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アリバイ作り その01



 N3E10


 守護者に関しては、とりあえず放置する。

 最終防衛線の一つとして取り入れようと考えているのは事実だが、風兎のときのようなやり方はもうできないだろう。


 それならば、いずれ生まれるであろうアイプスル産の魔物を待つ方がいい。


 獣タイプで無ければ、まあ守護者にはできないだろうが……うん、そこはどうにかして別の方法を探しておこう。


「──というわけで、突然やってきました仙人の街」


 仙郷、仙人たちの郷。

 特殊な霧が漂う幻想的な街を、俺は外側から覗いていた。


 特にそんな必要も無かったのだが、久しぶりに来たという意識を持ちたかったからだ。


「ようこそいらっしゃいました、ツクル様」


「……えっと、はい。お世話になります」


 そんな俺を迎え入れるのは、一度目に来たときと同様ウサ耳の少女……【獣王】と違って、こちらは肉体戦特化ではない。


 背中に届く白い長髪、ゆったりとした半透明の薄い布を羽織った──仙人である。

 そんな彼女は少し頬を赤らめ、指と指を絡めてモジモジしながら……小さな声で──


「あの、その……例のブツは……」


「あっ、ああ。もちろんございますよ──こちらですね?」


「は、はぃぃい!」


 名の通り、人参色に輝くソレを数本纏めたバスケットを差しだした。

 目を輝かせ少女はそれを受け取り、その身に生やした耳と尻尾をぶんぶんと動かす。


「今日、二人の予定は空いていますか?」


「あっ、はい! お二方とも、今日は宮殿で謁見を午前中まで行っていましたが……午後の予定はありませんよ」


「それはよかった。連絡をしたのが前日だったため、もしかしたら……と思っていたんですけど。都合がよく会うことができます」


「……まあ、お二人とも必死にスケジュールの方を調整していたんですけれど」


 何かボソリと言っているが、わざわざ補聴していなかったのでその言葉は伝わらない。


 内容は『SEBAS』が把握しているだろうが、伝えてこないということは問題になるようなことではなかったのだろう。


「で、では、さっそく向かいましょう!」


「あっ、はい。よろしくお願いします」


 前回と道のりはほとんど同じなのだが、今回は審査などはすべてパスできる。


 予め【仙王】と『闘仙』の名を使って、許可されているのだ……うん、権力者とのコネは最高だ。


「しかし、ツクル様。なぜここを訪れようとしたのですか? しかも、わざわざ正規の方法を用いて……」


「いやまあ、その……なんとなくですね。しいて言うのであれば、アリバイ作り?」


「あ、アリバイですか?」


 ただアハハと笑い、この場は濁す。

 答えられないのだから仕方が無い……俺もその解を知らないわけだし。



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