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奴隷王との交渉 後篇



「妾が生みだす隷属のアイテムを、か……それを所望する意味、理解しておるのか?」


「【奴隷王】がその能力を以って生成する隷属のアイテムは、地上で生きるあらゆる存在に枷を設けることができる……そう伝承に記されていると」


「まあ、概ね合っている。正確に説明するのであれば、妾の力以上に存在の格が高い者にはそのままでは通用せぬ。だがそれさえ可能なのであれば、いかなる存在であれその頭を妾に下げるのじゃ」


「なるほど、理解しておきます」


 神も例外ではないと。

 そんな簡単に降臨するような存在でもないので、両者が相対する可能性は相当に低そうだから構わないんだけど。


「ですが、それでも主張は変わりません。どうか作っていただきたい、【奴隷王】様の手ずから隷属のアイテムを」


「……どうしてそこまで欲する。女子(おなご)にでも懸想しているのか?」


「いえ、私は妻帯者ですので。妻はとても可憐で、女神のような存在です。他に相手をと考えることすらありませんよ」


「…………ほ、ほう、そんなによいのか?」


 ここまでの道で把握はしていたが、奴隷として使役している者たちは全員が女だ。

 そして、そこから分かることは……いちいち答えにせずとも好かろう。


「ええ。ですので、そんな妻を守るための力として、なんとしても手に入れたい力──それがここにあります」


「なるほど、覚悟はあるようじゃな……してその女子はどのような相貌を──」


「どうか、私に協力を。私に出来ることであれば、大抵のことはしてみましょう」


「そうか、ならば貴殿にやってもらおうではないか……じゃがその前に、その女子の相貌が見てみたいのじゃが」


 ルリの写真は持っているが、それを見せたらとてつもなく面倒なことになる気がするのであえてスルーしておく。


 そういう態度が分かっているのか、なんだか【奴隷王】も不満げだ。


「ここは交渉相手を称え、情報を提供すべきではないかのう?」


「私は妻を大切にしております。もし傷を付けられるのであれば、それこそ持ちうるあらゆる手段を用いて相手を滅ぼす程度には」


「……それは弱点と呼ぶのでは?」


「ははっ、なるほどそうですね。──相手にそんなことを思える時間を与えるとでも?」


 さすがにルリ本人が誘拐されるなんて事件は、それこそルリが気分転換に受け入れでもしない限り、絶対に(・・・)起きないので問題ない。


 だがそれとは別に、俺は動く。

 それがショウやマイであろうと……家族の危機に、父親は全力を振るうものだ。


「……分かった、アイテムは作ろう。じゃがこちらにも都合がある、条件となる試練も含めて少し時間をもらうぞ」


「構いませんよ──時間が空きましたら、こちらの魔道具を押してください。このランプに光が灯りまして、時が来たことを私に勝手に伝えてくれます」


「うむ、分かった」


 再び奴隷経由でスイッチを渡すと、俺は一度来た道を引き返していく。

 ……再びチンピラに絡まれ、精神的にいろいろとクるものがありました。



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