表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚弱生産士は今日も死ぬ -遊戯の世界で満喫中-  作者: 山田 武
真・就職活動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

971/3062

戦乙女談(01)



 ツクルが去ったヴァルハラ。

 あれから数日後、彼らの営みは変わらず戦いを中心として続いていた。


 しかし、一つだけ変化したことが……とある戦乙女が実力を発揮し、さまざまな猛者たちを相手に勝利を重ねるようになったのだ。


「……ふぅ、良い戦いでしたよ」


「は、はい!」


「では、私はこれで……」


 使用していた武器に魔力を流し、形を変えて仕舞う。

 それはツクルが彼女──アインヒルドに与えた宝珠状の武器であった。


 使い慣れるようになったそれを持って歩く彼女の下へ、一人の戦乙女が声を掛ける。

 それは、ツクルが戦乙女リーダーと呼んだ個体であった。


「今日も大変ね、アインヒルド」


「はい、最近はよく……って、だから、その名前で呼ぶのは止めてください! わ、私にはまだ、名前は無いんですからね!」


「そうでしたね。分かりました、以後は気を付けましょう──アインヒルド」


「も、もう~!」


 ツクルが去っていこう、彼女の名前はいつの間にかアインヒルドで定着していた。

 戦乙女たちは格好のネタとして、戦英霊たちは勝負を吹っ掛ける際のネタとしてだが。


 いずれにせよ、アインヒルドはそれに反応していつもよりも感情的に動く。

 そのため、これまでよりも彼女はヴァルハラで人気となっていた。


「ごめんなさいね、ついやっちゃうのです」


「……つい、でやらないでください」


「本題に戻りましょう。これから先、貴女はどうするつもりなのですか?」


「……どうする、とは?」


 真剣な表情に、アインヒルドもまた顔を引き締めて問う。

 否、その意味は分かっていたが、それでも確認する。


「貴女を求める者がいる。それだけで、我々『戦乙女』には使命が生まれます。彼ら英雄たちと共に過ごし、死した時その者をこの世界へ連れていく……それが戦乙女です」


「し、しかし……彼の者は死んでも死なない体なうえ、すでにこちらへ来ています。べ、別に考慮せずとも良いのでは?」


「──神託がある、と言ってもですか?」


「なっ! なぜですか、あの者が来てから神託の頻度が上昇しています! これではまるで……神々があの男に目を掛けている、そう言っているようなものではないですか!」


 これまで、神託が一日に二度与えられるようなことなど滅多に無かった。

 試練を行うにしても、一日で完遂した者など過去に訪れた『騎士王』のみ。


 そして何より、神託は一月に一度あればよいほどで、無い月だってあるぐらいだ。

 だというのに、ツクルが来て何度も与えられる神託……そう考えてもおかしくない。


 少しの可能性に──否定されることに賭けたアインヒルドだが、返答は違った。


「そうです。どうやら彼は、他世界の創造神様の祝福を授かっているようです。そして、我らが神々に伝言を伝えられたと」


「で、伝言……ですか?」


「ええ、それは──」


 信じられないことばかり、そして最後に伝えられたその内容に……アインヒルドは、とある決断をする。


 それをツクルが知るのは、再びヴァルハラの地へ足を踏み入れたときだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=196149026&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