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当千の試練 その08



 やがて、古代人と人形たちが残った魔物たちを狩り尽くしてくれたのだろう。

 少しずつマグマの温度が高まると、ズズッと流動するように動きだす。


《旦那様、外部に飛んでいた全魔力がこの場に集中。熱源へと注がれております》


「ついに来るってことか……」


 結界を展開して宙から拝んでいるのだが、マグマの下の方からナニカがゆっくりと浮上してくる。

 それはスライムのようにプルプルと震えるのだが、やがて自身がなるべき形に気づいたのか一つの形態を取り始めた。


「おいおい。なんだよ、これ……」


 それは巨大な壁、のように見えるモノ。

 あまりに巨大すぎるそれは、凡人たる俺の視界では捉えきることができなかった。


 すぐに『SEBAS』がこの場を空撮しているドローンの映像を送り、俺の視界とリンクさせることでようやく正体が判明する。


「マグマのドラゴン……いや、それを模したスライムなのか? なんだかこう、スライムとか龍に縁のある世界だな」


 完璧にドラゴンだと言い切れないのは──ソレの体が時々液体となって、再び普通のマグマと合流しているからだ。

 マグマを吸い上げることで再び元の形を取り戻しているのだが、それは普通の生物ではありえない現象だろう。


「なあ、『SEBAS』。倒せるイメージが湧いてこないんだが……」


 超巨大な火山のため、圧迫されて燃やされて死ぬという展開にはならない。

 だが、広いといってもずっと逃げ切れるような場所でも無い……というか、そうすると古代人たちへ影響が及ぶだろう。


《戦闘力はかなりのもの。旦那様が話しておられた、神の使徒というべき存在なのではないでしょうか?》


「はっ? どうしてそこでその単語が──」


《反応がございます。魔力でも種族固有の気の波長でも無い、異質な力が。手袋にて計測のみを進めていた、神器の核をなす神の力とやらが》


「……つまり、敵の正体はともかく確実に神様関係の厄介事ってことか」


《そのようで》


 ドラゴン型のスライムをよく見ても、やはりそうとは思えなかった。

 死神様の使徒は霊体系のモノが多かったのだが、それでもエネルギーは神性なものなので尊大さとやらを感じた気がするんだが……場に流された結果だったのか?


「まだ準備中みたいだけど、起動するのに余りの魔力全部が必要になるのかもしれない。俺を倒すのにそれが必要だと思ったのか、それともそういう魔物だったのか……いずれにせよ、破壊の使徒ってのはこういう奴のことなのかもな」


《旦那様、私たちは何を行えば?》


「ドローンで連絡、火山一帯には決して近づかないこと。また、人形を配置して迷い込まないように警備を。数体のドローンを解析用に飛ばしておいてくれ」


《畏まりました》


 魔力が集まってきたのか、つぶらな瞳のような穴が二つ、顔の辺りに生まれる。

 ……それで起動というのもあれだが、それでも始まってしまうだろう。


「さぁ、再びのドラゴン狩りだ」


 ロボットの時のようなやる気は分からないのだが、それでもやるしかないな。



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