休日開放戦 その03
思えば、人と真面目に命のやり取りをしなければいけないのは……何度目だろうか?
相手にその気があっても、俺に無いというパターンしか経験したことがない。
だが今回、休人が相手ということで、俺の枷はある意味外れている。
捕縛するだけでは、残念なことに例の罰は執行されないのだ。
殺さなければならない、オンゲーでもPKならばと殺したことはあるが……それ以上に生々しい実感を味合わなければならない。
「息子より、卒業があとになるわけか」
ショウは有名税だからか襲われることも一度や二度ではないようで、ゲームだと割り切りPKたちを屠ったことがあるらしい。
最初は心を痛めていたようで……自分なりの信念を固め、それでも必要ならば相手を殺すことを選ぶようになったんだとか。
「──ここですか、『S1』と『S2』の間にある区域」
「ここを通る人々から金品を巻き上げ、人も奴隷として売り払っているようです。最近では、さらに殺人も犯すように……」
「救えない奴らですね」
「はい。教祖様も心を痛めておりました……ゆえに、私たちが派遣されたのです」
ルリはPKを好まない……が、仲間が殺られた時は、自分も表立って報復をしていた。
かつてのオンゲーでは、メンバーがPKにやられ──そんなことをしていたものだ。
幸運の女神と崇められしルリが実行するものだから、相手のPK限定即死技はことごとく失敗し、こちらの攻撃は急所判定ばかりで圧勝した時にはみんなで笑ったよ。
今回もルリは自分の手で、もうPKが行われないようにしたかったみたいだが……今の立場がそれを許さない。
なので俺が代わりとして、PKたちに痛い目を見させなければならない。
それがルリの望んだことだ……きっと、祝福も入っているだろうし。
「──報告します」
などと考えていると、斥候系のスキルを持つ騎士の一人が騎士長に報告へ来た。
それを聞いた後、真剣な表情を浮かべた彼女は──全員へ告げる。
「たった今、奴らの根城の詳細な場所が明らかになった! これより、突入するための準備を行う!」
とんとん拍子で進む辺り、本当にルリの加護的なものが働いているんじゃ……と疑うものの、ステータスを確認してもそういった新しい祝福は登録されていない。
「『SEBAS』、実際のところどうなんだろうな……両方とも」
《アジトであれば、すでにドローンで確認してあります。詳細な地図を転送します、祝福に関しては……さすがは奥様、ということになります》
万能AI『SEBAS』も匙を投げる、幸運に愛された妻。
……いやいいんだけどさ、普通は襲撃を受けてから反撃みたいな感じじゃないの?




