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滝効果



 W4


 大量の水が降り注いでいく様子は、なんとも壮大な光景だと認識する。

 滝、とも呼ばれるその場所は、科学的にも証明できない心への癒しを与えてくれた。


「ビバ、マイナスイオン」


 うんうん、やっぱり滝は凄い。

 鳴り響く音も、映る流れも、浴びる水も、そのすべてが爽快なんだ。


 故に人は滝を求め、水の流れを追う。

 そこに理屈も理由も要らない、気が付けばその先で滝を観る……ここまでがセットなんて関係ない──当たり前なんだ。


「まあ、もちろん滝がある場所だけだが」


 この世界におけるそんな場所の一つが、ここW4の滝壺である。

 滝飛沫を結界一枚越しに浴び、その感覚を肌にフィードバックさせながら思う。


 どうしてただ水が落ちる現象、それにここまで雄大さを抱くんだろうか。


「……さて、そろそろ行こうかな?」


 たしかに滝も重要だが、いつまでも滝に居てはその先へ進むことはできない。

 なにせ目的地は、滝壺の中にあるのだ。

 外側でウロウロとしていても、望むことは決して手に入らない。


 結界の設定を変更し、水中でも酸素を確保できるようにして──潜る。

 視界にはゴーグルを越して見るよりも、幻想的な水中世界が広がっていた。


「一度見たとはいえ、やはり綺麗だな」


 上を仰ぎ見れば、撹拌される水が泡立ちグルグルと水流を生みだしていた。

 そういった小さなことでも感動できる……今の若者たちは、そういった心を無くしているのかもしれない。


「守ろう、世界を」


 ずいぶんと壮大だが、それとは関係なくやることが多いのでやらない……というか、現実だと非力な会社員でしかないので、もっとそういった影響力がある人を主導にしてやらなければならないだろう。


「……まあ、向かうとしよう」


 オオサンショウウオっぽい魔物も居るのだが、とっくに水中対応のドローンが倒しているので俺には何の被害も来ない。

 水の中でも足を動かし、光へと繋がる洞窟の中を歩いていった。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 箱庭


 誰がどういった仕組みで……といった情報がほとんどない、世界から隔離された小規模な空間。

 箱庭、と名付けられたその場所は、とても懐かしい太古の記憶を蘇らせるようだ。


「もちろん、原始時代の記憶なんてあるわけないけどさ……なあ、ヘノプス?」


『お待ちしておりました──マスター』


 俺の問いに答え……なかったのは、これまた古に生きていたとされる亀のような魔物。

 守護獣と呼ばれ、崇められる存在だ。


「俺の滞在理由と連絡は受けているな?」


『はい、それはもちろん』


「そうか……なら、早速頼む。なんだか体がパンパンに疲れていてな」


『畏まりました』


 久しぶりに訪れたこの世界──さて、どうなっているかの調査を始めよう。



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