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八話 観光します

 馬車に揺られること数十時間。俺とルーシィは目的のコマドリにやって来た。その事に気づいたのは馬車を運転していたおじさんの言葉のお陰だ。

「お二人さん、ついたよ」

 声をかけられ、俺は俺の肩に寄りかかって眠っているルーシィを起こすため揺する。胸がその度に揺れるから眼福だ。そんなゲスなことを考えつつルーシィを起こす。

 相変わらず愛らしい寝惚け眼で起床し、ふるふると辺りを見回す。

「ついたの?」

「ああ、ついたらしい」

 そう俺が伝えればすくっと立ち上がり、馬車を降りようとする。俺も合わせて馬車を降りる。

 馬車から降りて目に入る光景は素晴らしかった。これぞまさにファンタジー世界の建物たちといった様子で、美しい白い壁に立つ塔、その屋根は(あお)く美麗さを際立たせる。ロマネスク様式だったかな? 暇潰しに見た建築の本でこういう建物をそう呼んでいた気がする。

「あんたらこのあと観光かい?」

 ふと声をかけてくる馬車のおじさん。その通りだし隠す必要もないのでそうだと答えた。するとおじさんは親切にも、この国の観光名所を教えてくれた。最西端のスワンは海に沈む夕日が素敵だとか、今いるアルバトロスはオストロン橋が有名など。

「郵送屋だからいろんな国をめぐってるんでね! こういうところは自信あるぞ!」

 そういってガッツポーズするおじさん。感謝に頭を下げて、俺とルーシィは早速この街の観光名所のオストロン橋を目指して歩きだした。勿論手を繋いで。

 見た目は完全に年の離れた親子だけれど、一応設定通りならルーシィは俺と幼なじみなんだよな。ルーシィをじっと見る。身長もう少し上げるべきだったかな? でも女の子はこれくらいの大きさの方が可愛いし。

 そんな煩悩に塗れたことを考えつつ、アルバトロスに入る。入って早々出迎えたのは、騒々しい商店の数々だ。きっとお土産などを販売しているんだろう。客引きもそれなりにいて、声をかけられることもあった。だけれど客引きについていくことはなく真っ直ぐ歩き続けた。お土産興味あるけど、まずおじさんに勧められたオストロン橋を見てみたかった。お土産などはその後でも見れるだろうからね。お土産送る相手いないけど。

 さて歩くこと数分後、お目当てのオストロン橋に着いた。おぉこれが! そう思わせてくれる素晴らしい橋だった。長さはかなり長い。たしかこういうタイプの橋は上路式と言うんだっけ? アーチが素晴らしく素人目に見ても綺麗な橋だと思った。装飾のエンブレーミングも綺麗で、しかも船が来ると邪魔にならないように魔法の力で割れるという。ファンタジー世界らしいと思ったが、残念ながらその割れる姿は見ることができなかった。

 このリバーウット大河の遥か先にある海が荒れているようで、今日はもう寄港する船の予定がないからだ。見てみたかったと思いつつも、これはどうしようもないので諦めてお土産を売っていたあの場所に戻った。宿もあの辺りにあるので一石二鳥だろう。

「綺麗な橋だったわね」

 そうして歩いていると、ルーシィがそんな感想を言う。それを聞いて、俺はほぼ無意識にこんなことをルーシィに言っていた。

「ルーシィの方がずっと綺麗さ」

 ……言ってから恥ずかしくなってきた。なにキザなこと言ってるんだ俺は。たしかに事実ではあるけど恥ずかしい!

 そうやって俺が心の中で羞恥に悶えて暴れていると、ルーシィが手を離して袖を引く。何だろうと思いしゃがんでみる。するとルーシィが俺の耳元で囁いた。




「貴方のそう言うところ、好きよ」




 驚いてルーシィを見る。少し頬を赤く染めて、ふふふっと微笑んでいた。今夜は朝になるまで愛し合おう。絶対そうしよう。こんな蟲悪的な顔を見せられて昂らない男は男じゃない。俺はそんな決意をしながら宿を取るために宿屋に向かうのであった。

 翌日宿屋の主にこう言われた。

「昨晩はお楽しみでしたね」

 その目は笑っていなかった。恥ずかしさと申し訳なさで一杯になりそうだった。ルーシィも同じように赤く染まっていた。来国初日でこれって大丈夫か? 大丈夫じゃない、問題だ。一人脳内で呟いた。

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