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VSルリ騎士団 後篇



 強者の権能を奪う者──【魔王】。

 特殊職業に含まれる【勇者】や【王帝】、『超越者』の権能を、対象が生きている間のみ簒奪することができる権能を持っている。


 しかし、今代の【魔王】だけはその例外の位置に君臨していた。

 ドッペルゲンガーである彼の者は、代々の【魔王】そのものをコピーすることで、今までに奪った権能すべてを行使できる。




 さて、そんな今代の【魔王】といちおうは友としての関係を築けた俺は、その体細胞を手に入れることに成功した。

 それを培養し、解析することで……劣化した簒奪能力──権能を摸倣する力を得る。


 現在、その力は籠手の形を成して俺の腕に嵌められており、その真価が振るわれる時を今か今かと待ちかねていた。


「さぁ、始めろ」


《権能比率──【仙王】50%・『闘仙』50%へ》


「強化版の──『地裂脚』!」


 発動そのものはなんちゃってのままだが、威力だけは確実に本来のものと同等だ。


 そう自負できるほどに強化されたその一撃は、巨大なクレバスのような裂け目を生みだし騎士たちを呑み込んでいく。


「同じ手が効くか! “風竜(サイク)──」


「そちらこそ、私が先ほどまでと同じだと思わないでください──『天閃腕』」


 そもそも外部から仙丹を取り込もうとしていたため、時間が掛かってしまい連発ができないでいただけだ。


 籠手の力で二つの仙人系権能を発揮することで、仙丹の回復量は爆発的に増幅された。


「技だけ習った──『雪崩拳』」


 拳の一発一発に仙丹が籠められた状態で放出され、触れた途端に周囲の拳とリンクして連鎖的に爆発するそのさまが、雪崩に似ているからと決まったらしい。


 そんな事情はさておき、一度の生成量が足らずに使えなかったこの技も、ようやくお披露目となった。


 裂け目の間で粘っていたのだが、さすがに『雪崩拳』に耐えることはできなかったようで……小さな爆発が起きる度に、少しずつ団員が谷底へ墜ちていく。


「くっ、これは……」


「おや、戻ってきましたか。残るは──あと三人ですね」


「……ッ! さ、“三撃の陣”!」


 三人でフォーメーションを組み、どうにか俺を攻略したいようだ。


「居合」


《権能比率──【刀王】90%・『騎士王』10%へ》


「来い、[生鳴]」


 妖刀を取りだし、構えを取る。

 動きそのものはコピーしてあるので、今回必要としたのは刀装備時の能力と動作補正。


 三人がタイミングを合わせて迫ってくるそれを──たった一度の行動で終わらせる。


「私の、勝ちですね」


 宣言した通り、居合抜きでの一刀両断。

 粒子となっていく女性たちを、ただ見つめるだけ……なんだか非道な奴になった気分になるな。



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