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五州戦線 その03



 目的地となる赤色の幕で覆われた陣地、そこにはそれなりの魔力量を誇る男が鎮座して俺をジッと見ていた。


「あなたがハセ様、でしょうか?」


「……何奴じゃ?」


「私はツクル、どこにでも居る商人です。本日は──」


「邪魔だ──“雷槍(サンダーランス)”」


 すべてを言い切る前に、雷の槍が俺の体を貫き膨大な電流が全身を襲う。

 ……が、すぐに死に戻りすることで肉体が再構築され、新品の状態で復帰する。


「またの名を、『生者』と申します」


「……知らぬ名、ではないな。お主が新たに生まれた『超越者』とやらか。ならば、このようなことができることにも納得がいく」


「お分かりいただけたようで。では、私がここに来た目的もご理解してもらいたい」


「通信魔法で聞いた。私たちが魔法を使うことについて、訊ねたいのだろう? ──だが答えは否、教えるわけにはいかない」


 握り締めた杖を向けられ、交渉の余地は無いように思えた。

 だがまあ、俺の特徴は死なないこと……粘り強くやっていくしかない。


「根気よく行きましょう。私は死なない、ですがそれを理由に延々と貴方を追いかけるのも、人の倫理に反するでしょう。ですので、交換条件といきませんか?」


「くどいぞ。私が口を開くことはない、諦めろ──“電網(エレキネット)”」


「おや、これは……網、でしたか。捕縛した後も、電気による筋肉の弛緩で動きが鈍る、といったところでしょうか?」


「……一瞬で潜り抜けたか、空間干渉か?」


 死に戻る際、辺りに何も無い場所で再構成するように意識すれば、自動的に拘束を外すことも可能だ。


 無敵状態を使った抜け方だと、永続的な拘束術──いわゆる嵌め技に対応できない。

 なので今回は、こっちを試してみたわけだな……結果は成功だ。


「私は『超越者』、ですが他者との接点に欠けておりまして……彼らとの連絡先を知らない場合が多いのです。ですので、それを教えていただきたい」


「……何度も言わせるな」


「──貴方に掛けられた契約魔法を、一時的に解除する。また、その術を授ける……ではどうでしょうか?」


「ッ──! 不可能だ」


 当たり……『SEBAS』の読み通り。

 引き金はおそらく名前や居場所、その個人に関する情報開示。


 それを恐れたハセは、頑なに情報開示を断ろうとしたわけだ。

 だがまあ、たとえ俺がそれを言っても信じてもらえるわけもないがな。


「ですので、強引にではありますが吐いてもらいましょう」


「そんなこと、するわけ──ッ!?」


「辺り全体に筋弛緩剤をバラ撒きました。しばらくは動けないでしょう。さて、今の間に自白剤を飲ませますね……目が覚めれば、すべてが元通りですよ」


「ひゃ、ひゃめろ……」


 答えはNOなんだよな……。

 ああ、ちなみに青軍が来ないようにちゃんと策も用意してある。


 というか、たぶん青軍の方が地獄になっているかもな。



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