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霊体の問題 その10



「──よく来たわね、わたしが【幽王】よ」


「……これはご丁寧に。私は『生者』。異なる世界、冒険世界にて『超越者』をやらせていただいている者です」


「『超越者』……聞いたことがあるわね。たしか、何でもありの異常者なんでしょ?」


「それは『騎士王』という存在のみです。他の者は皆、ある程度常識を持ち合わせておりますので」


 王座に座るのは少女だった。

 だが、こちらだと見た目と年齢が釣り合わない場合が多いので、敬語を使い続ける。


 けどおそらく、精神的な部分は見た目とほぼ同じなんだろうな……とも思った。

 そんな少女の周りには、彼女の配下である無数の人型幽魔たちが控えている。


 誰も後ろ暗い瞳はしていないように思えるし、死亡レーダーも普通に警告しているだけなので、反逆などの可能性は無いだろう。


「それで、人形の主である私をお呼びとのことですが……何かお困りでしょうか?」


「お困りでしょうか、じゃないわ! 外を見たでしょう? 今、わたしとわたしを慕ってくれている者たちがピンチなの」


「はあ、理由はいったい」


「……疎んでいるんでしょうね、わたしを。人族と和解しようとしているから」


 それが理由だったのか……外で揉めているもう一方の勢力は、人族とは和解できないと反抗したわけか。


「それをどうしろと? 彼らの叛意を削げばよいのでしょうか?」


「……できるなら、傷つけてほしくないわ。同じ幽魔の霊魔だもの。たとえわたしを殺そうとしているのであっても、それを守り保護する義務が王たるわたしにはあるわ」


「そう、ですか……結論から言ってしまえばそれは可能です。しかし、それには多大な消耗が必要とされます」


「つまり、何か対価が欲しいと……ふーん、いいわよ。何が欲しいのかしら?」


 周りの者──【幽王】の言から考えるに霊魔たちは、その言葉に鋭い視線を俺に向けてくる……何を言ってはいけないと教えてくれているみたいだな。


 だがまあ、別に物や者が欲しいわけじゃないので、彼らの忠告は無用だ。


「対話を。あなたがた霊魔と、人族との繋がりを築かせてください」


「それがあなたにとって、どういう意味をもたらすのかしら?」


「私は別の世界から来た者、それは先ほどもお伝えしましたね? そこでは商人をやっており、珍しい品を扱っています。それでですね、この世界とも関係を持ちたいと考えているのですよ」


「……そう、いいわよ。わたしが求める結果が、あなたに作れるのならね」


 相手を完全無力化したうえで、和解までさせる難易度MAXの交渉だな。

 もちろん、俺には不可能だろう……だが、『SEBAS』であれば可能だ。



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