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神の末裔は何を思う  作者: 小野 優
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序章

「設定」1:この世界には神と悪魔がいたが、今はいない。

2:神から力を与えられた人は神陣営、悪魔から力を与えられた人は悪魔陣営。

3:アキナは、光という力が何故か使えない。

4:大空の騎士領は、神陣営の領域。 暗黒の使者領は悪魔陣営の領域。

それぞれ自陣営の騎士が警備している。

今のところはこの程度です。後々もう少し詳しく説明する時が来ます。その時はしっかりと説明します。


この物語<序章>は、語り屋(神話や事件などを語り聞かせる人)の話を、あなたが聞いている場面です。

なので三人称視点になっています。

次からはアキナの一人称視点にするつもりです。


それでは、読んでみてください。


昔、この世界には『神』と『悪魔』がいた。

対立していた2つの力は、長くに渡り戦いを続けていた。

そこで神と悪魔はこの世の全ての人間に自らの力を分け与え、兵士として戦わせていた。

神に力を与えられた人は光を、悪魔に力を与えられた人は闇を操った。

己の生を保つため人々は武器をとる。


それから1万年経つ。


長きによる大戦により神と悪魔は、絶滅した。

人間は、神陣営『大空の騎士(Central Knight)』、悪魔陣営『暗黒の使者(Dark Phantom)』に分かれ、今だ敵対を続けている。最近争いは起こっていない。いわば、冷戦化の状態にある。


