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書類処理



「いやー、よく来たな『生者』! ほら、まずは座れって」


「……」


「ほら、ゴールドレグルスを使った燻製肉があるぞ。ゆっくり食べてけ!」


「……この書類は?」


 馬車から降ろされ、即座に王の執務室へ連行され──歓迎を受ける。


 なんだか光のエフェクトが入っている燻製肉を置かれ、その隣には──大量の書類が積み上げられていた。


「あれからいろいろとあってな。なんだか星渡りの民がいっぱい来たんだよ……なあ、理由を知らねぇか?」


「……」


「いやー、誰かさんと条約とか契約を結んでから、あれこれ問題ばっかり起きやがる。その辺の取り決めに関する資料が、『生者』のところには置いてあるぞ」


「……分かりました」


 沈黙を貫いている間に、『SEBAS』が俺の見た範囲で資料への対処法を視界内に表示してくれる。


 なのでさっそく筆型の魔道具を取りだし、書ける範囲で資料に手を付けていく。


「ところで、どうして、天馬の、馬車まで使い、私を、連れてきたの、ですか?」


 言葉を切らす度に資料は次の物へ。

 魔道具は『SEBAS』とリンクが可能となっており、自動筆記の要領でちゃっちゃと書き進めることができるのだ。


 ただ、紙を動かすのは俺の仕事。

 あくまで『SEBAS』が把握できるのは視界限定──俺が別の資料を見えるようにしたり、処理する資料を別の場所へ運んだりしなければならない。


「……その仕事っぷり、ますます取り込みたくなるな。直接訊ねるが、うちの娘と交換で働くことにしないか?」


「私は、妻、一筋ですので……ふぅ、まずはすぐに処理できる物を終わらせました。こちらの資料は【獣王】さんのサインが必要な物で、こちらは一度確認が必要な物。あとは私の采配で済ませられました」


「残念だな。あの子煩悩に会わずに話を進められる、最後のチャンスだったんだが……」


「子煩悩?」


 ピタリ、と動きを止めて【獣王】の方を向く……ピコピコと揺れるウサ耳が、来客を告げるようにピーンと直立する。



「──ここにいるのか、我が娘に手を出そうとする不埒もごぶぅう!」



 途中で変な声が出ているが、それはドアを開いた瞬間に【獣王】が一瞬でそこへ向かい殴り飛ばしたからだ。


 そして扉を閉めるものだから、俺はまったく容姿を見れなかった。


「あの男性はいったい……」


「あー、いちおうは俺の夫だな。で、見ての通り子煩悩だ」


「なるほど、よく分かります。ちなみにこの国ではどちらの権威が高いのですか?」


「中だと俺、外だとあっちだ。認識に違いがあるんだよ」


 影のなんちゃら、みたいな裏ポジションも存在するわけだし……職業(・・)が凄いのか、それとも称号(・・)が凄いのか。



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