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住居改造 中篇



 その建物は、アイプスルの中でも一際俺が張り切って開拓した場所へ移した。

 高原にポツンとできたその建物からは、巨大な樹が見えるようになっている。


「よし、これなら非日常感があるな」


《SPを消費してしまいましたが……よろしかったのでしょうか?》


「ああ。環境も風兎に相談したうえで改変したから、気にせず家族優先でできたな。おっと、もちろん『SEBAS』のお蔭でもあるな。俺の絵空事を実現可能な場所を割りだしてくれて、感謝するよ」


《旦那様のご要望を万事解決する、それこそが執事のあるべき姿ですので》


 本当に、賢くなったモノだ。

 子は親を超えるというが……母なる世界そのものを超える勢いでスペックを高めているというか、EHOをやっている会社のマザーAIに並んできているな。


 完璧な演算によって見つけだされた最適化に従い、山の地形を操作して見晴らしのいい高原を創造した。


 そしてそこにいろんなオプションを付け、最後に建物を移築したのが現状である。


「少し離れた場所に小屋も設置してある。そこで生産活動も行えるし、騒音で訴えられる必要もないか」


《旦那様、元の街はいかがなされますか?》


「魔物たちの勉強用に使うのもいいんじゃないか? ほら、人族はこういう場所に住んでいるって教えるために。人形に店員とかをやらせればいいわけだし」


《……なるほど、さすがは旦那様です。すぐにクローチルと相談し、魔物たちの学習プログラムに組み込みましょう》


 一部の魔物たち──人化が可能な者たちには、商人の真似事をしてもらっていた。

 最近は人形にもやらせているのだが、彼らはあくまでサポート役だ。


 これまでは『SEBAS』や講師役の魔物によって、商人を演じるために必要なことを覚えさせていたのだが……これが可能となれば、より演じられるようになるだろう。


「……そういえば、人形の調子はどうなっているんだ?」


《どう、と申されますと?》


「ああ、幅が広すぎたか。外界の情報収集と自我の獲得、そのために送りだした人形に変化は生まれたか?」


《そちらはまだでございます。無垢な魂魄の情報を宿してはいますが、それは種のようなモノ。土壌とも呼べる成長環境が確立しなければ、まだ難しいかと……》


 AIには、トップダウン式とボトムアップ式の二種類が存在する。


 あらゆる情報を入れて、人間と同じ反応を求めるのがトップダウン……『SEBAS』がこれに該当者だ。


 そしてボトムアップはその逆、人間そのものを再現して、知性を芽生えさせるという方法を取っている。


「魂魄の情報……いつの間に。前にたしか、ロボットドラゴンをそうするって言われてから、すっかり忘れていたな」


《銀花やレムリア世界など、旦那様の豊富な経験によって見つけだしました。『心』の発露条件は不明ですが、いずれ誰かが発露に成功するでしょう》


「……あんまり大ごとにならなきゃいいが」


 生きているAIとも言える、ボトムアップ式である。


 もし『機械皇』なんかにバレたら……前に話したスキル云々もあるし、物凄く面倒事になる気がするよ。



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