか消える


その最期まで


見送る冬の夜空に



 



夜明け前が広がってゆく



















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― 新着の感想 ―
[一言] 綺麗ですね。 私は子供の頃、学校教育にはそぐわないヤツだったので、この詩が刺さります。(^^; 周りの大人が「右に行け」と示したら、「左にはなにがなんでもあるんだろう?」と思ってしまうタイ…
[良い点] どこから来てどうして回るのか、気づけば照らされていて形作っている。 でも個々は実は揺れている。 外れて奔りだす。 目指すは。 それが消滅の運命でも、目指すものがあることになぜか救いを感じま…
[良い点] すみいちろ様の詩はとても美しいですね。 ひとつの完成された世界をみました! 余分なものなど一切ない美しい言葉の羅列がすみいちろ様の世界観に引きずり込んでいきます。 ため息がでるほど素敵な詩…
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