今から話すのは冷戦化の世界で起きた出来事。ほんの少し長いプロローグ。



♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


《序章》


「学校にいる生徒は、速やかに下校してください。」

いつもと変わらない放送が聞こえる…教室に1人だけの僕は、淡々と荷物を片付ける。


僕の名前はアキナ(男)。11歳。多分クラスの誰とでも仲が良い。

今は『大空の騎士領・第三都市・カザンの街』に住んでいる。近くの学校に通っている。

学業も運動も普通。

首に謎の十字架マークが付いている。子供の時からある。何であるのかは分からない。



「アキナ〜〜!帰ろ〜〜!」


校庭からユウジ(男・友達・同級生)の馬鹿でかい声が聞こえる。ちなみにユウジの声は窓が割れるぐらいでかい。

明るい性格で、アキナと気が合う。いつも一緒に帰っている。


アキナは少し笑って校庭へ走っていった。


カザンの街は、木々が生い茂り、緑であふれている。光の力を利用して、一年中作物が育つ。

とても豊かな街だ。

『暗黒の使者領』に近い都市できしも多く住んでいる。

(いにしえ)の戦いの、始まりの場所であるとも言われている。


帰り道ユウジが、空を見上げて話す。


「アキナはさ、大人になったら何がしたい?」


アキナは唐突すぎる質問に少し戸惑った。


「俺はね……騎士になる!!」


ユウジは空に向かって話しかけるように言った。


「敵が来たらすぐ駆けつけてみんなを守る。そんで、『もう、大丈夫だ』って言えるようなカッコいい騎士になりたいんだ。」


騎士。『暗黒の使者』から、大空の騎士領全域をを守る役目。名誉ある仕事。

アキナの父も騎士をしている。

騎士は主に地元の騎士団か、王都の大空の騎士団に所属している。


立て続けにユウジが言う。


「アキナは何になりたいんだ?アキナの父さんって騎士だよな…やっぱり騎士か!」


アキナはすこし笑って話す。


「特になりたいものはないよ。僕は何をやっても普通までしか行かないから。きっと大人になったら、適当に過ごしてると思うよ。」


「でも…まぁ………」


『騎士だけにはなりたくないよ。』


「僕、光が全く使えないんだ。たまに発動するときはあるけど……

騎士になっても笑われるだけだよ。」


ユウジは少し表情を落とす。


「そっか。アキナ。やりたい事は見つけておいた方が良いぜ。アキナって心が空っぽに見える時があるんだよ……あっ、俺こっちだからまた明日な!」


「じゃぁな」


アキナも別れを告げる。


「ユウジは優しいな」


小声でアキナは呟いて、帰り道を走って帰った。家に帰る途中、やけに人が少なくてすこし胸騒ぎがした。


アキナは家の前までついた。


「明かりがついてない?父さんも母さんもまだ帰ってきてないのかな?まぁ、今日の朝忙しそうにしてたしな。」



「パキンっ!!!!」



家の中から、ガラスの割れるような鋭い音がする。

アキナは少し不安になって家の扉をあけた。木製の扉が音を立てて開いた。


「ただいま〜〜〜〜!」


返事は無い。アキナはやっぱりいないのかなと思った。


「いないの〜〜?いるなら明かりはつけておいてよーー。」


そう言って暗闇の中、リビングの扉を開ける。


「うわ。真っ暗で何もみえないや。こんな時に光が使えたらな。とりあえず明かりをつけよう。」


そう言って明かりをつけに行く時、アキナは部屋が少し鉄臭いことに気がついた。

少し周りを見渡してみる。


「……………」


一瞬の静寂。暗闇に目が慣れたアキナは、その光景に唖然とする。



誰かに荒らされたリビング。


割れた窓ガラス。


壁一面についた血。


破り捨てられた家族の写真


そして、首を切られて今も血を流している両親


流れてくる赤い血に、アキナの思考が止まる。


アキナは全身の力が抜けた。耐えきれなくなり床に嘔吐した。


「誰が………こんなこと………」


絶望が襲ってくる。


DQN! DQN!DQN!


心臓の鼓動が速くなる………


「父さん!父さん!父さん!父さん!父さん!父さん!」


「母さん!母さん!母さん!母さん!母さん!母さん!」


どちらからも返事は無かった。アキナの中にある希望は今消えた。




現実は残酷だ。


親の死を子供にすら見届けさせてくれないらしい。


本当に現実は残酷だ。



ふと気づく。どこからか足音が聞こえる。すごく静かでゆったりとした音。


コツッ。コツッ。


歩く音が大きくなってくる。


誰かが、部屋の暗闇からアキナの所へやってくる。


「おっ。子供いんじゃ〜〜〜〜ん♪ねぇ、ちょっと首見してくんない?♪」


アキナは目を疑った。目の前に立っていたのは若い男だった。


でも爪が異様に鋭い。大きな耳が生えている。狼のような男。

そう……


狼男だ。


狼男はアキナの首元を執拗に見てくる。アキナはまだ動けない。


狼男は、愉快な声で言った。


「お前、首に十字架マーク付いてんじゃ〜〜〜〜ん♪

ラッキー。ターゲットはっけ〜〜〜〜ん♪」


『十字架マーク』アキナの首にはこのマークが子供の時からついている。

このマークの意味。アキナは子供の頃からこれを知るためにいろんな本を読んでいた。けど、分からなかった。アキナは心のどこかで知るのを諦めていた。


しかし、今、狼男は明らかに十字架マークを探していた。


アキナは狼男(こいつ)に恐怖していた。それでも、聞くなら今しかないと、そう思った。


「お前、十字架(この)マークを知っているのか。それに、ターゲットって何の事だ!」


アキナは、強引に口を動かして、言葉を紡いだ。


狼男は少し面喰らった様な顔をしたが、すぐに、ニヤッと笑って、


「そんなこたぁどうだっていいんだよ! な〜〜?

早く俺に死ぬ顔を見せてくれよ!」


言い終わると同時に狼男は、鋭い爪を立てて襲いかかってきた。


狼男は想像以上に速かった。さっきまでとは段違いの殺気。


だが、アキナは迷わなかった。

この手の相手はどう対処するか、父さんから教わっている。




それは、父さんと武術の稽古をしているときだった。


「アキナ、お前もしスピードに自信のある奴が襲いかかってきたらどうする。」


父さんがアキナに問いかける。

アキナは黙っていた。そんなの分かる訳ない。

父さんが言う。


「答えはな、しゃがむことだ。スピードに自信のある奴はな、最初はだいたい、一直線にむかってくる。

それが最短で攻撃できるからだ。そしたら次は、首を狙ってくる。鎧の防御が薄いからだ。相手が首めがけて攻撃してきたら、身を低くしてかわすんだ。



狼男の動きは速かった。無駄がない。まさに狼だ。


しかし、アキナは、狼男の攻撃してくるタイミングで本能的に身を低くした。


(よし!かわした!)


