黒いリボン 後篇
「このリボン……ああいや、便宜上はやはり首輪にしておこうかのぅ。この首輪は、休人たち『ぷれいやぁ』にも対応したものじゃ。方法はシンプルに情報の誤認」
「誤認、ですか?」
「うむ。何度死のうと蘇る者たち、しかも肉体の損壊すらも直ってしまう……そこを利用したのじゃ。要するに、首輪を体の一部として認識させることで、どれだけ外そうとしても外せぬことになる」
「……なるほど、つまり呪いのアイテムということですね」
もちろん、正規の手続きを取ればリボン型の首輪は外れるだろう。
だが、それ以外の方法──漢解除ができなくなっているということだ。
「言いようはあれじゃが、まあだいたい合っているのぅ。これらはすでに『賭博』の所で運用している者たちで試してあるので、確実に使えるであろう」
「逃亡者を出して試したのですか?」
「いや……アヤツはたしか、その逃亡を賭けごとにして儲けたそうじゃな。妾が手を貸したのじゃ、そもそも賭けになっておらんわ」
つまりわざと逃がして、死に戻りを選んでも隷属状態なのかどうかを試したわけか。
やり方はアレだが、ちゃんと試せたようだな──そして、それは成功したと。
とりあえず、被験者に……南無。
「ただ一つ、問題があってのぅ」
「問題……ですか?」
「うむ、生産性が無いのじゃよ。たとえレベルが上がろうと、できることには限界があるあるじゃろう? 実際その首輪もこれまでの首輪とは異なり、一つを生みだしたあとに同じ物を作るのには時間が掛かった」
「それは……申し訳ありません」
お蔭で首輪の生産を止める必要ができた、と呟く【奴隷王】に謝罪をしておく。
つまり、再使用時間的なものが長かったということだ。
おそらく【奴隷王】という職業が持つ能力の容量があり、通常の首輪を創るのと今回の首輪を創るのとで必要量が違うのだろう。
それほどまでに、休人を隷属させるのって大変なんだろうか?
運営側のサービスが行き届いているというか、なんというか……依怙贔屓だな。
「──さて、そういったこともあり妾に一つ貸しができたのぅ」
「試練のことですね。はい、充分承知しております」
「うむ、好い心掛けじゃ」
何か一悶着ありそうだと感じたので、わざわざ『SEBAS』にお土産に何がいいか尋ねたというのに……やはりダメだったか。
試練、という単語はやはり耳に悪い。
何かしらのトラブルに巻き込まれ、神の使徒や異形の魔物と戦っているからである。
今回もやはり、そういうパターンのなのだろうか?
俺は認識できていないが、『SEBAS』がその可能性があると言っていた。
いずれにせよ、恩義には応えねばならないだろう……嗚呼、気が重い。




