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ＶＳ鳩

　Ｅ２

　今度こそ、そんな思いでこの場所に来た俺だが……物凄い達成感を感じているよ。

　エリアを跨ぐだけなのに、徹底的な調査をしてから踏み入った。

　するとどうだろうか、景色は一変して別の物に……というわけでもないが、マップに表示されるエリアがＥ２になったのだ。

「そうだよな、いきなり景色がチェンジするなんてこと、普通ありえないよな。なのに、どうしてそうなったんだか……ハァ」

　ルリと違って運がない(ＬＵＣが０な)のが原因なのだろうか、それとも『超越者』には巻き込まれ体質になる効果でも備わっているのだろうか。

　前者ならば宗教に入り、後者ならば再びクレーマーになることにしよう。

「さて、魔物の姿は……見えないな」

　Ｅ２は、Ｅ１の草原が半分ほどと、もう半分が木々に覆われた領域で構成されている。

　魔物も少しだけ変わり、新しく鳥系の魔物が現れるとのことだったが……遠くを見るスキルが無いので、エリアの端で立つ俺にはすべてが豆粒のようにしか映らない。

「でも、索敵ならできるんだよなー」

　索敵、それが敵を捜索するという意味ならば、俺はそれを誰よりもできると思う。

　だって、俺以外のモノすべてが敵になりうるんだからな、全世界が敵に回るという言葉が比喩じゃないって……ちょっぴり泣きたくなってくるよ。

　危険察知を行うと、やはり視認できる場所よりも遠くに、いくつかの反応があった。

　今までに遭遇した魔物の反応は覚えているので、恐らく少しだけ感じられる知らない気配──危険なオーラというか──が鳥系の魔物なのだろう……反応があるの、上空だし。

「よし、それじゃあさっそく討伐だー！」

　今までと違って、今回の魔物なら戦いになるのかもしれない。

　そうしたワクワク感を胸に抱いて、草原を進んでいった。

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　足元には、上空を飛んでいた魔物──クルクックが落ちている。

　この時点で鳩じゃねぇか！　とツッコんだ奴はまだまだだな。

　話はこれで終わりじゃない。

「たしかに、俺を見つけたら襲ってきた。これは魔物の習性だし、なんにも悪いことはしていない。うん、普通だ」

　ついでに言えば、結界生成の魔道具によって攻撃が来なかったのも普通だ。

　しかし……。

「こっちの攻撃が、まったく当てられなかったんだよな～」

　鳩の動きが速いのか、それとも……俺の動きが遅いのか、とにかく攻撃が当たらなかったのだ。

　仕方なく抜いたスタンガンはあっさりと躱され、魔力(ＭＰ)を糧にした弾丸も届かなかった。

　──なので、いつも通りの展開となった。

　餌に毒（非致死性な物）を混ぜて地面に落とし、鳩がそれを食べるのを待つ。

　鳩は俺に攻撃の意志が無いことを察し、それをゆっくりと啄んでいった。

「そして、こうなるわけだ……ハァ」

　いつも通りな展開に鬱になりかけるが、次があると思って前へと進んでいく。

　普通の冒険よ、いったいいずこに。