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騎士王 その04



 あまりにあっけなかったからな、思いっ切り説明を端折ってしまったよ。


 黒い影の形を取った人型の魔物に、鏡のような物が埋め込まれていた。

 それはつまり──何者かが人為的にその魔物を生みだした、という証拠になるんじゃないか?


 俺が視界に入る前から死んでいたということは、一定範囲内の存在をコピーできるということだ。

 うん、『超越者』や円卓の騎士のような強者をコピーできるなんて厄介極まりないな。


「──なるほど、恐らくツクル様の考えた通りでしょう」


「しかし、『騎士王』の国へとこのような魔物を送り込んだとして……いったいどうするつもりだったのでしょうか? 倒されることは、相手側も解っていたでしょうに」


 鏡が映すのは姿だけであり、記憶や感情までは映すことはできない。

 要するに、魔物は相手の経験までコピーできないのだろう。


 だからこそ称号(つみかさね)はコピーできなかった──そう考えるのが妥当だ。


「……いえ、ここから先は他の騎士たちと共に話し合う方が良いでしょう。とりあえず、今は帰る必要がありますね」


 ガウェインさんはそう言うと、懐から杖のような物を取り出す。


「では、行きますよ」


 魔力を籠めた杖を地面に刺すと、ここに来た際と同様の陣が展開されていき──この場から、俺たちは姿を掻き消した。


  ◆   □   ◆   □   ◆


「……そうか、やはり…………」


「ええ、ですので…………」


 目の前では騎士たちが席を並べ、話し合っている様子が見て取れる。

 なんか、本当に円卓の騎士って感じがする気がして感動した。


 そんな光景を少し離れた場所から見ていると、女性の騎士も多く見受けられる。


 たしか……魔力の扱い方が女性の方が上手いらしいんだ。

 身体強化を魔法で使うなら、女性の方が強くなる可能性もある。


 だからなのか、このゲームでは女性が表舞台に出ていることが多いと言っていたな……タクマが。


 ──あっ、何も言っていなかったけど『騎士王』も女だぞ。

 やっぱりあの工□ゲは有名だからな、プロトタイプでもない限りは、今は女性の方をモチーフにするのだろう。


「……ない。………………かないか」


「そんな! ……は………………ですよ!」


「……け……イン。…………からだ」


 会議も深刻な状況に入ったからか、ガウェインさんが大声を上げているように見える。

 ここで注目するのは、ガウェインさんのみが激情しているという点である。


 それはつまり、ガウェインさんだけがそこのことに怒っているということになる。

 ガウェインさんだけが関わっていたから、『騎士王』の決定に単独で異議を立てようとしたのだ。


 さぁ、ここで問題です。

 今まで円卓の騎士の中でガウェインさんだけが関わったことと言えば?


 ……うん、またクエストなのだろう。


 俺を呼びにやって来たガウェインさんが、処刑人のように思えてくるよ。



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