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虚弱生産士は今日も死ぬ -遊戯の世界で満喫中-  作者: 山田 武
ゴウケツ X ト X ゴウセツ
580/3049

隷属(仮)



「入ってきてくれて構わないぞ」


『は、はい!』


 しばらくして、騎士団長(くっころさん)女騎士(みはり)を再びこの部屋に招き入れる。

 だが不思議と彼女たちの顔は赤く、チラチラと俺たちの間を行ったり来たりしている。


 まあ、その……なんだ。

 少々ルリの顔が艶々しているのが、もっともな理由なのかもしれない。


 さっきまでと違い、少し楽しげな表情でもあるからな。


「──フィーヌ、貴女のやったことは許されがたいこと……それは分かっているわね?」


「は、はい! ……教祖様の夫たるツクル様に行った非礼、どのようなことをしてでも償う所存であります!」


「そう……リンちゃん、これから何をすべきか理解しているわね?」


「ハッ、すぐに手配いたします!」


 騎士っぽいポーズ(胸に手を当てる)をしてから、すぐにくっころさんは部屋から出ていった。


 一方、入る時とは違って青ざめた表情をしている女騎士……大丈夫だろうか?


「なあ、ルリ……捕まえられてた自分で言うのもなんだが、本当にこれでいいのか?」


「うーん、何かしないとあとが怖いのよ。たとえるなら……狂信的な『さすご主』?」


「優しすぎるのもダメってことか」


「そうなのよ。だから、とりあえずでも名目上でもやっておく必要があるわ」


 死亡レーダーによって、くっころさんが猛ダッシュで戻ってくる様子が確認される。


 部屋の者たちが音を聞き取れる範囲内に来ると、走るのを止めて早歩きになったのは内緒にしておいてやろう。


「ただいま戻りました」


「ご苦労様……フィーヌ、あれがなんだか分かるわよね?」


 くっころさんが持ってきたのは、ペットなどが首に巻くチョーカー的な……って、待て待てこの展開はまさか──


「れ、『隷属の首輪』です」


「そう。これからしばらくの間、ツクルさんの傍づか──」


「ちょっと待て!」


「えっ……どうしたのかしら?」


 まさかの妻による女騎士奴隷化イベント。

 なかなか滅多に味わえないことだが、それはありえないからこそそう思うわけで……というか、そもそも必要ないわけで。


「ルリ、俺にそういうのは必要ない」


「ふふっ、分かっていますよ。だから、あくまでそれはここにアナタが来たときだけの話だわ……フィーヌ、これから貴女は傍仕えとしてツクルさんがここを訪れたら、その世話係となってもらうわ」


「せ、世話係……ですか?」


「一番レベルの低い『隷属』にするわ。だから、頼まれ事でも嫌な命令だったら拒否してもいい……やってくれるわよね?」


 すぐに『SEBAS』に訊いてみると、この判断は正しいとのこと。

 いちおうでもそれを行っていることが、彼女を排他的環境に置かないんだとか。


「わ、分かりました……」


「そう、なら付けなさい。と、いうわけでアナタが嵌めてあげてちょうだい」


「……分かったよ」


 そんなこんなで、女騎士のご主人様(仮)となってしまった……まあ、ここに来なければいいんだからな。


「また来てくださいね、ア・ナ・タ♪」


「分かってて言ってるな?」


 連絡はできるだけ、外部から取ろう。



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