「とある傍観者の独り言」
────昔、こういう話を聞いたことがないだろうか。
雨が降らなかった村の人々は子どもや少女を生贄にされたという話を。
これがいつかのこけし、てるてる坊主の基礎を築いたと言っていい。
なぜこういう話をしたかったのか?
それは、一つの物語を説くためのキーワードと言える。
これから紹介する物語は、ある現代社会において起きた話。
彼らにとっては大きなものだが、私には小さな出来事……おっと、これ以上は大きな批判がきそう。
主人公は亡き姉の面影を背負う少年・久遠千乃。
とある理由から長い茶髪の髪の毛をサイドテールを編んで、女子生徒の制服に身を包む。
背丈は小さくて手足も細く……まるで亡き姉を子どもにしたような人形とも取れる。
よくて『空似』、悪くて『生き写し』。
生前の思い出ってやつなのか、忘れたくないのか。
はたまた、それは本人の気持ち次第だけどね。
だが、そんなある日……一通の手紙が下駄箱に。
『今宵、あなたは運命の人に出会います』
そこから始まるラブストーリーだの、三角関係や禁断の恋だのと甘ったるい話なんかじゃない。
ましてやただのドッキリとかいうオチでもない。
じゃあ、なんなんだよ? って?
だって────これから紹介する物語ですから。
皆さまに体験していただくお話は、日常に潜む非日常の世界。
そこには常識なんて通じない。
無論、話し合いなんて以っての他です。
一度でも足を踏み入れれば最後……どうなるかはご自身の目でしかとご確認なされてはいかがでしょうか?
え? 私はただの傍観者です。
もしかしたら、この先で誰なのかはわかるやもしれません。