キミが消える未来(あした)から
さて、いかがだったでしょうか?
訪れたかもしれない二つの結末。
救われた未来と救われなかった未来のように、二人の結末も一つで終わりとは限らない。
私の人形が決めた結末なら、それでいい。
二人は仲良く手を繋いで、そう望んだなら尚更。
最終章のタイトル『missin』。
これはある一文字が欠けていました。
二つのエンディングをご存知の方はお気づきですよね?
────え? ちゃんと話して?
それは、私の口からはなんとも。
何故なら私も、これにて出番は終わり。
久遠千乃の物語はこれにて完結。
第四章において、『S』という言葉が出てきたのを覚えておりますか?
これは『STORY』という意味でもあり、『SIN』という意味でもありました。
私の出番も終わり、そろそろ迎えが来ることでしょう。
『ユキノ』が『千乃』になった原因を作った最大の疑問であり、何故『久遠』だったのか。
それは、
「久しく遠く、ユキからようやくかえって戻る。僕なりの解釈だけど、あなたならそうするでしょ?」
「全くいつまで待たせるのか呆れてたところなのに。でも、ようやく私の願いも叶った」
後ろを振り向けば、あの子が立っていた。
私があの時、泣いていた時には感じなかった温もりも気持ちも本当に叶った。
「あの子に名前や居場所、何より手助けをしてくれてありがとう。最後まで気づかなかったでしょうけど、オカルトが好きなんて。あの世界では確か……樹だったかしら?」
「半信半疑だったけど、意外と楽しかったです。でも、やっぱりあなたと居るほうがいい」
「同級生の女の子には随分と冷たかったようね。おかげであの子は狙われてた」
「まぁ、そこは賭けでした。三嶋さんは僕とは違う。だから、僕と気づいても断るつもりなので」
「私なんかより明るい笑顔よね、あの女の子」
「関係ありませんよ。ほら、行きましょう?」
「なんだか誤魔化されてる。でも、これから先は長いからたっぷり話をしましょうか?」
これからはずっと一緒よ、千乃。
私から手を繋ぐ。背丈の差はあるけど、これくらいが丁度いい。
会えなかった分、これから一緒にいたい。
話せなかった分、二人で話し合っていたい。
そして、伝えたかった言葉もある。
「……大好きよ、千乃」
♢
かくして『二人の人形』の物語は終わりを告げた。
自身の願いの代償に消えてしまった千乃。
もう一度姉に会いたかったユキノ。
よくよく考えてみると違う軸の平行線なのに、何故か噛み合わない。当たり前なのですが。
最後に『キミが消える未来から』。
これはもしかしたら、君なのか? 気味なのか?
はたまた久遠明乃は偽名で『夏海』というのが本名なのか、それも不明。
そうなると、キはユキノ、ミはナツキ。
二人が消えた未来から彼らが来たとも捉えられると思いませんか?
え? 私は誰だって?
そりゃ─────ただの傍観者ですから。




