表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

友達ウケが良かったので悪役令嬢を演じていたら、えらい事になった話

作者: raha
掲載日:2019/05/31

皆さまの愛情溢れる悪役令嬢物に感化されておもわず書きました!

「ソラリア・グンゼ。私はお前との婚約を破棄する!!」


 噂に聞いていた婚約破棄を私がされてしまった。


(な、なんでぇぇぇぇ! どういう事なのぉぉぉ!!)


 私、グンゼ伯爵家三女。ソラリア・フィノ・グンゼは、恐らく知らない者から見たら典型的な悪役令嬢だ。

 子供の頃から活発だった私は、お茶会に誘われては大人しくお茶を飲む事ができず、皆んなを連れ回してはケガさせて怒られていた。


 はたから見たら悪役令嬢の取り巻きと思われている幼馴染の女の子達は、そんな私の性格を知っている為、「あー、また無茶ぶりしてるー」だとか「今のすっごい悪役令嬢っぽかったよ!」みたいな感じでキャッキャキャッキャとはしゃいでいた。


 私は私で親友達のウケが良かった事に気を良くしてしまい、悪役令嬢を演じるのが楽しくなってきてしまった。

 そんなこんなで、長い事演じていたせいか、かなり悪役が板に付いて来た頃、事件は起きた。


 きっかけは私の婚約相手だったガルバード王国第二王子、ダムス殿下のお気に入りだった男爵家の次女、ララティーナ嬢にちょっかいをかけたからだった。


 元々殿下とはソリが合わず、穏便に婚約破棄できないかなー? とつね日頃から考えていた。

 そんな折に殿下のお気に入りのララティーナ嬢を見かけ、声をかけてしまった。


 彼女はとても可愛く、気立ても良い子で殿下が夢中になるのも仕方がない事だった。


 私的には、嫌いな殿下と仲良くしてくださっているララティーナ嬢に感謝の気持ちを伝えたつもりだったのに……本人と見ていた周りの者にはそうは見えなかったらしい。


「あらララティーナ嬢、ご機嫌いかがかしらぁー?」


 私は手の甲を頰に当て、絶妙な角度でララティーナ嬢を見据えて声をかけた。


 取り巻き達(「「「ソラリア、キレッキレね!!」」」)


「最近あなた、ダムス殿下とよろしくやっていらっしゃるようですわねー?」


 私は眉と目尻を精一杯釣り上げて、悪役令嬢を演じた。


「いいのですよっ。全っ! 然っ! かまいませんことよっー?」


 言葉のアクセントに気を使いながら、あたかも意味ありげに聞こえるように声を高らかにした。


 取り巻き達(「「「見て見て! あのララティーナさんの表情! 怯えた顔もすっごいかわいいわっ!」」」)


 私は親友達の満足そうな顔を見て、ララティーナさんに最後はアメを上げる事にした。

 単純に辺りが暗くなりつつ、雨で地面がぬかるんでいたからなのだけど……


「ララティーナ嬢、夜道に気を付ける事ねっ!」


 ヒィィという悲鳴が聞こえそうなほど怯えたララティーナ嬢は「し、失礼します!」と早足で去っていった。


 あっ! と気づいた時にはどう誰が見ても脅しの言葉にしか聞こえなかった。


 その時の様子が尾ひれに尾ひれがついた挙句、日頃私の事を良く思っていないお嬢様方の企みにより、無事婚約破棄がなされてしまった。


 最悪な形で。


 そんな事があり、親友達は涙目で私の事を気遣ってくれたものの、お父様の怒りを買ってしまった事もあり、僻地にある領地での謹慎処分を受けてしまった。


 ◇


「悪ノリしすぎたなぁ……」


 最初こそ呑気にそんな事を考えながら過ごしていた僻地での謹慎生活だったけれど、親友達に会えない寂しさや、どこぞの得体の知れない脂ぎったオッサンに嫁がされる恐怖に次第に打ちのめされていった。


