私に、この指輪をはめて下さい
私の名前は名月奈々未27歳
山道を独り、マイカーを運転しています。
本当だったらね。。。今日は幸せな愛を誓う結婚式をするはずだった。。。
じゃあ、傷心の旅?いやいや
この世界を、終わりにしたい?いやいや、両方とも違います。
今まで、働いていた仕事を辞めて自分自身が
ステップアップする為、
(次に新しい仕事が見つかるまでの心身共に休息の日々)
休息の日々での一人旅をしています。
早朝3時起きをして、自宅アパートを出た私
3時間以上は経っているから。そろそろ休憩したいし眠気が襲ってきている。
この山道は、だいぶとクネクネしています。空腹のうえ、早朝3時起き流石に
眠気もピークにきています。
奈々未は、何処か良い休憩場所は無いかなぁ
走る車窓をチラチラ、スピード落としながらの運転
ああ!自動販売機がある。駐車できるかな??
その、奥に広さも充分なスペースが有りそうですね。
奈々未は独り言を言いながら、ウインカーを出してその広場に車を駐車しました。
車から下り自販機の前で、う~ん、どれにしようかな?奈々未は何を飲もうか、迷いながら
眠気覚ましにと、ブラックコーヒーのボタンを押す。
まだ誰もいない広場をコーヒーを飲みながら散策。
しかし、樹々が生い茂るこの場所って?
知らずに通り過ぎてしまいそうな所だわね、、、。
朝日を遮り薄暗い。奥は特に鬱蒼と生い茂っています。
誰も来ない、、でしょうか?
あれ?こんなところに、、、祠がある。
苔まみれでも、なぜか落ち着く、、、、神神しく
私は、我を忘れて飲みものを置き、祠の草木を取り除き、綺麗にした。
ああ!心落ち着く。
この一か月私は、本当に人生終わりと思うぐらい、やり場のないこの気持ちと悲しみ
此のまま消えてしまいた。自分自身を否定する日々。何がどこがいけなかった
何処が私より、彼女の方がよかったの?考えていた毎日。
7年付き合って、いよいよ結婚しょうと
二人で式場選び、日取りも決め、招待客に招待状もだして、後は当日を
待つだけだった。幸せいっぱいな日々から
奈落の底に突き落とされたあの日
そう。後は結婚式を待っだけのあの日
結婚相手の加々谷亜季から
先輩に子供ができてしまった。結婚できないと、、、。
私より3歳年上の同僚の女性に子供が出来てしまったのです。
亜季は土下座をして、私に泣いて謝った。
遡る事3ヵ月まえぐらいから、仕事が夜遅くなっては
今日は会えないゴメンということが、度々重なるようになって
あれ?へんだなぁ嫌な予感は、あったけれど、休日はいつも通り
一緒に過ごしていたから、浮気の疑惑は打ち消していました。
それに美容師という職業柄、不規則な時間なのは、仕方ないと
わたしは、割り切っていました。
今も思い出すだけで辛い。だいぶ考えない様にしてきてはいるけれど。
取り辞めることにしてからの色々な出来事、同情してくれる人や
何があったと、しつこく聞く人など、明らかに置かれている状況は
みんなからの興味津々の嵐でした。
私は居たたまれず、逃げる様に仕事もやめ住所も変え
今に至るのでした。
左薬指に指輪をしたままの私は、綺麗になった祠を前して手を合わせる
何故か、頬を涙が落ちる。いやだわ私。涙を拭き、指にはめていた指輪を
外して、祠にお供えする
「捨てる事が、出来なく困っていたの。貰ってもらえますか」と
奈々未が言った時。強い風がざざざ!!!樹々が物凄く吹き荒れ
合わせ物は離れ物。 いとしけりゃこそ、しとと打て。
え!!奈々未は、微か声を聴いた後、気を失ってしまった。
奈々未。奈々未。どうした?
私は誰かに揺さぶられ起こされた。
おぼろげな頭の中、私は必死に呼びかける声の方を見上げる。
暗くて、顔が分からない。
ここ何処?私ベットの上に寝ている?
貴方は誰?と、問いかける前に、これは夢?
だって、さっきまで山の中にいたよね。やっぱり夢だ!
沈黙した私に語り掛ける男の人
奈々未うなされてたよ。可なり大きな声がうううう!!!!と
僕はその声で目が覚めたんだよ。
私は夢とわかっていながら、問いかける。
「貴方は誰ですか」
声が上擦る僕、え!!奈々未やっぱり大丈夫??
そう言って私の額に、手をあてて熱はなさそうだね。
此処の所、奈々未忙しかったから、無理がたたったんだよ。
明日も休みだから、ゆっくりとお休み。
その言葉が夢でも嬉しくて
暗い部屋の中、奈々未は心配してくれてありがとうと感謝の気持ち
をいいました。
僕は奈々未の夫だから、当然でしょうと語りかけられ
え!!というと同時に彼の腕らしき身体の一部を掴む、リアルな腕
僕は掴まれた奈々未の手を取り、握り返した。
すると彼は、あれ?指輪どうした?薬指の指輪がない事に気が付いた。
ガサゴソとヘッドボードの所を探す彼
あった!!やっぱりいっもの所に置いたんだね。
奈々未はすぐ外す癖があるからなぁ。。
探すため点けた照明ライトは薄暗く、私は食い入る様に彼を見居るも
遮るように身体が、奈々未の左手の方へ
彼は奈々未の薬指に結婚指輪をつけてあげる。
そして、ライトを消した。
さあ。ゆっくりお休み。
そう言って私の手を、やさしく握りしめてくれました。
誰か分からないまま、奈々未は記憶が遠のいていきました。
君、君、娘さん大丈夫か?
え!!その声で、目を覚ました私は自販機の前に座り込んでいました。
声をかけた、おじさんは近所に住んでいる通りすがりの人。山の水を汲みに来るのが
日課だそうで、人に会う事が無いこの時間に、人が自販機の前で寝入っている?
意識を失っている?心配になり、足を止めたと話してくれました。
そういって、大丈夫そうな私を見て、立ち去りました。
取り残された私は、やはり夢を見ていたんだ。でもリアルだったなぁ~と
何気に左薬指を触ると、、、。私は息をのむ。これって?
夢と同じ指輪?以前していた指輪じゃない。考える暇もなく
凄い勢いで、私は起き上がり
あったと思われる祠に、物凄い勢いで歩いて行く。。
その祠は、神神しく朝日が差し込み、光輝いていた。
でも、お供えしたあの指輪はありませんでした。