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当千の試練 その09



 ドラゴンの形をしたマグマのスライム──略してスライムは、その大きな体を使って攻撃を始める。

 灼熱の体がもたらす熱気は凄まじく、近づこうとするだけで全身が汗を感じてしまう。


「というか、擬似的な発汗があるんだよな」


 今さらだが、このゲームは汗を掻くのだ。

 猛烈に熱い場所ではその汗が目に入ったりして、視界が奪われるということもある。

 手に汗握って戦って、武器がすっぽ抜けて負ける……なんてこともあるらしいな。


「まあ、すぐに対処できるけど」


 クーラーなドリンクを飲み干すと、体に感じていた熱気が一瞬で冷めていく。

 普通はもう少しゆっくりなのだが、俺の特製バージョンなので効果は即効性である。


 襲いかかるスライムの攻撃を走って避けると、スライムを固める『固定粉』を振りかけてみる……が、しかし──


「うん、当然こうなるよな!」


 粉が燃えてそれで終わり。

 マグマが熔岩になるわけでもなく、その流動する粘性は健在である。


 少しだけ残念に思ってから、結界を引き延ばした階段で上へ逃げた。


「……ああ、来れちゃうのね」


 しかしスライムも体を動かし、不必要な部分からマグマを取り寄せることで上に移動する俺に体を近づける。

 逃げようにも周りを囲むように攻め立ててくるため、上に逃げるしか選択肢が無い。


「うん、普通なら──『転移』起動!」


 ついに『擬似』の二文字が無くなった。

 視界に収めた安全地帯に向け、物理法則を無視した動きで移る。


 俺が先ほどまで居た場所は、ちょうどその瞬間スライムに捕食される。

 空間ごと喰らわれたそこは、マグマに熔かされ空気が燃えているように見えた。



 完全な転移技術となった今、魔力さえ支払えば望むままに転移することも可能だ。

 だが、視界に入れておけば消費魔力が楽になるのでいちおう補足しておく。


 移動する場所、明確なイメージ、居る場所と行く場所にある周囲魔力の大小で支払うべき魔力の量が決まるぞ。


「それじゃあ次──『凍死』」


 この環境とは真逆、凍てつく冷気が俺の近くの温度を一瞬で引き下げる。

 今度こそマグマは熔岩となり、そのままクラッシュアイスとなって砕け散った。


「まあ、これならどうにか……うげっ」


 砕けた氷にマグマが近づくと、氷を融かしていく。

 何をしたかと言えば、自身の容量をより増やすために水分を取り込んだらしい。


 焼け石に水という単語をふと思ってしまったが、そんなことは気にしていられない。


「どうしてマグマが水分吸って、パワーアップしてるんだよ!」


 移動速度がマシマシ……というわけではないが、明らかに速くなっていた。

 本当、ファンタジーな世界だよな。



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