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星海のダンジョンマスター  作者: よんに
始まり
6/25

6



浜辺と浅瀬に佇み私達を見上げている千を優に超えている人間達に向かって口を開く



「こんばんは、人間の皆さん。」



辺りに響く私の声にざわめく人間達が口々に何かを言っているのを聞きながらゆっくりと降りて行く


前線の人達から60mほどの距離に留まり、白ちゃんが私を囲うように後ろに控えた。背中にあたる毛に擽ったさを感じてつい笑ってしまう


何故かそれに人間達が静まったのを不思議に思いながら丁度良いと口を開いた。



「今日は良いお天気だったのでしょう。満天の星空が綺麗ですねぇ 私達の誕生に相応しいと思うのですけど、皆さんどうですか?」


『……。』



超いい感じにミステリアスに喋れてる私!


何か言いた気な白ちゃんの首辺りを撫でながら私を見て固まったままの人間達に再度声をかける


「本日、急に現れたこの塔に皆さん驚かれたことでしょう。」


そんな私の言葉にやっと一人の人間が口を開いた。

前線を率いてるっぽい黒い鎧を身につけてる男



「貴方は何だ?神の使いか?」


「せいかーい。」



当てた黒い鎧の男に拍手をする。当たったら褒めるよねー クイズ番組でもそーでしょ?


褒めたのに顔を顰めた黒い鎧の男

そして私を訝しげに見始めた周りの人間達。さっきまで私に見惚れてたくせにー


「神の使いがこの国に何か用か。」


黒い鎧の男の言葉にこの場所が国に面しているのだと知って笑みが溢れた。


私は運が良いなぁ 人間がたくさんいる場所にダンジョンを持てるなんて…



「この国に手を出す気はないよー。…今のところはね?まだわからないの。」


「………何が目的だ。」



殺気を込めた黒い鎧の声に白ちゃんがピクっと反応し少し赤みを帯びた瞳で人間達を見下ろした。


どうやら白ちゃん、苛ついたり怒ったりしたらミルキーブルーの瞳が赤に染まるみたい。

つまり今、私に向けての殺気に苛ついてくれたと…あぁ可愛い愛おしい可愛い!



