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アリバイ作り その06



「──これぐらいにしておこう」


「……ありがとうございます」


 叩き込まれた体術、そして身体系の仙術をある程度マスターした。


 ……すべてではないのは、手札を隠しているのともう一つ──俺の肉体が対応できない動きだったからだ。


 主に『騎士王』なんてほぼそうなのだが、少し前にやった【野生王】の体捌き同様……虚弱スペックかつ俺という人間を素体としたアバターでは扱えない体術があった。


 絶対にできないものは、さすがに『闘仙』も教えてくれない。

 それよりなにより……まだまだ技術が追いついておらず、全部は無理だったのだ。


 結界の生成や強度、エネルギー伝導にも不足があるらしく、『SEBAS』からも同じく完全再現は不可能と伝えられた。


 ──まあ、これが虚弱スペックで戦える限界なのだろう。


「改めて。【仙王】様、『闘仙』さん、お二人のお蔭でまた一段階成長できました。何か叶えられるような願い事があれば、ぜひお応えしたいのですが……何かありますか?」


「ア、アタシは……いつでもどこでも寝れるようにしてほしいな」


「それぐらいであればお安いご用ですが……具体的に、どういった寝方がいいですか?」


「えっと、そうだなぁ…………」


 曰く、外界と遮断された場所で居心地のいい感じが良いんだとか。


 完全に用途が分かる要望ではあるが、それ以上に恩を受けた身なので──その場でサラサラと絵を描き、それを【仙王】に渡す。


「これ……なに?」


「設計図ですね。いずれ仙郷に出させていただいているお店の方で、それと同じ品を送らせてもらいます。確定ではありませんが、そちらに記されているような品となると思っていてください」


「……これ、本当にできるの? それならアタシ、凄く嬉しいんだけど」


「そう言ってもらえて何よりです。はい、ご要望には応えられますよ」


 リーシーがこの際、チラッと設計図に目を通そうとするのだが……“配光”という仙術によって『謎の光さん』を生みだして、地図にモザイクを施す。


「あの、【仙王】様。私にもそれを見せていただけないでしょうか?」


「ダーメ」


「そう言わず──」


「あとで分かるんだから、お楽しみにして」


 ニコリと笑みを浮かべる【仙王】だが、片手の上で“怖闇”というこれまた仙術を用意して脅していた。


 うん、まあ……このタイミングで見られたら取り止められるだろうからな。


 それを分かったうえで放置してくれている『闘仙』さんならばともかく、さすがにお目付け役のリーシーさんは説得できない。


「『生者』、俺も構わないのか?」


「はい、もちろんです。たとえ『騎士王』の力の一端でも知りたいという願いでも、どうにかやってみます」


「──いや、断ろう」


 はっきりと、しかも即答で拒否られた。

 やっぱり『騎士王』の扱いって、あんな感じでよかったみたいだ。



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