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機械皇 その09



 なぜやる気が湧き上がらないのだろうか?

 そんなことをふと、自問してみた。


 相手は『機械皇』が創りだした、大量生産も可能となっている──人型の兵器。

 あらゆる状況に対応し、その場に応じた戦い方で相手を殲滅する。


 そこに生への執着は無く、すべてが捨て身の攻撃を可能としたある意味おそろしい相手である。


 だが、その戦い方に見覚えがあった。

 誰かの真似ごとを体に叩き込まれ、たとえ自分がどうなろうと勝利をもぎ取ろうとする命懸けの攻撃……。


 改めてそれを認識してみれば、当然とも思えてきた。


  ◆   □   ◆   □   ◆


「──ただの同族嫌悪ですね」


 ダウンロードした『超越者』の武術が凄まじく、同じくどこかの武人から再現されたであろう戦い方を圧倒した。


 すでに残っている機体は最初に出てきた一体のみ、他はすべて地に伏せている。


「そこに真の意味で賭ける命などなく、ただ勝つためにと突撃するだけ……多少動きはマシですが、それでもやっていることは根本的に変わりませんよ」


『何が言いたい』


「違いがありません。私も、貴方が造りだした彼女たちも。意志なんて強い考え方も持たずに、なんとなくや命令されたからと簡単に思考を止めて捨て身の戦法……彼女の場合、そうするように仕組んでいますね」


『それこそが、戦闘型(バトロイド)の役割だ』


 なんだか知らない単語が出たが、ここでそれについて訊ねるのは野暮だろう。

 改めて、体を破壊されようと構わず攻撃を続ける少女に憐みの視線を向ける。


 実験と称されたこの戦闘も、実はまだあまり時間を経ていない。

 分かりやすく言えば──大量生産型と唯一無二の装備を持つ俺とでは、最初から勝負にならなかったのだ。


 使える武術がまず上位互換。

 それを扱うために結界を常時展開しているので、当然のように攻撃は通用しない。


 他にも似たような理由があるが、結局のところ『SEBAS』の演算能力を借りれる俺の方がスムーズに闘えるのだ。


「それで、まだ闘うのですか?」


『実験はまだ、終わっていないぞ──限界突破、起動』


「…………」


 声を漏らしてはいないが、もし人間であれば絶叫していただろう。

 全身から蒸気のように漏れだすのは、生命力などのエネルギー。


 発動した限界突破の正体は、そうした力の流れを一気に解放することで得られる爆発的な運動エネルギーのようだ。


「…………」


「早く止めてあげましょう。それが、私にできる精一杯の対処です」


 俺はこの闘いにおいて、いっさい武器を用いていない。

 それよりも『龍王』さんの結界の方が硬度が高いので、殴った方が早いからだ。


「──『闘仙』、旋転波」


 力強く地面を踏み付け、流れてくるエネルギーを体に取り込む。

 地裂脚であればそれを脚に、天閃腕であればそれを片腕に注ぐ。


 旋転波では、それを掌に流し込む。

 眼の前に居る少女に掌を突きだすと、手首から回転を行いグイッと捩じる。


 エネルギーは波のように歪み、向かってくる少女を吹き飛ばす。

 勢いよく壁にぶつかり──活動が停まる。



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