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騎士王 その02



「ようこそ、ブリタンニアの都市──カムロドゥノンへ!」


 ガウェインさんが言うように、俺はもう街の中に足を踏み入れている。

 外から見た通りの街並みが、あちこちに見て取れるのだが……訊いておかなければ。


「あの、ガウェインさん。俺はこの後どうすれば良いんですか?」


「この後は……王への謁見となります」


「…………キャンセル、駄目ですか?」


「これだけは止められません。仮に私が阻止しようとしても、恐らく他の騎士たちが新たに命を受けて動くと思われます」


 ガウェインさんは誠実な人、それはこれまでの会話で理解できた。

 しかし、他の騎士が同じように誠実であるかどうかは分からない。


 もし騎士の性格が、史実と同じようなものであったなら……うん、結構ヤバい気がしてきた。

 いろいろとユニークだったしな。


 まあ、ガウェインさんが『ガウェイン』と異なり、ただ『騎士王』を盲目的に慕っているわけで無いことは分かっている。

 ──だけどそんなガウェインさんでも、誓約とやらには逆らえないのだろう。


「仕方、ないのですか」


「謁見が終われば、私に与えられた命は終了となります。ツクル様には、どうかそれまで乗り切っていただきたい。……王の最近の行動は、目に余るものが多いですし」


「ええ、どうにかやってみます」


 そう決めた頃には、すでに王城は目前だ。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 王の間


「よく来たな、『生者』よ。此度の召喚に関することには謝罪をしよう。幾ら其方を呼ぶためとは言え、あれでは拉致と同じであっただろう」


「いえ、私も『騎士王』様の話を聞き、一度は訪れてみたいと思っていました。確かに最初こそ戸惑いはしましたが、ガウェインさんのお蔭で、こうして『騎士王』様に謁見する機会を得られましたし、気になさらないでください」


「そうか……すまないな」


 美辞麗句の代わりに『誰だコイツ』、とそう口を開きたくなるが──目の前にいる王こそが、これまで俺にちょっかいを掛けてきていた『騎士王』であることはガウェインさんから聞いている。


 曰く、『騎士王』には二つの顔がある。

 俺と接していた時のような自由で活発な顔と、今謁見している冷静で合理的な顔だ。


 つまり『騎士王』としての義務が、『騎士王』にそうさせているらしいのだが……ここら辺は、俺のような凡人が関わることじゃないだろうな。

 相談されたなら、答えるけど。


「『生者』、私と其方は同じ『超越者』だ。対等である存在に敬語は要らん。いつも通りで構わないぞ」


「……そうか、ならできるだけそうしてみよう。たまに敬語が出るくらいは認めてくれ。それで『騎士王』、今回俺が呼ばれたのには何か理由があるんだろ?」


「うむ。其方に一つ、協力を求めたいのだ」


 わーい、クエストだー! ……なんてまったく喜べないこの現状。

 いったい、何をやらされるのやら。



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