「なっ!!!!」


狼男は、そのままアキナの所へ突っ込んでくる。


アキナは握り拳を固めた。


「歯ぁ食いしばれぇ〜〜〜〜!!!!!!」


BAAAAAANNNNN!


アキナのカウンターは、狼男の溝にクリーンヒット!


狼男はかなり吹っ飛んだ。しばらくは動けないはずだ。


アキナは考えた。


(今のは上手くいったけど、次は上手くいかないはずだ。それに僕は光を使えないし。

相手の実力も僕より遥かに上だ。正直、勝つ確率は0%だ。なら………)




逃げるしかなかった。


両親を殺した敵を前にして逃げるしかなかった。


アキナは悔しかった。最悪の気分だった。


アキナは敵に背をむけて逃げた。


家が遠くなっていく……


家族が遠くなっていく……


アキナの目には、涙が出てきた。


アキナは、街の中心めがけて走った。ただ、ひたすらに。助けを求めて。



しかし、現実は残酷だった。


「何なんだよ……これ……」


街のあらゆる所に死体が転がっていた。


いつもの街は、見る影もない。活気のある市場も血で染まっている。


どこへ走っても、あったのは死体だけだった。


アキナは更に深い絶望を味わった。


「ねぇ〜〜〜〜♪きみ〜〜〜〜♪また遊ぼうぜ!」


後ろから狼男が追ってきていた。その目には明らかに殺気しかこもっていない。


(嘘だろ!どんな速さだよ!)


アキナは今度こそ死を覚悟した。


「ただじゃ殺さなねぇ。この闇の力で四肢を切り裂いてからころしてやんよ!」


狼男が構えたその時。


「そこで止まれ!!!!」


どこからか声が聞こえた。


アキナの後ろから鎧をつけた男が3人と軽装の女が1人やってきた。


中心にいる大男が堂々と話す。


「我は大空の騎士・S級序列5位 ギル・グラントだ!

そこの狼!お前いま『闇の力』といったな!『Dark Phantom』の奴がこの街の住人を殺したのか!』


男に怒気が宿っていく。


狼男は、すこし苦しそうな顔をする。


「ちっ。もう嗅ぎつけたか。流石に騎士4人となると厳しいな…それに序列5位か……」


「仕方ない。」


「いずれその餓鬼始末しにくるからな!それまで首洗ってまってろ!」


BAN!


狼男は煙幕を投げた。走る音がどんどん遠くなっていく。


少しの静寂。


ギル・グラントは、怒気をしずめて言った。


「逃したか。次は逃さん。」


アキナは何も考えることが出来なかった。


女の人がアキナに優しく話しかける。


「もう大丈夫よ。よく頑張ったね。」


アキナは全身の力が抜けて、目の前が真っ暗になった。



♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


騎士の調査により、カザンの街の住人は全員死んでいることが分かった。


もちろんユウジも死んだ。


カザンの緑は赤に染まり、作物を腐らせた。


カザンの街には何も無くなった。


人の笑顔も……心の温かささえも……



『暗黒の使者』によって、カザンの街は崩壊した。

この事件は後に『カザンの悲劇』として長く語り継がれることとなる。


ここから描くのは、カザンの悲劇を生き延びた、勇敢な少年の成長の物語である。











こんばんは。いや、こんにちはかな?とりあえず読んでくれてありがとうございます。

最近小説書いてみたいなぁと思い、初めて書いてみました。

まだまだ実力不足なので、ご指摘・感想ありましたらどんどんしてください。

「つまんない」などのコメントも参考になります。

投稿は不定期です。


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