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星海のダンジョンマスター  作者: よんに
始まり
9/25

7



人間との話が終わり戻ると、いつの間にか玉座に世界大陸説明書とマスター本が置いてあった。


黒色の背表紙で、絵と説明が書いてあり購入するならそのページに魔力を注ぐと頭にインプットされる。わかりやすーい


購入出来るかどうかも頭の中で分かる。よくわからない仕組みだけどめっちゃ便利!


とりあえずマスター本を適当に捲って見ていると、とても良いものを見つけた。



《【ユグドラシルの樹】

自身の陣地内であれば何度でも蘇る特別な樹》


漫画とかで見たことのある大きな世界樹だ。

神様は本当に地球好きだねー


ギリギリ購入出来るくらいだけど、私にとって何より良いものだった。


“蘇る”なんて、素敵すぎる。


早速白ちゃんに相談し返事を聞く前に即決。

何を言われたってコレを譲る気はない。

超激レアガチャを引くことだってできるけど、まずはこの樹を手に入れることが第一。


白ちゃんを撫で回した後、格好良く決めるため立ち上がり、私を後ろから白ちゃんが囲む。もうこれ定位置だねー


じゃ、



「我が家におっきな樹を生やすぞー!」


『主、その前に場所の確認を…おい!待て!』



白ちゃんの静止の声を耳にしながら私は購入するため魔力を注ぎ、ページが黒,青,赤,緑,黄,白と鮮やかな光を放ち、



「っうわぁー…」


『……、』



次の瞬間にはこの空間いっぱいに広がる樹が生っていた。



何本もの太い幹が連なり太い幹のような枝をいくつも伸ばし傘のようになり、そこに若葉色の葉が生い茂る


何十メートルもある巨大な樹に私も白ちゃんも圧倒された。


そして何より、


「凄い生命力…」


『驚いた…。我よりもエネルギーを感じるぞ…』


私達には“自然のエネルギー”がわかる。それもマスターや召喚モンスターの力でもある。私や白ちゃんはそれはもう凄いエネルギーを持っているけど…、それを上回る生命力


“蘇る樹”と言うに相応しい。



圧倒されつつも樹に近づき太い幹に触れると、更に伝わるエネルギーに私は笑った。



「私の大切な子達の生命をどうかよろしくね、ユグドラシル。キミには毎日私の魔力を注ぐから。」


――さしゃららら



風などないはずなのにユグドラシルの樹の葉が心地の良い葉音を鳴らした。


まー、可愛いねー!


