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虚弱生産士は今日も死ぬ -遊戯の世界で満喫中-  作者: 山田 武
無限の残機で行う一揆

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迷宮イベント その18



 逢魔の戦場


 難易度は最大、報酬もハイレベル。

 ゆえに死んでも蘇る休人、そして一時的にその権能が貸し与えられたこの世界の者たちも、試しと言わんばかりに突っ込んでいく。


「……うわぁ、これはひどい」


「さすがは最高峰の難易度を誇る迷宮だ。これであれば、少しは満足できるだろう」


「自分が最強だからって……覚えてろよ」


「ふっ、任せておけ。記憶力には定評がある私だからな」


 皮肉を言うが無視され、踏破が始まった。

 この迷宮は『欲望の大草原』に似ており、三層構造かつ広大なフィールドで構成されている。


 問題は層ごとに異なるレベルだ。

 一層は『欲望の大草原』より少々上、二層はレイドボス級、三層は……異次元のレベルというのが[掲示板]における情報である。


「もう二層か……『生者』よ、やはり三層にすぐに行かないか?」


「止めろ。せめて段階を踏め、そうしないならこっちにも考えがあるからな」


「……ならば、止めておこうか。これ以上、『生者』の反感を買うのは危険だからな。あと、階段は踏んでいるぞ」


「そうしろ。けどまあ……俺からすれば、ここも結構逃げたいレベルだけどな。それ、全然面白くない」


 ドラゴンだのワーウルフだのヴァンパイアだの……とにもかくにも、この時点で半端なく強い名前を持つ魔物ばかりだ。


 その分、得られる物は凄いんだけどな。

 経験値もガッポリと……『SEBAS』によって、実は経験値がストックできるようになっているので、そちらも大量になった。


 だからこそ、俺も洒落に返すぐらいのテンションは保てている。

 ……面白くはないけど、それを言わせてしまったのは自分かもと少し反省だ。


「しかし、『騎士王』……聖剣とか、普通に振るっちゃっていいのか? こう、こういう場所で使うモノじゃないと思うんだが」


「関係ない。それに、これは『生者』が用意した鞘のお蔭でもあるのだぞ」


 現在、『騎士王』は聖剣と鞘をそれぞれの手に握って魔物たちを屠っている。


 ドラゴンの息吹は鞘を盾にして防ぎ、わーウルフの猛攻は短剣にして捌き、ヴァンパイアの特殊な能力には杖で術を行使。


 万能な『騎士王』が得た、全能に届き得る性能を誇る代物。

 それが『裁定の鞘[クロス]』、無限の可能性を秘めた『騎士王』専用武器である。


「我ながら、凄い武器を創ってしまったな。今からでも『騎士王』じゃなくて、お前個人にしか使えないようにしておこうかな?」


「別に構わないが……おそらく次代が誕生すれば、その封印術式を解除してしまうぞ。なぜなら、『騎士王』ゆえに」


「……凄いバカみたいな台詞(セリフ)だが、否定できないな。正直、どれだけ厳重な術式を施しても解除されそうな気がする」


 万能の才があるのだ、時間さえ掛ければいずれ鞘を使えないようにしてもすぐに使えるようになってしまう。


 ……うん、やっちまったものは仕方がないということで。

 それ以上にヤバいもので誤魔化すか、これ限定の対策を用意でもしておこうか。



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