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当千の試練 その01



 開戦と言っても、俺が誰かと協力して戦闘する……なんてことはほぼありえない。

 権能である『生者』の力は俺の切り札、決してその全貌を暴かれてはいけないのだ。


「まあ、要所要所バレてるけどさ。ほんの少しの真実は、途中で雑ざった嘘をも取り込んでしまう。だからこそ、俺はちょっぴりの情報を開示する」


 誰かがパズルを組み上げるように、俺が持つ『生者』の権能に辿り着くだろう。


 だからこそ、布石を打っておいた。

 ブラフを見せ、個人個人がかなり類似する情報を手に入れる……それを共有すれば、真実に近い嘘ができあがるわけだ。


「『SEBAS』、こういうのって結構主人公が見抜く話があるぞ」


《たしかに、確実ではございません。ですが『生者』の真の強みは、たとえ知ったところで何もできない点にございます。【魔王】もそれを知っているからこそ、何もしません》


「まあ、『生者』の権能をコピーしたところで死に戻り自体はするんだからな」


 ドッペルゲンガーである彼にとって、そもそも『生者』の権能自体が必要ない。

 なぜなら、蘇生を可能とする魔物なんて数多く存在しているのだから。


《旦那様のお力は、守るためのもの。決して血を好むものではございません》


「吸血鬼じゃないからな」


《争いを好まぬ旦那様です。露払いは、すべて私にお任せください。主の手を煩わせるものは、すべて排除いたします》


「『SEBAS』……」


 なんだろう、物凄く感動する。

 執事っぽさを出しているというか、いつも出しているんだが今まで以上にそう感じているというか。


 ドローンが飛び立ち、各エリアの向かう。

 すでに戦いは始まっていた。


「さて、俺も始めるとしようか」


 持っていたアイテムを天に捧げ、器へと注いでいく。

 満たされていくソレを眺めると、ニヤリと口角が上がってしまう。


「ふむ、順調だな。これなら俺も楽しめる」


 取りだした棒を器に差しこみ、ゆっくりとかき混ぜていく。

 焦ることはない、じっくりと混ぜられたそれはやがて器の中で渦を生みだす。


「……完成だな」


 そこにあるのは黒い液体。

 闇のような黒とは違う、見ていて落ち着く安心する色だ。


 それを口に含み、嚥下していく。

 体の中に熱いものが取り込まれると、全身が熱を帯びていった。


「嗚呼、さすが『SEBAS』だな」


《お褒めいただき、光栄でございます》


「やっぱり『SEBAS』に任せて正解だったな──コーヒー作りは」


 さて、旨いヒーコーも用意できた。

 ゆっくりと観戦でもして楽しんでいこう。



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