狐と少年
────こう言ったお話はご存知ですか?
『狐と少年』というお話で……手短なほどこの先が楽しめる? それはそれは何より嬉しいものですね。
手短にご説明致しましょうか。
少年は狐にお願いを伝えます。
『好きな子と付き合いたい!』
何とも純粋で真っ直ぐな子どもの言葉。
幼少期といえども少年にとっては初恋。
それを自力で叶えるのは最早、山の頂上を目指すことと同じ。
狐は少年にこう返します。
『わかった。その願い、叶えてやる』
時は経ち、見事に少年は好きな女の子と両思い。
毎日が花の道、毎日のように一緒にいる二人。
少年の願いは叶いました。
────え? 普通のお話?
いいえ、手短にと申されたので短くさせていただきました。
亡き姉の面影を背負う主人公、久遠千乃。
彼は目の前で大切なもう一人の姉を失ってしまい、絶望の淵に落とされました。
ですが、ある日腐れ縁であるあの男がとある噂を口にします。
それは────おっと、ここまでにしましょう。
喋りすぎては何とやら。
純粋すぎる願い故に、その後に待ち受ける結末を求めなかった哀れな少年。
よくこう言いませんか?
────タダでは済まないと。




