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大森林 その15



 中央区画の魔物はとても強いというわけではなく、そのほとんどが森獣であったためあまり苦戦はしなかった。


 なぜならその大半が己に憑りつこうとしている侵略者と、絶賛戦闘中だからだ。


 わざわざ雑魚を相手にしている暇などないみたいで、極限まで気配を隠して移動すればそのまま見逃してもらえる。


「──門は、ここみたいだな。たしかにあのときに見た奴っぽいな」


 前回の戦いでも、門が存在しそこから無数の侵略者が出現していた。


 決して空に妖しい模様が浮かび上がり、どこからともなく魔物が降ってくるわけではないのだ。


「破壊したいんだが……まずは、これらをどうにかする必要があるか。森獣だけど、操られているのか? うん、新人みたいだな」


《風兎やこれまでに遭遇した森獣に比べ、エネルギー量が少ないです。おそらくは旦那様の推察通りかと》


「まあ、小動物だしな……子犬か?」


 ミニサイズ、という意味では小蜘蛛さんより小さい知恵者には遭遇したことがないんだが……犬の中では、と範囲を絞れば目の前の存在がナンバーワンだろう。


「きっと元は可愛いんだろけど、侵略者に侵されているからな。狂犬病って、ある意味こういう感じなのか」


 子犬ながらに唸りを上げるその姿は、まさに狂犬と言ったところだ。


 まだ噛み付かれていないのは、あくまで子犬が門番としての役割を侵略者が脳にでも刻み込んだからだろう。


「始めよう──『覇獸』、“侵略者”ども」


 同時に起動させた権能と能力。

 ここに来るまでに何度も試していたので、ずいぶんと能力に対する理解も深めている。


 侵略者の能力は己の核を埋め込んだ相手に侵略し、肉体を支配する──でもあった。


「霧は侵略しているわけじゃない、あくまで纏っているだけだ。侵略者の本質は、周囲の環境を侵すことなんだ」


 だからこそ、自分の力が及ぶ範囲に霧を纏わせて現れたのだ。

 だからこそ、魔物たちの肉体を操り動かせるようになった。


「環境適応能力に攻性を与えた存在……それが侵略者。周りの環境を自らが慣れるのではなく、自身の好む環境へ周囲を変えていく。これってもう、人だよな?」


《……旦那様の意図が、人の在り方という意味なのであれば──肯定しましょう》


「うわー、もしかしてコンセプトってこれなのか? 知りたくないけど、調べたら運営関連の情報でも出てきそうだな」


《……畏まりました》


 それがどういう意味の『畏まりました』なのか、まあ分かってはいるが止められない。

 ──『騎士王』とか【魔王】に訊いておこうか、いつから侵略者が現れたかをな。



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