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アリバイ作り その11



「──記憶を外部から補う?」


「ユリルはホムンクルスだろう? だが、その成長を待って錬金に関する知識を教えるのでは時間が足りなかった……そこで、こんな物を用意した」


 案内されたそこには、いかにもな洗脳装置みたいなマシンが置かれている。

 無数のコードが繋がれたヘルメット、そして体を縛る拘束イス……ヤバいな。


「あの、これって……」


「使うか? 試作段階で放置した物ではあるが、たぶん使えるぞ」


「たぶんって……使いませんよ」


「まあ、それでも構わない。安心しろ、すでに技術も確立させている──安全だ」


 他にもいくつか装置っぽいモノがあるのだが、おそらく他の『超越者』の技術を錬金術で再現しようとしたのかもしれない。


 先ほどの装置も、純粋な機械ではなく術式が刻まれた魔道具だったし。

 改めて、『錬金王』がその手に握り締めた小さなメモリーのような物をジッと見る。


 それ自体は、特におかしなものではないのだが……それをどこに差すというのか。


「形状に深い意味はない。暗躍街で見つかった、かつての装置を参考にしただけだ。これは使いたい者が魔力を注げば起動する」


「……これを使うとどうなるのですか?」


「さぁな。ユリルの場合、これではなく私から直接継承させたからな。これはその暇潰しに作った物だ、どうなるかは分からない。だが『生者』であれば……いや、『生者』たちであればどうにかなるだろう」


「まあ、そうなんですけどね」


 USBメモリーサイズの魔道具の中に、かつての『錬金王』が持つ錬金に関する叡智が籠められている……これ一つで、もしかしたら戦争が起きるかもしれないレベルだ。


「本当に使っていいのですか?」


「恩人に返せる恩は、可能な限り支払っておきたいからな。それに……実際どうなるのかぜひ見ておきたい」


 そう語る『錬金王』の瞳は、少々狂気に呑まれた昏い瞳をしている。


 まあ、探究者とはそういうものなので、あまり気にしないでおく……ずいぶんとまあ、扱いにも慣れたモノだ。


 受け取ったメモリーを『SEBAS』に調べてもらう。

 説明通りの品だし、使い方を変えればより安全だと助言を授かった。


 ──最悪、脳みそが破裂するらしいので、今は使わないで話を逸らしておく。


「『錬金王』さん……これ、機人に使ってもいいですか?」


「『機械皇』が作ったものならば、控えてもらいたいな。あれには情報を送る機能が搭載されているぞ」


「それに関しては問題ありません。すでに外してありますので」


「ならば構わないが……やはり自分には使わないのか?」


 死にたくないです、と言ってもあまり言葉に信じてもらえないだろう。

 実際何度も死んでいるので、自分でも破裂ぐらいなら……と思ってしまったし。


「読み込みができるのであれば、安全な書き込みができます。それに、休人にはいくつか便利な能力がありますので……それを使えないか試してみます」


「できたなら、どうやったかをじっくりと教えてもらいたいな」


「はい、そのときはぜひ」


 その後ユリルに別れの挨拶を告げ、工房を後にした……『SEBAS』にメモリーを転送しておいたので、きっと上手く使ってくれるだろう。



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