 ◇


 季節が一周した頃には私はすっかり参ってしまっていて、とにかく私は荒んでいた。


 そんな私の面倒を見るのは石ころのような存在価値の妖精達だった。

 彼女達は力も弱く身体も小さい為、1つの仕事に対し10匹以上であたっていた。


 彼女達は森の奥深くに行けばいくらでも居る存在で、どう増えるのかもよく知られていなかった。


 そんな彼女達は荒んだ私によく話かけてくれていたけれど、幽閉状態の私は心を閉ざし無視していた。

 ときには羽音にイラつき物を投げつけたり手で握り飛ばしたりもした。


 ずいぶんと長い期間、王都での愚痴を繰り返し彼女達に吐き、泣き叫び彼女達に当り散らしていたある日、妖精の1匹が言った


「ソラリアお嬢様、わたくし子供を授かりましたので、しばらくお休み頂きます」


 正直、どうでも良かった。

 彼女達が妊娠しようが増えようが居なくなろうが知った事ではない。


 そんな事があって月日も経ち、すっかりそんな事を忘れていた頃、妊娠して居なくなっていた妖精の1匹が子供を連れて帰ってきた。


「ソラリアお嬢様、お久しぶりです」


 あー そうだっけー? と興味なさげにチラリと見遣った。


 子供ですよと見せられた妖精は一回り小さく、羽をまだ上手く動かせないのか上下に揺れている。


「私達の子供ですよ。この子もソラリアお嬢様にお仕え致しますのでどうぞよろしくお願いいたしますね」


 はぁ? わたしたちって何? 誰?


「ご存知無いようなのでご説明しますね」


 人は妖精にまったく興味を抱かない。そこらによくある石コロのような存在だからだ。

 そんな彼女達がどう増えるか? なんて事を気にする者はほとんど居ない為、誰も知らない。


 彼女達は、コッソリと人間の村に飛んでいっては子供を授かり帰ってくる。ときには森奥深く入ってきた者に出会い、授かる。


 いったいどういう事なのか?


「私達は人を愛おしいと心から思ったら子供を授かります」


 例えばある妖精はコッソリ人間の村に行き、1人の青年と出会う。彼は働き者で汗水垂らして毎日仕事をしていた。そんな彼は働き者なだけでなく、人に対しても優しくできる者だった。そんな姿を毎日かかさず1匹の妖精は見に行き、そんな青年に恋をし子供を授かる。


「で、あんたは誰に恋したっていうの?」


 そこまで聞いてもたいして興味が無かったが一応聞いてみた。


「はい、ソラリアお嬢様の事を心から慕っております」


 はい? 私? 貴方達の事叩いたり暴言吐いたり酷い事しかしなかった、私?


「お嬢様がこちらに来られてからずっとお側に仕えておりましたもの。最初はあんなにも気さくだったお嬢様がこんなにも荒んでしまった理由はポツリポツリと長い間かけてお聞きしました。そんなソラリアお嬢様を私は愛おしく思います」


 そんな事いきなり言われたって嬉しくないし喜べない。


 あっそ。と受け流し、またいつもの日常に戻った。


 ◇


「おじょうさまぁぁー!」


 妖精の子供は辿々しく私の周りを飛び周りイラつかせる。が、さすがに子供だと言われると手が出せない。近寄って来なくなるまで無視するまでだ。


 ある朝、目を冷ますと顔に何かが張り付いていた。引っぺがすと妖精の子供だった。

 苦々しく指で摘んで見ると一向に起きない。

 今までロクに妖精達の顔を見ようとはしなかったが、改めて良く見ると可愛い顔していた。


 もっと良く見ようと近づけるとパチっと目が開き、私の顔に抱き着こうとした。

 指で摘んでいるので妖精の子供はジタバタとし、それが叶わないと知るとシュンとした顔を見せた。


 その日から私は少しづつ変わっていったんだと思う。

 荒んでいた心は徐々に溶かされ、ロクに見もしなかった妖精達との会話も増えていった。

 何がきっかけだったんだろう? 自分の子供だと言われたから? 妖精の子供が可愛かったから? 自分でもよく分からなかった。


 ◇


 いつの間にか妖精の子供と寝るようになった。潰してしまうのを恐れ、妖精達と小さな籠を作り私の顔の近くに上から吊るした。

 寝る時は籠を優しく揺らし寝かせつけ、朝起きる時は可愛い寝顔を見ながら目を覚ますのを待った。


 そんな生活を続けるうちに他の妖精達とも仲良くなり一緒にお茶会なども開いた。


 今度は私が妖精達を愛する番だった。


 妖精の子供や妖精達に名前を付け呼び合った。

 すっかり元のお転婆な私に戻り、王都で演じていた悪役令嬢のモノマネなんかもやってみせた。


 楽しい日々が続いていたある日、お父様から帰都の手紙が届いた。


 私はもう後悔しない。前向いて歩いて行ける。こんなにも愛してくれる、愛す事が出来る者達が居るから。


「アンタ達っ! 一緒に王都に行くわよっ! 大丈夫、私が絶対守るからっ!」


 意気揚々に妖精達と王都に向かった彼女が、後に妖精姫と呼ばれ王都で一旗上げるのはまた別のお話。

連載版執筆中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