表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星海のダンジョンマスター  作者: よんに
始まり
7/25

人間の話


突如、海に巨塔が現れた。

信じられない光景を何人もの人達が見ていた。


そしてさっきの、ダンジョンマスターと言う者も…




「我らが自然を破壊していると、その者は言ったのか…」


ダンジョンマスターが去った後、我々はすぐ王城に戻り至急陛下に報告をしにきた。


陛下は一部始終を聞いたあとそう言われた。


「はい。」


「その話が本当なら我らは馬鹿な悪循環をしているということになるが…」


陛下のその言葉にその場にいる重鎮たちが顔を顰め、苦虫を潰したような顔をした。



戦争に反対する者は少なくはない。

それを押し切り兵を動かし、兵が足りなくなれば農民や平民の男を出兵させていた。


それが全て“無駄”だった。

そしてそれが神の嘆きだった。


我らは生きるために戦争をしていたのに、

自らの首を締めていたのだ。



「……その話は信じるに値するか?」


「…自分が見た光景は神の力と思う以外に理解できないものでした。そして、あのダンジョンマスターという者が我らを騙すようなことはしないと確信を持って言います。」


「黒騎士、その根拠はなんだ。」


陛下の問に正直に申し出れば宰相殿が鋭い眼光で俺を射抜く


この人の鋭い眼光の前で冗談や嘘は絶対に言えない。言う必要もないが…


俺はその宰相殿の問に少し躊躇ったあと、言った。



「あの者は、何というか……緩いというか、拍子抜けしてしまうというか…」


「…ハッキリと言わんか」


「……あの者は強いが、面倒臭がりだと思います。

そしてどこか子供っぽいです。」



最初は話し方を作っていたがすぐにそれはなくなり、子供のような話し方をした。

拍手をしたり、揶揄って悪戯が成功した子供のように笑ったり


傍にいた神々しい獣はまるで保護者のようにあのダンジョンマスターを護っていた。


大人よりも強い無邪気な子供のようだった。



俺の話に陛下も宰相殿方重鎮たちも呆れたような、馬鹿を見る目をしていた。それを承知の上で言ったのだから良いが


宰相殿が顎に指を当て思案している

きっとダンジョンマスターに会うかどうかだ。


だがそれは


「あの者は王城には来ないかと。」


「…何故だ?名誉なことだろう。悪事をして呼ばれたとしてもな。」


宰相殿と重鎮たちの考えは同じのようだが、この人達はわかっていないのか?


あの者は“人間”ではない。



「会うとするならば余が行かねばならぬまい。」


「陛下、何を、」


「ダンジョンマスターと言う者は“人間”ではなかろう。知識のある“なにか”だ。」



陛下は頭の良い人だ。

俺の話を聞いてあの者がどんなふうに対応を求めているか考えて、実行する判断力も持っている


忠誠を誓った素晴らしい王



「すぐには行かぬが、準備をしておけ」


陛下はそれだけを言ってその場を去って行った。


宰相殿や重鎮たちも去った後、俺も王城内の訓練場に向かう



歩いている間思い出すのはダンジョンマスターという者と、その傍にいた神々しい獣


空から舞い降りてきた時は息を呑んだ。


あれほど美しい女を初めて見た。

"夜空と海"の二色の瞳

そして、得体のしれない力

従わしている神の獣と呼ぶに相応しい獣


星空と海に浮かぶ姿に息を呑み、見惚れ、言葉遊びをされ、あの迫力とオーラに圧倒された。



「ッチ、」


王国最強の黒騎士部隊の隊長が聞いて呆れる


あれほど恐れ慄き体が震えたのは何十年振りだろうか…


武者震いか、それとも……



「黒騎士。」


「、なんだ、白騎士。」



思考に気を取られて近くに誰かが居たことに声をかけられるまで気づかなかった。


何をやってるんだ、俺は。腑抜けが。


自分に対して悪態をつきながら振り返れば、見慣れた顔の女が呆れた顔をして立っていた。



白い鎧を身に纏う、白騎士部隊の隊長

黒騎士部隊の対の部隊


一兵士時代からの仲であり、良きライバルだ。


「何もせずにのこのこ帰ってきたらしいな」


「…あぁ。」


「フン。腑抜けたか、黒騎士。王国最強と謳われる者が無様な…」


「その通りだ。」


整った顔を歪め言う白騎士に同意すれば、癇に障ったのか更に顔を顰め詰め寄って来た。


「のこのこと帰って来て、反撃の態勢もしていないのは何故だっ!!闘志がないぞ!!」


「闘志…、」


「いつものお前なら絶対に復讐するはずだろう!?戦でだってお前は…ッ!!」


「…はは、」



必死に言う白騎士に少し笑えた。


最も笑ってしまったことで更に白騎士の怒りを買ってしまったのだが…



戦で復讐。それは幾度となくやってきた。

仲間の敵、土地の敵、名誉の敵…


俺は、何がしたくて戦で戦っていたんだ…



怒鳴り続けている白騎士を見る


所々傷のついた鎧と剣を握る証の蛸

戦で生きる決意表明の短い髪


全てが、否定されたようなものだったんだ。



「圧倒的力の前で自分が正しいと思っていた事を全否定され、自らの過ちを突きつてられるとどうしようもなく、馬鹿らしくなってきたんだ。」


「なにを…」


何かを言いかける白騎士に背を向け、俺は一人訓練場に向かった。





「それでも俺には、剣しかないんだ…。攻略して生きる活路を見出だせるのなら攻略するまで…!!」



燃え上がるのは生きることへの執着と



「絶対にやってやる…ッ!」



絶対的強者への闘志





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 防衛の意味合いでの戦ならまだわかるけど侵略の意味合いなら謎の戦ばかりなんだよね(笑)土地食い物が欲しいのに荒らし回るとか技術や人手がほしいのに殺し回るとかね。それもソコソコ賢くてマトモそうな…
2022/05/11 20:53 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