央州戦線 その08
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「──というわけで、将軍の能力は声を媒介に振動を送った対象を洗脳するというモノでした。結界という閉ざされた領域において、彼の能力はとても有効と言わざるを得ませんでした」
調べ上げた情報を、反乱軍の皆さまに伝えてあげることに。
ちなみに将軍の職業は【征意将軍】、意を征する将軍という意味なんだろう。
能力は先ほど説明したものに加え、将軍系の職業が持つ統率系の能力。
これはすでに反乱軍の皆さま方も知っていたので、報告する必要は無い。
「そうであったか……『生者』殿、何か解決策はあるのだろう?」
「もちろんです。ポーションなどで一時的に回復できるのですから、その状態を維持できればいいのです。具体的には、将軍の魔力が行き届かない場所に結界を構築し、その中で治療を行えばよいのです……試しますか?」
「しかし、結界を構築するには高い技量を持つ術師でなければならないのでは? あいにく我々の中に、結界を使える者はいない」
「魔道具がございます。──こういった物でして、領域を囲むことで結界を構築するというモノです。どこか、先ほどの話に該当する場所はあるでしょうか?」
長に訊くと、奥の部屋を紹介してもらう。
もともと地下は秘密機構がいっぱいらしいが、中でも広間より奥にはさらに幹部たちしか知らない場所があるようだ。
その一部屋に魔道具を設置し、結界を構築する。
外部から流れ込む魔力をシャットアウトするので、将軍の力も及ばない。
「ここに居れた者にポーションを飲ませれば治ります。魔法でも構いませんが、内部では魔力が回復しませんので、ポーションを持ち運ぶ必要があります。ちなみにここに、影響が及んでしまった方は?」
「隔離してある者が居る。一人連れてくるゆえ、しばし待っていてほしい」
そうして連れてこられた男にポーションを飲ませ、半洗脳状態を解除する。
すると将軍を尊ぶ発言ばかりしていたはずが、急に罵倒を始めた……ビックリだよ。
「おおっ、たしかにかつてのサエモンに戻っておる。『生者』殿、感謝するぞ!」
「今の実例でやり方は分かったはずです。同志の方々を回復なされては?」
「そうであった。皆、訊いておったな? 今こそあの忌々しき男の呪縛から解き放たれる時だ!」
『おーっ!』
どんどん回復魔法とポーション、そしてこちら版のポーションである符や薬を用いて洗脳状態の者たちを回復させていく。
それなりに居たのだが、最後には皆で将軍への怒りを滾らせていた。
……これで戦闘員も充分か、そろそろ始まりそうだな。




