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歓迎ミニゲーム その02



 一週目で手に入れたのは『晩熟の腕輪』。

 俺に上げたい低レベルのスキルなんて存在しないので、だいぶ上がっている種族レベルの成長率だけ向上できればいい。


 なので一週目でこちらを取得し、どうにか二つ目の腕輪を手に入れるためにすべてのミニゲームをクリアする必要があった。


「『だるまさんが転んだ』、これシビアすぎるんだよな」


 器用さが高い俺だが、それは指先に集中しているため、体幹的に必要な力が足りず、ほとんど意味を成していない。


 どれだけ器用であろうと、それを支える力強さや頑丈さが備わっていないからな。



 この世界における『だるまさんが転んだ』は、ある意味究極の『静』を求めるものだと俺は感じた。


 微動だにしてはいけない、これは魔物と遭遇した時にも使える技能だしな。


「だがまあ、『SEBAS』が補助してくれれば完璧だ……それに、いちおう最初から許可されているし」


 そう、別に魔道具の使用は禁止されていないミニゲームなのだ。

 一部のミニゲームは禁止する結界が構築されているのだが、それ以外の場所では使用が最初から想定されている。


 今回行う『だるまさんが転んだ』もまた、その一つ。

 魔法使いなどのあまり体を使わない職業が魔法を使うことだって、今回は可能なのだ。


 これまではそれすらもやっていなかったため、普通に一回目でアウトだったんだが……これならどうにかなるかもな。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 ──だるまさんが……ころんだ。


 ゆっくりと聞こえてくる声が、そして辺り一面に配置されている小さな魔物たちが休人たちの挙動をジッと見つめていた。


 このミニゲームにおいて、読み上げる役も参加者の動きを見るのもすべて魔物たちが行うことになっている。


 これは新人たちが魔物に過剰な忌避感を持たないようにするため、という理由だ。


 ──だるまさんがころんだ。


 ──君、アウト!


 いっさい止めることなくスラスラと読み上げられたため、動きを止められずに動いてしまった者が一人。

 スライムがその者の前に立つと、ぷるぷると揺れながらその者にそう宣告する。


 ガックリと肩を落とし、その者は樹の前に立つ……だが、その目は早く解放してくれと同胞たちをジッと見つめていた。


 ──だ、る、ま、さんがーころんだ!


 ──あなたたちもアウト!


 ゆっくりと、そして急に言われたため、三人ほどアウトを宣告されてしまう。

 十人の参加者、そのうち四人がこの時点で失格となってしまった。


 だが、希望を捨ててはいけない……最後に立った者すべてが勝者となるのだから。



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