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機械皇 その02



 改めて、掘りだした少女を見てみる。

 言葉通り、人形めいた精巧の顔立ち──西洋人形のような少女だ。


 開発者である『機械皇』の意向なのか、身に纏うドレスはドレス……のように見える作業服である。


 カーボンファイバーでできた銀髪に、水晶石が嵌めこまれている再現された青い瞳。


 やはり同じ人形でもカエンやセバヌスとは違う、別のコンセプトを基に造られたのだと強く実感した。


「感謝。機体を掘り起こしてくれたこと。これで次の行程へ移行できる」


「えっと、それは上で構えているアレに乗るということですか?」


「肯定。あの状態では機体の転移機能が発動できず、機体は実行ができなかった」


「転移、機能……」


 わざわざアンダーグラウンドな暗躍街まで行って、ようやく手に入れたその技術。

 どうやら『機械皇』はとっくに手に入れているようで……心の中でボディブローを打たれたような気分になった。


「接触要求。では、向かいましょう」


「ああ、はい。お願いします」


 伸ばされた手を掴むと、人らしからぬヒンヤリとした感触が返ってくる。

 機械とは思えない精巧な肌の感触を試したくはなるが、絵面がかなりヤバいことはしっかりと認識しているので今は止めておく。


「転移装置。座標指定──起動」


 チラリと見た少女の水晶の瞳に、凄まじい勢いで文字の羅列が浮かんだ……と思えば、足元に複雑な術式が構築され、俺たちの体は別の場所へ移動した。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 そこは、出入口なのかもしれない。

 足元には魔法陣、視界の先には通路──後ろには大きな扉が設置されていた。


「ここは……どこですか?」


「質疑応答。ここは主が造られた機行船、第参番艦でございます」


 俺が訊ねた質問に、少女はそう答えることが決められていたのかスラスラと告げる。

 だが、少し引っかかることがあり──訊いている間に確信を得た。


「いえ、船がというわけではなく……この船がどこにあるか、というわけです」


「……」


「ここは先ほどまで居た湖の上でも、ましてや空の上でもないでしょう。飛空ではなく機行船なのですから、移動が可能なのは海や空の上だけではないと思うのですが……」


 まあ、ネタバラしは簡単だ──[マップ]機能を使ってみたら思いっきり場所が変わっていたからである。

 気づいていた『SEBAS』が調べてみたところ、空の上にも海の上にも俺たちが乗った船の姿は無かったという……答えは一つ。


「研究家というものは、下に隠れるのがお好きなようで。深海すらも己が領域とする貴方の主、ぜひ会ってみたいものです」


「──では、こちらへ」


 これまで通りの二字or四字熟語を言うことを止めて表情の抜けた──無の顔を浮かべて、少女は案内を始めた。

 ……いや、今までのなんだったんだよ。



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