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アリバイ作り その12



 W2


「──というわけで、お力をお貸ししてはいただけないでしょうか?」


『……まず一つ、訊ねてもいいかな?』


「ええ、その代わり私の問いにも一つ答えてもらいますよ──『機械皇』さん?」


『それが真実とは限らないがな……どうやって、この回線に気づいた?』


 湖畔でリラックスチェアに座りながら、映像装置に向けて声を送る。

 その先には何も映ってはいないが、声のみが返ってきた。


「最初からですが? わざわざ用意されていた、それだけで気を付ける必要があることを学びましたので」


『……そうか。それで、質問とは?』


「ああ、はい。実は、こういったことがありまして──」


 そこから簡単に『錬金王』とのやり取りを説明する。

 ただし、『錬金王』の記憶であることと、彼女との話である部分は隠して、だ。


「──要するに、封じられた記憶を安全に引き出したいわけです。何かいい方法はないでしょうか?」


『……可能だな。規格にもよるが、たしか神代のタブレットを所持していたな。記憶の中から情報を選び、必要な部分を取りだせるようにプログラムを入れればいい』


「なるほど、参考になります」


『しかし、記憶の抽出か。優れた武人の記憶があれば、いくらでも技術だけは真似た兵器が生みだせそうだな』


 俺がやっていることは、その上位互換みたいなことだな。


 強者の戦闘データを『SEBAS』が昇華させ、結界によって強引に体を動かすことで人の身でそれを再現する。


 人形や機械が再現する場合と違うのは……うん、特には無い。


 ここで人の身だからこそ云々と言えるのであれば──俺は結界を使わず、技を再現していただろう。


「スキルが問題となりますね……ふと思ったのですが、記憶をスキルにすることはできないのでしょうか?」


『……ほお? どういうことか、少し説明してもらえるかな?』


「ええ、それは構いませんが……やはり、機械越しでの会話というのも、少し味気ないと思いませんか?」


『……そう、だな。自力で来れるだろう?』


 隠す必要はないので、前回訪れた際に解析しておいた座標へ転位する。

 そこにはすでに人形が一体待機しており、俺を見つけるとペコリと頭を下げてきた。


「皇は別室でお待ちしております。そこまでご案内します」


「はい、よろしくお願いします」


 ちゃんと席に着いてくれているだけでも、凄いことなんだろうと思う。


 なかなか交渉の席に座ってくれない重役の方とか、伝手やらコネやら関係なく、相手の気分でそういうのが決まる場合もあったし。


 ──スキルに関する話が、もしかしたらそれに該当するのかもな。



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