「そんなに殺気立たなくていいよー。“今のところは”って言ったでしょー?私は何をしたら駄目か言いに来たの。親切でしょ、感謝してねー」


「…、」


「あ、ごめんねー?睨まれて喋れないか。駄目だよー、抑えて抑えてー」


『…ふん。』



白ちゃんに睨まれて固まってしまった黒い鎧の男が大きな息を吐き、私を見つめた。


やだー照れるー。男なんて家族と先生以外に初めて生で見るのにー


「さてさて、自己紹介しますねー」


もうミステリアスはぶち壊しだ。やっぱ私に演技とかは無理だわー肩凝る。


だけどせめて、態度と印象はミステリアスに。




「私は【星海のダンジョン】の主。ダンジョンマスターという存在です。」




告げた私の言葉に人間達は困惑の表情を浮かべる


"ダンジョン"ってこの世界になかったらしいんだよねー 神様が創り出した新しいものなんだってさ。


困惑と苛つきの表情の人間達に私は説明をしてあげることにした。優しいー



「ダンジョンっていうのはねー神様が新しく創られた自然を守るための…砦みたいなものだよ。」


「自然を守るため…?」


「君ら人間は自然を壊している。それを神様は嘆き悲しみ、私達を生み出したの。」


私の言葉に人間達が顔を歪める。


何が言いたいのか何となくわかってるからそんな顔しないでよー



「君達は生きるために領土が必要だから仕方なく…って言いたいんでしょー?」


「そうだ。我々は生きるための場所が必要だ。そのために領土を拡大している。」


「だからって自然を破壊しちゃダメだよー」



その言葉に人間達が一斉にいきり立った。



「何も知らないくせに!!」

「神が助けてくれないからよ!!」

「自分達が生きるためだ!」

「お前に何がわかる!!」


「え、めっちゃ急に喋るじゃん。」


『お主…、』



白ちゃんの呆れた声に人間達が静まる

良い声だよねわかるよー耳済ましちゃうよねー



「…それで、ダンジョンとは自然を守る砦と言っていたな?どういうことだ。」


「お、黒い鎧の君は賢いねー!そうそう、ちゃんと話をしてくれなきゃ本題にいけないよー」



要は“話聞けや”と言ったんだけど、伝わったみたいで人間達がブーイングを起こした。やだ楽しいー


それも黒い鎧の男が「静まれ」と声を張り上げればすぐに静まったけど。


この男はかなりの地位の人間なんだなぁ

じゃあ、国の王様にも話は絶対に行くよねー

その内王様が来てくれるような話をしようかなぁ



「そうだねー…神様は人間達が生きるために自然を破壊する事にも嘆いているけど、それよりも、人間同士で領土のために戦争して破壊していることが悲しいみたいだよー」


「…戦争は我々の国民が生きるために…」


「そうだねー、君らは生きるために戦争してるって言ってるけどさぁ、それ結局死人増やしてるだけでしょー。」



私の言葉に先程よりもっと凄い殺意を向けられた。この場にいる全員の殺意に嗤う



「神様は“生命”が失われていくことを嘆いている。自然だけじゃなく、君達人間が死ぬことにも嘆き悲しんでる、ってことだよー」


「ならばもっと土地をくれれば…!」


「何甘えたこと言ってんの?」



思わず出た低い声に空気が張り詰めた気がした。


私は神様に埋め込まれた知識を知らないでいる哀れな人間達に教えてあげることにした。



「魔法は何故使えると思う?」


「自分の体内に魔力があるから…」

「そうよね、学校でそうならったわ」

「体内の魔力と大気の魔力を使っているんだろ」



私の質問に人間達が困惑と苛つきと少しの怯えを見せながら答える


そう、間違ってはいない。

でも、



「魔法を生み出すには自身のほんの少しの魔力と、自然のエネルギーを使わないといけないんだよ。」


「自然の、エネルギー…」


「そしてその自然のエネルギーを奪い過ぎると、大地は枯れ、水は淀む。…君達は領土を戦いで奪い、戦いで奪ったその領土が枯れていたらそのままにして次の領土を求めてまた戦争をしている。」


「…、俺達は…」



私の言葉に黒い鎧の男が気づいたようで私を呆然と見上げ、呟く



「俺達が、大地を枯らしていたのか…?」


「そー、正解。」



またも正解した黒い鎧の男に拍手を送る


他の人間達に睨まれたけど黒い鎧の男はただ呆然と私を見ていた。トドメを刺そうかなー



「神様は出来るだけ自然に力を送っていたのに、その力を君達人間が際限無く使うからいつまで経っても自然は枯れたまま。君達人間が、自分が生きるための領土を壊してるんだよ、馬鹿共が!!」



馬鹿すぎて少しだけ力が入っちゃったからか、海が少し強い波を起こす


ザバーンッと人間達を覆う光景に私次第で大変なことになるなーと思いながら、海水に濡れ咳き込んだり怒鳴ったり身体を震わせる人間達に告げた。



「これは宣告。自然に満ちた領土が欲しければダンジョンを攻略すればいい。攻略しない限り、君達人間に領土は絶対に渡さない。神様から君達人間への最後の優しさだよ。」


「俺達は……」


「戦争を止めてまずダンジョンを攻略すればいいと思うよー 各地にあるまだ生きている自然に私達は生まれたはずだから、もしそんなところで戦争を始めたら…きっと皆殺しにされちゃうねー」



笑顔で言って何かを問われる前に切り上げる

これ以上私からの同族だった者たちへの“同情”はあげない。


ダンジョンマスターとしての役目を果たそう



私を見つめる人間達を眺めながら右手を胸元まで持ち上げ、人差し指をくるくる回す


すると次々と海に渦潮が出現する



その光景は起こした私から見ても圧巻で、人間達は信じられないものを見たという目で私と渦潮を見ていた。



だけどまだまだこんなもんじゃないよー


右手を垂直に伸ばし、手首だけを軽く振り下ろす


すると星が流れ夜空を覆うほどの流星群ができた。


息を呑むほどに美しい光景に私自身でも見惚れてしまう。白ちゃんが星を楽しそうに目で追っているのを見て可愛すぎて静かに身悶えた。



人間達は口々に「ありえない」「凄い」「恐ろしい」と騒ぎ、私に畏怖の目を向ける


そうそれでいい。恐れたら排除しようと馬鹿な王様は考えるでしょーきっと。


それか……、…まぁいいやー



「改めて自己紹介しましょう。


私は【星海のダンジョン】の主、ダンジョンマスターという者です。


君達の頭によーく刻み込んでねー

君達が生きるために必要な領土を守る者。


お前たち人間の、敵と思え。


この海を超え塔に入ってくることを待っています。」




そうして私は空を飛び塔へと戻った。





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