思わず抱きつき手で撫で撫でして頬をすりすりと頬擦りをしてしまう


白ちゃんも鼻を軽く当て、その後に前足で石畳に亀裂のように蔓延っている根に前足を乗せた。可愛い


しばらく白ちゃんとユグドラシルを愛でて、いつの間にか圧倒的な生命力にも慣れた頃に気づいた。



「あれまー…」


『…あれはあれで、雰囲気がある、…か…?』



連なった太い幹の奥に枝に侵食されている玉座があった。あれはもう切らなきゃ取り出せないなぁ…

まぁ座らないしいっかー


他の場所より根が蔓延っていない根元に白ちゃんと共に座り、凭れかかりながらマスター本を開く


「んー…、まだあとちょっとあるんだよねぇ。外の人間のおかけで増えてるし。うーん……芝生買うとしてー」


『芝生を買うのか?』


「石畳のままだと痛いもん。芝生だとユグドラシルにも合うし、気持ち良いでしょー?そのうち川も買おー」



《【芝生】

柔らかい芝生。花を植えることも可》


購入すると今度は緑と青の鮮やかな光を放ち、一瞬で石畳から芝生に変わった。


人生初の芝生…ちょっとこしょばいけど気持良い〜

病院の庭の芝生は手で触るくらいしかさせてもらえなかったからなー



「むふふっ。」


『急にどうしたのだ。』


「自由だなーって!むふふっ、自然は良いねぇ、気持良い!白ちゃんのモフモフも素敵だー」


『よくわからぬが…、良かったな。』


私の頬に鼻を当ててくれる優しい白ちゃん、たまらん!!ギューッと顔に抱きついた。


しばらく白ちゃんを堪能して、


「よし、じゃあガチャやるぞー」


『ふむ。モンスター仲間が増えるのだな。』


「そー、家族が増えるの!」



ウキウキとマスター本のガチャページを開き、ガチャのページに魔力を注ぐと白い光を放ち目の前にガチャ機が現れた。


何が出るかなーと回して…


「おおっ?」


カプセルが出たと同時に水と花がガチャ機の周りを渦巻き、水の流れに花が揺れ流れている



白ちゃんの時は強烈な稲妻と暴風だったからなんだかホッコリするなぁ…でもレアでもない普通のガチャなら二属性持つ子なんていないと思うんだけどー…


水と花が消えて白ちゃんと顔を見合わしたあとカプセルを取り出すと、中には子鳥が2羽眠っていた。



「わぁー!ガチャで“番”ならレア出たんだ!私、運よすぎじゃない?」


『我に続いてだからな。かなりの運だろう』


「うひゃー。悪いこと起きませんよーに!」


そう言いながらもわくわくと新しい家族を起こすため、カプセルを開けた。



先程よりも広範囲に水が渦巻くように現れ、その流れに添うように鮮やかな綺麗な花々が流れ浮かぶ

無臭だったのに辺りに広がる花の甘い匂い


これはまた…自然系統だねぇ



そして渦巻く花水の中心に現れた2羽の小鳥


淡い水色の雄と桃色の羽先だけ黄色の雌

2羽とも瞳の色は若葉色だった。


なんて…ふかふかで触り心地の良さそうな子達…!



羽をゆったりと羽ばたき宙に留まっている番の小鳥たちへ一歩足を歩ませ笑う


「はじめまして。私がキミ達の主であり、母でもあるダンジョンマスターです。」


『ぴぴっ』『ぴいっ』


「なんて可愛くて綺麗な声…!!」


雄と雌の鳴き方の違いにも悶えながら私の後ろに控えていた白ちゃんに凭れかかる様に倒れた。


『まったく…、』


『ぴぴっ⁉』『ぴぃっ!!?』


そんな私に呆れる白ちゃんと、驚いたような鳴き声を上げて私の周りを飛ぶ2羽の小鳥


んーっ…、たまんない…っ!!



飛び回る小鳥に向かって手を伸ばせば小鳥達が揃って私の指や甲に頭を擦り寄らせる


それに身悶えながら2羽の小鳥を眺め考える


「綺麗な水色だよねー…。浅葱色ってやつだっけ?

……浅葱、いいねぇ!」


『ぴぴっ?』


「桃色…羽先は黄色だしなぁ…。桃黄…?…やっぱ桃かな。桃…、桃葉…?桃花…、……桃で!」


『ぴい?』


口に出して頭を巡らせ決まった“名”に私は満足して身体を起こし、両手の掌に2羽の小鳥を乗せ、私は笑顔で告げる



「旦那さんには〘浅葱(あさぎ)〙。奥さんには〘(もも)〙どう?良くない?キミたち二人の名前!」


『ぴぴっ!』『ぴいっ!』



言葉はないけれど、喜びの感情が伝わる。

マスターとモンスターはそんな感じで意思疎通を図るようだ。


白ちゃんのように話せないのは少し残念だけど、意思疎通はできるし、やっぱり嬉しい。


喜んでくれる2羽の小さな頭を指先でそっと撫でて、改めてもう一度自己紹介をする



「私は【星海のダンジョン】のマスターであり、みんなの母なる存在です。名前は"星浬"。星浬でもママでもお母さんでも好きなように呼んでね!

これからよろしく、浅葱、桃!」


『ぴぴっ!』『ぴいっ!』



手を上げるかのように羽を持ち上げ鳴いた2羽に私はさらに悶え、白ちゃんの元に再び倒れた。




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