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機械皇 その04



 少し前に会った先代『錬金王』。

 禁忌を犯したことにより、その身に呪いを受けて眠っていた永劫の少女。

 その際は肉体の時間経過を止めるため、特殊な液体の中に浸かっていた。


 では、『機械皇』はどうなのだろうか?

 彼女曰く、永遠の寿命を持つ者。

 先天性のものではなく、後天的に手に入れたそれを神は許すのか……。



 創作物で挙げられる狂気の科学者というものは、だいたいが(色んな意味で)歪んだ表情などをしているものだ。


 主人公がそれを自称している場合や、主人公の味方をしているならともかく、悪役として取り上げられる者たちはなぜかどいつもこいつも、その信念に似合うだけの狂性を宿した顔つきだとよく思った。


 言っては悪いが、『機械皇』も似たようなパターンに含まれると思っていたわけだ。

 肉体のストックを常備し、生き永らえるというものは冒涜的な狂気を基に行われているのだと。


 ──ただまあ、忘れていた……自分の推測がほぼ外れるという当たり前(じょうしき)を。


  ◆   □   ◆   □   ◆


『よく来てくれたな、新たな『超越者』にして星渡りの民である『生者』よ。君たち……特に君の活躍はいつも楽しませてもらっているからな』


「は、はあ……」


『そう固くならないでいい。こちらが招き入れたのであり、君は客人だ。ここに居る限りは丁重にもてなすことを約束しよう』


「ありがとうございます、『機械皇』さん」


 顔が映らないモニター越しに、機械で加工された『機械皇』らしき声が聞こえる。


 部屋の中は元『錬金王』が入っていたような培養槽でいっぱいだが、その中身が隠されているため何があるかは分からない。


 俺はただ、部屋の奥に飾られたモニターと話しているだけに過ぎないのだから。

 まだ顔も見ていないということもあり、少しの懸念を感じてしまう。


『丁重にご案内をしておきたまえ』


「──畏まりました」


 後ろで控えていた機械仕掛けの少女が、顔の見えないモニターに向けてペコリと頭を下げる。


「わざわざすみません。案内役を用意していただけるなんて、光栄ですよ」


『そうかい。今日は彼女にこの施設について習うといい。君たち星渡りの民は、たしか一度寝ると長い時間活動を停止して消失するのだったな。今日以降の予定に関しては、その案内役に伝えておいてくれ』


「はい、分かりました」


 俺もまた、ペコリと頭を下げた退出した。

 そして二人で部屋を出て、ドアが閉まったのを確認するとさっそく案内が始まる。


「案内。それでは、始めましょうか」


「ああ、戻るんですね……お願いします」


 いったい、どんな機材があるんだろう……俺には無い物をもたらしてくれそうなこの場所に、すでにわくわくしていたのだった。



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