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覇獸 その06



「──なるほど、話は分かった。要は金が欲しいわけだな」


「……その言い方はどうかと思いますが」


「まったく、我が妻には困らせられる。異国の者に国家機密を開示することが、どれだけ危険な行為なのかを理解しているのか?」


「一度それを尋ねた時は、どうせやる気がないだろと言われてしまいましたね」


 実際、そういう気概は無いな。

 わざわざ脅さずとも、交渉の手はいくらでも存在する……万象を生みだす:DIY:を持つ俺に、用意できないお土産など無い!


「たしかにそうだろうな。あの『騎士王』とも親しいのだろう? ならば……どうした、そんな苦虫を噛み潰したような顔をして」


「……いえ、なんでもありません」


 夫婦揃って、同じ顔にさせないでほしい。

 親しいだと? 絡まれているだけだ。


 あちらもそれを分かっているうえで、ああいった演技をしているのだからどう抗おうにも手段が潰えている。


 どうせなら、ルリと焼き串デートでもした方が何兆倍も楽しいだろうに。


「まあいい、宝物庫からいくつか出せるようにしておこう。だが、少し提案がある。受けてくれるのであれば、こちらとしても益のある話だ」


「内容だけ、お聞きしても?」


「ああ、構わん──これを見てくれ」


 それは陳情書のようなものだった。

 なんで直接『覇獸』の下に? とも思ったが、【獣王】がアレだからか、と独りで納得して内容を見る。


「……聖獣様、ですか?」


「この国を守護するお方だ。そして、記された通り聖獣様の聖域とされる地帯で、確認されていないナニカが現れている。その問題の解決をやってもらいたい」


「……普人族が入ってもよろしいので?」


「いや、獣人でないからこそ白羽の矢を立てた。近々聖獣様を奉る祭りがあるのだが、その準備期間である今、我ら獣人族に立ち入りは許されていない」


 不思議な習慣だ。

 実際、その期間は結界が張られて中に入れなくなるんだとか……外部からその様子を見ることはできるが、それでも手を出すことはできないと。


 そうして様子を窺っていた衛兵の一人が、怪しい影を見つけた。

 しかし何も手を出すことができないので、どうすればいいか相談してきたと。


「こういう問題は、普通ギルドに上げることではありませんか?」


「……お前は素性も分からないような野蛮人に、宝物を差しだして触るなと言って履行されると思うのか?」


「では、信頼できる高ランクの者なら──」


「それは国家より依頼を出せばいい。この場に『生者』が居なかったならば、このあとギルドへ王命が下っていただろう」


 ──俺はこの依頼を受けた。


 せっかくなので聖獣に会いたかった……うちの風兎について、いろいろと訊いておきたいこともあったからな。



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